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和泉さくら

[名前]和泉さくら(いずみ-)
[出典]金田一少年の事件簿
[異名]蒲生さくら(がもう-)
[声優]皆口裕子
[俳優]遠藤久美子
[性別/年齢]女性/17歳
[一人称]あたし(転校前・本来の一人称)→私(転校後)→あたし [二人称] [三人称]

 「怪盗紳士の殺人」に登場。金田一一のクラスメイト。
 屋上で不良女子に絡まれていた所を金田一によって助けられた、金田一に好意を寄せる少女(屋上で助けられた事から好意を寄せたとされる事もあるが、金田一が助けに現れた時点で「金田一君!!」と驚きながら頬を赤く染めている為、元々金田一の事が好きだった可能性が高い)。
 その日に転校する事が決まっていた彼女は、金田一にお礼を言うと共に、何かを言いかけて、別れを告げる。

 そして、その一か月後に、犯罪者「怪盗紳士」から絵の略奪予告があった蒲生家に絵を守る為にやって来た金田一一行と再会。
 彼女には、蒲生剛三という生き別れの父がおり、彼の家で娘の蒲生さくらとして生活していたのである。
 不動高校時代は眼鏡をかけて三つ編みの地味な印象だったさくらだが、蒲生家では眼鏡と三つ編みを解き少し痩せた超美人に変貌していた為、金田一と美雪を驚かせた。
 しかし、親族や画家たちからは蒲生家の遺産を狙っている悪女だと思われてしまい、時には陰口や嫌味を言われる日々。そんな中でも、執事の小宮山や蒲生の主治医・海津、飼い犬のポアロなどの味方もおり、以前より明るくなったと言われる。
 元々、父親は貧乏画家で、さくらが5歳の時に失踪していたのだが、それが蒲生であったらしい。怪盗紳士が半年前にコンクールに送りつけた蒲生の未発表作品「我が愛する娘の肖像」という絵によって、二人は再会する事になった。

 絵と同時にモチーフを盗む怪盗紳士の手口から、「我が愛する娘の肖像」の略奪時に殺害される可能性が危ぶまれたが、彼女は辛うじて怪盗紳士らしき大男に襲われて髪を切られただけで済む(「絵の中の髪の長い少女はもういない」との事)。
 しかし、その次に盗まれたモチーフは、海津が描かれた絵であり、まず海津が殺害されてしまった。
 更にその後、蒲生の絵までが盗まれ、父・蒲生も殺害される。
 折角会えた父親が殺された事に傷心するさくらだが、彼女を支えるのは金田一少年の励ましであった。そんな金田一に、さくらは思わず「不動高校にいた頃に帰りたい」と本音を漏らし、キスを求める(が、美雪のお邪魔で未遂に終わる)。
 翌日、一連の殺人事件の犯人は怪盗紳士だった醍醐真紀の仕業とされ、さくらを襲った大男の正体も謎のまま、本当の犯人を捜す金田一たちは蒲生邸を後にする事に…。

[真相]
 彼女こそが、海津、そして蒲生を殺した「もうひとりの怪盗紳士」。大男に襲われたというのは嘘であり、本当の解答紳士が男であると錯覚していた為に出てしまったミスである。
 何故、さくらは父親を殺したのか?
 実は、蒲生剛三はさくらの父ではなく、さくらの父・和泉宣彦の絵を盗んで自分の作品として発表していたのである。つまり、宣彦は蒲生のゴーストライダーだったのだ。

「一面紫にけむるラベンダーの畑……その向こうにあたしのお父さんがいる……」

 和泉さくらたち和泉家の一家は、かつて北海道で暮らしていた。
 才能はあるが仕事がない画家の父と、そんな夫を愛する優しい母の間で、貧しい暮らしを強いられながらも、「三人一緒に幸せに暮らしていた」はずのさくら。父や母とラベンター畑にピクニックに行くのが夏の楽しみだった。
 しかし、さくらが十二歳になった時、宣彦は家を数日から一週間明けるようになった。画家の蒲生の家に泊まり込んで絵を描き続けているらしい。宣彦は、ある時、家族に連絡をしなくなった。
 さくらが十六歳の時、夫の帰りを信じながら母が病死。さくらは東京の親戚のもとに引き取られ、不動高校に通いながら一人で、父の連絡を待つ。

