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333 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:44:37.49 ID:AgCPeYID0 [91/97] 【99話】りほ ◆aZ4fR7hJwM 様 『蜘蛛の糸』 まだ小学生前半だった頃、当時は年に数回程家族ぐるみで付き合いのあった幼馴染達とよくキャンプをしに行ったものだった。 いつの時かどこの場所だったかは忘れてしまったが、とある山中でキャンプをした時の事だ。 大人達が夜へ向けバーベキューの準備をしている間、子供達だけで近くの山へ探検をしに行った。 薄暗くも手入れの行き届いた雑木林を進んでいると、ふと藪の中に矢印のついた看板があるのに気がついた。 そこに書いてあった内容までは覚えていないのだが、一見目につかない様な場所にあったそれを見つけた時はまるで隠しダンジョンを見つけたかのごとく皆が興奮し、さっそく探検しようということになった。 矢印の先にあったその道は今までの手入れされた林道とは違い、藪だらけで子供の背丈ギリギリの獣道のようなものであった。 多少不気味ではあるものの、それがまた冒険心を刺激するのと同時に、周りから弱虫と思われたくないという見栄か、誰も異を唱える事無くその獣道へと突き進んだ。 やはり手入れがされてないからか、その獣道を進みはじめるといっそう辺りが暗くなった覚えがある。 しばらく進んでいると、突然先頭の奴が悲鳴を上げうずくまった。 いったいどうしたのか、ケガでもしたのか、獣でもいたのか? 慌ててそいつの元へと駆け寄ると何やら手で顔を必死に拭っている。どうしたの?と尋ねると 「蜘蛛の巣。顔に引っかかっちゃた」と恥ずかしそうに答えた。 なるほど、どうやら道を挟んで藪の端から端にかかっていた蜘蛛の巣に顔から突っ込んでしまい、雰囲気も合わさって驚き叫んでしまったらしい。 なんだ驚かすなよと、皆安堵し、そいつもバツが悪そうにごめんと謝りつつもやはり気持ちが悪かったのか、隊の先頭から後ろの方へと移動していった。 気を取り直して進むも、想像以上に蜘蛛の巣は多く、たびたび「うわっ!」という声が先頭から聞こえてきた。 334 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:45:38.16 ID:AgCPeYID0 [92/97] あまりの多さと皆の叫び声を聞くうちに、逆に気持ち悪そうという考えから楽しそうだという気持ちに変わってくる。メンバーの中でもお調子者な自分はさっそく先頭を代わり、蜘蛛の巣がかかるのを今か今かと待ちながら進んでいった。 するとさっそく顔から突っ込んでしまったのだが、肌に纏わりつく粘着性、細くも抵抗力のある強靭性、加えて薄暗くまったく見えない中でいきなりぶつかる唐突性と不快感。 思わず驚き声を上げてしまったのだが、その様を見て笑う皆を見てるとこちらも楽しくなってしまい、それから先も先頭で進んでは蜘蛛の巣をかぶり、さらに見えてるものには自分から突っ込だりと巫山戯ながら進んでいった。 しかし、最初は皆面白がっていたものの、飽きてしまったのかだんだんと口数も盛り上がりも極端に減ってきた。さすがに悪巫山戯に嫌気がさしたのか、はたまた蜘蛛の巣まみれの自分が気持ち悪がられているのか、だんだんと距離もあけられてるような気さえした。 すると一人の女の子が 「もうこわい。帰ろうよ」と言い始める。 確かに巫山戯てて気づかなかったが、辺りは相当暗くなっており、だいぶ進んだにもかかわらず目的地には未だ着く気配すらない。 遅くなって大人達に怒られる、もしかしたら迷っているのではないか?という不安から探検は諦めて帰ろうということになった。 そこでまた自分が先頭に立とうとしたのだが、 「◯◯はもうこれ以上蜘蛛の巣にさわっちゃダメ!」と先の女の子に止められる。 皆が不安がっている中、また巫山戯ると思われたのだろうか? さすがにそんなことはしないと思いつつも、ヒステリックに叫ぶその子に圧倒され、大人しく皆の後ろからついていくことにした。 帰りは皆無言でただひたすらに歩き続けた。 辺りはほぼ真っ暗で、さすがの自分も怒られるのではないかと不安になっていた。 長い道のりではあったが、特に迷ったりせずに最初の雑木林に辿り着くことができた。 驚くことに雑木林へ出ると先の暗さが嘘のように明るく、これなら怒られまいと安堵したのを覚えている。 335 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:46:20.23 ID:AgCPeYID0 [93/97] だが、そんな自分とは違い皆は比較的明るい雑木林に出てからも終始無言のままであった。 その時はきっと皆歩き疲れているんだろうと、特に考える事なく元のキャンプ場へと戻ったのだが、大人達に会うといきなり何人かが泣き始め、一人がしきりに自分の方へと指をさしてくる。 そんな状況に思わず呆然と立ち尽くしていると、自分が何か皆を怖がらせるような悪さをしたのではないかと思った親がこちらへと向かって来る。 が、近くに来たとたん 「おまえ、その顔どうした!?」と言うやいなや洗面場へと連れて行かれた。 鏡に写った自分の顔には… まるで細い針金で引っ掻かれたかのような傷が無数についていた。 大人達の中では自分が巫山戯て藪の中で転び、ケガをしたのを見て皆心配したのだろうという解釈になったようだ。 だが、一緒にいた子に話を聞いたところ、 最初は面白かった。でもだんだんと蜘蛛の巣に突っ込んでいくたびに顔に傷ができていくのがわかって、もしかしたら巫山戯て蜘蛛の巣を壊したから蜘蛛が怒ったんじゃないかと思って怖かった。 だから帰りは壊させないように後ろに歩いてもらった。と教えてもらった。 あの当時はその話を聞かされ怖くなったものだが、後々からは肌の弱い子供時代、おそらくは蜘蛛の巣に付着していた花粉、樹液、アレルギー物質に反応して偶然あのようなことになったのではないだろうかと解釈した。 ただ、成長し丈夫になったからかはわからないが、結局あれ以来肌が炎症を起こすなんて体験をすることはない。 そして、成人した今でも雑木林や林道を歩く際には先ず手頃な枝を拾い、顔の前で振りながら歩くようにしている なぜなら、やはり顔に着くと気持ち悪いというのもあるし、、、 腕や服に絡まる蜘蛛の糸が年々と太く強靭になっていくような気がするからである。 了

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