時間は少し戻り、藩国外の森の中。
一人のサイボーグが静かに立っている。
それは、まるで一枚の人物画を見ているように、綺麗だった。
そこに風が吹き、彼女の長い髪と周りの木々を揺らす。
そして、一枚の葉が彼女の前をゆっくりと落ちていく。
一人のサイボーグが静かに立っている。
それは、まるで一枚の人物画を見ているように、綺麗だった。
そこに風が吹き、彼女の長い髪と周りの木々を揺らす。
そして、一枚の葉が彼女の前をゆっくりと落ちていく。
アルマ「はっ!」
短い言葉と腕に仕込まれている鋼糸を使う。
すると、葉はきれいに二つに切れていた。
すると、葉はきれいに二つに切れていた。
アルマ(……調子は悪くないみたいね……)
結果に満足して、自身の体調もいいと感じる。
アルマ「それじゃ、そろそろ戻ろうかな」
と言って、藩国に向かって歩き始める。
が、前から見知った二人が来る。
ユイリとマイアだ。
が、前から見知った二人が来る。
ユイリとマイアだ。
ユイリ「ここに居ましたか、アルマ」
マイア「ふー、やっと見つけた」
アルマ「どうしたの二人とも? 私を探してたって?」
マイア「全く、通信にも反応しないから、探すの大変だったよ?」
ユイリ「……全くです」
アルマ「ゴメン、集中してたから気がつかなかった」
マイア「……はー。 まあ、いいんだけど」
ユイリ「それよりマイア、あのことを教えないと」
マイア「っと、そうだった。
アルマ、さっき摂政から藩国内に通達があったんだけど」
アルマ「摂政って……、逢真が出したの?」
ユイリ「いえ、逢真ではなく、もう一人の摂政です」
マイア「そう、確か、ゲドー……、だったかなー」
アルマ「ああ、あの最近摂政になった」
マイア「ふー、やっと見つけた」
アルマ「どうしたの二人とも? 私を探してたって?」
マイア「全く、通信にも反応しないから、探すの大変だったよ?」
ユイリ「……全くです」
アルマ「ゴメン、集中してたから気がつかなかった」
マイア「……はー。 まあ、いいんだけど」
ユイリ「それよりマイア、あのことを教えないと」
マイア「っと、そうだった。
アルマ、さっき摂政から藩国内に通達があったんだけど」
アルマ「摂政って……、逢真が出したの?」
ユイリ「いえ、逢真ではなく、もう一人の摂政です」
マイア「そう、確か、ゲドー……、だったかなー」
アルマ「ああ、あの最近摂政になった」
アルマは関心なさそうに言う。
ユイリ「それで、通達の内容ですが、
『今晩七時より藩国近くのオアシスで花火大会が行われます。
参加費などは掛かりませんのでお気軽に参加して下さい
注意 花火を見るときは100㍍ほど離れて見てください』
とのことです」
アルマ「これがどうしたの?」
マイア「あのね、場所を見て!
それに、結構人が集まるようだし、刺客が入りこむ余地があるでしょう?」
アルマ「……つまり、逢真が狙われる可能性があるという事?」
ユイリ「端的に言えば、そうなります」
マイア「しかも、噂ではサヨコが逢真を何処かに連れ出そうとしてる、
いえ、もう連れ出してるみたいよ」
アルマ「……また、サヨコが……!」
アルマ(あいつ、また逢真を危険な目に会わせたいの!)
『今晩七時より藩国近くのオアシスで花火大会が行われます。
参加費などは掛かりませんのでお気軽に参加して下さい
注意 花火を見るときは100㍍ほど離れて見てください』
とのことです」
アルマ「これがどうしたの?」
マイア「あのね、場所を見て!
それに、結構人が集まるようだし、刺客が入りこむ余地があるでしょう?」
アルマ「……つまり、逢真が狙われる可能性があるという事?」
ユイリ「端的に言えば、そうなります」
マイア「しかも、噂ではサヨコが逢真を何処かに連れ出そうとしてる、
いえ、もう連れ出してるみたいよ」
アルマ「……また、サヨコが……!」
アルマ(あいつ、また逢真を危険な目に会わせたいの!)
一番危険な目に会わせているのは自分と言うことはこの際は忘れる。
実は、このサイボーグ三人。ある任務中に逢真が助けだしたんだが、
彼女らにしてみれば、死ぬ機会を奪われたのだった。
故に、彼女らは(特にアルマは)逢真を狙っている。
……以前に比べると回数は少なくなっているが。
実は、このサイボーグ三人。ある任務中に逢真が助けだしたんだが、
彼女らにしてみれば、死ぬ機会を奪われたのだった。
故に、彼女らは(特にアルマは)逢真を狙っている。
……以前に比べると回数は少なくなっているが。
アルマ「逢真を殺すのは私達よ! 追いましょう!」
ユイリ「そうですね」
マイア「うーん、久々に頑張っちゃおう!」
ユイリ「そうですね」
マイア「うーん、久々に頑張っちゃおう!」
こうして三人は逢真(とサヨコ)を追撃する。
そして、また別の場所では、
アンジュ「もう、サヨコさん抜け駆けなんてずるいよ!
