136 :『マコト』 ◆PKZ3hJg6ts:2006/07/05(水) 10:16:07 ID:3c5XI+2I
「ねえ、ボクとセックスしてもらえないかな?」
「……………………はあっ!?」
 幼馴染の真琴が妙なことを言い出したのは、俺の部屋の中でのことだった。
 自分のことを『ボク』と呼ぶ少女は、髪は短く、いつも元気に飛び回っており、セックスのセの字も思い浮かばないほど、性差を感じさせない。
 まあ、だからこそ俺も、互いに高校生になったばかりとはいえ、遊びにきたよ、の一言であっさりと部屋に上げられるわけだったのだが……。
 あまりの驚きで声が出ず、多分間抜け面で口をパクパクさせていた俺に、真琴が上目遣いでさらに懇願してきた。
「ダメかな?」
「い、いや……駄目っていうか、その、急にそんなこと言われるなんて思ってもみなかったし……っていうか、どうしてそんなこと言い出すんだよ」
 幼馴染でお互いの家にもよく行く間柄ではあるが、俺たちは恋人同士と言う関係ではない。
 少なくとも、今はまだ。
 真琴は、んー、と普通の表情で――本当にセックスしたいのかよと思うくらいいつもの表情で、思い出すようなしぐさをした。
「実はさ、今日聞いちゃったんだ。レミちゃんが彼氏に処女あげちゃったらしいんだけど、それがすごく気持ちよかったらしいんだ」
 レミちゃん、というのはクラスメートの女子のことだ。
 俺は思わず顔をしかめる。
「初めてって痛いんじゃないのかよ?」
「うん、ボクもそう聞いてたんだけど、でもレミちゃんはすごく嬉しそうに言ってたんだよね」
「だから試したくなってみた、と?」
「うん」
 あっさりと頷いてくる真琴に、俺は溜め息をついた。
 真琴はたまに、こういう破天荒なことを言い出したりやったりすることがあるのだ。
 今回もそうだろう、と俺は言い聞かせてやる。
「そういうことを言うってことは、お前まだ……その……し、処女なんだろ?」
「うん、そだよ」
「だったら尚更だな。いいか、初めてってのは、大切な人にあげるもんなんだよ。少なくとも、この人ならあげてもいい、っていうくらいの人間じゃないと駄目だ。だから俺とやるのは――」
「ああ、だってキミ、ボクにとって十分どころか、1番大切な人だから大丈夫だよ」
「そう、大丈夫――って、え?」
 ……なんですと?
 なんか今、聞き捨てならないことを耳にしたような気がしたのだが。
 呆気にとられる俺を、しかし真琴は落ち着いた表情で――しかも今気付いたが、真剣な思いを瞳に浮かべて見つめてきた。
「こんなこと、キミ以外に頼みたいなんて思わないよ。だって、キミのことが好きなんだから」
 決定的な一言。『好き』。
「え?」
「だから、キミが好きだよって言ってるの」

 驚いて動けない俺に、いきなり真琴が覆いかぶさってきた。
「まこ――」
「大好きなんだ……」
 笑顔で、キスをされた。
 ベッドに押し倒され、男の俺が下で、それまで女として考えたこともなかった少女に。
「ん……」
 至近距離の顔の、そのまぶたが下ろされた。
 それで気付く。コイツ、肌が綺麗だ。
 肌理細やかな、化粧などまったくしていない顔。そしてなにより、唇に感じる、真琴のそれの温度。
 ――俺はもう、堕ちかけていた。
「っぷは……どう、信じてもらえた?」
「あ? あ、ああ……」
 長く感じられて、実際はほんの十秒に満たない口付け。
「ボクの処女、もらってくれないかな?」
 かすかに潤む、幼馴染の瞳。
「きっと気付いてないとは思ってたよ。そういうふうにボクも振る舞ってたしね。でも、本当の、本気の気持ちなんだ」
 それまでの俺たちの思い出が、俺の頭の中を駆け巡る。
 そうだ、確かにコイツはいつも俺のそばに居た。
 少年っぽい言動は地だとしても、それを超えたところに、真琴の思いはあったのだ。それに気付けない俺が、悪かったのだ。
 じゃあ、俺はどうか、というと――
「今まで……」
「うん?」
 俺は顔をあげ、押し倒されたままという無様な状態ではあったけれど、しっかりと真琴の目を見た。
「今まで、お前のこと恋愛対象だとさえ思ってなかったんだぞ。そんな俺でもいいのかよ?」
 一瞬真琴はきょとんとして、そしてすぐにくすくすと笑い始めた。
「な、なに笑ってんだよ」
「ふふ……いや、別に……くっくっ……」
 なんで笑っているのかわからなかったけれど、それが否定ではなく、別に問題ないのに、という笑みであることくらい、俺にだってわかった。
 笑い終えるのを待って、俺は真面目に言った。
「俺に、お前の初めてをくれ」
 真琴は、笑顔で答えた。
「うん、ボクの処女、もらってください」

