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商店街繁盛記」(2007/09/29 (土) 21:54:03) の最新版変更点

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<div style= "background-position: right bottom; background-image: url(http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/?cmd=upload&amp;act=open&amp;page=%E3%83%A2%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%BC&amp;file=%E3%81%94%E8%80%81%E4%BD%93%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%BC-1.gif); line-height: 2em; background-repeat: no-repeat; background-color: #fcfcff" align="left"> <p><u>商店街繁盛記</u> 作者:勇城 珪(ゆーき)さん</p> <p>「参~る!」、声高な男の声が響き、客の全員が後ろを見た。<br>  集団で入ってくる覆面集団。<br>  モログルミを被り、顔には蝶マスク。そして、全身タイツ……<br>  霧生ヶ谷蕎麦・水路(ミズジ)の店内は、その軍団に占拠された。<br>  彼らは、霧生ヶ谷市で近頃噂になっている集団。<br>  他の客は、連中の異様さに逃げ出していった。<br> <br> <br>  ここは北区のとある商店街。周りの外食屋はうどん屋だらけだが、唯一の蕎麦屋として頑張っていた。<br>  やっと蕎麦屋として認知されてきたが、それを快く思わない人たちもいるらしい。<br> <br>  モログルミ集団のリーダーと思しき男が店主の真正面に座り、口を開く。<br> 「これはこれは、お嬢さん。お初にお目にかかる。」<br>  店の主は水路志穂(ミズジ・シホ)。商店街の小野小町。<br>  この店を改装オープンして一年のことだった。<br> 「らっしゃいませ~、何にします?」と志穂が落ち着いて答える。<br>  すると男は立ち上がり茶化した。<br> 「ヒャッホー! 我々があなたの店を永遠に買い取るわ。」<br>  体をこちらに乗り出し、人差し指を左右に振っている。<br>  パーマでもしているのか、モログルミから出た髪の毛の一部が渦巻きに垂れていて、ふくよかな頬っぺたにまとわりついている。<br>  志穂は異様な様子に左手で口元を抑え、小刻みに震えながら頼まれた注文をこなす。<br>  きっと志穂にはネギを刻む音が、時計の針音のように聞こえたことだろう。<br> <br>  店に偶然昼休みを取りに来ていた商店街会長は、やっと我を取り戻して、叫んだ。<br>  彼の腹は商店街の旨いものを食い尽くしたであろう立派な腹だ。<br> 「お前らモロウィンだな? 商売の邪魔はさせんぞ!」<br>  そう言って手を振りかざし、いつも自分の店に来たときと同じように変幻自在の電気コードを…… だが、手には割り箸しかない。<br>  覆面集団は全員笑い出した。<br> 「あんたの店でなければ特殊電源はないからな!」「電気屋さん、電気なければ『箱紐屋』さん」と罵声が飛ぶ。<br>  絶句した会長が腹を揺らしながら店から逃げ出すと、志穂の見方はいなくなった。<br> <br> <br>  勝ち誇ったかのように痩せた男が話し出す。<br> 「我々モロウィンは、偉大なるモロモロ様を至高の料理とすべく立ち上がったのだ。」<br> 「まずは『すり身』の研究に、この店の『すり身』の秘伝を奪うのだ!」<br>  痩せた男と太った男が交互に話す。正直、太ったことが貫禄にならないなら、どっちがリーダーでも良いような感じだ。<br> <br> <br>  そこへ静かに、入り口から入ってきた者がいた。<br>  日本人とは明らかに目の色が違い、でも黒い髪をしていた。<br>  首にはグリーンプレートのチェーン……<br>  覆面の集団は気が付かずに、そいつの進入を許した。