シェアワールド@霧生ヶ谷市企画部考案課

その四:バレンタイン祭り

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☆バレンタイン祭り;闇鍋三昧その四

(・∀・)「よう、陽一!今日はやけに元気無えじゃねえか」

 学校からの帰り道で板倉陽一に声をかけたのは、陽一と同じクラスでしかも同じ近代科学部に所属する阿藤浩二だった。

(´・ω・`)「ああ、浩二か。いや?いつも通りだけど・・・」

 そう言う陽一の表情は、言葉とは裏腹に浮かないものだった。
「ふん。ま、それなら良いけどよ」
 浩二はそこで言葉を区切り、寒々とした風が吹き抜ける夕焼け空を見上げた。陽一は地面を見ながらただ黙々と歩いている。と、浩二が歩みを止めた。
「お前さ。バレンタインデー、嫌いだろう」

(゚Д゚)「は?」

「お前とは小学校からの付き合いだがよ、お前、今まで一度も貰ってねえだろ。チョコレート」
「うっせえ」
 陽一の顔に怒りの色が浮かんだが、だがすぐにそれも消え、また地面を見ながら歩き始めようとした。
「あんなもん、興味ねーからさ」
「へえ」
 浩二は陽一にとって大切な友人ではあるが、さすがに面と向かってああも言われれば腹も立つ。だが浩二の方はそんな事などお構いなしに続ける。
「なあ、陽一よお。男と生まれたからにはよお。バレンタインデーに女子からチョコが貰えるかもって、ちっとは期待してウキウキするもんだぜえ。たとえ毎年収穫ゼロだったとしてもだ。それが男ってもんだろう」

2/13の夜   2/14の昼  → 2/14の夜
  ↓          ↓             ↓

 (・∀・)        (・∀・)∩       →:;::∧∧:::::
 / ⊃⊃       /⊃ /             →:::( ' д ` )<チョコ貰えなかたよ
(  (         ( ヽノ        →:::と   ヽ:;
 (/(/'           (/          →:::⊂,,_UO;;

「勝手に言ってろ」
「さて、そんなお前のために、本日この阿藤浩二様がナイスアイディアを持ってきたんだ」
「はあ?」
 浩二は急に陽一の肩に腕を回し、小声になった。
「まあ聞けって。今回のバレンタインデーを逆手にとって、イメージチェンジに使おうって作戦だ」
「チョコ目当てでイメチェンって、べたすぎねえか?」
「チョコ目当てでイメチェンするんじゃねえよ。俺に名案があるんだ」

 ここで男二人、ごにょごにょとなにやら密談を行う。

キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!

「そいつぁ・・・面白いアイディアだな・・・」
「だろお?こいつは面白くなりそうだろ?」
「俊哉はどうするんだよ。あいつも乗ってくるんじゃねえ?」
「あんなのほっとけって。副部長とよろしくやってんだからさ。今度の主役は俺とお前だからよ」
「分かった。じゃ、今度の日曜にでも行くか」
「おう!」


 さて、運命の二月十四日。
 近代科学部の一年生女子三人組、摩周清美、織手加奈子、外谷亜紀は放課後、いつもの通り近代科学部の部活動が行われている理科室へとやってきた。理科室は水道とガス栓が取り付けられた固定式の長テーブルが六つ据付けてある。そして彼女たちは決まって一番前の窓際の席を使っていたのだが、今日その机の上にはそれぞれに綺麗にリボンのついた小さな箱が置いてあった。
「ねえ、何かしら。これ」
「誰かのプレゼントかなあ?でも三つある」
「もしかしてバレンタインチョコ?」
 三人が怪訝な表情を浮かべていると、浩二と陽一が理科室へと入ってきた。
「お、これは近科部期待の新人三人組!」浩二の大げさな言葉に続いて陽一。
「普段君たちにはいろいろと面倒をかけてるからね。それは俺たち二人からの・・・」
「感謝の気持ちってやつさ」

 三人はあっけにとられてぽかんとしてしまっている。実はこの日、浩二と陽一は朝からクラスメートの女子全員にチョコレートを配ったのである。バレンタインデーにチョコレートを男子が女子に配る。まさに逆転の発想。配り終わった後、浩二と陽一は教壇に立って言った。
「これは俺たち二人から、女子生徒のみんなへの感謝の気持ちってやつです」

        /つ_
  /つ_,  ( ゚д゚)
  |( ゚д゚)ヽ ⊂ニ) まじっすか!
  ヽと/ ̄ ̄ ̄/ |
   ̄\/___/

 まあ当然、男子生徒の多くは大声で笑っていたわけだが・・・・
「阿藤君って面白いね~」
「板倉君も、意外とやるじゃない」
 意外にも女子生徒のうけは良かったようである。さらに・・・

「先輩!ありがとうございます!」
「これ、シュネーケネゲンのチョコですよね!」
「バレンタインデーに男子がチョコを送るって、結構いいかも!あたし、義理チョコ選んでたら無性にチョコが食べたくなったのよね~」

 \先輩カッコイー!/

 (´∀`∩(´∀`)(´ー`)

近科部女子三人は大喜びしている。と、そんな楽しげなムードの理科室に、蓮田俊哉が駆け込んできた。
「ちーっす!あれ!?何ソレ?」
 浩二と陽一は目を合わせてニヤニヤしているが・・・

「今日って、なんか特別な日だっけ?」

(゚Д゚)ハァ?

 俊哉の言葉に思わずずっこけてしまった。
「お前さあ、今日はバレンタインデーだろうがよお。まあお前はチョコを貰う当てがあるから慌てねえんだろうけどさあ」
「あ!そうか!今日、バレンタインデーか!」
 俊哉のあまりにも間抜けな一言に一年女子も飽きれている。陽一はにやりと笑って一言。

「この、朴念仁」

「ははっ。陽一に朴念仁呼ばわりされるんじゃ俊哉も形無しだなぁ」
「ボクネンジンって、何?」
 と、そこへやってきたのは近代科学部の副部長、古徳和子。
「あ、副部長!」
「これ、阿藤先輩と板倉先輩がくれたんですよお!」
 すぐさま一年女子三人が駆け寄る。もちろん三人とも、和子が俊哉にチョコを渡すのだろうと期待に胸をふくらませているのだが・・・

「あれ?今日って、何か特別な日だっけ?」

ポカー( ゚д゚ )( ゚д゚ )( ゚д゚ )( ゚д゚ )( ゚д゚ )ーン

 しばしの沈黙の後、陽一がぼそりと言った。
 _, ._
( ゚ Д゚)「この、朴念仁・・・」

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