刑事訴訟法

  • 刑事訴訟法(昭和23年7月10日法律第131号) 最終改正:平成28年6月3日法律第54号 → 平成29年6月23日法律第72号 ※最終改正までの未施行法令あり。
  • 刑事訴訟規則(昭和23年12月1日最高裁判所規則第32号) 最終改正:平成28年10月18日同第6号 → 平成30年1月15日同第1号

刑事訴訟法改正関係(最近改正された主なものに限る。)
  • 平成11(1999)年:通信傍受法(平成11年8月18日法律第137号)成立。
  • 平成12(2000)年:大幅改正&犯罪被害者保護法(平成12年5月19日法律第75号)成立。
  • 平成16(2004)年:公判前整理手続、即決裁判手続、被疑者国選弁護人制度他(平成16年5月28日法律第62号)
  • 平成16(2004)年:裁判員制度(平成16年5月28日法律第63号)(平成21年5月21日施行)
  • 平成17(2005)年:刑事収容施設法(平成17年5月25日法律第50号)成立。
  • 平成19(2007)年:被害者参加制度、損害賠償命令制度他(平成19年6月27日法律第95号)
  • 平成22(2010)年:公訴時効改正(平成22年4月27日法律第26号
  • 平成23(2011)年:記録付差押え命令等(平成23年6月24日法律第74号) 
  • 平成28(2016)年:取調べの録音・録画制度の導入等(平成28年6月3日法律第54号)※施行日:一部の規定を除き、公布の日(平成28年6月3日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日
  • 平成29(2017)年:平成29年6月23日法律第72号:「刑法の一部を改正する法律」関係(施行日:平成29年7月13日)

(注)上記の記載内容について、官報において掲載された内容と異なる場合は、官報が優先します。


【基本書】

〔メジャー〕

  • 宇藤崇・松田岳士・堀江慎司『刑事訴訟法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2018年2月・第2版)……鈴木茂嗣門下による共著テキスト。判例・通説をそつなく紹介しており、判例分析はとりわけ詳しい。重要な41判例の要旨を掲載しているのも特徴的である。各制度の理論的根拠を示しつつ個々の要件解釈にもきちんと触れているため、全体的に完成度が高い。特に、堀江執筆の証拠法は白眉である。全体の分量が増えすぎることのないように削らなければならなかった記述も少なくない(はしがき)とのことであり、情報量は、詳細な体系書と有斐閣アルマの中間といったところであろう。捜査・公訴・証拠パートは詳しく、司法試験の刑事訴訟法分野はこれでカバーできる。しかし、その他の手続の記述はそれほど厚くなく、合格後や予備試験の実務科目を考えるとこれ一冊では少々厳しい。コンメンタールや講義案と併用するとよいだろう。第2版において、2016(平成28)年刑訴法改正に加え、近年の重要判例にも対応。序章+全8章。A5判、600頁。

  • 上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2015年2月・第4版〔☆改訂予定あり?〕)……著者が「はしがき」で明言している通り、本書では司法試験受験生による使用を前提として各分野について基礎から丁寧な解説が為されており、とりわけ「迷宮」となりやすい訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力などについて詳述している。もっとも、記述の粗さや判例の理解の不正確さなどの難点も指摘されている。全18章。A5判、676頁。

  • 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2018年3月・第6版)……最高裁調査官や高裁長官も経験した元刑事裁判官と刑事法学者による共著。通称「イケマエ」。捜査における人権侵害や冤罪の発生は、国民全体の利益を最大化するためにはやむを得ないという独特の立場を採る。判例を豊富に取り上げており、読みやすく、初学者が手を出しやすいが、理論的な精緻さに欠け、判例の分析も独自色が強い。しばしば本書の見解が「実務」の見解の代表であるかのように誤解されるが、著者の法解釈は判例・実務と完全にイコールというわけではなく、時代遅れの部分もあるので注意されたい。裁判員裁判導入前の典型的な検察官寄り裁判官と警察の御用学者による警察・検察寄りの著書という意識をあらかじめ持った上で読めば、有用であろう。第6版において、平成28年改正に対応。序章+全9章。A5判、608頁。

  • 長沼範良・田中開・寺崎嘉博『刑事訴訟法(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2017年4月・第5版)……定評あるスタンダードなテキスト。基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクトに穏当な見解でまとめられている。記述が平板であることから、最初の一冊としては向かないかもしれないが、薄いながらも情報が凝縮されていることから、まとめ本として好適である。なお、全体的に穏当な見解でまとめられた本書にあって、寺崎による訴因論はかなり独自色が強いため、この部分については読み飛ばして他の本で補充することが望ましい。有斐閣のケースブックである『ケースブック刑事訴訟法』や『演習刑事訴訟法』などの発展学習へのつながりが良い。なお、GPS捜査最高裁大法廷判決(平成29年3月15日)には未対応。序章+全8章。四六判、438頁。


〔その他〕

  • 酒巻匡『刑事訴訟法』有斐閣(2015年11月〔☆2018年刊行予定?・第2版〕)……松尾門下。東大系学者による単著。法学教室誌上での連載(「基礎講座・刑事手続法を学ぶ(1)~(26・完)」)に大幅な加筆を行って書籍化された。判例の規範分析の緻密さと分厚い自説論証が特徴の最高水準の体系書。刑訴法の解釈にとどまらず、憲法の刑事手続関連条項を踏まえるとどこまでの法改正が許されるのかという立法論まで言及しているのも本書の特徴の一つ。酒巻説自体は東大系主流学派の学説を盛り込んだいわゆる学界通説に近い。A説、B説があって、自説はこれであるという論述スタイルを採らず、したがって、他説紹介はほとんどない。学説「名」の紹介は一切なく、脚注もないため、オリジナルの文献に遡るのが困難であること、上訴・再審の記述が薄いことが難点。H28刑訴法改正法律案に対応。序+全7編。A5判、680頁。

  • 裁判所職員総合研修所監修『刑事訴訟法講義案』司法協会(2015年12月・4訂補訂版)……通称『講義案』。裁判官による書記官向けの本だけあって、実務寄り。条文・定義・手続を淡々と説明している。証拠法には定評があるが、捜査が非常に薄く、他の本での補充が必須である。その場合には、同じく実務寄りの幕田英雄『実例中心 捜査法解説 ―捜査手続・証拠法の詳説と公判手続入門』東京法令出版(2019年4月・第4版)など、実務の立場から書かれた書籍を用いるとよいだろう。序論で刑事訴訟法の基礎原理について、本論で訴訟手続について一連の流れに沿って解説がなされている。4訂補訂版において、旧版(2011年5月・4訂版)刊行以降の判例等が多数補充された。全11章。A5判、564頁。

