薫の自慰

親愛なる弟・薫るんるんへ
君の姉は大学のサークルの都合で友人宅に宿泊するので帰りませぬ。
※男の友人ではないのでエロイ妄想しないソコ!
ご飯を食べて風呂入ってハッスルして寝ること。
神聖なるマイ・ルームに一歩でも入ったら滅殺するのでよろしくね♪
                    霞より
「……霞は今日も残業か…」
帰宅した薫はキッチンの上の書き込みを見て軽くため息をついた。
「我が姉よ……実に羞恥プレイだ。学業を終えれば探偵にでもなる気かね。全く…」
その書き置きは普通のモノである。家族である姉が弟宛てに書いたお伝え事。
問題はその紙であった。
それは薫の秘蔵してあったH本の付録ポスターにわざわざ別紙で作った吹き出しを張り付け、そこに書き込んだモノであった。
「何故あそこに隠してあるのをこうやすやすと見つける事ができるのだ。囮部隊には目もくれず、主力部隊を叩くなど常人ではないな。」
デンデンとテーブルに積まれている主力部隊
『PINK天国』『ドピュドピュ倶楽部』『オレンジ写真堂』。
ちなみに囮部隊
『官能柔肌図鑑』『お姉ちゃんと一緒』『誘惑の女子高生』。
薫は肩を落とし、主力部隊を回収する。
目には目を歯には歯を!とつまるところの『報復』(この場合は姉の部屋に入り、姉専用のBL本を探すの意)をしようとしない薫。
が、過去に一度だけ報復を心みたことがあった。姉の部屋に入ったのだ。結果は―――死。
薫は姉の部屋に入った日から1週間程、学校を休んだ。毎日、優希が見舞いに来てくれたのだが会えなかった。実際のところ自力で歩行する事が困難なくらい『お仕置き』され、玄関まで行けなかったのである。
「ハッスル…か」
薫は食事を取りながらそんな事をつぶやいた。
今日の献立は白米に豆腐とわかめの味噌汁、主食はスーパー閉店30分前の特売品であった刺身の
切り身盛り合わせにひじきの油炒め。
「ふむ…確かに」
この後の予定は風呂そして株のマネーゲーム。就寝前には試作品三号の製作。
「どの時間帯であれば可能なのだろう。ユーキを起こすのは忍びない」
食器を洗い終え、薫は食後のお茶を啜りながら決断した。
「就寝直前だな」



薫はベッドの上で壁にもたれかかっていた。
足元には主力部隊の旗艦『オレンジ写真堂』
薫はこの手の写真集にはあまり魅力を感じないのだが、購入したのにはワケがあった
「ユーキ…」
カメラ目線で胸の谷間を強調するように前屈みになっている写真の中の女性が優希に似ていたからだ。
それだけではないその他の定期購入本にも優希に似た女性のページのみ使用された形跡があった。
(………ユーキが知ったら…どんな顔をするだろうな)
ズボンを脱ぎ、ゆっくりイチモツを扱きながら薫は思った。
(いつも友人のように接している私が毎晩…ユーキに似た女性の写真集をみながら自慰の興じている
…と知ったら。)
しかしPCや電子機器に精通している薫がいささか時代を感じるゑろ本で抜いているのか、それにはワケがあった。
一度、ユーキ似のAV女優のDVDをヘッドホンをつけ堪能していた時に部屋の鍵を霞に破壊され、
射精直前に部屋に侵入された事があったのだ。
タイミングがタイミングだけにどうしようもなかった薫。
そしてそれを見て爆笑した霞。
薫はその後、寝しばらく寝込んだ。


