「やめろ、やめてくれ…クロル…クロル、クロル、クロル!やめろおお!」
 ヴィクターはテレビに食ってかかった。
「ヴィクター教官!ダメです!」
 アウラが背後からヴィクターに抱きついた。
「何がダメなんだ!こんな、クロルがこんな!チクショウ!クロルは、あいつは!玩具じゃねぇんだぞ!
何であいつがこんな変態共の慰みモンにならなきゃならないんだ!」
「ヴィクター…クロル教官はもう…この状況ではもう…」
 アウラの掠れた声、ヴィクターの背中に頬をすり寄せ、アウラは黙った。
 静寂の訪れた執務室に響くクロルの狂声とアウラの嗚咽。画面では犬との交尾から
画面が切り替わり、今度は全裸で貼り付けにされたクロルが映った。


SOLDIER×BLACKNESS


「はぁ…はあ…はぁ…」
 ぐったりとしたクロル、表情は虚ろであの頃とはとても同一人物とは
思えないほど衰弱し、絶望し、うなだれていた。そんなクロルがはっと表情をした
画面の端から顕れた何かを脅えた眼で見つめる。
「ああ…いや…や…もういや……」
 それは不格好な百足のようなくぐせだった。カサカサと動く脚にうねうねと動く触角、
そしてその尻には身体より一回り大きいぬめった肉袋を引きずっている。
メスの秘部の匂いを感じ取ったのか、くぐせがカサカサと脚を素早く動かし、
クロルの右足に取り付いた。

「や…いや…やだ…こ、こんな…こんなのと…こんなのに…」
その胸が悪くなるような異臭を漂わせるくぐせを見てクロルの眼が見開かれた。
そしてひくひくと触角を動かし、ゆっくりと下腹部に這い上がってきた。
「やだ…やだ…やだやだやだいやああっ!」
くぐせは身体をクロルの腰から腹部にかけて器用に巻き付かせた。
交配時に母胎から離れないようにするためだ。
そして袋の先からにゅるりとぬめった亀頭のような生殖管が姿をあらわした。
くぐせは蜂が尻の針を突き出すように生殖管を突き出すと、クロルの秘所に押しあてた。
「やあああああヴィクター!教官!誰か!誰かぁアア!助けて、助けてええ!」
 クロルの断末魔のような絶叫。しかしそれは誰にもとどかない。
 ずぶ…ずぶりゅ…ぶちゅうううう…
「あぎ……あ…は、は、はぎあああああああっ!」
 くぐせがクロルの秘部にずぶりと生殖管を突っ込んだ。
 前戯などなにもない性交。クロルは口をぱくぱくと魚のように開け、必死で空気を吸おうとする。
 無理矢理こじ開けられ、削られた膣壁の痛みは尋常ではない。
「やめろ!やめやがれ!クロルは!クロル!」
 助けてやれない自分がどうしょうもなく悔しかった。ヴィクターは画面を睨み付け、
ちくしょう…と呟きながら頭を抱え込んだ。
 もうたくさんだ、親友が滅茶苦茶に汚されているところなど正視できるわけがない
 ぶりゅ…ぶりゅうう…ぶちゅ…ぶりゅりゅう…
 袋から生殖管にかけてくぐせがクロルの呼吸に合わせ体内に卵を注入し始めた。
「あああっ!やめてやめてえええ卵なんか…卵なんかボクに入れないで!!
ヴィクター!ヴィクター!いやああああ!」
 どぶりゅ…どぶりゅ…と注入されていく卵の圧迫感を感じながらクロルは泣き叫んだ。
「ああっ!もうボクの中に入れないで!…いや、いやああ…も、もう…」
 クロルの声が悲鳴か徐々に艶を帯びた甘い声に変わっていく。
「も…う…ふ……な、中…あはっ…こ、こんな……く、くす…り…」
 犬との交配前に注入された薬が体内に回ってきたのか段々と呂律が崩れ、
言葉が不明瞭なぶつ切りの単語に変化していく。
「あは…あひ…お…んおお……い、…い…ひ」
「………クロル?」
 項垂れていたヴィクターは顔を上げた。