  • 田口守一『刑事訴訟法(法律学講義シリーズ)』弘文堂(2017年3月・第7版)……西原門下。あっさりとしたコンパクトな記述が特徴的である。そのため、理論的な深みに欠け、論点の掘り下げも浅いが、無難な見解で基本事項を網羅的に解説しているという意味で試験対策的には良書である。短所としては、訴因で特異な見解が採られている点、判例の引用数こそ多いが、最新の基本書と比べると判例分析が甘い点、およそ論理的とは言い難い記述が散見される点などが挙げられる。また、前述のように論点の掘り下げが浅く、試験頻出の論点についても記述が薄い箇所があるため、本書をメインの基本書として利用する場合は、他の参考書などを併用して適宜補充することが重要である。第7版において、平成28年改正に対応。全8章。A5判、552頁。

  • 渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2013年3月・第2版)……西原門下。田口の弟弟子。2017年に逝去。ロースクールの実務家教員による司法試験受験生向けの教科書。コアカリキュラムにも対応している。著者が田口と同門ということもあってか、田口『刑事訴訟法』の記述を敷衍したような内容となっており、基本事項・重要論点の解説・系統立ても田口より丁寧である。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのがよい。全15章。A5判、684頁。なお、同著者による論点解説本として『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・第2版)がある。

  • 白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2017年3月・第9版)……田宮孫弟子。白取説は徹底して被疑者寄りの少数説で貫かれており、本書では、実務の世界からおよそかけ離れた独自の白取ワールドが展開されている。そのため、初学者がいきなり本書に手を出すのは避けたいところである。もっとも、判例・通説・実務の現状や原理・原則をある程度踏まえたうえでの展開となっているため、白取説に立たなくても刑事手続について立体的に理解するには有用である。判例・通説をあらかじめしっかりと理解したうえであれば、本書に手を出してみるのもよかろう。また、著者が少数説を採っているということもあってか、学説の紹介に詳しく、調べものなどの役には立つ。捜査や公判については詳細であるが、証拠法ことに自白の記述が弱い。第9版において、2016年刑訴法改正に対応。序章+全5章。A5判、592頁。

  • 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2013年7月・第3版)……白取と同門。イラストや図表を豊富に使用し、重要な用語には適宜マークを付すなど、視覚的な工夫を随所に散りばめた予備校本を思わせるビジュアルが特徴的である。もっとも、肝心の内容は、判例や通説の論理に対して徹底的な批判を加える一方で、説得的な理由付けもなしに独自色の強い自説を延々と展開するなど、読者の混乱を招きかねないものとなっているため、注意が必要である。長所としては、論点および学説を豊富に取り上げており、他の基本書においてはあまり取り上げられることが少ない論点およびその意義について、学生と教授という設定で、ダイアローグ演習形式によって詳しく解説している点があげられる(なお、女子学生F子の独特の口調のせいで、非常に読みづらいものとなっている)。A5判、582頁。

  • 安冨潔『刑事訴訟法』三省堂(2013年6月・第2版)……はしがきにあるように修習生や若手弁護士も読者として意識していることから、情報量が類書と比べ圧倒的に多い。辞書としての使用が主になるだろう。増刷の際に改訂頻繁。序章+全20章。B5変型判、712頁。

  • 安冨潔『刑事訴訟法講義』慶應義塾大学出版会(2017年4月・第4版)……上記著者による通読向きの概説書。2色刷り、図表多用。各章末に「論点とまとめ」と題された論証カードのようなものが付されているなど、学者の書いた予備校本といった趣が強い。第4版において、平成28年刑事訴訟法改正に対応。序章+全19章。A5判、482頁。

  • 小林充原著、植村立郎監修、前田巌改訂『刑事訴訟法』立花書房(2015年5月・第5版)……故小林充(元仙台高裁長官)の著書を前田巌(元最高裁調査官)が補訂し、植村立郎(弁護士・元東京高裁部総括判事)が監修者補注を付したもの。取調べ受忍義務肯定説、別件基準説、証拠能力付与説などいわゆる実務説を採っており、「説得力と安定感ある論証・叙述」(改訂者あとがき)となっている。学説対立の記述はあっさりしており、東大系学説(出頭滞留義務・取調べ受忍義務区分説、実体喪失説、伝聞性解除行為説など)への言及はない。論点は広く浅く(時には深く)拾っており、判例もコンパクトにまとめていることから、まとめ用に向いている。その反面、記述があっさりしているため、初学者にはとっつきにくいかもしれない。全14章。A5判、416頁。

  • 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2012年6月・第5版)……非常に分かりやすく読みやすい叙述であり、また、判例の正確な紹介と批判、学説の位置づけの的確さ、バランスのとれた解釈論に定評がある。序論(刑事訴訟法の意義と目的)+全9編。A5判、570頁。

  • 川端博『刑事訴訟法講義』成文堂(2012年3月)……団藤門下。刑法学者として有名な著者による刑訴法の基本書。『刑法総論講義』、『刑法各論講義』と併せて「刑事法三部作」を構成する(はしがきより)。レジュメ調で基本事項に重点を置いて説明しているが、議論水準は一昔前のものに留まっており、論点落ちも多い。特に捜査は薄く、現在の司法試験の傾向とは合致していない。他に優良な基本書が存在する今、あえてこの本を選択する必要性は乏しいだろう。A5判、540頁。

  • 平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月、2010年11月)……元刑事裁判官。「ひららぎ・ときお」と読む。旧著『捜査法』(2000年4月・第2版)の改訂版ではなく、全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習者向けテキスト。旧著よりもページ数は減ったが、内容の密度は増した。また、文字のポイントの小ささも増した。上訴・再審なし。『捜査法』は『講義案』との組合せで用いると良いとの声あり。A5判、278頁・343頁。

  • 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……レジュメ本。「判例の理論化」という帯がついている。前半はレジュメそのままであり、重要事項であっても説明が軽く流されてしまっているが、途中から説明が丁寧になり、詳細な理由付けがなされていくという不可思議な本である。といっても、レジュメ形式で書かれていることには変わりなく、やや読みづらい。渥美を擁した中大系ではあるが、特に渥美説を採るわけでもなく、判例・実務寄りである。下手な基本書よりは使える。A5変型判、432頁。

  • 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2012年3月・第2版)……元最高検検事による教科書(概説書)。検察寄りの立場。捜査法が詳しい。A5判、448頁。

  • 加藤康榮『マスター刑事訴訟法』立花書房(2012年10月・改訂版)……平成23年改正に対応。A5判、448頁。

  • 加藤康榮・滝沢誠・宮木康博・三明翔『ケース 刑事訴訟法』法学書院(2013年9月)……元実務家と若手研究者教員による、ケース(具体的事例)を足掛かりに解説した基本テキスト。A5判、360頁。