 西日がまぶしかったのでカーテンを閉め、そして俺たちは互いに服を脱ぎ、生まれた時の姿になっていた。
 シャワーは浴びていない。そんなこと、別にどうでも良いと思えたからだ。
 おあつらえ向きに、家族は誰もいなかった。
 先ほどとは違い、真琴をベッドに寝かせ、その上に俺が押し倒すようにかぶさる。
「いいな?」
「うん」
 真琴はずっと笑顔だ。それが俺に安心感を与え、冷静にさせてくれる。
 ちなみに俺も初めてだ。だけど、うまくやれる自身が、真琴の笑顔のおかげであった。
 そっとキスをしてから、俺はまず、真琴の薄い胸に手を置いた。
「ん……くすぐったいよ」
 それを聞いて安心し、俺は手を動かし始めた。
 まな板程度のものだ、とずっと思っていたが、しかしやはり女の子、かすかではあるが、しかしそのふくらみは彼女が女の子であると主張していた。
 ……なんか、興奮してきたぞ。
「あん……あはっ……」
 真琴の声色も、少しずつ変わってきた。
「ちょっとは、気持ち良いか?」
「うん……なんか、いやらしい気分になってきちゃったよ」
 艶が出てきたその笑みに、俺はドキリとさせられる。
 でも、我慢。真琴は初めてだ。俺が暴走して傷物にするわけにはいかない。やっぱり優しくしないと、俺もきっと後悔するだろう。
 俺は自分を抑える意味でも、また真琴にキスをした。
「ん……ちゅぷ……」
「……!?」
 いきなり、俺の口の中に真琴の舌が入り込んできた。
 これがディープキスというやつなのだろうか。
 雰囲気を考えて閉じていた目を思わず開くと、トロンとしながらもいたずらっぽい視線をこちらに向けてくる真琴が、すごい近くにいた。
 なんか、むかついた。
「ちゅ……んひゃぁっ!?」
 真琴が跳ねる。俺がその乳首をつまみ上げたのだ。
 同時に真琴の舌の攻勢が止む。それを狙って、今度は俺が舌を真琴の口に差し込んだ。
「んぷぅ……」
 俺は真琴の口の中を蹂躙した。
 気付けば、いつの間にか真琴もその動きにあわせて舌を動かしてくれている。
 たっぷり数分は舌の応酬をして、唇を離したときには、お互いの口からよだれが溢れていた。
 俺のブツは、興奮で固くそそり立っていた。
 真琴も、そんなおれの勃起を見て頷いた。
 真琴の股間は、すでに濡れていたのだ。

「いくぞ、力を抜けよ」
「うん」
 真琴の足の間に俺の体をねじ込む。そして、肉棒を真琴の入り口に当てた。
 処女のはずの彼女の女性器は、ぴたりと閉じているようで、その実、ひくひくと動いていた。早く俺を受け入れたがっているようにも見える。
 その外側の肌を広げ、その中身を見えるようにする。そして本当の意味での入り口を、俺は見つけた。
「は、恥ずかしいってば……」
「わ、わりぃ……」
 慌ててそれにあてがい、そして、力を入れる。
 つぷ、と音がした。
「ん~~~~~~~っ!?」
 真琴が眉をしかめた。
「だ、大丈夫か!?」
 だけど真琴は、首を振ってこちらを見た。
「お、お願いだから……全部、い、入れて……んつっ……」
「真琴……」
 やめたほうが良いような気がした。でも、俺は真琴の思いに応えたかった。
 真琴は痛そうにしていたが、実際はまだ先っぽだけしか入っていない。
 それだけでもかなりの締め付けで、しょうじきめちゃくちゃ気持ち良かったけど、それも真琴の痛そうな顔で吹き飛びかけていた。
 ただ、優しくしなきゃ、という思いで腰を進める。
「んっ……くぅっ……」
 愛液のおかげで、挿入はスムーズだった。処女の肉は硬いというが、俺にはよくわからない。わかるのは、真琴の中が暖かくて、俺を締め付けてくるという事実だけだ。
 そして、俺は壁にあたる。
 処女膜だ。
 辛そうにしている真琴が、そんな躊躇しかけた俺を見る。
 やめないで、という視線だった。
 俺は頷いた。
「一気にいくからな」
 うん、と真琴が頷く。
 そして俺は、最後のひと突きを見舞った。
 何かを破る感触があっただけど、音はしなかった。
「う、あああああぁぁぁぁぁ!」
 真琴が悲鳴をあげる。
 俺はすぐさま真琴を抱きしめた。
「う、痛い、痛いよ……」
「悪い、でも、大丈夫だ、俺がいる」
「うん……うん……」
 真琴の目からはポロポロと涙がこぼれ出ていた。
 そんなに痛かったのか、と思うと俺の胸も痛い。
 なのに、真琴は。
「痛いけど……ボク、今、すごく幸せだよ……」
 にっこりと笑って、そんなことを言ってくれたのだった。

