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ICTでは、3月10日に抗議活動が始まってから拘束されたままの900人以上の身元を明らかにしつつあります。

これらの情報には、ICTの情報源、家族・親族、僧侶、尼僧、現在亡命中の一般市民によってもたらされた第一報と、各種調査からのものが含まれます。
各種調査とは、米国の中国に関する議会・行政委員会(Congressional-Executive Commission on China 註8)、チベット亡命政府、亡命チベット人報道機関、公開情報、ラジオ・フリー・アジア(RFA)、ヴォイス・オブ・チベット、ヴォイス・オブ・アメリカ、チベット人非政府組織、さらに、グチュスム(チベット良心の囚人の会)やチベット人権民主化センターです。

(註8:CECCの政治囚データベースは、チベットにおける抑留者データとして、もっとも信頼の置ける情報源です。ウェブサイトは以下。www.cecc.gov)

3月から4月にかけて、中国国営放送の報道は4,434人を「暴徒」と表現し、その拘留を確認しました。彼らを3月の抗議活動に参加して拘束されたか、または4月9日までに自首した者としています。(註9)

この数字は明らかにチベット自治区のラサと甘粛省甘南(チベット名:カンロ)チベット族自治州に関するもの(新華社4月9日報道)であり、四川省ンガバ州も同様(人民日報3月25日報道)です。 しかし、中国における全てのチベット地域が含まれているわけではありません。

CECCによる国営放送の分析によれば、6月21日付で中国日報紙の記事が伝えている通り、ラサの抗議活動に関係した「微罪を働いたことについて後悔の意思を表明している1,157人」の釈放者を含めており、中国当局は、6月21日までに合計で4,434人中3,072人を釈放しています。当局者は4月9日までに自首、もしくは拘束された彼らを「暴徒」と位置付けています。(註10)

平和的抗議の逮捕の公式確認だけであれば、中国当局が発行しているチベット・デイリー紙を見れば明らかです。ここでは、13人の逮捕者が報告されています。「反動主義的なスローガンと雪山獅子の自作横断幕を掲げ群衆を集め、問題を起こしたため」群集が大声で騒いだからだとあります。3月10日、ジョカン寺付近でセラ寺の僧侶の拘留という事例も紹介されています。

このように多数の拘束者数の裏づけが当局自身の発表から明らかになってきています。 現時点において入手できる公的情報から、CECCの分析者が言えるのは、現状も1,200人以上が暴動の首謀者としての嫌疑を掛けられ、行方不明のままだということです。

抗議活動に関係する最初の判決は4月に出されました。30の判決で、3月14日のラサにおける暴動に関わったことを理由に有罪とされました。
国営報道機関の新華社の報道によると、ラサの中級人民法院で、1人の僧侶が終身刑に、他の2人が20年の懲役刑となりました。
終身刑を宣告されたチベット人の1人は僧侶、パサン(中国名:バサン)、もう1人はソナム・ツェリン(ラサの不動産会社の運転手)です。
僧侶のパサンはラサ市のトゥールン・デチェン出身であり、5人の僧侶を含む10人に、地方行政事務所を破壊させ、11の商店を粉砕し焼き払い、貴重品を強奪し、職務中の警官に襲い掛かったとされています。僧侶の内の2人は、20年の有罪判決を受け、他の3人は15年の判決を受けました。

過失致死罪の告発により有罪判決を受けたものは誰1人いませんでした。これはつまり、最も厳しい有罪判決がまだ控えていることを暗示しています。裁判の手続きが、申し分のないものであったのかは現在のところ不明です。なぜならば、急場しのぎの方法で透明性が欠如している政府が実施した裁判だからです。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW:人権監視団体)は、現在、ラサで実施された判決の手順の合法性に異議を申し立てています。裁判の手続きに対しても声明を発表しています。
検察側から提出された証拠に、4月初旬というだけで日付が明らかになっていないものが密かに手配されていたこと、またチベット人が自分たちの選んだ弁護士によって有効な抗弁を行う権利が拒否されていること(註11)、裁判の様子を報じた国営メディアの写真において、囚人の中の1人が椅子に座ったままになっていること。これは複数の観測筋から拷問によって立っていることさえできなくなってしまっていることの現れだと指摘されています。

(註9:公式報告書では「暴徒」として4,400以上のチベット人の内、3,000人以上を釈放している。 CECC 2008年6月9日www.cecc.org) (註10:ibid) (註11:「中国:チベット人抗議活動者が否定された公正な裁判」 HRW 2008年4月30日 http://www.hrw.org/english/docs/2008/04/30/china18684.htm

HRWはこう指摘します。「抗議活動について、平和的/暴力的の基準が一貫していない。検察院による告発は抗議者らしいという疑いに基づくものであり、無実かどうかではなく、有罪であると決め付けて逮捕してしまう。そして、非公開な裁判手続きで処理してしまう」
また、3月17日のチベット自治区党書記張慶黎の声明についても指摘しています。それは、彼が「迅速な逮捕と、迅速な取り調べ、迅速な処罰」を求めている点です。つまり、ラサの抗議活動に関わった者に対しては誰であれ「公平と公正な法的手続きの保障を尊重しなくてよいという実質的な政治的指示」を行ったのです。(註12)