  • 大久保隆志『刑事訴訟法(法学叢書)』新世社(2014年4月)……元検察官による体系書。実務の一端を知るには有用だが、試験には使いにくい。身柄拘束中の被疑者取調べにおいて、出頭・滞留義務を否定しつつ取調べ受忍義務を肯定する異説を採る。全17章。A5判、480頁。

  • 植村立郎『骨太 刑事訴訟法講義(骨太シリーズ2)』法曹会(2017年10月)……著者は元刑事裁判官。刑事訴訟法に関する理論と実務の基本的な事項がすっきりと骨太に理解できるように、判例を中心とした視点からわかりやすく説明した教科書(はしがき)。実務家目線で読むと興味深い見解が多々述べられているが、司法試験的にいうと典型論点の理論的説明が物足りない。したがって、初学者が1冊目に読む本ではなく、修習生や実務家が読むべき本といえる。事項索引がないのが難点。全10章。A5判、538頁。

  • ☆椎橋隆幸・安村勉・洲見光男・加藤克佳『ポイントレクチャー刑事訴訟法』有斐閣(2018年12月)……全体が30のUNITで構成され、UNIT毎に特に重要な点が「POINT」として明記された新しいタイプの刑訴法の教科書。A5判、514頁。



【その他参考書】

  • 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19・完)」(法学教室連載・283号~306号)……捜査法・訴因論の重要論点を学生向けに解説。通称「酒巻連載」(法学教室355号~394号に連載された「基礎講座・刑事手続法を学ぶ(1)~(26・完)」と区別するために「酒巻旧連載」とも呼ばれる)。証拠法はほとんど扱っていないため、本連載のみでの学習は困難である。また、連載が2004年であることから多少内容が古い。各回の目次など→雑誌連載・企画

  • 緑大輔『刑事訴訟法入門(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2017年9月・第2版)……書名に「入門」とあるが、入門書というよりもむしろ、既に一通り基礎知識を修得した学生向けの論点解説書といった方が適当である。基礎から応用へのステップアップとして有用。全25講。A5判、372頁。

  • 井上正仁『強制捜査と任意捜査』有斐閣(2014年12月・新版)……団藤門下。大家の手による捜査法に関する論文集。捜査法における最重要文献の一つ。新版の改訂にあたっては、新たに3つの論文が追加され、既収録の論文についても、判例や文献がアップデートされるなど加筆修正が施された。捜査分野における諸論点を重要判例とともに詳細に解説している。論文集ではあるが、収録されている論文には百選や争点に掲載されたものも含まれており、また、法学教室413号の書評で「しっかり刑事訴訟法を学ぶには最適の教材」と評されていることからも、試験対策としても得るところがあるだろう。A5判、526頁。なお、同著者による『捜査手段としての通信・会話の傍受』有斐閣(1997年10月・絶版、A5判、274頁)及び『刑事訴訟における証拠排除』弘文堂(1985年12月、OD版:2015年1月、A5判、602頁)も重要文献であり、できる限り図書館等で目を通しておきたい。

  • 井上正仁・酒巻匡編『刑事訴訟法の争点(新・法律学の争点シリーズ 6)』有斐閣(2013年12月)……B5判、208頁

  • 松尾浩也『刑事訴訟法上・下(法律学講座双書)』弘文堂(上:1999年11月・新版、下:1999年3月・新版補正第2版)……平野門下。2017年12月に逝去。著者は「精密司法」という用語の発案者であり、ここからも伺えるとおり、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、アメリカ寄りにもなっておらず、我が国の刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとに螺旋状に手続過程を辿っていく形になっている。網羅的で記述にムラがない分、いわゆる重要論点の論述も相対的に薄くなっている。文章は、客観的かつ平易で極めて読みやすいが、かなり考えられたうえで書かれているため、早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はないが、新しい判例との親和性は概ね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11と松尾上261頁以下を比較してみれば分かる)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的に最も頼れる参考書と言えよう。なお、2004年までの法・規則改正に関する補遺は、弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。A5判、360頁・400頁。

  • 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつわかりやすい記述が特徴。特に、伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴的であるが、本書は、教科書という特性から、我が国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務から離れているわけではない。新しい強制処分説、違法排除説で有名。増刷に伴い1998年12月までの動向が補訂されたものの、1999年に著者が他界し、それ以後の新判例、法改正、論点については記述がないため、記載内容は古く、基本書とするには向かない。しかしながら、その記述は刑訴法の理解に今なお資するものであり、副読本として根強い人気がある。A5判、588頁。

  • 三井誠『刑事手続法1・2・3・(4)』有斐閣(1997年6月・新版、2003年7月、2004年5月)……「4」は未刊。法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。B5判、216頁、A5判、490頁・444頁。

  • 渡辺直行『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・第2版)……「基礎理論、本質論に遡って理論と実務を考えていく」との視点に立った法科大学院実務家教員のテキスト。なお、著者は、2017年1月に逝去された。全15講。A5判、386頁。

  • 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…著者は2014年に逝去。反実務説・反多数説を求めるならば、渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。独自の体系、用語法、そして拙劣な日本語により、司法試験の基本書にはまったく向かない。したがって、読むならば司法試験合格後ということになろうが、上記のとおり反実務・反通説を貫く本書を修習中に読破することの意義もまた見出し難い。もっとも、渥美説そのものはなかなか面白いので、純然たる趣味と割り切って、その晦渋な文章と付き合うならば、良き思い出ともなろう。序章+全10章。A5判、688頁。

  • 光藤景皎『刑事訴訟法I・II』、『口述刑事訴訟法 下』成文堂(2007年5月、2013年7月、2005年11月)……名前の読みは「みつどう・かげあき」。「口述刑事訴訟法」として上・中・下3冊組であったが、上・中は「刑事訴訟法I、II」として改訂。下(上訴・再審)の改訂は、今のところ未定。旧司法試験時代から、証拠法分野には定評がある。IIの証拠法パートでは、アメリカ証拠法の判例・学説を多数引用しており、参考になる。自説は基本的に人権尊重であるが、判例の分析はきちんとしており、役に立つ。A5判、390頁・332頁・150頁。

