映画 『処刑人』 The Boondock Saints @ wiki

Smecker's Confession

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soi

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Deleted Scene: Smecker's Confession

このシーンは、スメッカー捜査官がマクマナス兄弟の行為が法的には犯罪と知りながらも、神父への告解という形を通して兄弟への共感を表明する場面で、"Smecker's Confession" 『スメッカーの告解 (告白・懺悔) 』とタイトルが付けられています。本編では部分的にカット編集され、全体で約1分ほど短くなっています。



監督トロイ・ダフィーの2000年来日インタビューより抜粋 … 『処刑人』映画パンフレットより引用]


あのシーンは、物語の全体の流れからちょっとはずして観客をひっぱり込みたかったところなんだ。しこたま酒を飲んだスメッカーが、神を信じていないにもかかわらず、教会に寄って本心を語る。男は酔っ払った時にいちばん本音が出やすいものだろう。そして、神父と本音で話すことで、ようやく自分にとっての真実が、やるべきことが見えるんだ。



US版DVD特典 "Smecker's Confession" より


[場面: マクマナス兄弟が朝の祈りを捧げている教会。ロッコに尾行されたスメッカー捜査官が懺悔室の中で眠りこけている]

スメッカー: う~ん……、神父さん、いるのかい?
神父   :[ロッコに襟首を掴まれながら] え……、ええ、ここにいますよ、迷える子羊よ
ロッコ   :[神父に] ちゃんといつも通りやれよ、神父さんよ。しくじんなよ!
神父   :[ロッコに] 何をすればいいんだね?
ロッコ   : 普通にしてりゃいいんだよ、どアホ!
神父   :[スメッカーに] 前回懺悔にいらしたのはいつのことですか、迷える子羊よ?
スメッカー: なんてことだ、懺悔なんてしたことはない…… 教義にうるさいカトリック教会にしてみれば、多分、俺なんかこの懺悔室の中で一気に燃やされてしまうよな…… だが、俺はアドバイスが欲しくてここに来たんだ。救いは求めちゃいない。
神父   : 信仰が無いと仰るのであれば、どうして助言を求めにいらしたのですか?
スメッカー: なんで……、俺は……、教会に来たんだ……? 今まで来たことなんて一度もなかったのに…… 多分、思うに……、来なきゃいけないと感じたんだよ
神父   : つまりそれは?
スメッカー: 倫理観だ。俺は職業柄、悪人どもをムショ送りにしてるのだが、けどな、法律ってのはどこまで行ってもお役所仕事でね、法の抜け穴ってものがあって、腐れ野郎どもがそこをかいくぐって抜け出すのさ。俺はな、鉄拳でこの状況を変えようとしている、そんな二人の若者を見つけたんだ。彼らはまるで神の許しを得ているかのようだ。だが、アイツらのやってることは、はやり間違っているよな。俺はアイツらを逮捕しなきゃいけなんだ、法に従えばな
神父   : 神の許し?神はそんなことは…… [ロッコに襟首を引かれる]
スメッカー: こんなご時勢だからな、彼らのやっている行為は必要なことだと信じてる。それが正しいと感じるんだ
神父   : 信じてるですって?
スメッカー: そうさ
神父   : そう感じる?
スメッカー: そうだ
神父   : 魂とは私たちに感情を与えるものです
スメッカー: ああ
神父   : 幸福感や罪悪感や何が正しく何が間違っているか、魂は主が私たちに語りかける時に橋渡しの役目をするものなのです。今日、この神の家には答があると、あなたはお感じになったのです
スメッカー: ああ
神父   : あなたはその若者たちが必要だとお感じになっています
スメッカー: うん……
神父   : ですから、神は今日あなたに二度語りかけたのです
スメッカー: 今か? ふん
神父   : あなたは自らの意志でこの教会にやって来て、信心と感情について胸の内を語った正にその方なのですよ。神があなたをここにお召しになったと信じるのはそんなに難しいことですか?
スメッカー: そうは思わないな
神父   : 宗教を嘲るのはとてもたやすいことです。しかし、あなたの感情、つまり神からのささやかなヒントに耳を傾け、それに従って行動し、はっきりとした態度に出るのは更に困難なことなのです
スメッカー: その通りだ
神父   : 行動しない者は、常に倫理的に優柔不断の状態にあるのです
スメッカー: 俺は正しいと自分が信じているもののために戦いたいんだよ、神父さん
神父   : では、まずあなたの信じているものが何であるのかを知っておかなくてはなりません
スメッカー: 俺はあの若者たちが正しいと信じてるぞ
神父   : あなたは彼らを個人的に知っているのですか?
スメッカー: ああ
神父   : 理由が何であれ、彼らは罪のない者を傷つけるような人たちなのですか?
スメッカー: いや、彼らならそんなことは決してしない…… まぁ、アイリッシュの二人はしないだろうが、イタリアンの方はするかもな。奴はちょっとバカだから
ロッコ   :[神父に] 畜生、マジでその通りだよ!
スメッカー: だんだん分かってきたぞ。俺は今までこの仕事を……、まぁ15年は続けて来たが、まだ十分じゃないんだ。俺がもし自分自身で出来るのならと望んでいることというのは、つまりそれは、アイツらが実際にやっていることなんだよ。何百万ドルもの国民の税金が盗聴とか張り込みのような下らないことのために無駄に使われている。しかしな、彼らはたった銃弾一発の代価で踏み込んで処理してくれるんだ。俺は一体、ど……、どうしたら良いんだ?だって俺は法を守る立場の人間なんだから……
神父   : 神の法は…… 人の法よりも…… 尊いのです
スメッカー: そう、そうだよな!俺もそう考えていたんだ。あ、いや、そう感じていたんだよ!俺が聞きたかったのは神父さんのその言葉だったんだよ!アーメン。よし、俺は彼らの力になるぞ!
神父   :[小声で] 神よ、赦したまえ……
スメッカー:[十字を切りながら] ありがとう、神父さん。まぁ、どっちでもいいか。アーメン。さよなら



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