329 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:36:18.96 ID:AgCPeYID0 [88/97]
『7人の小人』

私が小学生のときに体験した、不思議で怖い話です。

あれは友人数人と学校から下校していたときのことです。
通学路の途中に、灰色の鳩が死んでいるのを見つけたのです。
最近死んだばかりなのか、死体は特に酷い状態というわけではなかったのですが、友達の何人かは気持ち悪さ半分好奇心半分といったところでした。

そこで、誰が言い出したかはハッキリとしないのですが道端に置いておくのもかわいそうだし、皆で埋めてやろうという話になったのです。
小学生のやることだったので、周りへの迷惑などはまったく考えず、適当に土がむき出しになっている街路樹のした辺りに鳩を埋葬し、形のよい石をその上に置いて供養しました。
さらに、どこから持ってきたのか友人の一人が7人の小人を模した陶器の人形を持ってきたのです。

「そこに落ちてた、こいつらに墓守させようぜ」

といって、お墓の周りにその小人たちを並べたのです。
私は、こう言っては何なのですがその小人たちがあまり可愛くなく、しかも7体もずらっと並んでいるのをみて少し不気味だなぁと思った記憶があります。

それから数日、私たちは学校から帰る途中は必ずその墓の前で手を合わせて帰っていました。
しかしある時、鳩を一緒に埋めた友人ではない友人と一緒に下校することがあったのです。
その友人……Aとしますが、彼は学校でもある意味で有名であり、体格がいいこともあってあまり考えなしに腕力にうったえる様な少し困った奴でした。
そして、鳩の墓の前まで来て私たちは気づきました。

(このジャ○アンがこんな面白そうなことを知って何もしないはずがない)

と、おそらく全員がそう思ったと思います。
ジャ○アンというのは、私たちが彼の陰口を叩くときに使っていた呼称です、勿論本人の前でそんなことを言えばどうなるかわかったものではなかったので……。

墓の前を通り過ぎる際、何か適当な話題で注意を逸らそうと私は画策していたのですが、それよりも早く彼は行動を起こしました。

330 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 05:37:53.59 ID:AgCPeYID0 [89/97]
「お、何か並んどる! 何やこれきもちわる!」

と言って、静止するまもなく墓守達(7人の小人)に駆け寄っていき、墓ごと小人を2~3体まとめて蹴り飛ばしたのです。
流石のこの行動には私たちもびっくりしました。
その後、誰か人の物で、ここに置いてあるかもしれないから壊したらまずいよ、といったようなことを言って何とかその場を収めた覚えがあります。
壊したらまずいも何も、彼の豪快な蹴りで陶器製だった小人のうち3体はコンクリートにぶつかって壊れてしまい、墓石もどこかへなくなってしまっていました。

そして私は、その日の夜に不思議な光景を見たのです。
始めはそれは不思議な声でした。

私は子供部屋で一人で寝ていたのですが、窓の外から複数の人間が歌うような声が聞こえたのです。
それは日本語のような感じがしたのですが、内容としては何を言っているのか全く意味のわからない言葉でした。
窓の外を見てみると、家の近くにあった大きな木の下を、何か小さな人のようなものが踊りながらぐるぐる回っているのです。

よく目を凝らすと、それは例の7人の小人でした。
7人とはいっても、踊っているのは4体だけで壊れてしまった3体は大きな木の下に並べられていました。
どうやらその3体を囲むようにして、木の下をぐるぐる回りながら踊っているようです。

何だあれ、何だあれ? 壊したのは自分じゃないんだから、Aのところに行けよ!

と私はとにかく怖くなり、窓のカーテンをしっかり閉めて布団にもぐりこみました。
しばらく歌うような不思議な声が聞こえていたのですが、気がつけばその声も遠くなり、私はいつの間にか眠ってしまっていました。

次の日、例の墓があった場所を見てみると、壊れた小人も残った4人の小人もきれいさっぱりなくなっていました。
誰かが片付けてしまったのか、それとも自分たちの意思でどこかへ行ったのか……。
今では詳しいことはわかりませんが、夢だったのではないかと思うような不思議な出来事でした。


最終更新:2016年06月24日 00:34