  • 田口守一・佐藤博史・白取祐司編著『目で見る刑事訴訟法教材』有斐閣(2018年3月・第3版)……B5判、146頁。

  • 太田茂『応用刑事訴訟法』成文堂(2017年9月)……B5判、348頁。

  • 太田茂『実践刑事証拠法』成文堂(2017年9月)……B5判、450頁。

  • ☆酒巻匡・大澤裕・川出敏裕編著『井上正仁先生古稀祝賀論文集』有斐閣(2019年3月)……刑事訴訟法理論に係る論攷40篇を収録。A5判、924頁。


〔古典〕

  • 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』創文社(1967年・7訂版)……現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された初版は、実務家に広く受け容れられ、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今でもなお團藤説(権力分立・適正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残していると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なり、もはや学界で支持されることはほとんどないが、平野説と並び、ほとんどの文献における記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献のひとつであることに間違いはなく、名著である。

  • 平野龍一『刑事訴訟法(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1958年12月、OD版:2006年1月)……有斐閣法律学全集の中でも三ケ月章『民事訴訟法』と並び称される不朽の名著。アメリカ寄りの体系に立ち、團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の礎として、團藤・上掲書と双璧をなす存在となっている。訴因論などは、今でも一読の価値がある。A5判、373頁。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年3月、A5判、248頁)もあるが、平野説に触れたい場合には、より詳細な本書を読むべきであろう。

  • 平野龍一・鬼塚賢太郎・森岡茂・松尾浩也『刑事訴訟法教材』東京大学出版会(1977年10月)……小説立ての教科書。平野がハーバードに留学した際にアメリカの証拠法の教科書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通しているため、非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習書としての機能も備えている。読み物としても面白い。出版されてから大分経つが、今なお亀井源太郎等が参考書として挙げている。A5判、298頁。

  • 高田卓爾『刑事訴訟法(現代法律学全集)』青林書院(1984年2月・2訂版)……A5判、720頁。

  • 鈴木茂嗣『刑事訴訟法(現代法律学講座)』青林書院(1990年4月・改訂版)……A5判、394頁。

  • 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。A5判、622頁。

  • 臼井滋夫『刑事訴訟法』信山社(1992年3月)……元検事。A5変型判、410頁。

  • 井戸田侃『刑事訴訟法要説』有斐閣(1993年3月)……訴訟的捜査観ないし訴訟的構造論、公訴権濫用論など。A5判、362頁。

  • 内田文昭・河上和雄・垣花豊順・長井圓・安富潔『刑事訴訟法(青林教科書シリーズ)』青林書院(1993年4月)……A5判、412頁。

  • 庭山英雄・岡部泰昌編『刑事訴訟法(現代青林講義)』青林書院(2006年7月・第3版)……A5判、約384頁。


〔実務関連書〕

  • 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規出版(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分、実務の運用や判例の引用が多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり、実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かないが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。A5判、1510頁。

  • 三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)……1つの論点を判事・検事・弁護士の3つの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。

  • 三井誠・渡邉一弘・岡慎一・植村立郎『刑事手続の新展開 上・下』成文堂(いずれも、2017年9月)……上記『新刑事手続I・II・III』の実質的な改訂版。A5判、606頁・694頁。

  • 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月、1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため、判例時報社が引き継いだ。A5判、472頁・333頁。

  • 高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I,II(別冊判例タイムズ34,35号)』判例タイムズ社(2012年8月、2013年1月)……令状関連実務について実務家が解説。全2冊。I・・総論、逮捕・勾留。II・・保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告。

  • 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。もっとも、記述があまりにも実務的かつ各論的すぎるので、司法試験受験生が読みこなせる本ではない。本書を玩味して理解を深めることのできる者は、既に合格水準を優に超えているといえるので、使いどころが難しい。A5判、600頁。なお、同著者の論文集として、『刑事訴訟の諸問題』判例タイムズ社(2014年6月、A5判、720頁)。

  • 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。『刑事証拠法の諸問題上』所収の三好幹夫「伝聞法則の適用」は、伝聞法則を理解するのに有用。

  • 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2016年6月・平成27年版〔?・平成30年版〕)…司研テキスト(白表紙)。「隠れた名著」とも言われるが、本書はあくまで司法試験に合格した者に対して「実務的」な知識を習得させることを目的とした書籍である。そのため、全体として試験範囲との齟齬は否めない。さらに独自説も多々見受けられ、特に訴因については未だに公訴事実対象説を採るなど現在の学説と乖離しており、司法試験向きとは到底言えない。「司法研修所」という言葉や「検察実務」という雰囲気に変な期待を持つべきではない。予備試験実務科目の対策としても当然ながら検察の手続きしか載っていないので、不十分である。現在、司法修習生には平成30年版が配布されているが、今のところ市販はされていない。全8章。A4判、230頁→?。

  • 渡辺咲子『任意捜査の限界101問』立花書房(2013年8月・5訂)、廣上克洋編『令状請求ハンドブック』立花書房(2014年6月)……実務家(捜査官)向けの捜査法のQ&A集。B6判、224頁。『令状請求ハンドブック』は、司法研修所検察教官室の公式本で『令状請求の実際101問』の改訂版。任意捜査と強制捜査の実際を知るためには有益である。A5判、272頁。

  • 伊丹俊彦監修、倉持俊宏ほか著『適法・違法捜査ハンドブック』立花書房(2017年5月)……通信傍受法の改正にも対応。A5判、432頁。

  • 幕田英雄『実例中心 捜査法解説 ―捜査手続・証拠法の詳説と公判手続入門』東京法令出版(☆2019年4月・第4版)……第4版(2019年4月)から、書籍の副題が「捜査手続から証拠法・公判手続入門まで」から現在のものに変更された。第3版補訂版(2017年11月)において、平成28年の刑事訴訟法改正に対応。第4版は、平成31(2019)年1月31日現在の内容。全5編。A5判、824頁。


〔平成28年法改正関係〕

  • 小坂井久・青木和子・宮村啓太編著『実務に活かす Q&A 平成28年改正刑事訴訟法等のポイント』新日本法規出版(2016年8月)……A5判、276頁。

  • 川崎英明・三島聡・渕野貴生編著『2016年改正刑事訴訟法・通信傍受法 条文解析』日本評論社(2017年2月)……今般法改正に批判的な学者による新法の逐条解説本。A5判、296頁。

  • ☆吉田雅之『一問一答 平成28年刑事訴訟法等改正』商事法務(2018年6月)……取調べの可視化や合意制度等、改正刑訴法の全体像を立案担当者が解説したもの。全10章。A5判、464頁。



【入門書・概説書】

  • 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2017年3月・第7版)……入門書の定番。最初に条文とともに読むべき1冊。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と制度を説明する。第7版において、2016年改正法に対応。全9章。A5判、422頁。

  • 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2014年3月・第7版)……元検察官による入門書。基本書としても使えないこともないが、メインの基本書として据えるには、やや心許ない。197条から国民の捜査協力義務を導くなど、独特な記述も散見されるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。口語調で非常に分かりやすい。書式が豊富。全9章。A5変型判、400頁。

