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……それは理力の凝(こご)りが生んだ悪夢の植物。 攻性理力をその実に蓄え、敵の接近を感知するや否や、炸裂する。 飛散した種子は劣化ウラン弾を凌ぐ貫徹力を誇り、鋼鉄の装甲すら容易く貫く。 高い耐火性を備え、業火の中にありて尚成長を遂げる。 何の話かと思われた方へ。 これは、越前藩国に原生する、ある植物の話である。 何故その話がこんな所に、と思われた方へ。 これは、越前藩国の主要産物である、食物に関する話である。 その植物はこう呼ばれている。 そう、『散弾米(ライスラッグ)』と…… この稲は、自らに敵意を持つ存在(=収穫しようとする農家の方々など)が近づくと、クレイモア地雷のごとく弾け、周囲に散弾のように高い殺傷能力を誇る籾を飛ばす。 通常の稲に紛れて育ち、その判別は極めて困難。 建国初期、まだ何の技術も無かったころ。人はこの危険な植物に怯え傷つけられるだけの獲物でしかなかった。 当時、武装農夫達が繰り広げた死闘は、この国の歴史の一つとなっている。 そう、稲狩りこそ、越前藩国のはじまりの戦闘。 稲の爆発で、四肢を失う国民が多かった為に、サイボーグ技術が発展したのだ。 「良いかい、坊や。米、という字が八十八と書くのはね、田植えから収穫までに八十八人の血が流れているからなんだよ」 「だから、食事の前には手を合わせて「いただきます」と鎮魂の祈りを捧げ、残さず食べるんだ。良いね?」 この頃の戦いに関しては、 『収穫の秋、散弾米も周囲の稲穂と同様に黄金色に色づく。 この時期こそが、散弾米の破壊力が最も高まる時期であり、人々はこの黄金の散弾米を「ゴールデン=ライスラッグ」、あるいは単純に「ゴールデン」と呼び、恐れた。 いつからか、この恐怖を伴った呼称が帝国全土に伝わり、近年に至って新型I=Dの名称に採用された事は記憶に新しい』 と、かの有名な越前書房刊行の「帝国戦史 戦闘家政婦は見た」に記載されている。 やがて、越前藩国では当時の技族長「野尾羅博士」の開発した、「NORA-GⅠ(野尾羅式機動甲冑壱型)」を農民に配布。反撃を開始した。 なお、開発者の野尾羅博士は、散弾米により幼い頃に肉親と両脚を失ったことで知られている。 「あんたぁ、どうしてあんたが行かなきゃなんねーだよ!」 「この稲狩りで、オラ達(たつ)の半分は命さ失うだ… だけんども、米さねえと、オラ達の9割は冬をこせねぇだよ。 わかってくんろ。およね…」 「わかんね!オラわかんねぇだよぉ!」 「誰かが、誰かが命さ賭けなきゃなんねぇだ。でなきゃ、米さ収穫できね。  ……誰かがやらねばならねえなら、それはオラ達の仕事だ。  オラ達こそが農家、オラ達こそが越前軍人だからだ。  ……一つだけ、悔いさ有るとしたら、お前を置いて、行かなきゃならねえことだ。  ……すまねぇ、およね……」 毎年訪れる、終わりの無い稲作は、数多くの命を求めた。 「オレ、今年の稲狩りが終わったら結婚するんですよ」 幸せな未来を夢見る若者達の命すら。 「実は出来ちゃった婚で、オレの女房、今八ヶ月目なんですよ。  今度の稲狩りで取れた一番の稲穂を子供の枕元に飾ってやるんです。  それで、男の子だったら「マイト」、女の子だったら「イナホ」って名付けるつもりです」 稲作の神は、無慈悲なまでに平等であった。 「オイ!死ぬな!お前、この稲刈りが終わったら、結婚すると言っていたじゃないか!」 「クソ、生きて…生きて絶対帰るんだ…俺たちの、俺たちの、村へ…!」 だが、ついに越前藩国の人々は、戌士の研ぎ澄まされた識別能力を利用して、散弾米を国境の群生地にまで追いつめた。 この国境線沿いに広がった散弾米群生地帯は、単純な物量の多さゆえに開拓は困難で、長らく貿易の障害として立ちはだかっていた。 これに、先々代藩王「ニュートラル越前」は軍農隊を率い、大規模な刈り入れ作戦を展開した。 