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アイドレス開発者

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アイドレス開発者


L:アイドレス開発者 = {
 t:名称 = アイドレス開発者(職業4)
 t:要点 = ハンバーガー,コーラ,死んだ目
 t:周辺環境 = PCの前
 t:評価 = 体格2,筋力2,耐久力2,外見0,敏捷2,器用3,感覚2,知識4,幸運-2
 t:特殊 = {
  *アイドレス開発者の職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。
  *アイドレス開発者はナショナルネット接続行為が出来、情報戦をかけることが出来る。
  *アイドレス開発者はオペレーター行為が出来る。
  *アイドレス開発者は知識、器用の評価を評価+3補正することが選択でき、この時燃料1万tを消費する。
  *アイドレス開発者は根源力100万以下では着用できない。
  *アイドレス開発者は1ターンに一つ、アイドレスを設計することが出来る。芝村の許可を得てマイルでこれを購入できる。
 }
 t:→次のアイドレス = 罰金の悪夢(イベント),アイドレス廃人(職業),文殊開発者(特別職業),恐るべき予言(イベント)

継承



設定イラスト

設定文


アイドレス開発者


【アイドレス開発者】
 アイドレスを開発する技術者。また、優れた開発者に与えられる称号。

 アイドレスに開発者は多々いれど、アイドレス開発者の名を冠する者は稀である。

 何かを「生み出す」ということは、新たに生を受けたものにその生と同時に運命を与えることになる。すなわち、何かを生み出すこととは、新たな運命を生み出すことと同義である。

 アイドレスにおいて運命は、イグドラシルと呼ばれる。
 そしてアイドレスとは、イグドラシル(=運命)の枝に生えた花であり、その運命の具現とも言える。

 すなわちアイドレス開発者とは、イグドラシル(運命)に干渉し新たな蕾を―――新たな運命を切り開く力をもつ者である。


●運命を生み出す者

 文殊作業五日目。 黒埼は地下にある雅号・電脳宮と呼ばれる執務室で、ほぼ五日五晩寝ずに作業を行っていた。
 すでに頬こけ、生気の無い、というよりかはいっそ死んだ目をして電子端末を凝視しているその姿は鬼気迫るものがあり、「情報戦・・・・・・共和国・・・軍拡・・・対抗・・・」などとぶつぶつ呟く姿は幽鬼じみていて執務室に近付く者をはっきりと遠ざけていた。

 作業しながら片手で食べれるように、と持ち込まれた食べかけのハンバーガーは食べかけのまま放置されコーラーも気が抜けて久しい。
 お付きの刀岐乃やクレージュがここにいれば怒鳴りだしかねない状況である。
 が、今は食事の差し入れを除いてほとんど外部と接触を取っていないせいでばれてはいない。またそこに発想が及ぶほどの思考の余裕はすでに黒埼にはのこされていなかった。後に片付けに入った刀岐乃は驚愕して取りだしたハリセンで黒埼を殴り倒したが、それはまた別の話である。

 元々、黒埼の地下への国民言うところの“お籠り”は度々であり、そしてその帰還のたびに華々しい成果を掲げて帰ってきていた。
 国民の中には、きっと地下で電子の妖精からお告げでも受けてるのさ、と言ったものがあったが、その際帰還した時は本当に電子妖精を肩に止まらせて帰ってきて国民を驚かせている。

 その彼にして、今回の文殊の改良作業は難航を極めた。

 すでにニューワールドの基幹システムとして機能している文殊を機能停止を最小限度にバージョンアップさせる。
 口で言うほど簡単ではない。
 今までも小さい改良はいくつも行ってきていたが、ここまで大規模な改良は、それこそ文殊を作り上げた時に準じる。
 事実上文殊が生まれ直すようなものなのだ。だが、それほどの改装にも与えられた期間は余りに短かい。


 すでにこの時期、共和国天領艦隊は目と鼻の先に迫り、難民の対応に当たるのも限界があった。
 難民に関しては文殊にも大いに関係があり、複数の藩国間で大量の難民が流入するという事態に対処し、適切な藩国運営を行うためには文殊のVerupはかかせないことだった。さらに言えば越前の今ターンの罰金はついにテラ領域トップである。
 予定された金庫番が発足せねば、このままでは底の破れた財布のように予算が流出していきかねない状況だった。
 それ故、作業に当たれるのはこのタイミングを置いて他になかったのである。

「これで八割方は、終わりか……」 

 細く息を吐きつつ、黒埼は椅子に背を持たれた。長時間の作業用に黒埼のシートは特注のリクライニングとなっている。
 眉間を揉みほぐしつつ再びモニターの前に顔を寄せる。

「ここのインターフェイスは改良の余地ありだな……ふう……」

 疲労はとっくにピークに達している。黒埼の経験中でもこれほど疲労を感じたのは文殊を作りだした時以来と言ってよかった。

 だが、微かに感じるものがある。

 それは何か新しい物が生まれようとしている予感だ。
 この作業自体は文殊の旧来のプログラムの改良作業に過ぎない。だが、そこから創り出されるものは全く違う“何か”ではないかと黒埼は感じていた。
 そしてその感触こそが、疲労の極みに達した彼の体を突き動かしていた。

 それからさらに六時間経過。
 そこにはなおも一心不乱に手を、目を、頭を働かせ続ける男の姿があった。その目はすでに血走ったを通り越して死んだ目をしながらもなお動きを止めようとはしない。

 すでに黒埼は己の体を動かしている感覚が全く無かった。ただ、誰かに、否、“何か”に引っ張られるような感覚だけが体を支配していた。

 まるで何者かが必死で外に出たがっていて、自分はただそれの進むがままに手を貸してやっているだけのような。何か大きなものが自分の体を借りて“それ”を外に出そうとしているような。

