「えーと?」
ずらっと並んだつぶらな瞳に少し引いてみた。
なんでこんなに数があるんでしょうか? しかもなんかどれも種類が違うっぽいんですが?
俺には全く区別が付かない訳ですが、文華は嬉しそうに『これがモロベエ、それがモロノスケ』と解説してくれる。ごめん、本気でわからない。
大群になったモログルミの壁に眩暈というか、正直鳥肌が立ってきたんで、夢中になっている文華には悪いけど、そろりそろりと売り場を離れた。
んですが、ガラスケースの中に入っているこのモログルミはなんでしょう。ゼロが六つばかり付いた値札が見えるんですが。
「可愛い……」
「あのさ、これ何?」
いつの間にか後ろにいた文華に聞いてみる。うん、壊れているのは仕方がない。こういう場所だし。でも、気配まで殺してるのはなんでかなぁ……。少し遠い目をしたくなった。
「モロエモン」
一言でした。
仕方がないので、商品説明を探して読んでみた。頭が痛くなった訳だ。
曰く、モログルミ初期ロットの一つ。モログルミを考案した五人の企画者の友情を記念して僅か十二体しか作られなかったらしい。つまり、かなりの貴重品なのではないでしょうか?
つうか売るなこんなもん。
「可愛い」
いやだから文華もね。
「買って☆」
無理です。俺の小遣いじゃ十年掛かっても買えやしないっての。
「やだ」
「文華ぁー」
と言う訳で、ガラスケースから文華を引き離すのに別のモログルミ―モロタロウとか呼んでた。背中の模様が違うらしい―を買わされた。
ああ、財布が軽い……。
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