  • 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(2013年3月・第5版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすい本とはいえない。序章+全7章+終章。四六判、360頁。

  • 福井厚『刑事訴訟法(プリマ・シリーズ)』有斐閣(2012年10月・第7版)……序章(刑事訴訟法の意義と目的)+全10章。四六判、468頁。

  • 福井厚編著『ベーシックマスター刑事訴訟法』法律文化社(2013年4月・第2版)……全7章。A5判、314頁。

  • 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。訴因論については大澤裕が担当しており、分かり易い。訴因論がどうしてもわからないという人や、訴因論で特異な見解が採られている基本書を使用している人は、大澤執筆箇所だけでも読むとよい。全5編、全17Chapter。四六判、300頁。

  • 椎橋隆幸編『プライマリー刑事訴訟法』不磨書房(2017年3月・第6版)……第6版において、平成28年改正法に対応。全27章。A5変型判、392頁。

  • 椎橋隆幸編者『よくわかる刑事訴訟法(やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ )』ミネルヴァ書房(2016年4月・第2版)……第2版において、刑事訴訟法の一部改正(取り調べの録音・録画、合意制度の導入、通信傍受の合理化、裁量保釈判断の明確化、弁護人援助の充実ほか)を反映。全11章。B5判、226頁。

  • 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法(αブックス)』法律文化社(2007年11月)……序章(刑事裁判の基礎)+全9章。A5判、320頁。

  • 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。A5判、284頁。

  • 裁判所職員総合研修所監修『刑事訴訟法概説』司法協会(2012年9月・3訂補訂版)……全8章。A5判、120頁。

  • 水谷規男『疑問解消 刑事訴訟法(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2008年3月)……序章+全6章+終章。A5判、272頁。

  • 安冨潔『やさしい刑事訴訟法』法学書院(2013年4月・第6版)……全19章。A5判、324頁。

  • 渡辺直行『入門 刑事訴訟法(入門シリーズ)』成文堂(2013年9月・第2版)……刑事手続きの全体像を鳥瞰した入門書。「です・ます調」で書かれている。基本的用語について、できる限りその定義を明らかにしており、初めて刑事訴訟法を学ぶ法科大学院未修者や学部学生向けの本である。なお、著者は、2017年1月に逝去された。全15章。A5判、372頁。

  • 中川孝博・葛野尋之・斎藤司『刑事訴訟法講義案』法律文化社(2012年3月・第2版)……講義パートと知識の定着を目的とした短答パートからなるテキスト。全8部、全17章。B5判、230頁。

  • 関正晴編『刑事訴訟法(Next教科書シリーズ)』弘文堂(☆2019年2月・第2版)……全8章。A5判、340頁。

  • 岩下雅充・大野正博・亀井源太郎・公文孝佳・辻本典央・中島宏・平山真理『刑事訴訟法教室』法律文化社(2013年7月)……全8章。A5判、332頁。

  • 渡辺修『基本講義 刑事訴訟法』法律文化社(2014年9月)……法学部生向けのテキスト。序章+全8章。A5判、318頁。

  • 小木曽綾『条文で学ぶ刑事訴訟法』法学書院(2015年1月)……序章+全18章。A5判、244頁。

  • 廣瀬健二『コンパクト刑事訴訟法(コンパクト法学ライブラリ)』新世社(2017年3月・第2版)……著者は田宮門下の元刑事裁判官。特徴は「判例・通説に則ったうえ、私の実務経験を盛り込んで実務の実情を踏まえて概説」(はしがき)しているところであり、本文291頁とコンパクトながらも、主要な論点はほぼ網羅している。基本的に田宮説に依拠し、新しい強制処分説(ただし、盗聴等の権利侵害性の重大なものについては立法による規制を要するとする。この立場が判例実務により整合的であるとされる)、本件基準説、違法排除説を採るが、実体喪失説にも言及している。記述は平板であるが、小文字フォントを使い分けているため、初学者もメリハリをつけて読むことができる。ただし、条文を読めばわかる箇所は記述を省略していること、判例の引用数は多いものの判決内容の引用は少ないことから、六法や判例集に当たることが必要である。まとめ用として好適である。第2版において、2016年刑訴法等改正に対応。全15章。2色刷。四六判、368頁。

  • 加藤康榮編著、城祐一郎・阪井光平著『警察官のためのわかりやすい刑事訴訟法』立花書房(2015年9月)……警察官向けの概説書。編者は、元最高検検事。コンパクトに刑事手続を巡る最新の動向や法改正のポイントを盛り込みつつ、捜査に関連する重要事項や判例を解説。全21章。A5判、320頁。

  • 津田隆好『警察官のための刑事訴訟法講義』東京法令出版(☆2019年4月・第4版)……著者は、警察大学校刑事教養部長(元警察大学校特別捜査幹部研修所主任教授など)であり、「警察官の、警察官による、警察官のための」概説書。第4版では、実務の動向に合わせて、裁判例や本文が見直された。平成31(2019)年2月1日現在の内容。全10章。A5判、320頁。

  • 亀井源太郎・岩下雅充・堀田周吾・中島宏・安井哲章『プロセス講義刑事訴訟法(プロセスシリーズ)』信山社(2016年6月)……1.「趣旨説明」2.「基本説明」3.「展開説明」の3ステップ解説。平成28年5月に成立した刑訴法改正法の改正ポイント解説が適宜織り込まれたテキスト。全28章。A5変型判、460頁。

  • 中川孝博『刑事訴訟法の基本』法律文化社(2018年4月)……アクティブラーニング型授業での使用を念頭に置いた新しいタイプの教科書。著書のサイトでは、授業時間外学習が容易にできるよう講義動画が公開されているとともに、基本知識の理解・定着を図る「これだけは!シート」がアップされている。『判例学習・刑事訴訟法』法律文化社(2015年11月・第2版)との連動が図られている。序+全15章。A5判、318頁。

  • ☆守屋克彦編『刑事訴訟法における学説と実務 初学者のために(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2018年11月)……法セミ同名連載の単行本化。裁判官及び裁判官経験ある弁護士・研究者が学説と実務を解説する内容であるが、現在主流の東大系学説に対する分析がそこまで多くない(深くない)こと、連載時以降の法改正・新判例につき最低限の補訂にとどまっていることがやや残念。序章+全15章。A5判、224頁。