『たった一つの命を捨てて、生まれ変わった鋼の身体。弾ける稲を刈り取り叩く(=脱穀)。我らがやらねば、誰がやる』 これは、「ニュートラル越前」が出陣の際に行った演説より抜粋した一文である。 戦いは勝利に終わり、交易路は確保された。だが、軍の犠牲も大きく、「ニュートラル越前」は戦闘を交易路の確保だけに止め、それ以外の国境線沿いの群生地を藩王直轄の保護区として立ち入り禁止区域に指定した。 当初人々はこの判断を「臆病者の愚断」としたが、やがて戦時になり、この保護区が天然の地雷原として敵の侵攻を食い止めるに及び、当時の藩王の先見の明を褒め称えたと言う。 越前藩国を訪れる観光客の方々は、国境を越える際、果てなく続く稲穂の群れに触れられぬ事を不満に思うかもしれない。 だが理解して欲しい。それは、あなた方の命を守るための必然であり、そしてそれこそが、長きに渡り戦い続けた戦士達の、戦いの成果なのだという事を。 ~以上~ 文責 不破陽多(越前藩国 大族) 原案 藩国チャットで出たネタ(=半分合作です) ---- - 英語で「SLUG」には通常散弾の意味も含んでいますから、&br()心配要りませんよー -- 佐倉真 (2007-03-11 02:08:35) - 劣化ウランを凌ぐ、じゃなくて劣化ウラン弾を凌ぐ、ですね&br()修正しておきます&br() -- 佐倉真 (2007-03-11 02:41:34) - 了解です。&br()どっちも気付きませんでした。&br()ご指摘ありがとうございます。ちょこっと本文を修正します。 -- 不破 (2007-03-12 10:14:22) - 笑い死ぬかと思いました。&br()これ、SSのカテゴリに移動しませんか?(笑)&br()(藩国チャットで出たネタ=半分合作である旨書き添えて。) -- セントラル越前 (2007-03-12 17:29:31) #comment(vsize=3)
……それは理力の凝(こご)りが生んだ悪夢の植物。 攻性理力をその実に蓄え、敵の接近を感知するや否や、炸裂する。 飛散した種子は劣化ウラン弾を凌ぐ貫徹力を誇り、鋼鉄の装甲すら容易く貫く。 高い耐火性を備え、業火の中にありて尚成長を遂げる。 何の話かと思われた方へ。 これは、越前藩国に原生する、ある植物の話である。 何故その話がこんな所に、と思われた方へ。 これは、越前藩国の主要産物である、食物に関する話である。 その植物はこう呼ばれている。 そう、『散弾米(ライスラッグ)』と…… この稲は、自らに敵意を持つ存在(=収穫しようとする農家の方々など)が近づくと、クレイモア地雷のごとく弾け、周囲に散弾のように高い殺傷能力を誇る籾を飛ばす。 通常の稲に紛れて育ち、その判別は極めて困難。 建国初期、まだ何の技術も無かったころ。人はこの危険な植物に怯え傷つけられるだけの獲物でしかなかった。 当時、武装農夫達が繰り広げた死闘は、この国の歴史の一つとなっている。 そう、稲狩りこそ、越前藩国のはじまりの戦闘。 稲の爆発で、四肢を失う国民が多かった為に、サイボーグ技術が発展したのだ。 「良いかい、坊や。米という字が八十八と書くのはね、田植えから収穫までに八十八人の血が流れているからなんだよ。  だから、食事の前には手を合わせて「いただきます」と鎮魂の祈りを捧げ、残さず食べるんだ。良いね?」 この戦いに関しては、 『収穫の秋、散弾米も周囲の稲穂と同様に黄金色に色づく。 この時期こそが、散弾米の破壊力が最も高まる時期であり、人々はこの黄金の散弾米を「ゴールデン=ライスラッグ」、あるいは単純に「ゴールデン」と呼び、恐れた。 いつからか、この恐怖を伴った呼称が帝国全土に伝わり、近年に至って新型I=Dの名称に採用された事は記憶に新しい』 と、かの有名な越前書房刊行の「帝国戦史 戦闘家政婦は見た」にも記載されている。 