因縁解脱

因縁解脱(いんねんげだつ)とは、悪い因縁を無くし、煩悩の束縛から解放されて、 自由な悟りの境地に達するという近代の新興宗教の宗教教義である。 これらの新興宗教では、 因縁とは運命を成り立たせるひとつの条件であり、基本的な原因となる 「因」とそれを助成するような機縁が「縁」となると説く。 また、因縁解脱することを「成仏」といい、「因縁解脱」の教えを「仏教」といい、「因縁解脱」 するための方法を「仏法」といい、因縁解脱した人のことを「仏陀」と呼び、あたかも仏教の教法であるかのように説く。 しかし、これらはすべて仏教には存在しない誤った使い方である。

霊感商法のひとつとして、先祖親類にガンや突然死や交通事故でなくなったり刑罰を受けた人間がいたり、 身近に水子や戦没者などがいた場合、その因縁が現世に生きる人間に同じような悪影響を及ぼすと脅し、なんらかの祈祷を強要する宗教団体もある。

■ 追記補足

上記の、悪い因縁を無くす、原因と助成する縁によって成り立つ運命の条件、 因縁解脱を成仏とすること、因縁解脱の教えや方法をそれぞれ仏教や仏法 とすること、因縁解脱を成し遂げた人を仏陀とすること、これらの用語や概念は 全て一部の新興宗教団体が提唱する教義であり、正統の仏教には見られない。 すなわち因縁解脱とは一部の新興宗教団体の誤った用語と思想であり、造語である。

別称因縁切りとも言う。 一部の新興宗教では因縁を運命と考えて、不幸な運命を転換して幸福な人生を歩むことを 因縁解脱、または因縁切りと考えた。

これは仏教用語である因縁を間違った意味に捉えたもので、因縁とは原因と 関係しあって成り立つという法則の意味であり、縁によって起こる、という理論の用語であり、 別名「縁起の法」と言われ、「因縁生起」を略した言葉で仏陀釈尊が説かれた仏教の思想・法則である。 これが仏教の因縁の意味で、 一部の新興宗教で使われているような、因縁を運命の星とみて、 因縁解脱をカルマからの脱出による運命転換の道とした、という意味に因縁を用いるのは誤りである。

解脱という用語も誤った意味で使われている。本来”解脱”とは煩悩の束縛から己を解放して 心の平安を得る悟りであり、カルマや運命の星からの解放という意味はない。

因縁に解脱という仏教用語を付けて現在も説いているのはやはり新興の仏教教団である。

ゆえに因縁解脱では業報、カルマ、運命の星の束縛から離れて現世に起きる不幸な運命が 回避できると説いた。しかし仏教ではそのような運命転換など説いておらず、あくまでも 己の煩悩を離れることによる囚われのない境地になる悟りである。 以上のように、因縁解脱という用語は仏教用語としては意味さえも成り立たない。

よって、因縁解脱は一部の新興教団の造語であり、仏教には存在しない偽の仏教用語である。


■ 某新宗教教団に見られる因縁解脱の特徴

某教団では(解脱する=切ってなくしてしまう)因縁として、次の「因縁の種類」 の項で示したような具体的な不幸な運命の星を用意して提示しており、 これを切らないと不幸な運命は避けられないと脅迫の機能を働かせている。 これらは仏教としての根拠がないことは言うまでもない。

また縦の因縁と横の因縁に分類して、先祖から継承されるものを縦の因縁と呼び、 自分の前世に為した悪業の報いとして生じるものを横の因縁といい、縦横交わった ところのものが自分であると言う。しかし仏教では先祖の影響など説かない。

縦の因縁を発展させたものが、1980年頃から同教団によって提唱、力説された 霊障である。これは手かざしの真光系の思想を参考にしたもので、特定の不幸な 亡くなり方をした先祖の不成仏霊の怨念や苦しみの念が特定の子孫に祟り、 不幸な運命(因縁)の反復を促すというもので、これを解消するには成仏力という 特定な能力を有した特定の教祖による解脱供養という一体10万円の供養儀式の 申込みが必要である。

日本の仏教は歴史過程において土着の固有祖霊崇拝の習俗と習合して、本来の 仏教にはない先祖供養が発達したが、霊障や解脱供養はこれを悪用した霊感商法で、 日本古来の先祖供養儀式の意義にもこんな先祖を悪霊扱いにしたものはない。 因縁解脱と合わせて仏教の名を騙り、仏教の衣を着たかに見せて展開している 霊感商法にスポットを当てる必要がある。


因縁の種類 [編集]

以下の因縁の種類は、近代の新興宗教における運命という意味の因縁の分類である。 仏教にはこのような因縁という言葉の使い方も、このような分類も存在しない。

横変死の因縁  事故、他殺、自殺のいづれかで亡くなる不幸な運命
刑獄の因縁  犯罪などに係わり服役処罰を受ける運命
肉親血縁の因縁  肉親同士が争い合う運命。酷い場合は殺しあう。
家運衰退の因縁  家の運気が衰退し、活気がなくなる・没落する
肉体障害の因縁  怪我 手術など、肉体に障害を持つ運命
癌の因縁  文字通りガンになる運命
循環器系障害の因縁  心臓、肝臓、腎臓など循環器に障害を持つ運命
呼吸器系障害の因縁  肺や気道など呼吸器に障害を持つ運命
脳障害の因縁  脳に病気や障害を持つ運命 精神病(者)も含まれる
中途挫折の因縁  ものごと7,8分で挫折する 男性に多い
夫婦縁障害の因縁  結婚生活が不運である
後家の因縁  30代くらいには、夫と生死別する
色情の因縁  男女間の問題で苦しむ 恋愛 不倫
運気不定浮沈の因縁  一生根無し草のような人生をあゆむ 路上生活 売春
夫(妻)の運気を剋する因縁  配偶者の運気をはなはだしく悪くする
逆恩の因縁  恩人にはなはだしく迷惑をかけ 孤立する
財運水の因縁  金は入るがそれ以上に出て行く 無理に貯めると破綻する
偏業の因縁  特定の職業以外では成功できない 芸能人 水商売 芸術家など
頭領運の因縁  人の上に立つ運命をもつ
番頭運の因縁  補佐にまわることにより成功する運命
最終更新:2009年12月19日 09:03
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