「・・・あなたの精子が必要になった」
「???
 スマン・・・今 なんとっ?」

 一筋の戦慄がオレの背中を突き抜けた。長門よ、オマエは今言った言葉の意味が理解できて
いるのか? きっと今のはオレの聞き間違いだ。そうに違いない。そうであってくれっ。



 世界がこむら返りを起こすような一夜が明けて翌日の夕方、オレは再び長門有希の部屋に呼
び出ばれていた。
相変わらず必要最低限のものしか置かれていない殺風景なマンションの一室。ちゃぶ台を挟ん
だ向かい側に、湯飲みを持って鎮座している無表情な長門有希の口から、よもやこんな言葉が
飛び出してくるとはビックリ仰天だ。

 そんなクラクラするオレにお構いなしに長門は言葉を続けた。

「あなたに対する涼宮ハルヒの意識は、クラスメイト、仲間、友人と徐々にステップしていっ
 た。そして昨日の出来事以来、彼女のあなたに対する意識はもう一段上へとステップされた。
 そのことにより、精神状態の大きな変動は一応の収束を遂げたと考えられた。
 しかし、ココでまた新たな問題が浮上してきた。
 今まであなたによって抑えられていた涼宮ハルヒの精神状態が、今度はあなたによって予想
 し得ない、突発的な情報爆発を起こす危険が出てきたと認識された。
 ・・・・・・・・・・・
 つまり、今後彼女が、あなたの起因によって創造それた新世界には、彼女を抑制できる存在
 が居ない危険性が極めて高い。
 そこであなたの、涼宮ハルヒから選ばれる者の遺伝情報を採取保存しておくことが必要であ
 ると統合思念体は結論を出した」

 相変わらず理解不能だが、オレなりに何とか話をまとめてみた。
「つまりアレですか、もしオレが今後浮気とかしてハルヒの機嫌を損ねようものなら、ハルヒ
 が怒って、その情報爆発とやらを起こすって事なのか?
 その時はオレも消されてしまう・・・と?」
「・・・たぶん・・・解釈は間違っていない」

 長門は持っていたお茶を一口飲み、ゆっくり湯飲みを置くと、スッと立ち上がってこちらに
一歩一歩近付いてくる。ちゃぶ台は砂絵が風に吹かれるように消し飛び、二人の間を阻むもの
はなくなった。何だ何だこの展開は?

「・・・あなたは動かなくていい・・・何もする必要はない・・・・まかせて」

 そう言うと長門の制服もちゃぶ台と同じように少しずつ消えていき、真っ白な肌のスレンダーな
身体、控えめな胸が露わになってきた。

「ぶぐっ・・・!」

 朝比奈さんのようにロリ顔でダイナマイトボディっていうのもグッと来るが、長門のような
クールで無表情な顔でこのスレンダーボディというのも、それはそれで・・・たまりません!
不覚にも、下半身のある一部への昂ぶりを覚えてしまったオレを誰が責められよう?
オレだってやりたい盛りの青春高校生まっしぐらなんだからな。

「おい、ちょっと待てっ」
 それでも何とか冷静さを保とうと必死だったオレは言葉を発した。

「だ、だとしたら、こんな状況はかなりマズいんじゃないか?
 こんなことして、もしハルヒにバレたら、それこそとんでもないことになると思うんだが」
「心配ない・・・
 この空間は既にわたしの情報制御下にある。外界とは完全に遮断している。」

 長門の顔が徐々に近付いてきて、オレはその華奢な両腕に押し倒されていた。
間髪入れずに薄い唇がオレの口を塞ぎ、ぴちゃぴちゃと音を立てて小さな舌先が絡んでくる!
その間にも片手では寸分の狂いもなく的確にオレの胸元をまさぐり、一枚一枚服を脱がされて
いる。オレって・・・。

 なぁ長門さんよ。頼むからキスしてるときくらいは、その無表情な目でオレを見つめるのは
やめてくれないかな・・・。

「う・・・くうっ・・・ぐ・・・くはっ・・・」

 押し倒されたオレの両足の間に膝をついて、覆い被さってきている長門は、その小さな舌で
チロチロとオレの耳たぶ、首筋、乳首、へその周りから脇腹へと、オレの敏感な部分を時折確
認しながらも的確に責められて、我慢できずに声が漏れてしまっていた。
すっかり全裸にされてしまったオレは、両腕を華奢な腕で押さえられているだけにもかかわら
ず、抵抗することも出来ない。というより、もう既に抵抗する気持ちなんか何処かへ行っちま
ってるけどな。

