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さくらとあぶない刑事さん




「バトルロイヤルねえ……。まったく……面倒なことに巻き込んでくれたもんだ」


暗闇に包まれた草原に座り込んでいるスーツ姿の男――――真山徹は面倒そうに、しかし苛立ちを含んだ物言いで呟いた。
その声はすでに疲労を感じさせ、息遣いも荒く肌には汗が滲んでいる。
すでに殺し合いに乗った者と戦闘をした後―――
というわけではなく、バトルロイヤルが始まる以前にある事情から警察に追われ、銃撃を受け負傷しているのである。


(殺し合い……もしかして……朝倉の仕業か?)


真山は刑事として数年間働いてきたが、数十人を拉致して殺し合いをさせることができる人物などそうそういるわけがない。
どこかの国のイカれた独裁者か、刺激を欲した金持ちの道楽か。
考えを巡らせても、そんなぼんやりとした可能性しか浮かばないなか、具体的な人物として思い至ったのが朝倉裕人。
真山徹の妹を同級生たちに輪姦させ自殺に追い込み。
大沢麻衣子を洗脳し自殺させ。
真山の同僚の谷口剛までも操って死に至らしめている。
真山徹が最も憎み、殺したいとさえ思っている凶悪犯罪者だ。

朝倉は何人もの人間を自分の都合のいいように操り、弄んできた男である。殺し合わせるなんてものを催したとしても不思議ではない。
だが、いくら朝倉でもここまで大規模なことをできるだろうか。
それに説明を受けた場所で死んだワニの化物はいったいなんなのか。
などといったいくつもの疑問点が湧き、朝倉の仕業だと想定したくとも確信できない現状に、思わず頭を掻き毟る。

しばらくそのような考えに頭を悩ませていた真山だったが、纏まらない考察は後回しにしようと決め、ランタンを草の茂った地面へ広げた名簿に掲げ視線を落とす。
そこにはよく知る名前が載っていた。
柴田純と野々村光太郎。

二人とも警視庁捜査一課弐係の同僚で、今年配属されたばかりの新人とどこか抜けている係長である。
殺し合わなくてはならない参加者の中に殺したい朝倉の名前はなく、知った顔がいるというのは真山の心情をさらに騒めかせる。
参加者に朝倉がいないということは、朝倉が主催している可能性も捨てきれない。


(ちっ……また朝倉か)
(朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉――――
 くそっ!何をしていてもあいつの顔が浮かんできやがる……)


「朝倉ぁ!お前は絶対に俺の手で――――」

「ほえっ!?」


真山が朝倉裕人への恨み言を口から吐き出そうとすると、背後から驚いたような声が聞こえ、思わず出しかけていた言葉を止める。
後ろを振り向くと、小学生くらいの少女が怯えた表情で立ち尽くしていた。
真山は気付かなかったが、おそらく声をかけようと後ろから近づいていたところ、いきなり朝倉の名前を叫んだので驚いて反射的に声を出してしまったのだろう。
学校の制服と思われる服を身にまとい、栗色の髪をショートカットにした可愛らしい顔立ちの少女であった。

「おいッ!そこから動くなよ」

「は、はいっ!!」


真山はすかさず支給品のサブマシンガンを構え、少女に銃口を向けると、その場で静止するように警告する。


「あ、あの……わたし、木之本桜っていいます。
 ノストラダムスって人の言いなりになって、おじさんを殺すつもりなんてあ、ありませんからっ」
「……悪いけどな、初対面の人間をはいそうですかとすぐに信用できるようなお人よしじゃないんだわ、俺」
「そんな……」


拒絶する真山の返答に、桜と名乗った少女は残念そうに肩を落とす。
真山とて、目の前の少女が自分を害するために近づいてきたと決めつけているわけではない。
だが、同僚の谷口剛ですら豹変して襲ってきたのだ、年端もいかない少女とはいえ簡単に信用しろというのは無理な話である。
しかも出会ったのが殺し合いを強制されている場所だ。
人間というものは己が死ぬかもしれないとなったら何でもやるものだ。
たとえそれが人殺しとは無縁に見える子どもであったとしても。


「それでも、……桜ちゃんだっけ?君みたいな女の子殺すのも寝覚めが悪いからさ。
 さっさとどっか行ってくんない?」


信用できなくても殺すことは躊躇われる。
そう桜に告げ、この場から立ち去ることを促す。


「でも、おじさん腕を怪我してるみたいだし1人じゃ危ないですよ」


殺し合いをしろと放り出された場所で、酔狂にも銃を持った見ず知らずの男に手を差し伸べようとしてくる。
桜からすれば純粋な善意からくる行動であったのだが、真山はその善意を受け入れることができない。
心優しい少女を演じているのか、あるいは本当に心配しているのか。
今の自分はそれを正常に判断できる精神的な余裕がなく、もし危険人物だった場合に対処できる保証もないのだ。
だからこそ、殺すことはせずこの場から離れさせるという対処法を取ったのである。


「気にするな、早く立ち去ってくれる方が助かる」
「じゃあ!1つだけ質問がありますっ。
 李小狼、大道寺知世、李苺鈴って子たちに会っていませんか?」
「……いいや」
「そうですか……ありがとうございました……」


