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278 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 04:18:31.35 ID:AgCPeYID0 [60/97] 【81話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様 『夏祭り』 知り合いの話。 彼女が夏祭りに出かけたある夜のこと。 屋台を冷やかしていると「ママ」と呼ぶ声が耳に届いた。 娘の声だ。彼女を呼んでいる。 慌てて姿を探すも、人混みのどこにも見つからない。 人がいない寂しい方へ進む内に、友人たちと出会う。 「娘を探しているの! 探すの手伝って!」 とパニックになりながら伝えると、不思議そうな顔で聞き返された。 「誰の娘のこと? あなた、まだ結婚していなかったよね?」 そこで我に返る。 自分には彼氏も旦那もいない。未婚だし、子供など当然産んだこともない。 そもそも、誰と一緒に祭りへ来たのか、それさえも思い出せない。 279 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 04:19:45.16 ID:AgCPeYID0 [61/97] 別のパニックに襲われた彼女を見て、友人たちは只事ではないと感じたらしい。 彼女を落ち着かせようとする者、彼女の家へ連絡する者に別れ、場は騒然とした。 皆に送られて家へ帰ったのだが、そこで母親から奇妙なことを聞かされた。 「あれ貴女、一緒に出かけた男性と女の子はどうしたの?  え、誰のことかって? 家の前を三人で並んで歩いていたじゃない。  ”知り合いなの?”って声を掛けても振り返らないから、そっとしといたんだけど」 すると父親がこれまたおかしなことを言う。 「わしが車で帰ってきた時、お前と擦れ違ったんだが、気がつかなかったみたいだな。  でもお前、どう見ても一人だったんだが」 家族間で言い争いになりかけたが、友人たちが取りなしてくれてその場は治まった。 その後は、特におかしなことも起こっていないそうだ。 しかし、今でも気になって仕方がないのだという。 あれは一体、誰の声だったのか。 彼女はあれ以来、夏祭りがどうにも恐ろしく感じられるのだといっていた。 (終)

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