 そして、すっかり大きくいきり立ってしまっているオレのモノは、長門が動く度に彼女の下
腹や太ももに当たり、その度にピクンピクンと反応し、先っぽから透明なモノがトロトロと垂
れてきてしまっていた。
 見た目こんなにいたいけな感じの少女に、すっかり組み伏されて感じさせられてしまっている。
もしこの場に谷口が間違って入って来たとしたら、ヤツは間違いなく卒倒するだろうな・・・。

 意識の底に僅かに残っている冷静なオレは、そんなコトを考えながら、自分のいきり立った
部分の向こうに見える、長門の身体にたった一枚残った熊さんプリントのパンティーを見つめ
ていた。
この柄は長門の趣味なのだろうか、それとも統合思念体とやらの・・・?
 そんな視線に気付いたのか、長門はふと顔を上げて喋り始めた。

「統合思念体には生殖行為によって種族・子孫を増殖させるという概念はない。
 ヒューマノイド・インターフェイスとして外見上は人間と同じものを形成しているが、気管
 としてのソレは備えていない。
 ・・・挿入行為は必要ない。・・・・心配ない」

 ふーんそうなのか・・・
何を心配ないと言っているのかよく解らんが、つまり、口とか手とか、そういう感じでしてくれちゃうという
わけなんだな。
少しホッとしたような残念なような・・・。
って、ホッとしたってなんだっ? どういうことだ?オレ・・・。

「・・・・しかし
 視覚的要素としてあなたが必要とするならば、露出する」

 おおっ、何というお言葉だろうか。そりゃあ見たいに決まっているじゃないか!
とは言っても、じゃあ脱げ!と素直に言えないような、なけなしのプライドも残念ながらオレには備わって
いたらしい。
そして、次に発したオレの言葉が今思えば恐らく、この時最後の理性だっただろう。

「でも、飯は食うんだなよな」
「ヒューマノイド・タイプのインターフェイスは宇宙エネルギーの受信効率が良くない。地球上で活動する
 ためには地球の摂理にかなったエネルギー摂取が不可欠。
 ・・・それが“食事”と呼ばれるもの」

 そんな説明を聞いている間にオレのモノは少し萎え始めていた。
それに気付いた長門は、一瞬オレの目を見て何かを感じ取ったのか、身体を起こしてオレの前
に座り足を開くと次の瞬間、最後の一枚だった熊さんプリントのパンティーがスーッと消えて
いった。

「な、長門!?」

 長門のソコは無毛地帯、いわゆるパイパン! なんて眩しすぎる光景なんだ!!
オレのモノは一瞬で漲りをとりもどした。ビンビンさっ。
長門は、オレの視線と反応を伺うように、こぢんまりしたソコを細い指で広げて見せた。
そ、そこまでやってくれちゃうんですかっっっ!

 よもや、あの長門がここまでするなんて、誰が想像し得ただろうか?
いつも部室の隅で、一人静かに本を読んでいる儚げな少女が・・・
古泉よ、今のオレにとってはハルヒなどではなく、まさに長門が神だ。女神だよ。
しかし、、、相変わらず表情の読めないその目は怖い・・・

「おまえ・・・恥ずかしいとか、そういった感情はないものなのか?」

 聞いてるこっちはめちゃくちゃ恥ずかしいんだが・・・

「恥ずかしい・・・・? ・・・・なに・・?」

 いやスマン。聞いたオレが間違いだった・・・。

 言い終わると同時に長門の顔がオレの股間に沈んでいき、小さな舌がオレのモノに絡みつく。
敏感なポイントを的確に、物凄いスピードで上下に、左右に、そして円を描くように這い回る。

「はぅぅぅぅっっっっ!!」

思わず声が漏れてしまう。
そして玉裏の部分から太ももの内側にかけて、触れるか触れないかの微妙なタッチで十本の指が撫で上げる。
その的確に計算され尽くした動きに、オレは為す術もなくよがり狂わされてしまっているのはどうしようも
なく当たり前のことだ。
今や長門のその細い指は、オレが大量に垂れ流している我慢汁まみれで、いやらしくヌルヌル光っている。