「私が開けたその病室の扉は──あの夏の日のラベンダーの園に通じていた……」

 そして、沖縄県・波照間島で父らしき人物を見かけたという情報を得たさくらは、その人物が入院している岸和田病院へ直行。
 そこで、薬物で精神を壊しながらも、壁にラベンダーの絵を描き続ける患者がいた。彼が描き続ける絵は、間違いなく、さくらが幼い頃、父や母と共に見た北海道のラベンダー畑である。
 記憶を失い、廃人となってからも、絵を描く事だけは忘れず、家族と来たラベンダー畑を描き続ける父。
 そんな父に自分を思い出してもらいたいと、さくらはあらゆる努力をして、四年前の自分の近い容貌を取り戻す。
 その後、奇跡は起こった。
 宣彦は南十字星の見える波照間島の海岸で、涙を流しながらさくらの絵を描いたのである。そして、さくらの名前を呼んだ宣彦は、最後に笑顔を見せてそのまま帰らぬ人となった…。

 再び東京に戻ったさくらは、父の描いた絵が蒲生剛三の手で発表された作品として発表されているのを目にし、蒲生が宣彦の絵を奪っていた事を知って衝撃を受ける。
 そこでさくらは、父が最後に描いたさくらの絵を蒲生剛三の未発表作品「我が愛する娘の肖像」としてコンクールに送り付け、蒲生の娘として蒲生家に潜入する(蒲生もさくらが娘でない事は勿論気づいていたが、グランプリを取っていた為に彼も言い出せなかった)。
 蒲生邸で、さくらは蒲生と海津が共謀して宣彦に絵を描かせ、問い詰めてきた宣彦に強引に薬を打って廃人にした事を知った。
 それを知った父を廃人にして殺し、和泉家のささやかな幸せを壊し、父が作り上げてきた物を私欲の為に奪った金の亡者たちに鉄槌を下そうとしていたのである。

「さよなら……金田一君……」

 金田一によって全ての真相を明かされた後、さくらは隠し持っていたナイフで自らの胸を突き刺す(アニメ・ドラマではこの部分が異なっており、さくらの心情が若干異なる形になっている)。元から、全てが終わったら自殺するつもりだったのである。
 二人を殺した時に「心臓は飛び出すほどドキドキしていたのに、心はどこか氷のように冷え切っていて気持ち悪いほど冷たかった」と回想している。それが彼女にとって大きな重荷だった。
 そして、自分が復讐の道を選んだ事で自らが望んだラベンダー畑への扉を自分自身で閉ざしてしまった事を悟り、血まみれの手では父や母と願ったささやかな幸せさえ得られない事に気づいたのだ。
 最後に、かつてから抱いていた金田一への想いを金田一の耳元で告げると共に、金田一の腕の中で涙を流しながら息を引き取った。

「あたし……帰りたかったの……ずっと……お父さんと一緒に行った……あの頃のラベンダー荘に──」

 この事件は、「金田一少年の事件簿」でも屈指の悲しい事件でもある。
 金田一も、さくらの死には涙を流して絶叫しているほか、美雪も右目だけちょっと涙目になっている。また、美雪は金田一に「さくらは死に際に何を言ったのか」を訊こうとして、察してやめている。正ヒロイン美雪に認められたのは、準レギュラーを除くと速水玲香のみ。
 金田一の事を純粋に愛し、金田一に敵わぬ想いを告げて死ぬ少女という悲劇的な展開は勿論の事、ささやかな幸せを理不尽に奪われた為に殺人者となるさくらの境遇にも同情が湧く。迷子の犬を拾って育て、家族を想う優しい少女だったからこそ、悪魔のような人間たちに大事な人を奪われた悲しみも深かったのだろう。

 また、さくらの父は実は宣彦ではなく、小宮山だったのではないかという説もエピソードの最後に描かれている。小宮山は後に、「誰が女神を殺したか?」で不動高校の創立祭で、さくらの遺影を飾っている姿も確認できる。
 だとすると、本当の父親は小宮山で、養父が宣彦で、宣彦の失踪と母の死で親戚に引き取られ、蒲生家に娘として潜入した「四人の父親を持つ」という凄まじい境遇に…。

「バカだよ……お前は……」
「血で汚れただって?ラベンダー畑に帰れないだって?生きてりゃ罪はつぐなえるんだぞ……思い出だって作り直せるハズなんだ……そうだろ?」
「本気で望めば人はいくらだってやり治せるんだ!生きてさえいりゃ……なのに……」
「どうして死んじまうんだよ!?どうして!!さくら!!」