<br>  そして彼は堂々とリーダーの前に立ちはだかる。<br>  その姿は精悍だった。<br> <br> 「あら? クロちゃん!」<br> と、突然顔をしかめた志穂と物怖じしないクロの両者を見て、リーダーは顔を真っ赤にして怒った。<br> 「この店は人間以下の奴に商売するんです~か?」<br>  口調が相変わらずだが、姿が姿だけにキモイ。<br>  しかし、コイツは口にしてはならないことを言ったのだ!<br> 「あ、クロちゃんの蹴りが眉間に入った……」<br> <br>  鼻血を出して倒れるリーダーに、箸を持ったまま絶句する集団。<br>  猫を相手に、集団は店内で暴れだした。<br> <br> <br> 「モロレッド、参上!」<br>  突如場違いな声が後ろからする。<br>  SUNモーロ・霧生ヶ谷(注・有名なサッカーチーム)のコスチュームで、短パンにTシャツ、赤いマフラーにお面を被った男がやってきた。<br>  それを見た志穂は、心なしか顔が引きつっている。<br> 「あの……」「このネコ野郎!」<br> 「あの……」、誰も彼を必要としていない様子。<br> 「帰るか……」<br>  モロレッドが後ろを振り向くと、期待に答えたかのように志穂が悲鳴をあげた!<br>  赤いマフラーを棚引かせ駆け寄ると、志穂は彼に懇願する。<br> 「御碗が、皿が!」<br>  モロレッドは一瞬押し黙ったが、右手の親指を立てた後、すかさず慣れた動きで皿を回収する。<br> <br>  グリーンのライセンスを揺らしながら、汗一滴かかないで飛びまくったと思われるクロは、戦意を喪失したタイツの軍団を横目に報酬を催促する。<br>  もはや、大勢は決したのである。<br> <br> <br> 「じゃ俺、帰ります。」<br>  彼の赤いマフラーの裏では、きっと白い歯が光っていることだろう。<br>  そこへ、掛け蕎麦の報酬を食べ終わったクロが、気持ち良さそうにやってきて、彼女の頬をなめた。<br> 「あ、汁がついてたのかな?」<br>  するとモロレッドは狂ったように大笑いして、「どうだ、モロブラックにならないか?」とクロを誘った。<br> <br>  数十秒後、鼻血を出してヒーローは帰っていった。<br> <br> <br> ―― 夕方<br> <br>  霧生ヶ谷蕎麦・水路では、志穂と二人の男+一匹が夕飯を食べていた。<br>  バイトの翔(カケル)と弟の士郎(シロウ)とクロである。<br> 「姉貴、ここも大変だな。」<br>  経緯を聞いて呆れる士郎に、姉は笑って言う、<br> 「あたしね、実は笑いを堪えるのが大変だったの……」<br> と申し訳なさそうに。<br> <br>  暫し沈黙が続く。<br> <br> <br> 「俺も出番があったら、悪者ふっ飛ばしますよ、店長!」<br>  翔が笑って言うと、志穂は申し訳なさそうに、<br> 「配達帰りに橋で顔ぶつけて、鼻血出す人が?」<br> と、苦笑する。<br> 「これはブラックが!」<br>  と翔は言いかけたが、隣で収納付の爪が現れたので、台詞は誰の耳にも届かなかった。<br>  志穂は続けて「でも、クロちゃんにはキスされちゃったし」とクロを抱きしめると、翔は顔を真っ赤にして「ああ、今日は暑いな~」と戸を開けた。<br>  姉弟は顔を見合わせて、営業用のクーラーを見つめる。<br> <br> <br>  三人で店を閉めていると、表に人影が現れた。<br> <br>  サッカーユニフォームに、黄色いマフラー。<br>  旨いものがイッパイ詰まったタプンタプンの腹。<br>  そして、手には必殺の電気コード……<br> <br> 「あ、モロイエローです。ちょっとワイフにアングリーされちゃって……」<br> <br> <br>  この商店街は楽しい人達ばかりです。<br> <br> <br> (続くのか?)</p> <p><a href= "http://bbs15.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=kansou&amp;mode=view&amp;no=44">感想BBSへ</a><br> <a href="http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/pages/817.html">作者に投票する!</a></p> </div>
