224 名前:猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU @転載は禁止[] 投稿日:2015/08/30(日) 02:56:03.90 ID:slHZZ5U50 [19/26]
【61話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『入ってはいけない小路』

知り合いの話。

彼の実家の山村に「入ってはいけない」と言われていた袋小路があったという。
駄目と禁止されると行きたくなるのが子供心。
という訳で、ある時、従兄弟と二人で足を踏み入れたのだそうだ。

小路の終わりには赤く錆びた鎖が掛けられていて、その先に獣道のような細い道が続いていた。
鎖を跨いで猶も進んでいくと、割りと広い川に突き当たる。
川にはボロボロに朽ちた橋が架けられていて、それを渡った向こう側に廃屋が二軒並んでいた。


気持ち悪くなって引き返したのだが、このことを祖父に話すと酷く怒られた。
「橋は渡ってないだろうな!?」
聞けば、随分と前の大雨で、その橋は流されているのだそうだ。
「お前等、誘われてたんだよ。渡ってたら多分帰ってこれなかったぞ」

そんな馬鹿な、と次の日もこっそり二人で確認しに向かったのだが。
昨日有ったはずの橋はどこにも見当たらず、川が轟々と流れているだけだった。

(終)
最終更新:2016年06月24日 00:17