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E90 没文まとめ

近接&白兵戦用


「これは…」

洞窟の外からみなを誘導していたクレージュの声が不意に揺れた。何か一瞬だけ、前方に反応があった気がしたのだ。気のせいか…?すでに今は何の反応もないセンサーを見つめてクレージュは汗をぬぐった。

「不破…何か前方に見える?」
「いや、別段何もないが?」

嫌な予感がした。

だが、確証のない注意を促しても皆の心身の消耗を早めるだけだ。クレージュは迷った。
その時、周囲を警戒していた不破から通信がはいった。

「クレージュ。なんか感じたんだな?」
「え?」
「お前が言うなら、俺は信じる」
「不破…」

クレージュは大人しく頷いた。普段でこそ、この少年に頭の上がらない不破ではあるが、逆にこと有事とあらば、この男がどれだけ頼れる存在であるか、少年はよく知っていた。

「前方に妙な反応が一瞬ありました。敵がいるかもしれません」
「了解した!」

同時に、鞘走る刀の抜き身の輝き。薄暗い遺跡に一筋の光輝が走り、わだかまる闇を吹き散らす。

一瞬の沈黙。そして次の瞬間、今までなんの気配もなかった前方からいきなり敵意が噴き出してくる。それを見て、不破は笑みをこぼした。

「やっぱり、お前の言うことは正しかったな」
「うん、事前にわかってよかった…気をつけて!」
「ああ、心配するな。俺はお前の剣だ。お前をおいて逝きゃあしねえよ」

通信を切ると、不破は静かに他の面々を守るように前に歩を進めた。

「さって、やる時はやるってこと、ここらで見せとくかねえ」
「できれば、見せたくなかったけどな」
「違いない」

そんな冗談まじりの会話を交わしつつ敵に立ちはだかる男二人。不破と赤い狐。越前でも名だたる剣の達人―――――至金剛。

二人は敵の放つ殺気などどこ吹く風と受け流すと、常と変らぬ雰囲気のまま剣を構えた。
そこには緊張感どころか、正体のわからぬ敵を前にした不安も恐怖も見ては取れない。

常在戦場。戦人にとっての心がけとして伝わる言葉だが、この二人はまさにそれを忠実に体現していた。

敵の放つ殺気が膨れ上がる。二人は合図もせずに二手に分かれると、まるで獣のアギトを思わせる勢いで双方から敵に飛び込んでいった。


E90 没文第一段:直前に提出ページに加えるつもりが誤って違うページに組み込んだため、お蔵入りに。ちなみにミスったのは筆者(泣)そのせいで負けたら土下座ものだったが、指揮官判断で白兵戦自体がなく、首がつながってほっとしたやら出番なかったで残念だったり複雑。前日にE95ルージュの戦いがあったこともあって、この週はSSだけで7本近く書いた記憶があります。

防御

防御

「下がれ!」
「っく!」

敵からの攻撃。

咄嗟に至金剛の二人が弾かれたように前にでる。その動きには躊躇は一切ない。

越前の剣士は盾を使わない。彼らが使う武器は、片刃のそりが入った刀で、一般に東国の国々で広く愛用されている。切れ味は抜群で、使い方次第では龍の鱗さえ断てると言われている。

しかし、この刀自体は強化玉鋼を使用しているとは言っても、それだけではそこまでの強度はでない。柔らかい心鉄を固い玉鋼で覆うことで、切れ味と折れにくさという、相反すると言っていい特性を得ることに成功したのである。

折れにくさ、切れ味を両立させた稀にみる武具。しかも長い年月をかけて形状、重量、重心のバランスに至るまで洗練されつくされたその完成度。

だが、それだけで刀は終わりではない。刀が、刀としての機能を最大限に発揮するのは、無論使い手がいてこそである。刀には、単純な機能しか与えられてはいない。だが、使い手を持つことにより、刀はその機能を越えた性能を発揮する。

盾がいらないというのは、そういうことである。優れた技量をもつ使い手が刀を握った時、刀は、矛にも盾にも使うことができるのである。

単純な機能しかないゆえの応用性。それが実は刀の真の利点であるのかもしれない。

二人は敵からの重い攻撃を真っ向から受け止めた。甲高い金属音が洞窟内にひびくが、それで刀がどうにかなることはない。二人が、その攻撃を手首の微妙な返しで受け流したからである。

二人は、揃って楽しそうな笑顔を浮かべる。

「あんま戦うなとは言われてるが…」
「少しくらいならいいかねえ?」

にやりと二人して口許を歪めると、越前の誇る至金剛は戦闘を再開した。

お蔵入り第二段・防御用:防御やることがあったらやばいよなあと思いつつ書きました。
刀、好きなんですが、戦場じゃ刀より弓、槍なんだよなあ。局地戦というか、一対一なら当然強いわけですが。まあ、なんにせよ、大蜘蛛相手に防御がなくてほんとよかったです。他のは別にしても、まあ使われなくてよかったと思えた作品。

