シャーシ(一般的にはシャシ、シャシー)は車の土台兼骨組み部分であり、ミニ四駆においてはここにほぼすべての機能が集中していると言っても過言ではない。
兄貴分であるRCもそうなのだが、ボディはほとんどのっているだけである(但し、RCくらいのサイズとスピードになるとある程度空力効果がある)
そのため、競技用のミニ四駆を作る事は、ほぼシャーシに全精力を注ぐことになる。

シャーシの基本

  • 電気系
ミニ四駆の原動力である。パワーソースとも。
エネルギー源となるバッテリー、バッテリーからの電力供給を受けて運動エネルギーを発生させるモーター、そしてその弐種類の部品をつなぐターミナルからなり、これら三種の部品が一連の回路を形成する。これはどのシャーシも共通である。*1
ミニ四駆の根幹たる部分であり、まずはこれらがしっかり出来ていないといくら他を上手く作ろうが意味をなさない。最も重要な部分である。


  • 駆動系
パワーソースの力を制御・伝達する部分である。
いくら高性能なパワーソースを備えようと、ここがガタガタでは全く生かせない。パワーソースと並んで重要な部分と言える。
ここはシャフトドライブシャーシとダイレクトドライブシャーシ(ミッドシップ系シャーシ)で大きく異なる部分である。

    • シャフトドライブシャーシ
動力源であるモーターから始まり、カウンターギヤスパーギヤリヤドライブシャフトクラウンギヤプロペラシャフト→クラウンギヤ→フロントドライブシャフトの順で動力を伝達し、四輪駆動としている。
電池を中央に寄せる配置となる為、シャーシ中央付近がスリムに出来るので、大抵の場合トレッドが制限されにくく細身のボディが載せやすい。
反面、プロペラシャフト周りが何かとネックになりやすいと言う欠点がある。

    • ダイレクトドライブシャーシ
動力源であるモーターから始まり、カウンターギヤスパーギヤとここまでは同じだが、違いは前後ともこの組み合わせで駆動するのである。
プロペラシャフトを介さず、前後とも直接モーターで回す、ダイレクトドライブたる所以である。
駆動系の部品が少なく、その分ギヤやシャフトの接触摩擦部分も少ないため、従来のシャフトドライブシャーシよりも駆動効率が高く、またモーターとギヤ類がシャーシの中央軸線付近にほぼ一直線に並んでいる為ねじれによるギヤのバックラッシュ変化にも強いと言われていて、ある程度の所までなら比較的速くし易いと言われる。
また、その構造上モーターと電池という最も重い部品群がシャーシ中央に集中配置されている為、重量バランスも良いとされる。
反面、モーターやギヤ(とギヤベアリング)は専用のモノを使わなければならないので、それらの部品はシャフトドライブシャーシと互換性が一切なく、またモーターと電池を中央に配置しなければならない関係でその周辺は横幅が広く、使えるホイール・タイヤやボディが大きく制限されると言う欠点を持つ。


  • バンパー・ローラーステーなど
元はと言えば、RCに置いてタイヤなどを保護するための部分だった*2が、ミニ四駆ではローラーやスタビポールが出現してからは、それらを装着する為のハードポイントとして発展してきた部分である。
ミニ四駆の追加部品と言えば、大抵はバンパーやローラーステーに装着するものが多く、コースを走るミニ四駆にとっては非常に重要な部分である。

    • フロントバンパー
車体の前方部にある部位である。
一番前にある為、壁や路面からの衝撃が真っ先に来る上、マスダンパ―などの重量物も載せるので頑丈であることが求められる。
後述する第1世代~第2.5世代シャーシでは、元になったRCカーのバンパーを意識したデザインであった為、現在のスピードでは剛性(硬さ)も強度も不足している。
第3世代からは立体的な形状になり、ある程度改善されたがTZ以外ではまだまだ強度が不足気味である。
第4世代から、ようやく現在のスピードについてこられる強度になったが、VSだけはチョット弱い。

    • サイドガード(サイドステー)
フロントバンパーと同じく、もとはと言えばRCでタイヤ(リヤタイヤ)を保護するためのものだった。
その為TYPE系およびスーパーFMスーパーXなどでは棒を三角形に配置したような強度の低いものが多い。
2次ブーム末期から2010年前後までは、サイドローラーやサイドスタビが廃れていた事に伴いサイドガードも半ば飾り*3のようになり、あまり活用されていなかったことからそれほど問題視されなかった。その後、サイドにマスダンパ―を設置することが多くなったため、再び活用されるようになった。そのためマスダンパーの重みと衝撃に耐えられる強度が求められている。と言っても、提灯やヒクオなどの改造により擬似的にサイドステーを作り出しているレーサーも多く、むしろその方が効果的なこともあり好まれる。
大きく分けて固定式(ZERO系以外)とオプション式(ZERO系)、無しのシャーシ(MSトラッキンTR-1など)がある。
ARVZのように、サイドローラーのセッティングは一切考慮せず、マスダンパ―装着用に特化した幅の狭いサイドガードもある。

    • リヤステー
現在主に後ろ側のローラーを設置する部分で、アップダウンでの減速用ブレーキ、マスダンパ―なども装着するため、フロントバンパーほどでは無いにしろ高い強度が求められる部位である。
主に一点止め、二点止め、固定式の三種類がある。詳しい事は該当項目を参照。



世代

初のレース用シャーシTYPE-1から現在に至るまで、タミヤの技術やユーザーの意見・アイデアなどを取り込み進化してきたシャーシ。
それらをおおざっぱに世代分けしてみた。

