シェアワールド@霧生ヶ谷市企画部考案課

セカキュー日誌(其の10)

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だーるまさんがこ、ろ、ん、だ。
ぴたり。足を止める。息も止める。
セーフ。
だーるまさんがこ、ろ、ん、だ。
ぴたり……やば……全速転進。
ぜはーぜはーぜはー。

皆さん、パラディンのアラトです。これは別に遊んでいるわけではありません。第八階層のミッションをこなしている最中なのです。嗚呼。なんでこんなことに。
先日、第六階層、第七階層と踏破して、現在第八階層に僕らはいます。
第八階層では、ブシドーのレンとカースメーカーツスクルに再会し、第八階層の生命の泉が枯れそうだ、原因を絶ってきて欲しいと頼まれ、第七階層の精気の満ちた霧雨の小部屋で泉の魔物「どうみても渡りガニ」をあっさり撃破し、その場でカニ鍋にして美味しくいただきました。というか、アンジェーがどこから味噌を出してきたのか僕には分かりません。
忌忌しい第七階層はあまりに狭すぎるのでまた戻ってくることもあるのでしょう。
あの瘴気這い登る地面。
見るからに踏んだら激痛が走るぞーと脅すかの毒々しい色彩。
まぁ、僕はキリコをおんぶして渡ったわけですが、残業手当は出るのかと小一時間……ぶつぶつ。
閑話休題。
第八階層に到達したことを知った執政院ラーダは「キリコのたて」を呼びつけ、「特別ミッション」を発動。
研究用に飛竜の卵を採ってきて欲しいという。
研究という言葉にてんで弱いキリコは是非もなしに了解した。
了解したのだが……。
で、冒頭に戻る。
飛竜、ワイバーンの部屋はすぐに分かった。というか、第八階層自体がワイバーンの巣穴のようなもので、分からないほうがどうかしている。
レンジャーのヒナコが名状しがたいサイズの糞や食い散らかし、硫黄の臭気などから、的確な獣道を選び最短距離を突っ切っていく。
そうして巣穴正面の獣道。
ここは質量的にワイバーンは侵入の出来ない安全な道なので、気付かれたらここに猛ダッシュということに合意して、
冒頭のだるまさんがころんだ。
チラッとご尊顔を拝見したが無理。
翠緑の外皮に緋色の胴部。皮翼の先端に備わった鉤爪、一対のねじくれた金属質の角。
無理。そもそもサイズが無理。瞬膜に覆われた瞳なんて直視できようものか。
つんつくつん。
背中突付かなくても行きますよ!
だーるまさんがこ、ろ、ん、だ。
息を殺し、足音を殺し、数歩ずつ立ち止まってはやり過ごす。
気の遠くなる歩数を数えるように一歩前へ。
そして後退。
だーるまさんがこ、ろ、ん……
……あった!
翠緑の緋色が混じりあったかのような卵。両手一杯で抱えられるほどの大きさだ。
「アラト君!」
よっこらせと卵を担ぎ上げている僕の後ろからヒナコの悲鳴がつんざいた。
目だけでまさかと背後を察知する。瞬膜が開かれ、攻撃色に満ちた瞳が僕を睥睨していた。ちょ、待っ、
「喰らえー」
キリコが叫ぶ。まさか、雷撃?!
……
気付くとエトリアの街でした……糸ですか。

ところを変えて金鹿の酒場。
先輩ギルドの「アマテラス」の人たちと対談中。
「アマテラス」はブシドーの職栄える国に由来したギルド名らしく、レンのような格好をしたメンバーがちらほら。
「執政院で受けたミッションでしょ。あたしらもやったわ」
風格すら漂うパラディンのアイギスさんが笑っている。
「お主らの腕を試していた、ということだ」
ブシドーのギンコさんが瞑想を中断して言葉をかけてきた。
「なになに、どういうことなの?」
うん。キリコの問いはもっとも。僕も知りたい。
「ワイバーンの卵一つ盗めないようではこの先、進むことなんか出来やしないってことさ」
と、これはアルケミストのエザーレインさんの言。
「何ってったって、第九階層への隠し通路は巣穴の中にあるんだからね」アイギスさんがぱちりとウィンクする。
「……再び、飛竜の巣穴へ……」
キリコのたて一同はとりあえず長鳴鶏の宿で眠ることにした。

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