中国人の弁護士(チベットでの告発に対する弁護をかって出る公開提案書に署名した18人の内の1人)が、充分な法的支援を受けた判決がチベット人に対して下されるかどうかは分からないと述べました(ワシントンポスト4月29日付)。 同じく公開提案書に署名をしている弁護士の滕彪は、政府が彼ら弁護士たちに対し、「チベット問題は非常に微妙なもの」なのだという理由で、法的支援の提案を撤回するよう圧力を掛けてきたと述べました。
HRWは次のように補足しています。チベット人が直面している裁判は「秘密を保ち隠蔽するという慎重な方針」の元で運営されるため、弁護士集団による法廷弁護という公開提案を政府の決定に基づいて妨害したのだと(註13)。

ニュース報道もまた、終身刑の判決と2人に対する長期の懲役刑に対し、四川省ンガバチベット族自治州でのロタ郷出身の3人のチベット人への「殴打・破壊・略奪」の罰として判決が重すぎると問題提起しました。
23歳のケルベ氏は6月10日頃に終身刑の判決を受けました。この地域出身のチベット人亡命者によると、一方で27歳のツェコ氏は懲役13年、25歳のティズ氏は懲役15年の有罪判決を受けました。

ンガバチベット族自治州中級人民法院がこれら全ての判決を下し、前出の亡命チベット人からICTに伝えられた情報では、3人は法的代理人を得る権利を拒否されていたとのことです。この情報提供者は、他にも当該地域出身のおよそ17人のチベット人たちが裁判を控えて拘留中であると伝えています。

深刻な問題として、抗議活動に関わったとされる未成年が有罪判決を受けたかもしれないという懸念があります。
最近、マチュ在住で16歳のチベット人少年に懲役12年の有罪判決が下されたという情報があります。
それは、その罪状は確認不可能にも関わらず、「政治的」であるという理由だけで、またマチュの抗議集会に「参加したかもしれない」という容疑だけで告発されることを意味しています。

孤児であると思われるクンチョク君は、4月11日に拘束され、罰金として15,000人民元(2,195米ドル)を支払うよう求められました。これは、彼が支払えない金額であることを見越した命令です。チベット人たちが何とか彼の罰金に当てるお金を集めたにも関わらず、彼は釈放されず、6月15日に有罪判決を受けました。
複数の情報では「有罪判決はラサ・西寧の聖火リレーの時期に行われました。同時に、数多くの治安警察官が増援され、人々はきっとオリンピックのせいに違いないと思っていた」とのことです。

アムネスティ・インターナショナルもまた、数多くのチベット人拘束者について深刻な懸念を表明しています。
「何百人もの、もしくは何千人ものチベット人が、監獄もしくは留置場で虐げられている。中国政府は彼らがどのような容疑でこのような扱いを受けているのか公式に確認すらしていない。もしくは彼らの犯罪行為なるものについて正式な告訴もされていない」(註14)

大規模な平和的抗議活動への武力行使は「理にかなったもの」であり「中国の法律に従ったもの」であるとして、チベット全域における権力の行使を当局者が正しいと考えている証拠があります。
2008年3月16日、人民武装警察長官呉双戦氏は次のように述べました。 「私は正直に申し上げる。我々がチベットにおいて採用した手段は、国際法によっても、武装警察の憲法上の権利においても、違法ではない。(中略)私が此処ではっきりと申し上げたいのは 、誰1人として指令の委任に対して行き過ぎの行為を働いたものはいない。」(註15)

(註12:「中国:チベット人抗議活動者が否定された公正な裁判」 HRW 2008年4月30日 http://www.hrw.org/english/docs/2008/04/30/china18684.htm
(註13:ibid)
(註14:「中華人民共和国:チベット自治区:拒否された接触」 アムネスティ・インターナショナル 2008年6月18日 www.amnesty.org)
(註15:ロイターによる報道(2008年3月16日)より引用) さらに、チベット自治区党書記張慶黎によって許しがたい発言がありました。 2008年6月、ラサにオリンピックの聖火が持ち込まれようとしており、恐怖と脅迫の雰囲気に包まれる中、弾圧が最高潮に達していたとき、国際オリンピック委員会(IOC)は彼の発言を非難しました。 彼は「中国当局は、五輪を“崩壊”させようとするダライ・ラマの計画を“断固粉砕”することで、さらなる栄光を五輪精神にもたらす」ことができると発言し、IOCから北京オリンピック委員会へ宛てた手紙で五輪を「政治化」したと告発されています。
(註16) (註16:「国際オリンピック委員会がチベット党組織のボスを非難する前例を作る」 ICT(インターナショナル・キャンペーン・フォー・チベット) 2008年6月28日)