「ほら見ろよ、ここが…」
「バカモノ!」
俺はシャツを脱ぎだした奴の胸から、慌てて目をそらした
一瞬目に焼き付いた、微妙な白い膨らみと、ピンクの頂点を頭から振り払うのに専念する
「ナンダヨ~、親友が体の痛みを訴えているのに」
奴は、事態も理解せんと、むくれやがった
「女の子が胸をほうり出すな、タワケ」
「いいじゃん、こんなささやかな胸。
最近まで一緒にお風呂…」
「中坊の三年前は最近とは言わん!」
年長者として毅然とした態度でたしなめる
「とにかく!女の胸のことなど俺が知るわけないだろう」

「パソコンの空き箱」
奴がボソッと呟いた
「いっぱい隠してるじゃん」
ダラダラ
脂汗がふきでる
「あんなのばっかし見てるくせに、僕のはどうでもいいんだ」
声が震えている
「お前…」
「迷惑だよな、こんな男の子みたいな胸見せられても…」
部屋から出て行こうとする奴を抱き留める
「離せよ、バカぁ!」
「今更離せるか」
腹を据えた
昔から女の子扱いすると、怒り狂っていたくせに
俺がどんなに我慢していたかしらないくせに
「何だよ、こんな小さい胸興味ないんだろ」
奴はこの期に及んで、憎まれ口を叩きやがった

「ひとつ教えてやる
オッパイで大事なことは、サイズでも形でもない」
暴れる奴を取り押さえながら諭す
「どこに付いてるかが、一番大事なことだ」
奴が動きを止めた
「お前が女の子として、俺に見せてくれるなら、あんなものはゴミだ」
「………かよ」
奴は小さな声で呟く
「んっ」
「欲しいのはオッパイだけかよ」
俯いたまま挑発的に問い掛けてきた
このアマ
「だったら我慢なんかするか
欲しいのはお前だ」
半ば本気で怒鳴る
「返品不可だからな」
親友だった奴は、今、俺の腕の中、女の子の表情で微笑んでいた


おわり

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最終更新:2007年10月07日 23:49