(ん……く…ユーキ…)
感情が高ぶってきたのか薫の手がやや速くなる。
薫も優希同様、妄想にふけながら自慰を行うが、薫の妄想する優希は普段とは違った。
(ふふ…薫、もうこんなにして…僕の身体を見てこんなに勃起してるなんて嬉しいなぁ)
「ああ…ユーキ…とても綺麗だ」
(嬉しい…じゃあご褒美に僕が薫のチンポ食べてあげる)
薫の妄想の中の優希…いや、ユーキはいささか度を超した痴態を晒す女性――――痴女であった。
「ユーキ…ん……そこを…」
(薫ってカリの裏が弱いんだよね…はむ、ん…んふ、はあ…くちゅ…ちゅちゅぶ…)
優希がかつて傾国の美女と言われた楊貴妃のような眼で薫を見つめた。
(薫って頻繁に僕を視姦してるよね…登校の時だって、胸とかお尻によく視線感じるし、
今日のプール…薫の眼が気になって…僕、少し濡れちゃった。)
「そんな眼で…君を見た覚えはないな…自信過剰だね」
それはウソであった。薫はいつも無表情ではあっても、その眼は密かに、誰にも気付かれずに優希の挙動
を追っている。特に優希の肌が露出する体育の授業ではなおさらだ。
「…さすがだ…うまいね…賞賛に値するよ…」
いずれ訪れるかもしれない本番ではこんな台詞は吐けないだろうなと思いつつ、
薫は優希の口淫を賛美する。
(んちゅ……カウパーでてるよ薫。もう出ちゃうようじゃあ…僕を満足させるなんて無理だよ?)
「それは悪かったね。生理現象だよ、男の悲しい性とも言うがね」
(『理屈』って書いて『言い訳』って読むんじゃない、そういうの?何にせよ、僕にもそろそろ…ね?)
薫の妄想の中で優希が脚をM字に開き、膣口に指を這わせ、くぱぁと口を開かせる。
(舐めて、薫)
「仰せの…ままに」
薫はゾクゾクと睾丸からせり上がってくる感覚に背筋を震わせた。
射精が近いのかせわしく本のページを捲る。
「ユーキ…ユーキ」
(あはっ…上手…上手…薫…僕の感じるトコ…はああ…くすくす…犬みたいだね。)
その手がいままでにないくらいの速さでイチモツを扱く。
薫はくっと眉を潜めると、ぎゅっとイチモツを握り閉め、射精の高ぶりを沈める。
「はぁ…はぁ…」
(僕が飼ってあげるよ…首輪つけてさ。薫を僕のぺットにしてあげる。)
いつもの無表情な顔で携帯を操作し、捲った本の間に挟んである写真を取りだした。
それは優希が自分の横で笑っている写真であった。


携帯の番号をプッシュし、首に挟んで再び手はイチモツへ。
プルル…プルル…何コールかした後、待ち望んでいた相手の声が聞こえた。
『か…薫?も、もしもし!?』
寝ていたのだろうか、妙にあせった声だな。
『やぁ、こんばんは。おっとすまない、寝ていたか。すまなかったな。では安眠の妨げになった事を許してくれ。ではまた明日』
ビリビリっと下腹部から背筋に走った快感に思わず声を出しそうになった。
それを必死にこらえ、務めて冷静ないつもの口調で話しかける。
「なっ!ね、寝てないよ!っゆーか何なんだよ!用件は何っ!」
『いや、何。今日、披露した新発明試作ニ号機の感想を聞こうと思って掛けたんだが、どう思うユーキ』
そんな事はただの口実だった。実際のコンセプトは頭の中で完了済みであった。
「………」
このまま切られるかもしれない…そう思った薫はとある級友の名を出した。
『いや、飯田君に電話したところ優希に聞いてみたらと言われてね』
「と…とりあえず言っておく。最低。」
ビンゴ。正解は『安田』なのだがこれも無視。薫の手はシュッシュと必死で扱き上げる。
『これは手痛い感想だね。』
はぁはぁ…ユーキの瞳…ユーキの唇…
「そ、それでさ…か、改造とかしないの?」
ユーキの胸…くびれた腰…
『うむ…そうだなパンストの色と肌の色の違いが今回の敗因である点は否めない。』
ユーキの小振りな尻…ユーキの…ユーキの…秘部。
『ふむ、透明か…が、それは――――ん、待てよ』
一端、携帯を離すと薫は本の何ページ目かを適当に開き、ユーキの写真をその上に置く。
『…………』
ティッシュの上にだすつもりはないユーキとの擬似性交にリアリティを求める薫のこだわりだった。
『グレイト!さすがは我が心の友よ!素材がポリ塩化ピリニデンのモノを起用すれば問題は解決できる!やはりユーキ君!君は素晴らしい、では、これより三号機の開発に取りかかる、披露は明日だ!期待していてくれ!では、また明日』
こらえきれない、限界であった。
「ま、待って…も、もうすぐ…あと少しだから」
『ん?ああ、そうか電話越しにでも完成報告を聞きたいのだな?』
「あはっ、そ、そう。か、薫…き、聞かせて…もっと声、声聞かせて」
グググッと精液が昇ってくる感覚に薫は目を閉じた。
『そんなに完成が楽しみなのかね。ユーキ、大丈夫、心配は無用だよ』
ユーキの焦った声、着替えでもしているのか、風呂から上がった後なのだろうか。
びゅくん…びゅ…びゅ…びゅううう…
ユーキの裸体を想像しながら薫は盛大に射精し、その精をページの上にまき散らした。
「あっ…はっん、んんんっあと少し…は、はぁ…はぁ…ご、ごめん。薫、ちょっと今、お風呂だから」
『え――――』
ブツ………ツーツーツー……
薫は呆然としながら携帯を耳から外し、ベットの上に手を力無く置いた。
ふぅ…と息をつく。
「今まで試みたことのなかったテレホンセックスがこれほど良いモノだとは…中田君には感謝せねば。」
薫はそう思いながら精の掛かったユーキの写真を丸めた。
「ふ…明日、また写真の現像を依頼するか…」

END

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最終更新:2007年10月08日 00:18