<div style= "background-position: right bottom; background-image: url(http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/?cmd=upload&amp;act=open&amp;page=%E3%83%A2%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%BC&amp;file=%E3%81%94%E8%80%81%E4%BD%93%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%BC-1.gif); line-height: 2em; background-repeat: no-repeat; background-color: #fcfcff" align="left"> <p><u>商店街繁盛記</u> 作者:勇城 珪(ゆーき)さん</p> <p>「参~る!」、声高な男の声が響き、客の全員が後ろを見た。<br>  集団で入ってくる覆面集団。<br>  モログルミを被り、顔には蝶マスク。そして、全身タイツ……<br>  霧生ヶ谷蕎麦・水路(ミズジ)の店内は、その軍団に占拠された。<br>  彼らは、霧生ヶ谷市で近頃噂になっている集団。<br>  他の客は、連中の異様さに逃げ出していった。<br> <br> <br>  ここは北区のとある商店街。周りの外食屋はうどん屋だらけだが、唯一の蕎麦屋として頑張っていた。<br>  やっと蕎麦屋として認知されてきたが、それを快く思わない人たちもいるらしい。<br> <br>  モログルミ集団のリーダーと思しき男が店主の真正面に座り、口を開く。<br> 「これはこれは、お嬢さん。お初にお目にかかる。」<br>  店の主は水路志穂(ミズジ・シホ)。商店街の小野小町。<br>  この店を改装オープンして一年のことだった。<br> 「らっしゃいませ~、何にします?」と志穂が落ち着いて答える。<br>  すると男は立ち上がり茶化した。<br> 「ヒャッホー! 我々があなたの店を永遠に買い取るわ。」<br>  体をこちらに乗り出し、人差し指を左右に振っている。<br>  パーマでもしているのか、モログルミから出た髪の毛の一部が渦巻きに垂れていて、ふくよかな頬っぺたにまとわりついている。<br>  志穂は異様な様子に左手で口元を抑え、小刻みに震えながら頼まれた注文をこなす。<br>  きっと志穂にはネギを刻む音が、時計の針音のように聞こえたことだろう。<br> <br>  店に偶然昼休みを取りに来ていた商店街会長は、やっと我を取り戻して、叫んだ。<br>  彼の腹は商店街の旨いものを食い尽くしたであろう立派な腹だ。<br> 「お前らモロウィンだな? 商売の邪魔はさせんぞ!」<br>  そう言って手を振りかざし、いつも自分の店に来たときと同じように変幻自在の電気コードを…… だが、手には割り箸しかない。<br>  覆面集団は全員笑い出した。<br> 「あんたの店でなければ特殊電源はないからな!」「電気屋さん、電気なければ『箱紐屋』さん」と罵声が飛ぶ。<br>  絶句した会長が腹を揺らしながら店から逃げ出すと、志穂の見方はいなくなった。<br> <br> <br>  勝ち誇ったかのように痩せた男が話し出す。<br> 「我々モロウィンは、偉大なるモロモロ様を至高の料理とすべく立ち上がったのだ。」<br> 「まずは『すり身』の研究に、この店の『すり身』の秘伝を奪うのだ!」<br>  痩せた男と太った男が交互に話す。正直、太ったことが貫禄にならないなら、どっちがリーダーでも良いような感じだ。<br> <br> <br>  そこへ静かに、入り口から入ってきた者がいた。<br>  日本人とは明らかに目の色が違い、でも黒い髪をしていた。<br>  首にはグリーンプレートのチェーン……<br>  覆面の集団は気が付かずに、そいつの進入を許した。<br>  そして彼は堂々とリーダーの前に立ちはだかる。<br>  その姿は精悍だった。<br> <br> 「あら? クロちゃん!」