 突然、肛門のあたりに違和感を覚えた。

「長門っ まさか・・・?」
「・・・大丈夫」

 次の瞬間、ささやかな抵抗も虚しく、その細い指がニュルん…と進入してくることを受け容れてしまった。

「はぐうぅぅっ・・・!」

 何だこの未知の快感は・・・!? 
肛門の奥でウネウネとうごめく快感、玉裏をサワサワと撫で上げられ、高速で絡みつく舌の感触を竿部分に
感じながら、どんどんオレは絶頂の高みに昇らされていった。

 ヤバいっ オレはまだ一介の高校1年生だぞ。 こんな嬉しい…いや、イケナイ快感を覚えて
しまっても良いんだろうか?
まだ童貞だっていうのに・・・ぃ、、、いぃ、、、イキそうだ・・・イク、、イク、イク~~ッ!

 と、その瞬間、長門は全ての動きを止めて俺の目をジッと見た。

「な、長門ーっ!?」

 イク寸前で止められたオレのモノは虚しくビクンッ…ビクンッ…と空を切って脈打っている。

「・・・・童貞・・・心配ない・・・
 それに、あなたの初体験の相手はわたしではない。  涼宮ハルヒであるべき。
 わたしが必要としているのはあなたの遺伝子情報、つまり精子のみ。生殖行為は出来ないし必要
 としていない」

 それだけ言い終わると、再び長門の指が、舌が、オレの敏感な部分をまさぐり始める。
やがてその薄い唇がオレのモノの先端を塞ぐようにあてがわれた・・・が、、、

「・・・・・大きい・・・」

 どうやらオレのモノは大きすぎて、長門のその小さく可憐な口の中に含むには困難なようだ。
ああ、喜ぶべきか悲しむべきか、ビミョーだな。

 ふと考えるような素振りをした長門。その時、電子音のような音が聞こえた気がした。
すると、オレのモノの先端から唇を離し、トロ~~っとした唾液をオレの先端に垂らす。
唾液? 普通の唾液がこんなにドロドロしてるもんか!? なにか違うモノなんじゃないか??

 その唾液がオレの先端にまったりと絡みついたのを確認すると、左手で竿部分を握り、右手の掌で
やおら亀頭部分をグリグリと撫で始めた。

「ふぐぁっっっ!!!?」

 脊髄を走り抜け、脳天を直撃するようなエグい快感に、たまらず飛び起きてしまった。

「む、無理だ長門っ! 耐えられんっっっ!」
「・・・耐えて」

そう言ってオレを制すと、さらに亀頭部分をグリグリと撫で続ける。

「ぅがっっ・・・ぐぅっっ・・・ひぎぃっっ・・・」

ダメだ、、、快感がエグ過ぎてイキたくてもイケないし・・・。地獄のような快感が永遠続く。

「・・・気持ち良く・・・ない?」
「いいっ! イイッ・・・けど、、、も、、、もう無理・・・ヤメ・・・ヤメテッッッ!」

 何とか長門の手の動きを阻止したくて手を伸ばそうとすると、急に身体が、何かに固定
されてしまったように動かせなくなった。何なんだコレは? 反則だろーっ!!
それにしても、こんなこと・・・、おまえ、さっきは一体何処から何をダウン・ロードしてきたんだ???

「亀頭部分のみを正確に刺激すれば、射精することなく快感を与え続けられる。
 快感値が高いほど、快感値を多く蓄積させるほど、濃度の高い高品質の精子が採取できる。
 ・・・より多くのサンプルを採取できる」

 悶え苦しむオレの目の前5cmという至近距離から、その透き通った瞳でオレを覗き込みながら、
そう語ってきたが、もちろん今のオレはそんなコトを聞いていられる状態ではない。苦しいー!