ようやく真山を説得することを諦めたのか、桜は真山に背を向け歩き出そうとする。
ところが、その小さな背中に向かって――――


「……ちょっと待て」


真山が銃口を向けたまま呼び止める。


「その子たちは友達か?」
「……ええ、そうです。
 とっても大切なお友達なんです。」


桜は少し驚いた表情に変わるが、振り返らずに一歩踏み出した体勢のまま止まる。


「……そうか、会えるといいな」


それだけを言うと、小さな声で「行け」と再び促すようにして言葉を締めくくった。
次に驚くのは真山の方であった。
真山から遠ざかるように歩き出すと思っていた桜が突如反転、しかも猛然と走ってきたのである。
予想外の事態に身体に力が入ったのか、左腕の傷が痛み、構えていたサブマシンガンを手放してしまう。
慌てて右手で拾い上げ顔をあげるも時すでに遅し、桜は至近距離まで迫っており、気が付くと草原に押し倒されていた。


「おい、何のつもりだよ」
(くそっ……信用しないとか言いながら油断してどうすんだよ……)


眼前には先ほどの怯えた表情と違い、意志の強さを感じさせる瞳。
押し倒されたドサクサで、真山が構えていたサブマシンガンも桜の手にある。
後悔を胸に抱きつつ、返答を期待せずに問いかけた。


「ハァ……ハァ…………やっぱりおじさんは……悪い人じゃないって……思ったから」
「大丈夫……わたしは絶対におじさんを殺そうなんて……しないから」


全力で走った影響で息切れしながらも、桜は必死に作ったような笑顔でそう応じた。
しかも、証拠とばかりにせっかく奪った武器を放り捨て、困惑顔の真山に向かって再度微笑んだ。


「…………わかった、降参だ」








「闇の力を秘めし鍵よ。
 真の姿を我の前に示せ。
 契約のもと桜が命じる。
 レリーズ!」

「……なんだこりゃ」
桜が病院へ行って真山の左腕を治療するべきと主張し、じゃあ歩いていくかと真山は応じた。
そして、その必要はないと桜が言い出したのが数分前。
歩いて行かなきゃどうするんだ、車でも出してくれるのかと馬鹿にした物言いで真山が吐き捨て、それに桜がムッとしたのが数十秒前。
桜がペンダントを取り出し、何やら呪文のようなものを唱えると急にピンク色の杖が出現。
それを見て、真山が狐に化かされたような顔になったのがつい先ほどである。

真山の混乱はまだ続く。
次に桜が取り出したのは1枚のカード。そこには鳥の絵が描かれているのがチラリと見えた。


「クロウの創りしカードよ。
 我が鍵に力を貸せ。
 カードに宿りし魔力を
 この鍵に移し我に力を!」


取り出したカードを宙に投げたかと思うと、桜がそのカードに向かって杖の先端部分を叩きつける。
すると叩きつけた杖に翼が生え、桜は当然のようにその杖に跨ると、ゆっくりと宙へ浮かび箒に乗った魔女のように真山の周りをくるりと華麗に1周してみせた。


「さあどうぞ!おじさんも後ろに乗ってください。
 これで一緒に病院へ行きましょう」

「……おじさんじゃない。真山さんと呼びなさい」


何が起こったのか理解できない真山は、とりあえずずっと気になっていたおじさん呼びを改めさせることにした。





【E-3 草原/1日目 深夜】


【真山徹@ケイゾク】
[状態]:左腕負傷
[装備]:H&K MP5K@ダイ・ハード2
[道具]:支給品一式、赤いテープの巻きついたマガジン(30/30)×3、ランダム支給品1~2
[思考]
基本行動方針:殺し合いには乗らないが危険な参加者は殺す。
1:桜と共に大凶病院へ向かう。
2:柴田や野々村係長のことが少し心配。
[備考]
※参戦時期は谷口剛の死亡現場から逃げ出した直後です。
※朝倉裕人がバトルロイヤルを主催しているのではと考えています。
※木之本桜の知り合いの名前を知りました。
※MP5Kに現在装着されているマガジンには青いテープが巻きつけてあります。


【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:疲労(小)、魔力消費(小)
[装備]:封印の杖@カードキャプターさくら
[道具]:支給品一式、クロウカード(フライ他2枚)@カードキャプターさくら、ランダム支給品1~2(確認済)
[思考]
基本行動方針:友達と一緒に殺し合いから脱出する。
1:真山さんを大凶病院へ連れていく。
2:知世ちゃんたちと早く合流したい。
3:ケロちゃんはいないのかな……。
[備考]
※まだ真山徹と情報交換をしていないので、彼の苗字が真山ということしか知りません。


【支給品説明】

【H&K MP5K@ダイ・ハード2】
 真山徹に支給。
 ドイツのヘッケラー&コッホ社が設計した短機関銃。 
 ダイ・ハード2ではテロリストらが使用していた。

【封印の杖@カードキャプターさくら】
 木之本桜に支給。
 クロウカードを封印・解除するアイテム。
 普段は鍵の形をしており、桜が紐をつけてペンダントのようにして持ち歩いている。

【クロウカード(フライ)@カードキャプターさくら】
 木之本桜に支給。
 封印の杖に翼を生やし飛行能力を付加する。




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