探索

【探索】

「まーた、色々と持ち込みましたね…」
感嘆交じりにそう呟いたのは垂れた犬耳も可愛らしい犬妖精の少年。

「鴻屋くんにいって、安く機材をそろえてもらったからな。これでも厳選した方だ」

越前の誇る電脳摂政黒埼はそう言うと、自慢気に包みからいくつもの機械を取り出した。先端にアンテナがついた棒や、背負い式の機械の塊から棒がのびたもの、双眼鏡に似た機械。
これ全て、今回の探索のために商人見習いの鴻屋 心太少年が買い集めてきたものである。

包みから出てきたのは、金属探知機やサーモグラフィー、地中内レーダー、ソナーなどで物探しというよりは未確認生物でも捕獲にきたかのような物々しさであった。

「ねえ、心太。これはなに?」

クレージュが指さしたのは、中ほどで折れ曲がったL字状の一対の細長い棒。一見して機械的な要素は皆無で、これだけが用意した道具から浮いていた。

「あー、それはダウジングロッド言うてな。ちょっと持ってみ?」

そういうと心太は二本のL字棒をクレージュに手渡した。

「で、片方ずつ片手にもって、そうそう、先端を先に向けるようにな」

クレージュは言われたとおり、一対の棒の先端を遺跡の奥に向けるように持つ。すると棒の先端がぴくりぴくりと動きだしたではないか。

「え、え?何か動き出したよ?」
「そら、そういうもんやしな」

クレージュは、ふんふんと興味深げにうなづきつつ棒が動くのに合わせて視線を動かしていたが、急に訝しげに小首をかしげた。

「これってそういうマジックアイテムなの?」
「そんなわけないやろ?棒自体はただの鉄の棒や」
「え?鉄の棒にそんな力があるの?」
「あるわけないやろ?」
「え?じゃあ、なんのためにあるの、これ?」

困惑するクレージュをよそに、心太はロッドを受け取ると、
「荷物に勝手にはいっとってな。まあ、効果があるかは知らんけど、無いよりマシかと思ってな」
「ふーん」
「あ、摂政様呼んどるで。いこっ」

なおも訝しげな顔のクレージュを尻目に、心太は道具を包みなおして、少し前に進んだ一行の後を追った。

余談。
ちなみに越前の台所事情を知る人には、これらの道具を買う資金がどこから出たのか不思議に思う者もあるだろう。その謎を解くカギとして、こんな話がある。

先日、王犬スットコドッコイ様の犬小屋が置かれた地面の下から偶然、持ち主不明の大金が発見されたという。そしてそれを発見したのはまだ年端もいかない少年だったという話だが、はてさて。

なおこの後、藩王セントラル越前は人知れず涙をながしたとのことだが、それは本当の余談である。


没文第三段・探索:探索というか探索用器具に関するお話。こちらは使う機会があったものの、やはり入れるページを間違えたためお蔵入りに。穴があったら入りたい……。

オペレート

オペレート


「さて、これから探索にはいるわけだが。とりあえずここは安全そうだな…よし、ではここを越前探索隊・臨時指揮所とする」

黒埼摂政の号令のもと、テキパキと簡易指揮所の設置が進んでいく。簡易天幕が貼られ、机とイスに端末が持ち込まれ、ナショナルネット接続のために鴻屋 心太少年の首筋からコードが引っ張られ、端末につながれる。端末からでもいいが、長距離通信にはサイボーグのナショナルネット接続の方がレスポンスが早いのだ。

「端末のセッティング終了!」
「ナショナルネットとの接続完了…続いて本国との回線開きます」

『……いはい~…ちら越前第二管制室。…っと、感度良好です』
「よし、こっちは問題なし。続いて探索隊とのリンク……完了。ナショナルネット経由でデータきました」

設置されたモニターに、先行偵察する予定の佐倉が頭につけたCCDカメラの映像が入る。

「あーあー聞こえますか?」
「ああ、大丈夫だ。聞こえている」
「よっしゃ、通信確保。予備回線バンドは渡した通り。これで問題ないはずや」

黒埼は着々と整う準備にうなづくと、指揮所に残る予定の二人に視線を移す。

「よし、これで通信環境は整ったな…では二人とも」
「はい…ほんとはちょっと洞窟の中も見てみたかったけど…」
「すまんな…土産は必ずもって帰るから」
「待ってます。それではこちらも地形解析に入ります。先に入った探索隊の情報はすでに取得済みですから、ある程度は誘導できると思います」

健気にもそういう少年たちに、すこしばかりの罪悪感を覚えつつも、黒埼は号令をくだした。

「うむ。では出発しようか…越前探検隊出発」

出発する一行を見送りつつ、二人は席につくとオペレートを開始した。


第四段。開始の直前くらいに書き上がった記憶があります。
というかここまで全部一人で書いてなんだが全部使われなかったのはある意味すごい。しかも行為無かったとか編成変わったのもあるけど、基本的には全部自分のミスで!……正直とほほと言う他ありません。

文責:刀岐乃

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