 よく友達を亡くしてしまう金田一だが、今事件は、「自分に想いを寄せていたクラスメイトが犯人で、しかも自殺してしまう」という事から、他の事件と比しても強いトラウマを残している模様。
 最初期はともかく、この頃になると金田一が涙を流す事件そのものが珍しいのだが、そんな彼が「絶叫して涙を流す」という場面は非常に印象深いシーンとなった。
 また、他にも金田一の友人が犯人だったケースはいくつかあるが、いずれも「犯人は生存している」=「やり直す事ができる」という物ばかりである。それに対して、さくらはやり直す事が出来ない結果に終わったのが金田一の信念に反すると同時に、この後に犯人の自殺を止めようとする理由の一つとなっている。

 アニメ版では、「出来れば謎のままであってほしかった、それならさくらを殺人犯などと呼ばずに済んだ」という台詞が追加されており、真相を暴くヒーローであるはずの金田一が真相を暴く事を躊躇うほどに、彼に強い悲しみを与えた作品でもあった。
 金田一ファンの中には、「蟻地獄壕殺人事件」(2010年代)にて、金田一の深層心理の「トラウマの色」が紫色だった事を、本件のラベンダーと関連して考える者もいるとか。


[外見]
 身長は160cm後半程度だと思われる。
 東京で生活している時は、三つ編みにメガネで地味な容貌。父の失踪や母の死などが原因のストレスからやや肥満(目に見えて肥満というわけではない)。
 しかし、元々は誰もが目を見張るほどの美少女であり、ウェーブのかかった長い髪が特徴的(途中からショートだが)。幼少期は特にウェーブはかかっておらず、ロングヘアでも三つ編みでもない。
 宣彦には白いワンピースが似合うと言われていたほか、ブラジャーは白いレースを愛用している(金田一が確認)。胸には蝶の形のあざがあるが、これは十二歳の時点では存在しておらず、十六歳で突然出てきた物らしい(小宮山の妻も同様だった事が理由で、本当の父は彼かも)。


[性格]
 心優しく、裏山で迷子になっていた犬を拾って「ポアロ」と名付けて育てている。蒲生に引き取られた後は広い土地でお嬢様のように暮らしている。
 金田一には一図な恋愛感情を持っており、醍醐に「いざとなったらあなたの名探偵が守ってくれる」と言われた際には顔を真っ赤にして照れているという場面もある(周囲にバレバレらしい)。金田一に無言でキスを迫ったり、何度か告白しかけたり…といった微笑ましいラブコメ描写もあったが、結局は悲恋に終わった。
 不動高校在学中は暗くて大人しく地味な性格だったが、蒲生邸では明るく振る舞っている(これは蒲生たちを騙す建前の演技の部分もあるが、小宮山やポアロのお陰でもあるだろう)。暗い性格の原因は、「父親の失踪」や「母親の死」による苦労が重なった為でもあり、本来はこうした明るい性格だったと思われる。
 とはいえ、内面は決して明るくない。悪人とはいえ、人を殺す度にどこか悲しげな表情を見せているようにも見える。
 特に、スカートの中にもぐりこんだポアロに「もう、ポアロったら!エッチね!」と言うシーンは、変に印象深い。

 「たとえ貧しくても父や母といるだけで幸せだった」という恐ろしく家族思いで素直な性格だが、これは後も変わらない。しかし、だからこそ彼女を凶行に駆り立てる事になったのである。
 また、「金田一少年の事件簿」において、(「死体扱いだったのに実は生きていて殺人未遂の瞬間を現行犯で暴かれる」など弁明不可能なケースを除いて)唯一、金田一の推理に対して弁明を行わず、犯人の中でも素直さが目立つ。

 一方で策士でもあり、殺人の罪を怪盗紳士に着せている冷徹な面もある。
 ただし、これは以下の理由から、ターゲットを全員殺害し、自らも命を絶つまでの時間稼ぎである可能性も高い。

  • さくらは金田一達が帰った後で自殺をするつもりだった(ターゲット全員殺害後にも関わらずナイフを隠し持っていた事から)
  • しかし、自殺をするとしても、和泉宣彦の絵が蒲生剛三の絵となったまま自殺するとは思えない(となると、遺書が用意されるはずであり、和泉宣彦の事を書けば必然的に事件の犯人がさくらである事もわかる)

 罪を着せる相手を怪盗紳士とした理由は、おそらく、「これまで捕まっていない神出鬼没の犯罪者である事」(罪を着せても捕まらない&そんなに傷つかない&どっちにしろ犯罪者)、「芸術品を度々狙う事」(舞台装置として都合が良い&画家を父に持つさくらとしては許されなかったのかもしれない)などが挙げられる。

