【十三話】『幼稚園時代の恐怖』ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs


53 名前:ずんちゃ虫(実は統括者) ◆7vU/OMinzs @転載は禁止[sage] 投稿日:2015/08/29(土) 21:00:37.25 ID:M2JR/Zcj0 [1/6]
『幼稚園時代の恐怖』

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私が通っていた幼稚園は寺が経営しておりました
幼稚園の裏側が寺に繋がっており、普段は間には柵がしてありました
私と友達のM君はいつも「あっちに行ってみたいなあ」と言っていたのですが、ある日の昼休み
いつもは閉まっている柵の戸がなぜか開いているのをM君が見つけたのです
私とM君の二人は これ幸いとばかりに先生たちの目をぬすんで寺側に忍び込み探検を始めました
本堂の方に行くと他人に見つかるかと思い、二人は脇にある大きな黒塗りの蔵に向かいました
石垣の上に組まれた蔵は古そうな造りで何か宝物でもありそうに思えたのです
一番下の板がはがれて四角い穴が開いており、そこから覗いてみましたが暗くてよく見えません
扉の前まで行ってみると残念ながら施錠されていました
二人はそれでも鍵を揺すったりして暫くゴソゴソやってましたが、結局あきらめて他を当たろうとしました

54 名前:ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @転載は禁止[sage] 投稿日:2015/08/29(土) 21:01:43.53 ID:M2JR/Zcj0 [2/6]
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私たちが蔵から離れて行くときに、蔵の方からコトンと音がしました
振り返った私たちは驚きました
さっき覗いてみた蔵の下の四角い穴から人の顔がこっちを覗いてたのです
私たちは立ちすくみました、中に人がいたとは、カギがかかってたのに
どうやら蔵の床に寝そべって穴に顔を寄せているようです
相手はこっちよりも2歳くらい年上の感じです、私たちを見つめていますが、その表情まではよくわかりません
私たちはイタズラが見られた事と相手への恐怖感で青くなって幼稚園の方へ逃げました
直後、蔵の方から床を這いずり回るようなゴロゴロ、ズザザザ という音が聞こえてきましたが構わずに逃げました
その日はM君と二人で夕方までまんじりともせず、今日の事は絶対に口外しない事を互いに約束しました
次の日幼稚園に行くと、講堂で他の子たちが騒いでいました
中に入ってみると講堂の床に擦れたような跡が講堂をを一周するようについていました、
それは大きな蛇でも這いずり回ったかのようでした
私とM君は昨日の事を思い出し、夜にあいつがこっちまで来たんじゃないかと恐ろしくなりました、
相手はこっちの顔を見ているのですから
あとで親にそれとなく裏の寺の事をたずねたりもしましたが全くわかりません
小学校にあがってから親にあの日の事を話しましたが、夢でも見たんだろう と言われました
この件を一緒に体験したM君は小学校二年の時に転校してしまいそれっきりだけど、あいつも覚えているはず

《了》
最終更新:2015年10月17日 13:48