 今の状態が疲労の果てに眠り込んで夢をみているのか、それともそろそろ幻覚でも見え始めたのか、黒埼にはさっぱりわからなかった。だが、不思議とその感覚だけは確かな手ごたえがあった。

 早く出て来い。早く出て来い。
 いつしか黒埼はそう呟いていた。

 その呟きと共に、光が黒埼の視界に入った。やがて光は少しずつ大きくなっていく。
 最初はゆっくりと、やがて力強く。

 「もう少し、もう少し」

 だが後少しで視界を一杯に埋め尽くす程光が大きくなったその瞬間、光が怯えるように身をすくめた―――ように黒埼には見えた。

 その光を、黒埼は後ろからそっと押した。

「―――――」
 自分が何を言ったのかもう黒埼には聞こえなかった。

 その瞬間、光が、視界一杯に広がった―――。


/*/


「ん、む……」

 目が覚めると視界を刺す光に瞼をすぼめる。
 真っ白な部屋は見覚えのある自分の部屋ではなかった。
 畳張りの部屋で布団に寝かされている。

「目ぇ覚めましたかー」
傍らにいつの間にかいた少女が、黒埼の腕を取りつつ声をかけてくる。

「……閑羽くんか。ここはどこだ?」
「藩邸の救護室ですよー」

 少女―――閑羽は手短に答えると黒埼の手を取って脈を測った。

「んーもう大丈夫かなー?」
「ああ、すまないな……」

何気なく少女に礼をしつつも、黒埼は何かが腑に落ちなかった。何か大事なことを忘れているような―――。

「あーーー!!!!!」
「うわっ!?な、なに!?」

閑羽がびっくりして思わず席からずり落ちる。そんな閑羽に追い打ちをかけるように黒埼は閑羽に詰め寄った。

「私はどのくらい寝てた!?文殊は?!難民は!?共和国艦隊は!?」
「ちょ、ちょ、摂政様!?痛いー」
「あ、ああ、すまん……で、どうなんだ」
「もう痛いなあ……。えとね、せっしょー様が寝てたのは二日間だよ。覚えてないの?」
「まったく」
「大変だったんだよー。食事持ってたら全然返事なくて、仕方なく扉蹴破ったらせっしょー様倒れてて」
「扉蹴破ったのか……。ああ、いや。ともかく、面倒かけたようだな」
「うん、あ、それでね、文殊は出来てたみたいだよー」
「本当か!?」
「嘘ついても仕方無いじゃ……って、ちょ、せっしょー様!?」

 黒埼が不意にしなだれかかってきて閑羽は慌てて黒埼を支えた。
 大声を出したせいで一瞬眩暈で前後不覚になったのだった。

 だが、運命はいつも悪戯である。

 不意に救護室のふすまがすぱんっと開いた。

 「摂政様目が覚めたの!?……て、へ?」
 「摂政様大丈夫ですかー?……って、あの、摂政様?」

 物音を聞きつけて入ってきたのはお付きの少女と少年、刀岐乃とクレージュである。
 お付きだからして自分を心配して駆けつけてくれたのだろう。

 ……それは問題ないのだが、黒埼は二人が自分を見る目つきが妙に気になった。
 まるで、何か怒りをこらえるような、見てはいけない物を見るような。

 そこでハタと気づく。眩暈で閑羽にしなだれかかっている自分の姿に。
―――それは見ようによっては、まるで閑羽を押し倒そうとしているようにも見えるかもしれない。

 黒埼はため息をついた。既にわかりきった自分の運命ほどやるせないものは無い。

 「……まあ、一応言っておく。誤解―――」
 「言いたいことは、そ・れ・だ・け・かぁーーーー!!!!星の彼方まで吹き飛べー!!!!」

 一体どこから取り出しのか、クレージュがどこからか造作もなく取り出した巨大ハリセンを見もせずに受け取った刀岐乃は、全力でそれを振りかぶった。ドラゴンも両断できそうフルスイングの後、

――――黒埼は星になった。

/*/

 その翌日、文殊Ver0.37がリリースされた。それに前後して金庫番が稼働を開始。それははっきりと、帝國史に残る瞬間であった。


解説


 アイドレスを作るという、強力極まりない特殊を持つ夢の職業4。能力的には予想通りであったが、さすがに根源力100万制限までは予想していなかった。開示を見た瞬間、国民一同吹いたといういわくつきのアイドレスである。
 ただし、理論的には裏マーケット等で地道に根源力を買い求め、また戦闘のリザルト等を貯めていけば必ずしも到達できない数字というわけではない。しかし、筆者の予想によれば、仮に根源力100万を満たしても購入にも根源力がいると予想され、結局着れないというまさに夢のアイドレスではないかと考えている。
 余談だが当初これの取得を決定した頃は、留学ルールなどが実装された時期で、これを取得するために越前に留学生が多数きてくれればマイルが入ってくる!?などと不純な動機が少なからずあった。それも含めてこのアイドレスは淡い夢を木端微塵に粉砕してくれた。今では、あきらめ半分で「いい夢見れたぜ」というのが越前一同の感想。

 とまあ、真っ当な感想としては上記のようになるが、真に特筆すべきなのは、派生や能力含めて極めて越前を意識したものになっている所である。「罰金の悪夢」や「文殊開発者」など極めて越前らしい派生が並んでいる。そうなると仮に他の国がこれを取得した場合は一体どうなるのかが、非常に気になるところである。もしかしたら能力自体も変わってくるのかもしれない。(こんなの取るのはうちの国だけだろう、などと思われてたらアレだが)



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