やがて、越前藩国では当時の技族長「野尾羅博士」の開発した、「NORA-GⅠ(野尾羅式機動甲冑壱型)」を農民に配布。反撃を開始した。 なお、開発者の野尾羅博士は、散弾米により幼い頃に肉親と両脚を失ったことで知られる偉人である。 「あんたぁ、どうしてあんたが行かなきゃなんねーだよ!」 「この稲狩りで、オラ達の半分は命さ失うだ… だけんども、米さねえと、オラ達の9割は冬をこせねぇだよ。 わかってくんろ。おヨネ…」 「わかんね!オラわかんねぇだよぉ!」 「誰かが、誰かが命さ賭けなきゃなんねぇだ。でなきゃ、米さ収穫できね。  ……誰かがやらねばならねえなら、それはオラ達の仕事だ。  オラ達こそが農家、オラ達こそが越前軍人だからだ。  ……一つだけ、悔いさ有るとしたら、お前を置いて、行かなきゃならねえことだ。  ……すまねぇ、おヨネ……」 毎年訪れる、終わりの無い稲作は、数多くの命を求めた。 「オレ、今年の稲狩りが終わったら結婚するんですよ」 幸せな未来を夢見る若者達の命すら。 「実は出来ちゃった婚で、オレの女房、今八ヶ月目なんですよ。  今度の稲狩りで取れた一番の稲穂を子供の枕元に飾ってやるんです。  それで、男の子だったら「マイト」、女の子だったら「イナホ」って名付けるつもりです」 稲作の神は、無慈悲なまでに平等であった。 「オイ!死ぬな!お前、この稲刈りが終わったら、結婚すると言っていたじゃないか!」 「クソ、生きて…生きて絶対帰るんだ…俺たちの、俺たちの、村へ…!」 だが、ついに越前藩国の人々は、戌士の研ぎ澄まされた識別能力を利用して、散弾米を国境の群生地にまで追いつめた。 この国境線沿いに広がった散弾米群生地帯は、単純な物量の多さゆえに開拓は困難で、長らく貿易の障害として立ちはだかっていた。 これに、先々代藩王「ニュートラル越前」は軍農隊を率い、大規模な刈り入れ作戦を展開した。 『たった一つの命を捨てて、生まれ変わった鋼の身体。弾ける稲を刈り取り叩く(=脱穀)。我らがやらねば、誰がやる』 これは、「ニュートラル越前」が出陣の際に行った演説より抜粋した一文である。 戦いは勝利に終わり、交易路は確保された。だが、軍の犠牲も大きく、「ニュートラル越前」は戦闘を交易路の確保だけに止め、それ以外の国境線沿いの群生地を藩王直轄の保護区として立ち入り禁止区域に指定した。 当初人々はこの判断を「臆病者の愚断」としたが、やがて戦時になり、この保護区が天然の地雷原として敵の侵攻を食い止めるに及び、当時の藩王の先見の明を褒め称えたと言う。 越前藩国を訪れる観光客の方々は、国境を越える際、果てなく続く稲穂の群れに触れられぬ事を不満に思うかもしれない。 だが理解して欲しい。それは、あなた方の命を守るための必然であり、そしてそれこそが、長きに渡り戦い続けた戦士達の、戦いの成果なのだという事を。 文責 不破陽多(越前藩国 文族) 原案 藩国チャットで出たネタ(=半分合作です) ---- - 英語で「SLUG」には通常散弾の意味も含んでいますから、&br()心配要りませんよー -- 佐倉真 (2007-03-11 02:08:35) - 劣化ウランを凌ぐ、じゃなくて劣化ウラン弾を凌ぐ、ですね&br()修正しておきます&br() -- 佐倉真 (2007-03-11 02:41:34) - 了解です。&br()どっちも気付きませんでした。&br()ご指摘ありがとうございます。ちょこっと本文を修正します。 -- 不破 (2007-03-12 10:14:22) - 笑い死ぬかと思いました。&br()これ、SSのカテゴリに移動しませんか?(笑)&br()(藩国チャットで出たネタ=半分合作である旨書き添えて。) -- セントラル越前 (2007-03-12 17:29:31) #comment(vsize=3)

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