<br> と、突然顔をしかめた志穂と物怖じしないクロの両者を見て、リーダーは顔を真っ赤にして怒った。<br> 「この店は人間以下の奴に商売するんです~か?」<br>  口調が相変わらずだが、姿が姿だけにキモイ。<br>  しかし、コイツは口にしてはならないことを言ったのだ!<br> 「あ、クロちゃんの蹴りが眉間に入った……」<br> <br>  鼻血を出して倒れるリーダーに、箸を持ったまま絶句する集団。<br>  猫を相手に、集団は店内で暴れだした。<br> <br> <br> 「モロレッド、参上!」<br>  突如場違いな声が後ろからする。<br>  SUNモーロ・霧生ヶ谷(注・有名なサッカーチーム)のコスチュームで、短パンにTシャツ、赤いマフラーにお面を被った男がやってきた。<br>  それを見た志穂は、心なしか顔が引きつっている。<br> 「あの……」「このネコ野郎!」<br> 「あの……」、誰も彼を必要としていない様子。<br> 「帰るか……」<br>  モロレッドが後ろを振り向くと、期待に答えたかのように志穂が悲鳴をあげた!<br>  赤いマフラーを棚引かせ駆け寄ると、志穂は彼に懇願する。<br> 「御碗が、皿が!」<br>  モロレッドは一瞬押し黙ったが、右手の親指を立てた後、すかさず慣れた動きで皿を回収する。<br> <br>  グリーンのライセンスを揺らしながら、汗一滴かかないで飛びまくったと思われるクロは、戦意を喪失したタイツの軍団を横目に報酬を催促する。<br>  もはや、大勢は決したのである。<br> <br> <br> 「じゃ俺、帰ります。」<br>  彼の赤いマフラーの裏では、きっと白い歯が光っていることだろう。<br>  そこへ、掛け蕎麦の報酬を食べ終わったクロが、気持ち良さそうにやってきて、彼女の頬をなめた。<br> 「あ、汁がついてたのかな?」<br>  するとモロレッドは狂ったように大笑いして、「どうだ、モロブラックにならないか?」とクロを誘った。<br> <br>  数十秒後、鼻血を出してヒーローは帰っていった。<br> <br> <br> ―― 夕方<br> <br>  霧生ヶ谷蕎麦・水路では、志穂と二人の男+一匹が夕飯を食べていた。<br>  バイトの翔(カケル)と弟の士郎(シロウ)とクロである。<br> 「姉貴、ここも大変だな。」<br>  経緯を聞いて呆れる士郎に、姉は笑って言う、<br> 「あたしね、実は笑いを堪えるのが大変だったの……」<br> と申し訳なさそうに。<br> <br>  暫し沈黙が続く。<br> <br> <br> 「俺も出番があったら、悪者ふっ飛ばしますよ、店長!」<br>  翔が笑って言うと、志穂は申し訳なさそうに、<br> 「配達帰りに橋で顔ぶつけて、鼻血出す人が?」<br> と、苦笑する。<br> 「これはブラックが!」<br>  と翔は言いかけたが、隣で収納付の爪が現れたので、台詞は誰の耳にも届かなかった。<br>  志穂は続けて「でも、クロちゃんにはキスされちゃったし」とクロを抱きしめると、翔は顔を真っ赤にして「ああ、今日は暑いな~」と戸を開けた。<br>  姉弟は顔を見合わせて、営業用のクーラーを見つめる。<br> <br> <br>  三人で店を閉めていると、表に人影が現れた。<br> <br>  サッカーユニフォームに、黄色いマフラー。<br>  旨いものがイッパイ詰まったタプンタプンの腹。<br>  そして、手には必殺の電気コード……<br> <br> 「あ、モロイエローです。ちょっとワイフにアングリーされちゃって……」<br> <br> <br>  この商店街は楽しい人達ばかりです。<br> <br> <br> (続くのか?)</p> <p><a href= "http://bbs15.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=kansou&amp;mode=view&amp;no=44">感想BBSへ</a><br> <a href="http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/pages/817.html">この作品に投票する!</a></p> </div>

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