絶対に負けないんだからー!!」
絶対に負けないんだからー!!」
とアンジュも逢真(とサヨコ)を追いかけていた。
そして逢真とサヨコは、
サヨコ「ご馳走様、美味しかったわね」
逢真「そうだな」
サヨコ「……こんな美人と一緒に食事して、答えがそれだけなの!?」
逢真「……自分で自分を美人とか言うな。
まあ、外見は綺麗だと思うけどな」
サヨコ「何よ! じゃあ、中身は綺麗じゃないっていうの!?」
サヨコ(そうか、綺麗って思ってるんだ、逢真!)
逢真「そうだな」
サヨコ「……こんな美人と一緒に食事して、答えがそれだけなの!?」
逢真「……自分で自分を美人とか言うな。
まあ、外見は綺麗だと思うけどな」
サヨコ「何よ! じゃあ、中身は綺麗じゃないっていうの!?」
サヨコ(そうか、綺麗って思ってるんだ、逢真!)
言葉と裏腹にサヨコは喜んでいた。が、
逢真はただただ、客観的な意見を言っただけである。
……しかも、さらっと言うから相手が勘違いするには十分だ。
逢真はただただ、客観的な意見を言っただけである。
……しかも、さらっと言うから相手が勘違いするには十分だ。
逢真「さて、そろそろちょうどいい時間だな。
オアシスに行くか」
サヨコ「そうね、行くわよ! 逢真!」
オアシスに行くか」
サヨコ「そうね、行くわよ! 逢真!」
サヨコは逢真の腕と自分の腕を組んで歩き始める。
向かうはオアシス。
向かうはオアシス。
サヨコ(そうよ、ここからが勝負なんだから!)
決意を新たに、サヨコは更に強く逢真の腕に力を込める。
刺客(邪魔者)との戦いに勝ってこそ、逢真に言えるのだから。
刺客(邪魔者)との戦いに勝ってこそ、逢真に言えるのだから。
常世も二人に続いて歩き始めたようとした時、ゲドーが常世を見つける。
ゲドー「ああ、常世さん、ちょうどいいところに」
常世「え、ゲドーさん? どうしました?」
ゲドー「それが、アンジュを探しているのですが、何処かで見ませんでしたか?」
常世「アンジュですか? いえ、見てはいないですが、
行き先は多分わかりますよ?」
ゲドー「本当ですか? 教えてくれませんか?」
常世「多分、オアシスに向かってると思いますよ」
ゲドー「そうか、花火を見るために、ですね」
常世「はい。 とは言っても確認はしてないですけど」
ゲドー「いえいえ、ありがとうございます。
それじゃー、森の方に行ってみます」
常世「はい、お気をつけて」
ゲドー「それでは、また」
常世「え、ゲドーさん? どうしました?」
ゲドー「それが、アンジュを探しているのですが、何処かで見ませんでしたか?」
常世「アンジュですか? いえ、見てはいないですが、
行き先は多分わかりますよ?」
ゲドー「本当ですか? 教えてくれませんか?」
常世「多分、オアシスに向かってると思いますよ」
ゲドー「そうか、花火を見るために、ですね」
常世「はい。 とは言っても確認はしてないですけど」
ゲドー「いえいえ、ありがとうございます。
それじゃー、森の方に行ってみます」
常世「はい、お気をつけて」
ゲドー「それでは、また」
ゲドーは急ぎ足で森に向かう。
そして常世は、
そして常世は、
常世「……しまった、見失った!」
逢真とサヨコを見失てしまう。
常世「まあ、今から追いかけても間に合うだろうし、
そんなに危険は無いだろうけど」
そんなに危険は無いだろうけど」
と、あまり急ぐ様子もなく、森に向かう。
これからあるであろう戦いに、気づく事無く。
これからあるであろう戦いに、気づく事無く。
そして、逢真とサヨコ、常世、ゲドー、アンジュがオアシスに向かう森の中。
アルマ、ユイリ、マイアの三人が逢真を捕らえる。
アルマ「見つけた!」
ユイリ「……」
マイア「……」
ユイリ「……」
マイア「……」
が、ユイリとマイアは黙ってレーダーを見てる。
アルマ「どうしたの? 二人とも?」
ユイリ「近くに熱源があります。 これは……距離は離れてるようですが、
二人、ですね。
このまま進めば、逢真達が進むところに着きます」
マイア「こっちも熱源が一つ。
明らかに逢真を追ってるわね!」
アルマ「刺客!? しかも別々の方向から!?」
ユイリ「……私達で食い止めます。アルマは逢真を追ってください」
マイア「ユイリは二人の方を頼める?
