174 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 00:58:22.96 ID:AgCPeYID0 [13/97]
【47話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『押入れに住むモノ』

これは知り合いから聞いた話です
彼女の一番最初の記憶は住んでいた団地の押入れの暗闇だそうです
いつも襖に隙間が空いていて、閉じても閉じても気づけば2~3センチの隙間があったそうです
その隙間から何かがみているようで怖くて仕方なかったそうです
夜、母親とその部屋で寝ていると毎晩うなされて、ひどいオネショで母親は病院によく連れてったそうです
保育所で赤鬼・青鬼という絵本を先生が読んでくれた時に、なぜか彼女だけ泣いてしまい途中で迎えがきたそうで
団地の自分の部屋に帰って、あの隙間が気になって仕方なかったそうです
普段なら近づかない見ないようにしていた幼い彼女も、その日は早退で日もまだ明るく母親も近くにいる
あの絵本の話がきになると、なぜか導かれるように押入れの襖の隙間に手を入れて開けようとした瞬間
幼い彼女の腕が突然、中から強い力で引っ張られたそうです
「いやぁぁあああ!!!」

175 自分:わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 00:59:15.48 ID:AgCPeYID0 [14/97]
大声でビックリと恐怖で泣きだした彼女に反応して母親がすぐに駆けつけました
見たのは押入れの襖の空いた数センチの隙間に片腕をつっこんで泣いている娘
腕がピーンと突っ張って娘はパニック状態で「腕を抜きなさい!!何してるの!!」
と言っても、その状態のまま泣きわめく娘
母親が襖に手を開けてガラッと勢いよく襖を開けて押入れの中を見たら
そこは何もない普通の荷物が入れられた押入れだったそうです
泣く娘を抱きしめて慰めて、娘が怖がるならと祖母の家に避難してその日は寝たそうです
寝ている最中にオネショが気になった母親は何度も夜中に娘の様子をみます
そして何度目かに娘を見ると、片腕だけ上にふりあげてグルグルとまわす動作をしていたそうで
寝ぼけているのかな?と思って娘に「何してるの?寝れないの?」と聞くと娘は
「鬼さん達とダンスを踊ってるの」と言って、スーッと腕をおろして静かになったそうです
母親の勘でしょうか、娘に何かあったのかな?と思った母親は娘を神社に連れて行き
押入れは襖を外して、かわりに薄い透けるカーテンにしたそうです
その日からオネショもマシになり娘も落ちついてきたので、一時的なものだったんだと皆が忘れたそうです
彼女が中学校にあがる頃に団地から一戸建てに引っ越す事になり荷物をまとめていたら
あの普通に戻った押入れの荷物を全て出した途端にヒラリとお札が舞い落ちてきたそうで
とても黄ばんだ古い札で赤文字で何か書いてあり黒で鬼の絵が描かれていたそうです
たぶん天井にあったんだろうとの事ですが、それで彼女は昔を思い出して怖くて急いで
部屋を飛び出したそうです
いまでも、その団地はあります、そしてあの部屋も誰かが入っています
もうお札もはずれた押入れがまだ使われていると思います

(終)
最終更新:2016年06月24日 00:11