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122 名前:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/29(土) 23:34:52.42 ID:rKZkpF2O0 [38/40]
【32話】suu_o◆QfeyGUP37WSw 様
『警備員さんの話』

先月のことなんですが、近くの雑居ビルで深夜にボヤ騒ぎがありました。
警備員さんがすぐに発見し消火に努めたおかげで、被害を最小限に食い止めたと高く評価されたと聞いています。
しかし当の本人は怯えながらもう辞めると連呼していて、様子が尋常でないことから同僚が理由を訊ねたところ、火事自体が色々おかしかったことが分かりました。

まず出火はコンセントを抜いていた機械の内部から起こり、本体は焼け尽きていたそうです。ところがその周囲は、燃えやすいものを積んであったにもかかわらず延焼は無し。
夜勤の見回り中に火を発見した警備員さんは、感知機が作動してないのに気付き、火災報知機を鳴らそうとボタンに指を伸ばしました。
すると報知機からじわじわと五本の指が生えてきて、人差し指を包んだのだそうです。
細く小さい指先に撫でられながらボタンを押すのは、本気で頭がどうにかなるかと思ったとのこと。

炎の熱と煙への危機感から何とか恐怖心を切り替え、消火器ボックスの扉を開けた時。
肌色をした何かがぎゅうぎゅうに詰まっていて、反射的に閉めてしまいました。
とにかく気色の悪さに全身が総毛立ち、後からそれが蠢いていたことに衝撃を受け、自分が逃げ出さずにいるのが不思議なぐらいだったとか。
火を食い止めたい一心で、勇気を振り絞って扉を開けると奇怪な物体は影も形も無かったそうです。
しかし消火剤を散布するあいだもホースをぐいぐい引っ張られたり、揺さ振られて難儀したと。
あまりに気味が悪くて精神的に挫けかけたころ、消防士さんが駆け付けてくれてボヤは鎮火しました。
警備員さんはクタクタに疲れて詰め所に戻る途中、耳元で子供の甲高い笑い声が響き、もう無理だと思ったそうです。

話の顛末を聞いた同僚は、その不気味な存在に怒りを覚え「何だそいつ、腹立つな!」と壁を殴った瞬間。
きゃっ! と声がして、ぺたぺたと逃げるような足音を、確かに耳にしたんだよ……。
と思い出しながら、同僚(=私の勤めるビルの警備員さん)が話をしてくれました。
そこで私が「こんなふうに?」と、書棚をバンッと叩いたところ。
きゃっ!? と机の下辺りで驚いた声がして、ぺたぺた走り去る音が……。

【了】