 更には、「目を潰して監禁して撲殺」という犯人の中でも特に残酷な殺害方法を行っている(被害者への恨みが深すぎるので仕方ないが…)が、その一方で、殺人への罪悪感は誰よりも強かった。
 ちなみに、さくらの場合、未成年かつ殺害数2(内1件はさくらを毒殺しようとしている瞬間なので、正当防衛とは行かないまでも過剰防衛がギリギリ成立するかも…)+情状酌量の余地ありで、金田一世界の量刑は現実よりも軽い為、長い刑罰を受けるとも思えない。下手すると一年で出る可能性もあるんじゃないかというくらいである。
 しかし、そんな法的な量刑は彼女にとっては無意味で、どんなに軽い罪だったとしても人を殺した時点で死を選ぶのではないだろうか。

 また、一度読んで真相を見直すと、意外な所に感情面での伏線が隠されているキャラでもある。
  • 金田一が海津を見て、「さくらにも味方がいる」と言った際には何とも言えぬ表情で「…」
  • 海津の死後に独りで物憂げに座っている
  • 養父(つまり宣彦)の事を金田一が訊いた時、一瞬はっとした表情になった後、「ひどい人だったわ」と暗い表情で言う(本当は優しい父を復讐の為に酷く言わなければならなかった為)
  • 去って行く金田一を物憂げに見つめるさくら(この直後に自殺する予定だったと思われる)


[他キャラとの関係]
 金田一一には好意を抱いており、彼が金田一耕助の孫である事も知っている。転校する日に金田一に告白しようとしていたが、残念ながらそれは言えないまま、金田一に想いを告げるのは最後の瞬間となる。
 ちなみに、元々、「和泉」と呼んでいたはずの金田一がいつの間に、「さくら」と呼ぶようになったのかは謎。蒲生邸に来た直後は「和泉」だったにも関わらず、いつの間にか「さくらさん」「さくら」と人称が変わっている。対して、さくらは「金田一くん」呼びのままである。
 高遠遙一とは面識がなく、事件そのものが高遠登場以前の物である為、縁はない。しかし、高遠が殺人鬼となるきっかけとなった事件は、「母親が殺されてマジックのトリックが弟子に奪われた」という、さくらと似通った者でもあり、二人の間に共感が芽生える事はあるかもしれない(高遠は自分と同じ境遇の犯罪者には甘い)。
 千家貴司は同じ学校だがクラスが違うのでおそらく面識はない。
 小田切進は、金田一、美雪、若葉とはクラスメイトである為、作中描写では面識はないが合っている可能性は高い。


[能力]
 男性を気絶させてトランクに乗せ、その後、殺害して死体にしてからも引きずって運ぶ力持ち。
 金田一の歴代犯人の中でも強力であり、金田一の推理よりも前に金田一たちを事件現場から返す直前まで行った稀有な犯罪者である(「金田一や明智をミスリードに乗っける」、「金田一たちの目を欺いて逆に利用して差殺人を起こす」などのケースが強力な犯人として扱われやすいが、これも大体「常識外れに力持ちな女性」だったりする)。
 とはいえ、犯人の目星まではついていたがトリックがわからなかっただけの模様。


[余談]
 堂本剛主演のドラマで映像化された際には、遠藤久美子が演じている。
 細部は異なり、「真壁がさくらに惚れている」、「被害者が三人に増えている」などの違いはあるものの、基本的には原作に忠実(そこまで気にならない程度に多少の追加要素や改変が入っているだけ)。

 だが、特筆すべきはさくらの最期の場面で、原作ではなかったやり取りが追加された。
 金田一たちを騙していた事を泣きながら謝る台詞や、「友達が出来てうれしかった事」を告げる場面、罪の重さに耐えかねた事についても「もし背負ってしまった罪が重すぎたなら俺たちが少しずつ背負ってやる」と金田一に言われる場面など、原作で双方が言えなかった言葉が補完されたようなシーンとなった。
 原作同様に金田一たちの腕の中で息絶える事になるが、金田一や真壁という大事な友人の助力でラベンダー畑まで運ばれ、「帰って来たんだよ、お前は…あの日のラベンダー畑に……」と言われるなど、原作よりもずっと救われた気持ちで亡くなっている。
 というか、もはやドラマスタッフが原作読んでどうにか最期くらい救ってやろうと無理矢理にでも改変した感じになっている。