優希の自慰 

「えっと……ん…」
その夜、優希は引き出しを開けると薫だけが写った写真を取り出す。
「薫……」
薫の格好は水着一枚のみ。水泳の授業の時にこっそりと隠し撮りしたものだ。もちろんその仕掛けは『師匠』こと安田桃子。
数種類のバリエーション写真とネガ込みで自分の月イチの小遣いをはたいて購入した謂わくつきの写真である。
もちろんそれは優希のオナニーのオカズであった。
「薫の写真……こんな事に使ってるって知ったら桃ちゃん…驚くだろうな…」
その桃子はもちろんそのつもりで仕込み、撮ったものなのだがその辺りの事に全く気付かない優希。
それが優希らしいと言えば優希らしいのだが。
「は…だ、誰も…来ないよね…」
部屋の施錠を確認、窓にカーテンをしき、蛍光灯を3段階中、1に設定して布団を壁際に敷き直す。
その最中に少しでも薫と性交しているという臨場感を出す優希のささやかな演出でもあった。
優希は一仕事終えると『ふぅ』と息をつき壁に背を預けた。


「…ん…んしょ…」
パジャマのボタンを外し、ズボンを下げると僅かに湿った白いシンプルな下着が現れた。
(薫のこと想うだけで濡れるなんて桃ちゃんには死んでも言えないよ)
その辺りはさすがに桃子も知らない。
思い切ってズボンを太腿まで下げ、下着も脱ぐ優希。
ふるんとした柔尻が現れ、カモシカのような美しい曲線を描いた足が布団の上に投げ出された、うっすらと茂った秘所が顕になる。
「僕の胸…やっぱり小さいな」
上着を払い小振りな胸を露出させると左手で乳房をゆっくりと揉みし抱き始める優希。
乳首をくりりっと摘み、その繊細な指でピンと弾いく。
「んっ…ふぁ…」
優希は眼を閉じ、薫の姿を想像しながら己の各処を刺激していく。
妄想の中の薫がいつもの口調で語りかける。
『小さな胸…ユーキはやっぱり男の子だな』
「う…うるさい…よ…はっ…く」
『揉み心地もなかなか…吸ってもいいかね?』
「ん…いいよ…薫」
そこで優希はいっそう乳首を強く摘み上げた。
「んくっ…い、いいよ薫、もっともっと強く吸って」
ぎゅっと痛いくらいに乳首をつまみ上げ、こりこりと指で転がすとジンと下腹部から熱のこもった感覚が優希のまぶたをうっすらと開けた。
秘所がさっきよりも濡れている。
(あ…もうこんなに……はぁ…僕は…もう)
少し冷静さを取り戻したのか、優希はさっと立ち上げるとバスタオルを己の下に引き、その上に小振りな尻をおろした。
「胸は小さいけど…お尻なら…」 
優希は少し思案すると意を決して四つん這いの姿勢になり、尻を高く上げた。
「薫…後ろから…ね、来てよ」
写真の薫に声を掛ける優希。顔はぼんっと爆発したように真赤だ。
『ああ、いくよ。ユーキのケツは私のモノだ。』
「ぼ…僕のお尻は僕のモノだっての……あ…ふ」
くちゅっと中指を後ろから秘所に挿入するとゾクゾクした感覚が一気に子宮の内部までピンと一直線に届いた。
「はっ…」
くちゅくちゅ…ちゅぶ…
そして挿入した中指を時には深く、浅く、また時折、膣壁にすりつけるように指を動かしていく。
「や…やん…ふ、ふあ…か、薫…薫」
今日はこのままイけそうだ。優希は霞がかった思考でそう決断すると指を激しく動かし始めた。


「は、はあああ…だ、だめ…だめだよ薫…ん…き、今日は…危険日…あっ」
妄想の中で薫は優希を激しく責め立てていた。妊娠など関係ない、雄としての本能の赴くままに腰を尻に叩きつけている。
それを必死で、哀願するように拒む自分、そのシチュエーションが最高に興奮する。
(ああ…僕ってへ、変態…ん、あ、ああ…も、もうイ、イきそう---)
その時だった。優希の携帯のバイブが激しく振動した。
「えっ!?」
強制的に現実に引き戻された優希が携帯をひったくるように掴み、光るディスプレイを見た。
そのデイスプレイには『かおる』の文字が。
「か…薫?も、もしもし!?」
『やぁ、こんばんは。おっとすまない、寝ていたか。すまなかったな。では安眠の妨げになった事を許してくれ。ではまた明日』
携帯電話越しに聞こえるいつものハスキーボイス。脳裏に浮かぶあの無表情の顔、薫であった。
「なっ!ね、寝てないよ!っゆーか何なんだよ!用件は何っ!」
『いや、何。今日、披露した新発明試作ニ号機の感想を聞こうと思って掛けたんだが、どう思うユーキ』
「………」
今までのムードも妄想も欠片も残さないほど木っ端みじんに打ち砕いてくれたオリジナルの薫に優希は殺意さえ覚えた。
ミシミシと音を立て始める優希の携帯。
『いや、飯田君に電話したところ優希に聞いてみたらと言われてね』
(安田だってのっ!このバ―――!!―――桃ちゃん……電話……あ!)
思ってもみない展開だ。これならいろんな意味でイける。これぞ天佑だ。
「と…とりあえず言っておく。最低。」
『これは手痛い感想だね。』
携帯を片手に秘所に手を伸ばす優希。今度は背を壁に預け両脚をM字に開いた。そして薫の写真をその足下にばらまく。
「そ、それでさ…か、改造とかしないの?」
くちゅ……
『うむ…そうだなパンストの色と肌の色の違いが今回の敗因である点は否めない。』
「だ、だから…あ…こ、今度はと、透明に…か、変えるとか?」
『ふむ、透明か…が、それは――――ん、待てよ』
ちゅぶ、くちゅくちゅ、ちゅぶぶ…
「か、薫?」
『…………』
「か、薫、こ、声を、き、聞かせて…か、かおる…こ、こえぇ」
『グレイト!さすがは我が心の友よ!素材がポリ塩化ピリニデンのモノを起用すれば問題は解決できる!やはりユーキ君!
君は素晴らしい、では、これより三号機の開発に取りかかる、披露は明日だ!期待していてくれ!では、また明日』
「ま、待って…も、もうすぐ…あと少しだから」
『ん?ああ、そうか電話越しにでも完成報告を聞きたいのだな?』
「あはっ、そ、そう。か、薫…き、聞かせて…もっと声、声聞かせて」
『そんなに完成が楽しみなのかね。ユーキ、大丈夫、心配は無用だよ』
「あっ…はっん、んんんっあと少し…は、はぁ…はぁ…ご、ごめん。薫、ちょっと今、お風呂だから」
『え――――』
有無を言わさず一方的に優希は携帯の電源を切り、布団の上に放りだした。
かなり無理な返答だなと思いつつも手は止まらない。
「ご…ごめんね…ごめんね薫、薫、かおるぅ!」
ビクンビクンッと優希の身体が引きつり、ゾクゾクゾクッと身体の真から込み上げてくる快感に優希は身を震わせた。
「はぁ…はぁ…はぁ…ん、薫…ごめんね僕…嘘ついちゃった。」
火照る身体を沈めるため荒い息をつく優希は愛液でグショグショになったバスタオルを見て、深く後悔した。

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最終更新:2007年10月08日 00:17