【コンメンタール】

  • ☆伊丹俊彦・合田悦三編集代表、上冨敏伸・加藤俊治・河本雅也・吉村典晃編集委員『逐条実務刑事訴訟法』立花書房(2018年11月)……現役の裁判官・検察官が執筆した実務家のための逐条解説書。近時の判例の展開(身体拘束の厳格化)等も踏まえた記述になっている。条解刑事訴訟法が刑事訴訟法改正に十分対応できていないことや,初版の記述を修正して改訂していることからやや古さが出てきていることから,今後は本書が実務家必携コンメンタールとして活用されていくものと思われる。A5判、1408頁。

  • 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法』弘文堂(2016年12月・第4版増補版)……実務家必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で合議して匿名執筆しているのが特徴で、そのため、記述内容に安定感がある(顕名執筆の「大コンメンタール刑事訴訟法」や「注釈刑事訴訟法」と比べると比較的客観的な記述である。)。第3版(2003年10月)から第4版(2009年12月)までは実質6年ぶりの改訂となり、第4版は、第3版増補版(2006年6月)から168頁増量され、被害者参加や裁判員裁判を踏まえた記述になっている。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基本的に省略している。さらに、文字ポイントが小さく、情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解釈を丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば、大いに力を発揮する。執筆陣も豪華で信頼性が高く、「新基本法コンメンタール」が出た現在でも、実務家が最初に参照するのは本書であろう。ただし、受験生が使うには、価格の面で「新基本法コンメンタール」の方に分がある。第4版増補版(2016年12月)は、平成21年12月刊行の第4版本体部分には修正を加えず、それ以降の平成22年改正法と平成23年改正法、すなわち、「人を死亡させた罪の公訴時効に関する改正等」(平成22年法律第26号)と「情報処理の高度化に伴う犯罪に適切に対処するための改正等」(平成23年法律第74号)に関する各注釈と併せて、今回の平成28年改正法に関する注釈を巻末にまとめたもの。なお、過去に弘文堂HPにてH22・23年改正法についての追補PDFをダウンロードすることができたが、現在はできなくなっている。A5判、1384頁。

  • 河上和雄・中山善房・古田佑紀・原田國男・河村博・渡辺咲子編『大コンメンタール刑事訴訟法〔全11巻〕』青林書院(第1巻:2013年2月・第2版、第2巻:2010年9月・第2版、第3巻:2010年7月・第2版、第4巻:2012年4月・第2版、第5巻:2013年2月・第2版、第6巻:2011年4月・第2版、第7巻:2012年10月・第2版、第8巻:2011年12月・第2版、第9巻:2011年4月・第2版、第10巻:2013年9月・第2版、第11巻:2017年10月・第2版)……これまでに蓄積された膨大な判例・学説を集大成した一大コンメンタール。公判前整理手続,即決裁判手続,裁判員制度,被害者参加制度の創設など,初版刊行後数次に渡る法改正と判例・学説の最新動向をつぶさに取り入れる(出版社の案内より)。本邦最高峰の大型コンメンタール。図書館での調べ物用。顕名形式であるが記述にややムラがあり、とくに検察官執筆部分において客観性に疑問のある記述がないではない。第11巻は裁判員の参加する刑事裁判に関する法律、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律、国際捜査共助等に関する法律の逐条解説。A5判、第1巻〔第1条~第56条〕:688頁、第2巻〔第57条~第127条〕:526頁、第3巻〔第128条~第188条の7〕:560頁、第4巻〔第189条~第246条〕:936頁、第5巻〔第247条~第281条の6〕:516頁、第6巻〔第282条~第316条〕:560頁、第7巻〔第316条の2~第328条〕:824頁、第8巻〔第329条~第350条の14〕:480頁、第9巻〔第351条~第434条〕:858頁、第10巻〔第435条~第507条〕:514頁、第11巻〔刑事訴訟特別法〕:874頁。

  • 河上和雄・小林充・植村立郎・河村博編『注釈刑事訴訟法〔全8巻〕(予定)』立花書房(第1巻:2011年5月・第3版、第4巻:2012年8月・第3版、第6巻:2015年4月・第3版、第7巻:2012年10月・第3版)……第6巻(2015年4月・第3版)について、10年ぶりの全面改訂。新版発刊以降の法改正・制度改革等を織り込み,実務の動向を正確に記述することを主眼に,実務を支える理論的な支柱を実務の内側から明らかにする(出版社の案内より)。大コンメンタールと同じく顕名形式をとるが、こちらは一家言ある裁判官執筆部分の記述内容が特徴的であり、大コンメとは若干趣を異にしている。A5判、第1巻〔第1条~第56条〕:706頁、第4巻〔第271条~第316条〕:634頁、第6巻〔第317条~第350条の14〕:890頁、第7巻〔第351条~第418条〕:642頁。

  • 三井誠・河原俊也・上野友慈・岡慎一編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2018年3月・第3版)……実務家の手による中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されている。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計15本。弁護人の立場からの提言14本+三井によるエッセイ的コラム1本)。『条解』と比べると、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。『条解』とほぼ同じ記述の箇所が多々みられる。第3版において、第2版(2014年4月)以降の判例がフォローされ、取調べの録音録画や協議合意制度を導入する2016年法改正に対応。B5判、768頁。

  • 後藤昭・白取祐司編『新・コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(☆2018年7月・第3版)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。第3版は、2016年の法改正で盛り込まれた取調べの録音・録画制度や協議・合意制度等、改正法を踏まえたもの。A5判、1330頁。

  • 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となってはさすがに古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。新書判、544頁。

  • 井上正仁監修、河村博・酒巻匡・原田國男・廣瀬健二編集代表、大島隆明・三浦守編集委員『裁判例コンメンタール刑事訴訟法〔全4巻〕(予定)』立花書房(第1巻:2015年4月、第2巻:2017年6月、☆第4巻:2018年6月)……H28年改正については、第2-4巻において付録として改正内容の概要を解説。A5判、第1巻〔第1条~第188条の7〕:720頁。第2巻〔第189条~第270条〕:720頁、第3巻〔第271条~第350条の14〕:予定、第4巻〔第351条~第507条〕:720頁。




【判例集・ケースブック】

〔判例集〕

  • 井上正仁・大澤裕・川出敏裕編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(2017年5月・第10版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされているので、司法試験受験生は、事案と判旨のみならず、解説まで読み込むべきである。第10版は、100件+アペンディックス56件を収録(第9版:2011年4月は、101件+上訴・再審+Appendix41件を収録)。B5判、278頁。

  • 三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2015年6月・第5版)……圧倒的な判例の掲載数。解説は皆無。判例百選の重要判例を本書で詳細に検討する読み方が、司法試験受験生には有益であろう。A5判、770頁。

  • 葛野尋之・中川孝博・渕野貴生編『判例学習・刑事訴訟法』法律文化社(2015年11月・第2版)……若手から中堅の研究者による判例教材。取り上げられた判例は、102項目。これらの判例について、主に論点と結論→事実の概要→法の解釈→法の適用→コメントという順番で書かれている。法の解釈・法の適用・コメントは、論文の際のあてはめに有用であると思われる。B5判、350頁。