「き、気持ち……いひ…ふっ…あっ…ふ…はは、いいよ…ひいいい…」
「クロル…クロル…」
 くぐせとの交尾にクロルの表情が変化した。いや、変化というよりは―――
「もっと…もっと強く…強く突いて…もっとぉくぐせのチンポもっと強く突いてぇ…たまご、
たまひよ…ボ、ボクのなか…そそひで」
「ウソだろ…クロル…ウソなんだろ?」
「いいのっ!いいのぉ、くぐせチンポいひぃ…すごすごひのぉ!もっともっともっとぉお!」
「クロル…クロ……ル…くぅ…うう、ううう…うわあああああああっ!」
 ヴィクターが雄叫びを上げた。
 何もかもが、今までのクロルとの思い出が崩壊し、砕け散り、
弾け飛んだ瞬間だった。
 その後も陵辱は続いた。くぐせの卵を注入されたクロルの下腹部が出産間近の
妊婦のように膨れ上がり、クロルが嬌声を上げながら卵を産む場面。
薬品を幾度となく注入され、男根を生やし、それをオナホールで扱きながら射精する場面。
裏で出回っている児童ポルノやスナッフビデオがまだマシに見える程の
映像をさんざん垂れ流しながらテープは終わった。
今、執務室の画面には灰色の砂嵐が映り、放心したヴィクターが壁に背を預けていた。
「ヴィクター教官……」
「…………一人に…出て行け…命令だ」
「…で、ですが……わかりました。」
 アウラはヴィクターの心情を読み取ったのか、カーテンを開け、部屋から出て行った。
廊下を歩くアウラがモニターの破壊される音と野獣のような絶叫を聞いたのは
その直後だった。

日が沈み、夜になった市街地はにぎやかで喧噪が絶える事はないが、角を曲がり
街の裏に回るとそこにはその日を生きるために客を取る子供や麻薬の売人。
売春婦、ホームレスやネズミの巣窟だった。
そんな裏路地の一角であの男が立っていた。
クロルを犯し、アジトに連れて行った男だ。
「遅かったじゃねぇか。」
「待たせて悪かったわね。」
 その男に一つの影が近づく。
「あのビデオ…なかなかだったわ。結構な値段になったんじゃない?」
「ああ、これがアンタの取り分だ。全く、あの諜報任務の情報は助かったぜ…
これで俺も組織に顔が立った。」
「それはよかったわね。」
「アンタとの脈は俺だけだからな。これからも頼むぜ」
「……で、あの女はどうなったのかしら?」
「あの女?ああ、副官殿か……撮影が終わった後は手に終えねぇほどヤクがキマってた
んで業者に引き渡したんだってよ。今頃は豚の餌か、くぐせの苗床だろうよ」
「そう、安心したわ。」
「これでアンタは目的を、俺は組織での地位と金を…ククッ笑いが止まんねーなぁ」
「ええ、やっと貴方みたいなクソを便器に流せるのかと思うとほっとするわ。」
「―――!?」
プシュプシュプシュという低い音と共に男は倒れた。
その影は頭部目掛け弾切れになるまで撃ち込むと消音器付きの自動拳銃を
下水道へと続くドブ川に捨てた。
「うん、これで完璧。クロル教官も消えたし、後任も引き継いだ…あはは…
ヴィクターこれで私達の邪魔する人はいなくなりました。」
そう言って軽く身悶えた影は夜の街へと消えた。
それから数ヶ月後、東部戦線から帰還した片腕の少佐が軍中央司令部に赴き、
諜報任務会議の席において鞄に仕込んだ爆薬と共に自爆した。
以後、女性下士官による諜報作戦は凍結され、全ての記録と共に闇に葬られた。
END

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最終更新:2007年10月13日 17:18