人間なんて皆同じような物だと思っていた。
そんな自分の目の前に現れた少女。
名前も知らないが自分は直感的にこの子しかいないと思った。
現れたと言いはしたが実際ただ視界に入っただけ正面から顔も見ていない。
『あの・・・・』
思わず自分はその娘の肩に手を置き呼び止めてしまった。
『はい?』
振り返る彼女の顔が視界に入った瞬間自分に雷が落ちたような感覚に襲われた。『その・・・・自分と』
もう、止まらないおそらく自分のどこかのダムが決壊したのだろう。
『付き合って下さい!!』
『名前は?僕は夏って名前なんだ』
夏は人懐こそうな笑顔で自分に名前を聞いてきた。
彼女の予想外の答えに自分は何も言葉に出来なかった。
『ほら、名前だよ。な・ま・え。君の名前を僕に教えてよ』
夏は自分の眼前、彼女の吐息が掛かるくらいまで顔を近付けた。
彼女は自分より背が低いので背伸びをしていた。
そんな姿が自分には可愛くて仕方がなかった。
『蓮です。自分は山霧蓮と申します!!』
突如叫んだ自分に夏は驚いていた。
『は、はは・・・・君、じゃなくて霧君だっけ?面白いね。うん、いいよ。僕と付き合って下さい』
夏はとびっきりの笑顔で言ったのだと思う。
まだ会って十分もたっていない、けどなぜか自分にはこれが彼女の最高の笑顔だとわかった。
『ありがとう』
『?・・・・何で泣いてるの?』
夏の言葉に驚いた。
涙など流しているつもりはなかったのに自分はいつの間にか涙を流していたのだ。
『嬉し泣きだよ』
そう言って自分は夏を抱きしめ唇を奪った。
夏は心底驚いただろう。
唇を離した時には顔を真っ赤にしていた。
『いきなり何するんだよぅ・・・・。でも、少し嬉しかったよ。こんな僕でもいいの?君は』
夏にそう言われ彼女を見てみると、髪は黒いショートで顔は自分から見ると確実に美少女で背は低め胸は自分よりあるかないか程の物だった。
『僕ね、こんな話し方だし、オッパイもないし・・・・学校でも男じゃないのかって・・・・』
夏は体を小刻みに震わしながら泣いていた。
さっきまでの笑顔が嘘のようだった。
『いいも悪いもいいに決まってる。自分は夏が可愛く思ったからああ言った。他の人にはあんなこと言わないよ』
彼女は男性からこのような事を言われた事は無かったのだろう。
泣きながらも必死に笑顔を自分に見せようとしてくれた。

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最終更新:2007年10月07日 23:37