 しばらくすると、真琴の涙も止まった。さすがに肩が大きく上下するのは止められないみたいだったが。
「ねえ、動いていいよ」
「でも、痛いだろ」
「わかってないな、キミは。やっぱりさ、相手にも気持ち良くなってもらいたいもんなんだよ、ボクはね。それに……」
 にやりと真琴が、ちょっと無理やりではあったけど、笑う。
「キミ、今すぐにでもガンガンやりたいでしょ?」
「う……」
 図星だった。
 っていうか、膣の中がこんなに気持ち良いなんて、思ってもみなかった。オナニーの数倍は気持ち良いぞ、まじで。
 そんな内心を悟られたらしく、真琴はお願い、と言ってきた。
 そう言われれば、俺も拒否はできないので……。
「じゃあ、動くからな」
「うん……んくっ……」
 一度それを始めてしまえば、止まりそうにもなかった。
「つっ……あ、かはぁっ……」
 ひゅーひゅー言う真琴に、少しでも気持ち良くなってもらいたいのに、それでも腰は止まらない。
 俺はなんて無力なんだ、と思い始めた、そのときだった。
「あんっ……」
 え、と思った。
 一瞬ではあったけれど、確かに真琴が快楽に反応したのだ。
 俺は慌てて、声をあげたときに擦りあげた場所を、もう1度確認していく。
 突き上げたり、擦ってみたり、ただ出し入れしてみたり。すると――
「んあぁっ……ひゃあぁっ……!」
 真琴が戸惑った表情で嬌声を上げる。
 ここだ。
 俺は今までとは打って変わり、本気でその場所だけを擦りあげた。
 真琴の体が、急に跳ね上がる。
「んああぁぁんっ、ど、どうしてぇ、き、気持ち良いよおおおぉぉぉっ!」
「そうか、気持ち良いのか、真琴!」
「うん……うんっ! ああぁっ、な、なんかぁ、やばいよおぉっ!」
 それがどういう意味の『やばい』かはわからなかった。
 だけど、締め付けは急に強くなり、俺の肉棒が限界に達しようとしていた。
 それを察したのか、真琴が喘ぎながら叫んだ。
「だ、射精すなら中に、中にいいいぃぃぃっ!」
 その言葉が、俺の理性を吹き飛ばした。
 最後の勢いで、思い切り腰を突き出す。
「い、イくぞ!」
「う、うあああああぁぁぁぁぁ!」
 絶頂に達したのか、腰を浮かした真琴の膣内に、俺は精液をぶちまけた。


 事後、俺は真琴と一緒にベッドで休んでいた。
「やっぱり、セックスって気持ち良かったんだね」
「……そうだったのか?」
 ちょっと自信がなかったので、思わず聞いてしまう。
 真琴はその真意を見抜いたらしく、今度は無理のない笑みを見せてきた。
「大丈夫。最後に中出しされた時、本当にボクもイっちゃったからさ」
「う……そういえば、中に出しちゃったんだよな」
 1発で妊娠、というのはさすがにない気もするのだが、しかしその確率も十分にある。今度やるときは、ちゃんと避妊をしよう。
 そう心に誓っていると、あ、と真琴が声をあげた。
「どうした?」
「あ、いや、さっきの精液が出てきたみたいで」
「……」
 想像してしまった。
 めちゃくちゃエロい絵が頭に浮かんだ。
「ま、真琴!」
 がばっとまた真琴に覆いかぶさる。
 真琴は、しかし慌てて俺に手を出してきた。
「ちょ、その前に、ひとつだけ!」
「む、なんだ?」
 真琴は顔を赤くして言った。
「ボクのこと、好きだ、って言って欲しいんだ」
「な、なんですと?」
 そんな恥ずかしいことを、こんな雰囲気で言えというのか。
 それはなかなかヘビーなように思われた。が。
「わかった」
 でも、そうだ。
 真琴に言わせたのに、俺が言わないのはおかしい。
 だから俺は、真琴の目を見つめて、言った。
「好きだ、真琴」
「うん、ボクもだよっ!」

おしまい

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最終更新:2007年03月07日 14:04