 やがて竿部分を握っていた手が少しずつ上下に動き始めた。射精に至る快感が高まりはじめた。
た、助かった・・・。これでイケるかもしない、、イケそうだ・・・イケる・・・。

「あぁっ、、イク・・・イクッッッッッ・・・・・・・っ・・」

ビタッ・・・・・・
またしても長門の手の動きが止まった。

「うっ、、、ウソだろッッッッ長門ッッッ!!」
「・・・射精・・・したい?」

 そう言いながら、オレのモノを人差し指のみで、くすぐるように悪戯っぽく上下に撫で回している。
オレを見つめている長門の無表情な瞳は、何故かとても嬉しそうに悪戯っぽく見えた。
 もしかしてさっきのといい、わざとやっているのか?長門!!
きっとオマエからすれば、直前で止めるなんて事は造作もないことかもしれないが、あまりにも絶妙すぎる!
お願いです長門さん イかせてください!
もう既に、オレが懇願するような目付きになっていたことは言うまでもなかっただろうよ。
たぶん・・・。

「・・・そう」

 長門は向き直ると、亀頭部の先のみを包み込むように唇をあてがい、今度は舌先でグルングルン
と亀頭部分を刺激し始めた。

「はぐっ! ヒッッッ!」

 オレはまたもや間髪入れずに、無力に喘がされ始めていた。相変わらず身体の自由は奪われたままだ。
腰が引けるほどの強烈な快感をウケながら、寸分たりとも腰すら引けない状態。そのぶん快感は直接
背骨を駆け巡る。

 十本の指は玉を、肛門を、時には乳首や脇腹を的確に責めてくる。だめだ・・・まるで全身が性器にでも
なってしまったかの如く、体中が長門の指を感じている。身体がガクガクしている。
もう長門のスレンダーな肉体や無毛地帯をを眺める余裕すら、とっくに無かった。

「ああっ ダメだ・・・イクっ イキそうだっっ! いかせ・・・てっ!
 長門! 頼む~~~ッッッッ!」
「・・・採取開始」
「はぐぅゥゥゥッッッッ!!!!!」

ブシューーーーッ!!

「ハウッ! ウグッ! グフッ!!」
勢いよくそれは飛び出し、何度となく反復を繰り返した。

 何だこれは!? こんな射精の仕方ってあるのか?射精といえばドピュ!ドピュ!だろ普通?
今まで何回となくオナニーしてきたけど、こんな出方は初めてだ!
さんざん焦らされたりしたらこんなことになるのか? 驚きだ!自分新発見だっ。

 勢いよく長門の口の中に放出され、そのまま大いなる宇宙に転送されているかもしれないオレの精子。
凄いことだな・・・。

そんなコトを悠長に考えてる暇なんてのは、もちろん無かった。それよりも驚愕の事態がオレの身を
襲っていたからだ。

「お、オイッ!!」

 イッたにもかかわらず長門の手の動きが止まなかった。それどころか同じペースで扱き続けている
ではないか!?

「あっっっ ばっっっ ヤメテッッッ・・・ぐはぁっっっ!」

 まさか、実は長門はまだ、オレがイッてしまったことに気が付いてないんじゃないか・・・?
オレは直後も扱かれ続けている強烈な快感に阻まれながら、なんとか長門に訴えかけるのが精一杯だ。
長門の手は休むことなく動き続けている。長門の舌も亀頭の先をグリグリと刺激し続けている。

ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル・・・・
「アッッ! ヒグッッッッ! ん、、、な、、、な、長門っっ!」
ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル・・・・
「イッた! い、イッたからっ! も、もうイッたからッッ! や、、ヤメ・・・!」
「・・・認識している」
ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル・・・・
「だッッッ、、、だったら・・・もうっ、、、もうっ、、、アゥッ・・アフッ・・・!!」
「・・・まだ・・量が不足・・・」
ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル・・・・
「いや、でも、でもっ ハギィッッッ!!!」
「・・・続けていればまた、もっと・・・良くなる・・・」

 長門から返ってきたのは絶望的な言葉だけだった・・・。
きっとこの時のオレは半泣きで、涙とヨダレを垂らしながら白目を剥いていたことだろう。
 オレの目の前に居るのは無表情な面持ちで、ヘリウムガスのような瞳でこちらをジッと見つめ、
舌先を亀頭にこすりつけ、十本の細い指で淡々とオレのモノを扱く、一見可憐なはずの少女である。

 全身の痙攣のような反復運動状態が収まりつつあると同時に、徐々に次の射精感が襲ってきた。

「ふぅぅぅぅぅ・・・はぐぅっ・・・また、また、、い、イキそうだ・・・」
「・・・イッていい・・・」

 よかった。どうやら今度は素直にイカせてもらえるらしい・・・。
いや、ちょっと待てよ? 次イッたらやめてもらえるのか? そんな保証は何処にもないじゃないか。
次もそのまま責め続けられたら、それこそマジで、ホントにヤバいんじゃないか??
そう考えるとマズい! なんとか我慢しなくてはっっ!

