325 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:30:35.89 ID:AgCPeYID0 [85/97]
【97話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『危機一髪』

怖いかどうかはわかりませんが…不思議な体験の話
私が小学生の頃に大阪で花の博覧会というのをしていました
確か開園して2日目だったと思います
あの日、私は家族でそこにいました
まず一番人気だったウォーターライドという高い場所に水路を作って
そこを船で進むという乗り物に真っ先に並んでいました
とても人が多くて、家族連れが目立っていました
老夫婦やベビーカーの親子までいたのを覚えています
並んで待って、やっと入り口が見えてきたかな?って時に妹が
「トイレー」と言い出してしまい、母が付き添い私一人だけ並んで待つことになりました
列はどんどんと進んで、はやく帰ってこないと私だけ乗っちゃうと焦っていました
すると妹と母の声で「私ちゃーん、こっちよーここよー」って声が聞こえたんです
え?なんで後ろから声がするの?後ろに並びなおしたの?と私は列を離れました
けれど周囲を探し回っても姿が見えないのです
はぐれた?と泣きべそをかきそうになっていると、やっと母と妹の姿
けれど後ろに並びなおした私に「あんた何やってんの!!」と怒られてしまいました
「だってさっき私を呼んだじゃない」「呼んでないよ!!今きた所なのに!!」
仕方なく後ろから並びなおしましたが、母はプンプンと怒っていました
私は申し訳なくて、やっと順番がきてもあまり楽しめなかったのです
ゆっくりと船が進んでナビゲータのお姉さんが案内してくれていました
平坦だった水路でしたが前に山みたいな急な登りが見えました
私はジェットコースーターが嫌いで、うわぁと思っていたら
突然に「きゃー」という人の叫び声ドゴン・ガゴンという音がしました

326 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:31:30.68 ID:AgCPeYID0 [86/97]
水路の下の通路の人たちは走り回り、案内のお姉さんは
「ちょっと落ち着いてください、大丈夫!!大丈夫ですから!!」
と本人も若い女性なのに泣きそうになっていました
前の登りかけの船も似た感じで案内の人が必死に
「立たないで下さい!!座って落ち着いて!!」と叫んでいました
大人たちも子供もどうしようもなく、とりあえずは冷静にそのまま座っていました
まず警備員の制服を着た人たちが複数下の通路に走って集まってきました
すぐにヘリコプターの音が空にバリバリと鳴り響いて、今度は警察官の人たちが来ました
救急車の音がしてオレンジの服を着たヘルメットをかぶった人たちが
女性を横にして上にまたがって何かしていました
前の登りかけに乗っていた案内の女性が水路横の非常通路から降りてきて
こちらの女性と相談していました
「マネージャーに連絡」「ここ動けない」「こんなの訓練で聞いてない」こんな会話でした
ともかく非常事態なんだなと思っていると、乗っていた大人の男性が
「何がおこっているんだ!!いい加減にしろ!!」と怒鳴り始めました
別の女性が「子供もいるのに、ともかく安全な場所へ!!」
すると黒いスーツを着たメガネをかけた男性が非常通路のどこかから来ました
まず案内の女性に指示を出した後に私たちに
「今から非常出口から安全に退避して頂きます。大丈夫です、まず混乱すると危険ですので
まず子供さん連れの前の席からゆっくりと歩いて行って下さい」

327 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:32:12.84 ID:AgCPeYID0 [87/97]
船を降りるときに少し揺れました。私たちには前で何が起こっているのか不明でした
通路途中でもう二人ほどのスーツを着た男性の人たちが誘導してくれました
階段は鉄の階段で下は草ムラで薄暗くて、本当に非常用なんだなと思いました
母は「これ返金してくれるのかしら」と怒っていましたが、私は怖がる妹の手を繋ぐのに必死でした
降りた先でまず男性が「ケガのある人はこちらへ」と叫んでいました
他の人は頭をずっと下げている別の男性の前を通って、やっと一般の道に出れました
その道には人だかりが凄くて、なんでもチケット返金を求める人や怒号が凄かったです
「これじゃあ返金も無理そうだわ」と興奮してる母に妹が
「お姉ちゃん、あのまま最初に並んでたらどうなった?」と聞かれました
まだ何が起こったのかわからなくて私は「わかんない」としか言えませんでした
あとは普通に他のアトラクションや展示を楽しみました
目玉のジェットコースターの風神・雷神は母が乗りたがりましたが
「なんか気持ち悪いしアレ、人いっぱいだからバスの時間遅れるよ?」
で母は不満そうでしたが帰路につきました
家についてテレビをつけて、やっと何がおこったか理解しました
家族で唖然と魅入ってしまいました
映像で落ちた人たちの物が散乱していましたが、私の身近にいた方の持ち物を見つけてしまい
確実にあのまま並んでいたら、私たちはアレに乗っていたと思います
船の落下事故でしたが亡くなった方がいなかったのが幸いでした

(終)
最終更新:2016年06月24日 00:33