  • 川出敏裕『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』『同 〔公訴提起・公判・裁判篇〕』立花書房(2016年4月、2018年5月)……「捜査・証拠篇」は、警察学論集誌上での全25回にわたる同名連載に追加・修正を施して単行本化したもの。捜査法及び証拠法に関する重要なテーマにつき判例を素材に検討。警察幹部向けの連載ということもあって、判例の緻密な分析がなされており、判例の内在的な理解を深めることができる。必要な限度において学説の解説も行われており、控えめながらも自説主張がないわけではない(わかる人にはわかる内容)。全体的に極めて明快かつ論理的な文章で書かれており読みやすい。捜査法と証拠法に関する重要論点はほぼ網羅されており、司法試験の論文対策として非常に有用であると思われる。「公訴・公判篇」は、刑事法ジャーナル(51号~55号)にて連載されたもの。重要判例を12講に分けて解説されている。2冊セットで刑事訴訟法のほぼ全分野を網羅。A5判、512頁・256頁。

  • 平良木登規男・椎橋隆幸・加藤克佳編『判例講義 刑事訴訟法』悠々社(2012年5月)……刑訴法学者24名が執筆。平成21年9月までの187判例を収録。

  • 前田雅英・星周一郎『刑事訴訟法判例ノート』弘文堂(2014年3月・第2版)……A5判、418頁。

  • 河上和雄『刑事訴訟法基本判例解説』東京法令出版(2008年6月・改訂版)……警察官の実務に特に関連が深い重要判例を精選し、初版以来の73件に、最新判例24件を追加。A5判、280頁。

  • 椎橋隆幸・柳川重規編『刑事訴訟法基本判例解説』信山社(2018年4月・第2版)……初版(2012年11月)は、渥美東洋・椎橋隆幸編であり、203件の重要判例を収載していた。第2版は、200件の重要判例を厳選し、1項目見開き2頁で解説。A5変型判、432頁。

  • 田口守一『最新重要判例250 刑事訴訟法』弘文堂(2016年7月)……単独著者による1頁に1判例の判例ガイドシリーズの「刑事訴訟法」版。最新の重要判例を中心に251判例を収載。B5判、300頁。

〔ケースブック〕

  • 井上正仁ほか『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2018年3月・第5版)……設問には難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。第5版において、構成・設問の見直しと最新判例の追加が行われた。執筆者(井上正仁・酒巻匡・大澤裕・川出敏裕・堀江慎司・池田公博・笹倉宏紀)。全24章。B5変型判、728頁。(第5版については、評価待ち。)

  • 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2012年4月・第3版)……全30講。執筆者(亀井源太郎・菊池則明・木村光江・清水真・星周一郎・堀田周吾・丸橋昌太郎・峰ひろみ)。A5判、674頁。

  • 加藤克佳ほか編者『法科大学院ケースブック 刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版)……編者(加藤克佳・川崎英明・後藤昭・白取祐司・高田昭正・村井敏邦)。なお、正誤情報あり。B5判、268頁。また、本書(第1版)の補助テキスト(学生の自習用にも)として、『刑事訴訟法(ティーチャーズマニュアル(CD-ROM版))(法科大学院ケースブックシリーズ)』(2006年7月、B5判)があった。ただし、書籍の第2版では、一部の箇所で未対応とのこと。

  • 後藤昭・白取祐司『プロブレム・メソッド刑事訴訟法30講』日本評論社(2014年8月)……はしがきにもあるように、上記『法科大学院ケースブック 刑事訴訟法』を発展させた事実上の後継シリーズ。独習向きではない。A5判、488頁。

  • 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というより、判例集的な性格が強い。B5判、708頁。

〔その他〕

  • 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』不磨書房(2009年8月)……中立的な立場から重要判例を分析。一つ一つの判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うことで判例に対する理解を深めさせるというオーソドックスな形式をとっている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすい。独学が可能な唯一のケースブックである。A5変型判、504頁。

  • 田口守一・寺崎嘉博編『判例演習刑事訴訟法』成文堂(2004年9月)……32件を収載。A5判、416頁。

  • 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~340号、全18回。連載打切り)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談形式で分析する。上の「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論との勉強に有用。

  • 大澤裕「刑事訴訟法の基本問題」(法学教室連載・439号~)……刑事訴訟法の基本に関わる重要問題について、制度や原理・原則の根本に立ち返りつつ、できる限り丁寧な解説・検討を加えることにより、読者の理解を深める一助となることを目指す(以上、筆者まえがき)連載。毎回「補論」として発展的内容の議論を教員・学生・院生の対話形式で取り上げている。既存の原理・原則を所与のものとせず再検討・再構築していく高レベルな内容で、したがって大澤説をそのまま答案にするのはきわめて難しい。しかし頭の体操としては有用。ケースや雑談(冗談)に頼らない正統派ストロングスタイルの講義内容。

  • 後藤昭「ロー・クラス 伝聞法則に強くなる」(法学セミナー連載・2018年4月号(759号)~2019年3月号(770号)、全12回)…伝聞法則に特化して、読者が試験でも法廷でも、自信を持って伝聞法則の適用を論じられるようになることを目指す連載。論文過去問を素材にしたりするなど、ロー生にもおすすめできる内容(伝聞証拠とは何か、伝聞証拠禁止原則の意味、伝聞・非伝聞の区別、伝聞例外の体系、伝聞例外としての検面調書、検証調書の伝聞例外、実況見分調書と立会人の指示説明、被告人の公判外供述、業務上書面・伝聞供述・再伝聞、当事者の意思による伝聞例外、共同被告人と伝聞法則、供述の証明力を争うための証拠)。

  • 川出敏裕「刑事手続法の論点」(警察学論集連載・71巻5号(2018年5月号)~72巻3号(2019年3月号)、全10回)…「刑事訴訟法に関わる比較的最近の裁判例を素材として、未だ最高裁による判断が示されていない問題や、最高裁による判断は示されているものの、今後、立法的な解決が求められる問題を取り上げ、関連する問題も含めて、検討を行う」連載(前書き)。したがって、きわめて高レベルな内容で司法試験のレベルを優に超えているが、実務でどのような論点が問題となっているかを知る意味でチェックするに値する(GPS捜査(1)(2)、偽計を用いた証拠収集、採尿のための留め置き、サイバー犯罪の捜査、接見の際の電子機器の使用、被告人の訴訟能力、刑事手続における証人の保護、取調べの録音・録画記録媒体の証拠としての利用、おとり捜査)。



