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307 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:05:22.61 ID:AgCPeYID0 [73/97]
『汽笛の音』

これは私が父親から聞いた話です。

父親は幽霊などは信じないオカルト否定派の人間なのですが、昔体験した今でも不思議でならない話がひとつあり、怪談の話などになるとそれをよく話してくれます。
それは大阪に住んでいる父親が子供の頃に、踏み切り待ちをしていた頃の話だったそうです。

カンカンカンと鳴り響いていた遮断機の音が止み、ボォ~と低くよく響くような音が聞こえたそうです。
不思議に思い周りを見回してみても、そのような音を出すものは見えない。
近くなってくるその音を聞いていた父は、一つだけこの音の正体に思い至ったものがあったそうです。

そう、蒸気機関車が発する汽笛の音にそっくりだったのです。

父親が子供の頃と言えば昭和40年代、その頃に大阪で蒸気機関車が走っていたと言う話は聞きません。
そして、音が近づくにつれて踏み切りの周りでざわざわと人の話し声のようなものが聞こえ始めたようです。

この時点で相当ビビッていたらしいのですが、更に不思議なことが起こったそうです。
父の視界の端に、ごった返す人ごみが見えたと言うのだ。
しかしそちらに視界を向けても、辺りに人の姿は全く見えない。
ざわざわと雑然とした話し声だけは耳に聞こえており、それに追加して何か喧嘩するような怒鳴り声も聞こえてきたそうです。
そうこうしているうちにも汽笛の音はどんどんと近づいてくる。

踏み切りは開いており、線路を渡っていくのには問題がない。
しかし、気味が悪いその状況で踏み切りを渡る気にはならなかったそうです。
急いで音の鳴っている方向から逃げ出し、それ以上のことは何もなかったとのこと。

結局あれは何だったんだろうなぁ、と今でもたまに語ってくれます。
それでもやはり幽霊などは信じていないそうですが……。