アタシはこっちの方に行くから」
ユイリ「わかりました」
アルマ「二人とも……」
ユイリ「逢真を殺すのでしょう? あなたの邪魔はさせません」
マイア「そういう事! 安心して逢真に集中しなさい!」
アルマ「ありがとう」
ユイリ「それでは」
マイア「またねー!」
ユイリ「近くに熱源があります。 これは……距離は離れてるようですが、
二人、ですね。
このまま進めば、逢真達が進むところに着きます」
マイア「こっちも熱源が一つ。
明らかに逢真を追ってるわね!」
アルマ「刺客!? しかも別々の方向から!?」
ユイリ「……私達で食い止めます。アルマは逢真を追ってください」
マイア「ユイリは二人の方を頼める?
アタシはこっちの方に行くから」
ユイリ「わかりました」
アルマ「二人とも……」
ユイリ「逢真を殺すのでしょう? あなたの邪魔はさせません」
マイア「そういう事! 安心して逢真に集中しなさい!」
アルマ「ありがとう」
ユイリ「それでは」
マイア「またねー!」
ユイリとマイアは別々の方向に向かう。
アルマ「今日こそ、逢真を!」
アルマは逢真に向かって走る。
自らの願いを叶えるために。
自身の心が本当は何を望んでるか、気づく事も無く。
自らの願いを叶えるために。
自身の心が本当は何を望んでるか、気づく事も無く。
アンジュはオアシスに向かって走っていた。
逢真に向かって。
が、声が聞こえる。
逢真に向かって。
が、声が聞こえる。
ユイリ「止まりなさい」
アンジュ「え? 誰?」
ユイリ「子供、ですか」
アンジュ「だ、誰ですか、あなたは!?」
ユイリ「私はユイリ。見ての通り、サイボーグです」
アンジュ「さ、さいぼーぐ?」
アンジュ「え? 誰?」
ユイリ「子供、ですか」
アンジュ「だ、誰ですか、あなたは!?」
ユイリ「私はユイリ。見ての通り、サイボーグです」
アンジュ「さ、さいぼーぐ?」
いって、ユイリがアンジュの前に姿を現す。
アンジュは意味が解らず、言葉を繰り返す。
アンジュは意味が解らず、言葉を繰り返す。
ユイリ「それで、あなたは何処に行くのですか?」
アンジュ「あ、貴女には関係ないでしょ!?」
ユイリ「関係がありそうだから、聞いているんです」
アンジュ「……オアシス、だよ」
ユイリ「……あなたは、逢真を追いかけているのですか?」
アンジュ「逢真さんの居場所、知ってるの?」
ユイリ「知ってはいます。が、それを教えはしません。
そして、貴方が逢真を追いかけているのなら、
私は貴方を足止めします」
アンジュ「足止めって、何で!?」
ユイリ「アルマの邪魔はさせません」
アンジュ「あるま?」
アンジュ「あ、貴女には関係ないでしょ!?」
ユイリ「関係がありそうだから、聞いているんです」
アンジュ「……オアシス、だよ」
ユイリ「……あなたは、逢真を追いかけているのですか?」
アンジュ「逢真さんの居場所、知ってるの?」
ユイリ「知ってはいます。が、それを教えはしません。
そして、貴方が逢真を追いかけているのなら、
私は貴方を足止めします」
アンジュ「足止めって、何で!?」
ユイリ「アルマの邪魔はさせません」
アンジュ「あるま?」
そういって、ユイリはアンジュの前に立ちふさがる。
アンジュ「でも、私だって!」
と立ちふさがるユイリを避けながら走り始めるが、
所詮は、子供とサイボーグ。
アンジュはユイリに捕まってしまう。
所詮は、子供とサイボーグ。
アンジュはユイリに捕まってしまう。
ユイリ「無駄ですよ。貴方では何度やろうと私に捕まります」
アンジュ「だからって、『はいそうですか』って諦めっていうの!?」
ユイリ「今のうちに諦めれば、怪我をしなくて済みますよ?」
アンジュ「それでも!」
ユイリ「……では、少し痛い目に合ってもらいます。
気は進みませんが」
アンジュ「え……? きゃあ!」
アンジュ「だからって、『はいそうですか』って諦めっていうの!?」
ユイリ「今のうちに諦めれば、怪我をしなくて済みますよ?」
アンジュ「それでも!」
ユイリ「……では、少し痛い目に合ってもらいます。
気は進みませんが」
アンジュ「え……? きゃあ!」
ユイリはアンジュを軽く押して、倒させる。
アンジュは地面に倒れる。
倒れたアンジュのすぐそばに、続いてくないの形をした物が刺さる。
アンジュは地面に倒れる。
倒れたアンジュのすぐそばに、続いてくないの形をした物が刺さる。
アンジュ「…………あ、あ、……」
ユイリ「殺傷能力は低いですし、毒も塗ってはいません。
足に刺されば、それなりに痛いですが」
アンジュ「あ、あ……」
ユイリ「殺傷能力は低いですし、毒も塗ってはいません。
足に刺されば、それなりに痛いですが」
アンジュ「あ、あ……」
アンジュは恐怖で何も言えなくなる。
が、アンジュの言葉を気にすることなく、
が、アンジュの言葉を気にすることなく、
ユイリ「……もう一人が来ましたか」
と、言葉にする。