  • 第1世代
TYPE-1系列のシャーシ。
シャフトドライブ構造はこの時点でほぼ確立されているが、独自のギヤなどが多く後のシャフトドライブシャーシと互換性が低い。
また、精度も悪い*4

  • 第2世代
TYPE-2系のシャーシである。
TYPE-1からかなり改良され、現在まで続くシャフトドライブ系シャーシの基本構造を確立した。
FMのみ、リヤステーが無改造で装着できる。

  • 第2.5世代
TYPE系から一歩進んだZEROシャーシと、TYPE系ではあるがZEROシャーシの特長を一部取り入れたTYPE-5シャーシがこれに当たる。
第2世代と第3世代の特徴を折半したような感じである。
フロントバンパーは相変わらずRC形状だが、モーターマウントとカウンターギヤマウントを一体化してメンテナンス性を向上させ、一点止めリヤステーが無改造で装着でき、超速ギヤも設定されたのが大きな強みである。

  • 第3世代
ZEROから発展したスーパー1シャーシ、TYPE-5から発展したスーパーFM、TYPE系シャーシの特長を一部受け継ぎZERO系の駆動パーツを載せたスーパーTZが該当する。
S1以降フロントバンパーが立体的な形状に変わり、特にTZ以降では強度・剛性とも飛躍的に改善された*5
モーターマウントの構造が全てZERO式となっているのも特徴。
超速ギヤもこの世代以降ではすべて対応するようになった。

  • 第3.5世代
スーパーTZ-Xのみがこれに当たる。
第3世代のTZに、第4世代の拡張性と新型超速ギヤを採用したのがこのシャーシである。

  • 第4世代
スーパーXシャーシ、VSシャーシが該当。
フロントバンパーにネジ穴を追加して拡張性を強化し、リヤステーもそれまでの一点止めから新型の二点止めに対応、新型で精度が向上した超速ギヤが小径タイヤのキットに標準で付属する*6など、セッティングの幅とパーツ取り付け強度の向上を図った上、モーターマウントとカウンターギヤマウントを分離したTYPE-2式構造を再び採用し、駆動系の精度を高めたのが特徴。
特にフロントに追加したネジ穴と二点止めステー、モーターマウントの構造は後のシャフトドライブ系シャーシにすべて引き継がれるなど、大きな成果を残した。
第2次ブーム時の集大成と言える世代である。

  • 第4.5世代
スーパーXXシャーシ、スーパーIIシャーシの二つが該当。
SXXはSXの、S2はS1の各部の強度・信頼性強化など欠点を改善したシャーシ。バンパー類の強度・拡張性強化、サイドガードの復活などが施されている。
特にS2はS1から大きく改良され、S1からはるかに強化され拡張性もXXより高いフロントバンパー、TYPE-2式のギヤケースやMS軽量センターシャーシのようなサークル型スイッチ、二点止めのリヤステーへの対応、さらにS1にも流用可能な拡張性の高い新型サイドガードなど、ほぼ別物と言っていいほどの変化を遂げている。

  • 第5世代
ARシャーシ、FM-Aシャーシ、VZシャーシがこれに当たる。
従来のシャーシが殆ど上面から組み立てていたのに対し、ARではカウンターギヤを除き殆ど裏面から組み立てるようになっている。
そのため、電池交換やモーター・ギヤのメンテナンスに置いて、殆どボディを外す必要がなくなっている。
フロントは高い強度とS2譲りの拡張性を備え、サイドガードはマスダンパ―セッティングに特化した、幅が狭い分強度の高いものを採用。リヤステーは固定式で、左右が分割されているという特徴がある。
ギヤケースの素材も、新たに低摩擦素材を採用して駆動系の損失軽減や強度を向上を図っている。
FM-Aも、シャーシ下部からのモーター交換が可能になっている他、Aパーツが低摩擦素材となっている等、ARの特長もいくつか取り入れられている。
VZはVSの性能をベースとしつつも、登場時(2020年代)のレースシーンに合わせたブラッシュアップがなされている。

  • EXTRA
MSシャーシはそれまでのシャフトドライブシャーシとは一線を画した別系統のシャーシである。
駆動系がシャフトドライブシャーシとは全く異なる上、シャーシが3分割されている為、ユニットごとに発売されているので世代と言う概念も当てはめにくいシャーシである。
3分割されている上にバンパーや各ユニットの接続部などネジ穴も多く、一体型シャーシとは別次元の拡張性を有するのが一つの特徴である。
タミヤが提唱していたような、レースシーンに合わせてのユニット交換は精度などの面であまり行われなかったが、最初の組み立て時やレース前の調整で各種ユニットを選べる利点は非常に大きく、もし破損しても破損したユニットだけ交換すればその他は使えるなど、保守の面でも有利なシャーシである。
ダイレクトドライブ式の新型であるMAが出現した現在でも、この先新型ユニットが出る可能性はあり、まさに無限大の可能性を持ったシャーシと言える。

  • EXTRA2
MAシャーシはMSのダイレクトドライブはそのままに、シャーシを一体化したモノコック構造を特徴とするシャーシである。
それ以外にも、フロントバンパーやサイドガード、リヤステー、フラットなシャーシ裏や低摩擦素材のギヤケースなど、ARの特長も併せ持ったシャーシとなっている。




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最終更新:2023年02月26日 09:42

*1 ターミナルの枚数が変わったりはしますが

*2 初期のTYPE-1でもそうである

*3 ただしVSシャーシのようにシャーシ強度に寄与している場合もある

*4 一応、TYPE-3、トラッキンシャーシとある程度は改善されていっている

*5 ただS1、SFMではまだまだ不足気味

*6 スピンバイパーなど一部除く