Bitmeesageの用途

個人的に思いついたBitmessageの使い方を記しています。あくまで私個人のアイデアなので有益性に期待しないでください。

社内間で言いたい放題

たとえばある会社の社員たちが反抗する上司には秘密に1つのchanを共有しておきます。共有している社員たちは会社の愚痴や悪いこと、社内の恋愛事情なんでも言いたい放題です。送信者と受信者はわからないので、この場合だと「読み書きできるのは社員の誰か」なのだけれども誰なのかはわかりません。これはchanが有する性質の1つ「否認性」によって理論上誰がメッセージを作成したのかを特定できないためです。(chanでない場合は「否認不可能性」によって誰がメッセージを作成したのかを証明できます)
もしも誰かがchanのアドレスとラベルを誰でも閲覧可能なWebなどで公開した場合、誰でもメッセージの送信者と受信者になることができるため、世界中の誰もが送信者と受信者になり得ます。

暗号化したデータのパスフレーズをやりとりする

Bitmessageは大きなファイルの転送に向いていません。しかし、GPG等を使ってファイルを共通鍵で暗号化しておき、その短いパスフレーズを特定の相手に秘密に伝えることができます。時々、ファイルを暗号化したままメール本文にパスフレーズを書いて伝えるという全く無味乾燥な手段をとる人たちがいますが、Bitmessageでパスフレーズを伝えれば安全です。暗号化したファイルはどこかのストレージにアップロードしておけば、ファイルが漏洩しても安全です。また、送られるパスフレーズは第三者が盗聴できないし成りすましもできませんが、Bitmessageではメッセージはデフォルトで2日間しかネットワークに残らないという特性から、パスフレーズを記したメッセージそのものが自動的にネットワークから消去されるという点が精神的に良いでしょう。

顔を知らない人とやりとりする

インターネット上でチャットをしていて馬が合い、その人と連絡をとりたくなったという場合には有用です。お互いがBitmessageを使ってやりとりすることでメールアドレスを使うこともなく、プライバシーと安全性を両立して連絡し合うことが可能です。Skypeではやりとりする相手の使っているプロバイダを知られてしまうことがありますし、ほとんどのサーバーを介するメッセンジャーやメールは何らかの形で第三者に内容がわかるように残ってしまいます。Bitmessageではそれはありません。相手ともう連絡したくなくなったならば、それ用に作ったBitmessageアドレスを破棄してしまえばそれだけでお互いに連絡はとれなくなります。連絡する相手ごとにアドレスを即時に作って、必要とあらば捨てることができるので便利です。

電子投票に使う

何らかの方法で個人がBitmessageアドレスを作成したことを公的機関に申告します。公的機関は確かに有権者であることを確認できたとします。しかし機関は一体どこのなんという名前の人なのかを一切知りません。また別に(選挙管理委員会のような)管理者が存在していて、(政党であれば政党の数だけ)複数のchanを作成します。chanに有権者はメッセージを送信することで票を投じます。chanはリアルタイムで有権者全員に見えるので、投票結果の透明さが保証されます。chanの性質上、chanの作成者であってもchanに送信されたメッセージを捨ててしまうことはできないため、票を操作することはできません。有権者は、他人に自分のBitmessageアドレスに対応する秘密鍵と署名鍵を盗まれてしまわなければ、誰かが成りすまして投票することはできません。また、有権者のBitmessageのアドレスが「有権者のアドレスである」以外の情報と結び付けられていないため、何という名前の人がどれに投票したのかは本人以外は全く知り得ません。また、1人の有権者が持つ有権者としてのBitmessageのアドレスを1つだけ持つことに制限すれば、二重投票を防ぐことができます。ただし、Bitmessageはタイムスタンプを付加しないため、有権者がAという投票先に投じた後にBという投票先に投じた場合、どちらが先に投じられたものかを判断することができません。
実際には電子投票の実現は非常に難しく、混乱が許されないためうまくいかないことが多いのですが、Bitmessageプロトコルを応用して安全で確実な電子投票が実現できるかもしれません。
 余談ですが、電子投票を実現しようという試みをパイプドビッツが実際に行っています。彼らの作ったシステムには投票のためにトークンを使う方法が採られましたが、それはしらみつぶしに40億個のトークンを生成してもやっと偽造に成功するのは1個、という安全性を主張していましたが、これは裏を返せば「40億回トークンをランダムに生成し続ければ1個くらいは有効なものができてしまう」というもので、全く安全ではないと私は思っています。

2016年3月7日一部追記と変更
最終更新:2016年03月07日 21:23