やっと、ここまで来れた。
多くの人々の労力の積み重ねのもと、巡ってきた大チャンス。
だが積み重なった疲労に足は震え、もう立っていることもおぼつかない。
荒い息を吐きながら、しかし、目線を下げることだけはしない。
目はひたむきに目標を見すえる。
…もう無理だ。…無駄だ。…諦めろ。
意識の片隅に聞こえる言葉は、きっと正しい。今の自分には力が、足りないのだ。
だから――魔法を使う。
幼いころ、胸に刻んだあの言葉。
幼いころ、胸に刻んだあの言葉。
何の効果もないはずの、ただの言葉遊び。
「――私は、世界に問いかける」
それでも、これこそ最高の呪文と、心のどこかで信じている。
「私の勇気は、この胸の奥の、燃えるような想いは、」
そう、何度も何度も嘲笑され、否定され、それでも心に輝くこの光は。
「――真実か?あやまちか?」
今、その答えを求めよう。
「あやまちならば、この身に死を――」
この想いが、否定してきた人たちの言う通り、間違いだったのなら……自分は、ここで死ぬだろう。
でも、もし―
「真実ならば――」
どうか―
「――今ここに、大逆転の力を!!!」
――そして世界は選択する――
「……っ!」
わかった。
(ここに応援席の発言を張って下さい)
今、顔も見たことの無いどこかの誰かが大勢で、自分を見守り、応援してくれているのが。
その声援に応えるように、自分の中に力が湧き上がるのが。
それは本当にほんの少しでしかなかったが―
その声援に応えるように、自分の中に力が湧き上がるのが。
それは本当にほんの少しでしかなかったが―
「……ほらな……この胸の勇気は――間違いなんかじゃなかった!」
――ラスト・スパートを決めるには、充分だ!
そして、最も新しきヒーローは、世界の後押しのもと、ゴールを目掛け駆け出した!
(書:不破陽多)