越前藩国 Wiki

状況:白兵戦2

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「腕部出力、限定解除!……発動!『アームバースト』ォオ!!」
パスワードを音声入力。
入力手段が戦場の騒音で不確実になると言うやつ(具体的には俺の相棒だ)もいるが、俺はやはりコイツに限る。
気合の入り方がまるで違うのだ。

キュゴォォォォォォォォォォ!!!

 リミッターを解除されたサイバーウェアが、雄叫びのような起動音と共に爆発的な出力を生み出す!
 圧倒的な出力を、研ぎ澄まされた技で完全な制御下に置いた一撃は、敵の巨体を支える脚部に命中し、地面に叩き伏せる。
 俺は素早く敵の頭部に駆け寄ると、

 ガンッ! ガッ! ガッ! ザンッ!  

 倒れた敵に剣を打ち込み、とどめをさす。

 一撃では不充分。確実を期して四連。
 鼻の部分の芯を叩き折り、両のこめかみを突く、そして最後に大上段から脳天に振り下ろし。

 連撃すれば斬撃回数に比例して刃筋は乱れようとする。
 柄をきつく握り締めた左手に右手を添えてそのブレを抑える。

 一瞬の間。

 最後の一撃を叩き込まれ、敵の動きは停止しているが残心。
 周囲に軽く視線を飛ばして警戒した後、ゆっくりと近寄りながら、視線を敵の上に落とす。
 今回の敵はしぶとい。気を抜けば背中を襲われる。確実に殺さなければいけない。

 既定時間の経過および敵の完全停止をサイバーアイの表示で確認。

 どうやら完全に死んでいるようだ。

「は、ひゅうぅ、かはぁ…!」

 理解すると同時に深く息をつく。
 どうやら、知らず知らずのうちに息を詰めていたようだ。

 苦笑したと同時に背後の気配に気付いた。

「戦いの間は呼吸を止めるな。
 呼気を乱すとリズムが崩れるぞ」

 あわてて振り向いたところに、相棒の聞きなれた声がかけられた。

「気をつけるよ。……そっちもしとめたのか?」
「あぁ」

 俺たちは、砕けた瓦礫を踏み越えて高台に出た。
 ひび割れた地面に敵影はない。振り仰げば、見覚えの無い、けれどどこかで見たような看板が、飴のようにねじれたまま焼け焦げたビルの壁に張り付いている。

 遠くから戦場音楽が聞こえてくる。

「向こうか。…行くぞ」
「りょーかい。ったく、キリがねぇな」

 俺達の戦いは、続いている。

(書:不破陽多)

タグ:

SS
+ タグ編集
  • タグ:
  • SS

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー