実力は敵手が遥か上。
それは最初からわかっていた。
だからこそ、参謀達が策を練り、皆の力を戦団長が束ねて戦いを始めたのだ。
しかし、それもいざ実戦に至り、今まさに敵と相対している自分にとっては些事に過ぎない。
仲間の支援の下、ただ駆ける。
胸に遠い日の師の教えが浮かぶ。
―古来より曰く、
―自らと匹敵する敵に絶対の勝利を得る唯一の手段。
―自らを凌ぐ敵に正面より互角の戦いをなす唯一の手段。
―自らと匹敵する敵に絶対の勝利を得る唯一の手段。
―自らを凌ぐ敵に正面より互角の戦いをなす唯一の手段。
―即ち
―捨て身!
「捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ。ってな」
つぶやき、敵の攻撃に自分から飛び込むように突っ込む。
つぶやき、敵の攻撃に自分から飛び込むように突っ込む。
敵の驚愕が伝わる。
(こいつ、死ぬ気か!?)
そう考えたのがわかった。
「違うぜ」
死ぬ気はないが、覚悟はある。
やり残したことはあるが、未練はない。
ならば――この命をかけるに支障はない!
瞬時の後、戦場には、
攻撃直後の隙を見せた敵と―
―あちこち怪我はしたが、死んではいない俺がいる。
攻撃直後の隙を見せた敵と―
―あちこち怪我はしたが、死んではいない俺がいる。
攻撃の構えはすでに終わっている。
あとはただ、
あとはただ、
「これで、終わりだ!!」
必殺の一撃を放つのみ!
(書:不破陽多)