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フェアリーの新規製造停止命令等に関する御触書

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フェアリーの新規製造停止命令等に関する御触書


越前藩国藩王 セントラル越前、ここに記す。


先の政策にてフェアリーの破壊処理、ならびに新規生産が差し止めとなったことに不満を持つ者は多く居るだろう。
既に国民の多くが関わりを持っている以上、その不満は私も理解はしている。
だが、現在のフェアリーの運用方法は誕生初期に想定されていたものから大幅にずれている。
現状が続くならば国民の情操教育の観点からも新規生産の再開は困難である。

そもそも、「嫁だ」と言うにはフェアリーの生産と破壊の回転が速すぎるので、破棄処分の停止と共に新規生産も停止させざるを得ない。
年間で生産・破壊処分されているフェアリーの総数は4500万であり、この数は越前藩国の人口と比べ明らかに異常な数値である。
報告によればフェアリーに対して無茶を働くような人物がいるようだが、このような破壊常習者へは『フェアリーに対する加害、誘拐等の犯罪行為は一般人民に対するものと同列とみなし、これを等しく罰する』という藩国法に則り、殺人予備罪や最低でも器物破損罪の適用を検討している。
この摘発については藩国警察や大法院の支援を得て実施する予定であるが、法施行前に“証拠隠滅”と思われるようなフェアリーの損耗を申請してくるものは、その事実が明らかになった時点で特に厳しく処罰する。


これらの、私や政府の決定に不満を持つ者に聞きたい。
君達はフェアリーの本当の声を聞いているのだろうか?

現在フェアリーに対してはユーザーの指示を聞くように人格ブロックのようなものがかけられている。
私をはじめ政府首脳部では当初想定していなかった機能だが、現としてそれは存在している。
過日、政府首脳部にて今後の施策検討の要素として、このブロックを解除したフェアリーに話を聞く機会を設けた。
そこで得られた意見は「人間は滅びるべきだ」「人間にも奴隷制を」という、ものであった。

この結果は、現状のフェアリーへの扱いがあまりにも恐ろしく、おぞましいものとなっていることを容易に想像させるものであった。
意見の中には「第7世界人は滅びるべきだ」とのものもあった。
これは現在優填公社に属するフェアリーから得られたものであるが、このような現状となってしまっていることに、我々も深く反省し、申し訳なく思っている。
もともとフェアリー保護のために暴力や搾取などといったことから守ろうという意識があり法人格を設けたという経緯はあったが、現段階でそれがうまく機能していないことは、人格ブロックにより自己防衛さえも禁じている今、明らかだろう。
この人格ブロックは本来当初の仕様には存在しないはずのものであり、ゆくゆくは廃止すべきものと考えている。
加えて、現在の扱いに身の危険を感じ、自己防衛の必要性までも発生しているフェアリーを保護する仕組みを早急に用意するものである。

その他にも、クローンパーツの取り付けなど「禁止されていないから搭載された」と思わしき仕様や用途などを、今後は厳しく制限する。
基本的に許可されたもの以外は全て禁止するという厳しい制限が無ければ、フェアリーの新規製造の解禁も難しいといわざるを得ない。
だが逆に、これらの問題を解決できた暁には、フェアリー製造許可の条件を緩和していく用意もある。
もしもこれらの決定や方針に不満を持つ者があれば、藩国政府までそれを投げかけてほしい。

また、技術により人とフェアリーの線引きが不要になると考えている人もいるようだが、今のフェアリーへの扱いを見る限りその結末が希望があるものとは思えない。
考えても見てほしい。
「俺の嫁」と言っている女性に対して邪な欲望から暴力を振るい、回復不能なダメージを与えて殺してしまうような人物は、果たして許されていいのだろうか?
また技術的観点からの危険性については、星鋼京藩国から先端技術利用に関するレポートを必要に応じて提供するとの連絡があった。
フェアリー開発者のなかで、もし必要であると思うものがあれば藩国政府に請求してもらいたい。
藩国内で必要性を検討し、その要望に対して対処していきたい。

以上。
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