 あ、でも、もうダメだ! またイッてしまいそうだ・・・。でもイッてしまったら、また直後責めの地獄が
待っているかもしれない。しかし長門の、ポイントを突いた正確無比な攻撃に何処まで耐えられるというのか。

そんなコトが頭を過ぎっているうちに、射精感は既に最高潮まで来てしまっていた。

「アゥッ! ダメだ長門ッ! もう出るっ イキたくないっ! イカせないでくれっ!!」
「・・・・・・・・」
「イキたくないっ イキたくないっ ダメだ! もうっ・・・出るーーーっ!!」
「・・・いい ・・・出して」

 相変わらず真っ直ぐな目でオレの顔を見つめ続ける長門。頼む!み、見ないでっ!!

ビッ...ビピュッ ピューーーッ!!

「ひっ ぃぎぃぃぃッッッッッ!!!」

 下腹部全体が宇宙の果てまで投げ出されたんじゃないかと錯覚するほどの二度目の噴出が、長門の
小さな口の中に吸い込まれていった。
的確に極限まで焦らされ、そして極限まで快感を高められての二度目の射精。
さすがにもう、ホントにどうにかなっちまいそうだ。

 これは一体なんの悪夢だ 長門が神だなんて言ったのはいったい何処のどいつだ!
今すぐここに連れてこい! …って、オレが言ったんじゃねぇかーっ!! スマン古泉。

 もちろん長門の指がここで止まることはなかった。
薄れ行く意識の中で長門の声が微かに聞こえた。

「・・・まだ・・・不足・・・・・」

 ・・・・・・・・・・


 あれから何回搾り取られたのだろう・・・。どうやら不覚にも失神してしまったらしい。
気が付いたときにはすっかり夜になっていた。統合思念体ってヤツは一体どんな欲張りなんだ。

 部屋の片隅で長門が正座して、何がしかの本を読んでいる。何を読んでいるのかはいまいち解らない。
恥ずかしくてオマエの方をハッキリ見れないからな。
だが、オマエが今読んでいる本が、SEXマニュアルとかといった関係の本でないことを祈りたい。

「とりあえず、帰るよ」

身なりを整えてそう告げると、長門は本を膝に置き、静かにこっちを向いて

「・・・そう」

 とだけ返事を返した。あの変態っぷりも今は微塵も感じられない、いつもの長門がそこには居た。
しかし、オレに向けられたその無表情な視線には、心なしか満足げな表情が伺えるような気がした。

 ヨタヨタと歩きながら帰る道すがら、今更ながらふと思ったんだが・・・
長門、オレの遺伝子情報を採取するなら、別に精子じゃなくても良かったんじゃないか・・・?
もっとこう、、、髪の毛1本、爪の破片一つでクローンだって作れるというじゃないか・・・・。

まさか長門・・・・・・???

 次の日からしばらく、怠い腰とズキズキする股間を庇って、ヨタヨタと歩くしかなかった。格好が悪い。
そんなオレに浴びせられる、ハルヒのジトーッとした視線も痛い。

「なぁーに キョン その無様な歩き方はっ?
 夏バテでもしたっていうの? はんっ! 精神がたるんでる証拠ねっ!」

 幸いにも今のところ、怪しまれている様子はないようだ。ハルヒのそんな罵声に耐えながら三日程が
過ぎた頃、オレもようやく体調が戻ってきていた。
長門はといえば、依然と変わらず部室の隅で静かに読書に耽っている。ホントに何事もなかったかのように。

 実はこの日の朝、オレの下駄箱に、またもや一通の手紙が入っていたのだった。
やっぱり下駄箱に手紙を入れるのは最近の流行らしい。どれどれ・・・。

『今日の部活が終わったら、後でまた部室に戻って来てくれますか?
                                  by 朝比奈みくる』

 朝比奈さん♪
自然に顔がほころんでしまうのは何でだろうっ。
もちろん行きますとも!


 ん? 待てよ?、以前にも似たような展開があった気がするが・・・・・・・・・・・。




終わり。 
最終更新:2007年03月16日 01:00