【演習書】

  • 古江賴隆『事例演習刑事訴訟法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2015年3月・第2版)……著者は元検察官。法学教室の連載の単行本化。学生が混乱するポイントについての解説を加えてあるだけではなく、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、参考になる。検察官出身であるが、実務を追認しているわけではなく、近時の判例のみならず東大系学説の動向(それらの多くは基本書レベルを超えており、論文等を参照しなければならないので初学者が理解するのは困難である)をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めて書かれている。主要論点の全てを網羅しているわけではないものの、重要なものは概ねカバーしており、演習書というよりも論点集といった趣が強い。また、各設問の解説の後に参考文献として当該設問に関連する主要な文献が一通り掲げられており、文献ガイドとしても至便。なお、酒巻『刑事訴訟法』との対応表と、三井誠編『判例教材刑事訴訟法(第5版)』のページ数の補充についての一覧表あり。A5判、488頁。

  • 井田良・田口守一・植村立郎・河村博 編著『事例研究 刑事法Ⅱ 刑事訴訟法』日本評論社(2015年7月・第2版)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした執筆陣が、かなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少ないが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば、広い範囲の論点をカバーできる。A5判、412頁。

  • 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2014年3月・第2版)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は、似た問題が本試験でも出るということで評判となっていた。設問はいずれも近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説も概ね穏当で参考になるが、ほとんどの設問の事案が判例そのままとなっているため、上級者の実践訓練用としては、やや物足りないかもしれない。全30問。A5判、306頁。

  • 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習 理論と実務の架橋のための15講』立花書房(2018年3月・第2版)……検察官派遣教官による捜査法の演習書。憲法解釈や抽象的命題をそぎ落とし、問題をもっぱら刑訴法の条文解釈に局限することで、徹底的に捜査の便宜を重視した解釈論を展開する(同じく検察官出身でありながら、古江・演習が主流学派に依拠してバランスの取れた解釈論を展開しているのとは対照的である)。内容はかなりハイレベルだが、立場の偏りを意識して批判的に取り組めば、相当なレベルアップが期待できる。特に、本書で示されている判例の射程については、著者の見解をたたき台として、よく分析されたい。第2版は問題・設例はほとんど変わっていないが、解説において最新判例や学説の補訂がなされている。また、GPS判決やエックス線検査判決を受けた補講(強制処分と任意処分の区別をめぐる教員と学生の対話)が付されている。A5判、540頁。

  • 廣瀬健二編『刑事公判法演習 理論と実務の架橋のための15講』立花書房(2013年5月)……公判手続と証拠法を扱う演習書。全国の法科大学院で派遣教員を務める著名な刑事裁判官らが一堂に会し、普通の教科書を読んでいるだけでは学習が難しい公判及び証拠の諸問題について解説している。下記『実例刑事訴訟法』への橋渡し的な位置づけであり、学生向け参考書としては最高水準である。内容はかなり高度であり、極めて実務的であるが、図表を駆使することで非常に分かりやすくなっている。特に、訴因や証拠法はしっかりと押さえておきたい。各問の解説の後に参考判例と参考文献(実務家による文献が多い)が掲げられており、参考になる。A5判、386頁。

  • 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法(法学教室ライブラリィ )』有斐閣(2005年4月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題が多く、問題集というよりも論点集に近いが、東大系主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。ただし、解説者によって解説の書き方がバラバラであるため、若干の読みにくさはある。A5判、372頁。

  • 松尾浩也・岩瀬徹編『実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(2012年9月-11月)……定評ある演習書の最新版。執筆陣には著名な刑事裁判官が名を連ねている。帯等には「刑事手続上の重要問題を掘り下げて解説」と記載されているが、内容は極めて高度であり、司法修習生向きである。もっとも、司法試験受験生にとっても、気になる論点については一読の価値はある。Iは「捜査」を、IIは「公訴の提起・公判」を、IIIは「証拠・裁判・上訴」を扱う。A5判、416頁・360頁・412頁。

  • 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月)……上記『実例刑事訴訟法』の旧版。旧司時代には種本と呼ばれていた。執筆者は、法曹三者。法改正もあったが、今もなお有用である。A5判、350頁・440頁・370頁。

  • 安冨潔・清水真編『事例演習 刑事訴訟法』法学書院(2013年11月)……刑事訴訟法の基本的論点について、判例を中心として、主要な学説を整理した基礎編と、具体的な事例問題をとおして分析・応用能力を身に付けるための応用編を収録する演習書。A5判、424頁。

  • 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版であったが、オンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文をつけるスタイルは、好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない。

  • 新庄健二『司法試験論文過去問LIVE解説講義本 新庄健二刑訴法(新Professorシリーズ)』辰已法律研究所(2016年3月・改訂版)……元東京高検検事・元司法研修所教官。辰已での新司法試験過去問解説講義を書籍化。平成18年から平成27年までの問題を収録。非常に平易な解説がなされている。特に、多くの受験生が苦手にしている伝聞については、記述が具体的かつ詳細で分かりやすい。A5判、452頁。

  • 高田昭正『基礎から学ぶ刑事訴訟法演習』現代人文社(2015年10月)……刑事訴訟法を学ぶうえで、迷ったり、躓いたり、誤りやすい重要な論点24項目について解説したもの。B5判、464頁。

  • 田宮裕『演習刑事訴訟法(法学教室選書)』有斐閣(1983年6月)……2001年9月オンデマンド対応(1991.2.25初版第5刷)。四六判、374頁。

  • 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『基礎演習刑事訴訟法(基礎演習シリーズ)』有斐閣(1996年4月)……有斐閣Sシリーズ『刑事訴訟法』の執筆者による演習書。 四六判、320頁。

  • 小木曽綾監修『設題解説 刑事訴訟法(二)』法曹会(2015年11月)……初学者が理解しておくべき刑事訴訟法上の一般的、基本的な問題を設題として取り上げ、具体的な事案に即して、判例、通説の立場から平易に解説したもの。全5章、全25問。新書判、320頁。

  • 粟田知穂『エクササイズ刑事訴訟法』有斐閣(2016年3月)……司研教官・考査委員を歴任し、ロースクールの派遣教員経験もある現役の検察官による全16問からなる長文事例問題集。判例をベースとした簡にして要を得た解説が特徴。A5判、168頁。

  • 峰ひろみ『刑事訴訟法演習』法学書院(2017年5月)……長文事例問題25問を収録した演習書。「受験新報」にて連載されていた「誌上答案添削教室」の問題と解説をまとめたものであるが、単行本化にあたり、各問題に答案構成や留意点についてコメントされた具体的な「答案例」が加えられている。A5判、445頁。


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