ローラー、軸受けに使われるボールベアリングは、内部に潤滑兼錆止め用のグリスが大量に塗られています。
これは多過ぎて抵抗になるので、抜いてあげれば良く回るようになります。これを俗に脱脂と言います。

用意する物:ボールベアリング、ライター用のオイル、蓋付きの小さな容器(ガラス製が望ましい)

容器にライターオイルを適量注ぎ、その中にベアリングをドボンします。
(ローラーからベアリングを取り外したり、ベアリング自体を分解すればより完璧に脱脂できますが、元に戻せるか不安な人は、そのままドボンしても構いません)
ベアリングは3~4個以上入れたほうが確実&早く洗浄できます。

容器の蓋をしっかりと閉め、ベアリング全体にオイルが行き渡るようにシェイクします。

この後、人によって方法が分かれるようです。

A:数十秒ほどシェイクし、ベアリング内部に僅かにグリスが残った状態で取り出す。
この場合開封時よりも良く回るし、しかも別のオイルを注油する必要がありません。
特定のコース常設店では『床が汚れるので潤滑オイル使用禁止』なお店があるので、そんな場合この方法が望ましいです。

B:グリスが抜けきるまで念入りにシェイクし、取り出した後に別売りの低粘度オイルを挿す。
1.大体10分~30分くらいシェイクし、いったんベアリング内部のグリスや汚れが溶け出して濁ったライターオイルを取り出す。
2.新しいライターオイルを入れ、再度シェイク。
3.濁りがなくなるまで1,2を繰り返す。

濁りがなくなれば、ほぼ完全にクリーンになったと考えていいでしょう。
このままなら最高性能を発揮してくれますが、部品の磨耗やリテイナー(玉を適切な位置に保持しておくスペーサー)の変形を早めて寿命を縮めますので、潤滑油の項で述べているKATOのユニクリーンオイルや、クレ5-56の無香性タイプ(クレオイルはこれ以外は樹脂を犯すので注意)を少量挿してあげれば長持ちし、錆も防いでくれます。ただし挿しすぎると脱脂した意味がない&たれてきてマシンやコースが汚れるので程々に。
また、低粘度オイルは切れやすくもあるので、1~2レース終わったらもう1度挿してあげるといいでしょう。
一度脱脂した後も経過日数や走らせた回数などによって、定期的にこれをやってあげると性能を維持できます。場合によっては洗浄するときに結構鉄粉が出てきたりしてビックリします。

その他
  • ライターオイル
ライターオイルはジッポオイルが代表的ですが、ダイソーやキャン・ドゥなどの100均や、ホームセンターでも手に入ります。どれが良いとは言えませんので、自分の好みやお財布事情と相談してみてください。

  • 容器
塗料のスペアボトルがお勧め。大抵はガラス製で、しかも液漏れ・溶剤の揮発防止に蓋と本体の間にパッキンが入っているのでこの作業にはうってつけでしょう。
入手も、模型店や模型用塗料を扱っている家電量販店へ行けば大抵1~2種類はおいてありますし、ホームセンターなどでも店舗によっては扱っているところがあり、比較的容易に手に入ります。
お値段も数十円~百数十円と手ごろです。
もちろん、中身を使い切って空になった塗料ビンでもかまいませんが、その場合はしっかり洗浄しないと残った塗料カスがシェイク中に剥離し、最悪ベアリングの中に進入してしまうので注意しましょう。

  • ワークマシンを使ってオートシェイク
タイヤホイールギヤの加工のために、要らないシャーシを使ってワークマシンを作っている人も多いと思います。腕が痛くなるので脱脂がめんどくさい、と言う人はこいつにやらせましょう。
まず、ワークマシンのホイールにテープなどでセッティングウェイトや釣り用の錘などを一つくくりつけます(しっかり止めておかないと作動中に吹っ飛ぶので注意)。
これが振動子になり、スイッチを入れてやると結構な勢いで震えてくれます。
後はベアリングとライターオイルを入れた容器を合体させればOKです。
でも、さすがに手で持ってると痺れてくるので、壁や天井にフックを設置し、そこから釣り糸や輪ゴムを使って吊るしておくといいでしょう。
人間と違って疲れ知らずなので、電池が切れるかシャーシがぶっ壊れない限り1時間だろうが一晩中だろうが振り続けてくれます(でも汚れたオイルの交換は忘れないように…)

  • 使わないベアリングの保存
脱脂したは良いが今すぐに使わなかったり、セッティング変更などで取り外したボールベアリングを持っている人も多いかと思います。
そのままでは錆びてしまいますので、最低限適量の注油はしておきましょう。
理想的なのは、上記のスペアボトルに潤滑に使う低粘度オイルを充填し、その中にドボンしてあげることです。
油中なら、ほぼ確実に錆を防止してくれます。
使うときが来ても、しっかり油切りすればそのまま使えます(しっかり油切りしないと上記の通り意味がないし、たれてきてベトベト)

  • ベアリング洗浄後のライターオイル
捨ててもいいのですが、瓶などに取っておくと数日~数週間で溶け出したグリスなどの不純物が沈殿し、透明なオイルが上澄みとして出てきます。この透明な部分が再び洗浄液として再利用できます。
沈殿物を舞い上げないよう、そっとスポイトなどで別の容器に移すといいでしょう。
この再利用液を初期洗浄に使えばオイルをかなり節約できます(仕上げは新品のオイルで)。
オイルが蒸発するまで何度でも再利用できますので。
残った沈殿物はティッシュなどでふき取って、出来れば匂いが無くなるまで天日干しにしてゴミ箱へ。オイルを捨てるときも同様に。

注意:
ベアリングの洗浄や保存に塗料用溶剤(ラッカー、エナメルなどの各種シンナー)やガソリン、灯油などを使ってる人がいますが、やめておいたほうが良いでしょう。
石油系溶液の中にはプラシール(玉を保護している部分)やプラリテイナーを強力に侵食する物があります。
そうなってしまっては使い物にならないので、お高いボールベアリングがゴミ箱行き…。
最近では金属シールのボールベアリングでも中身がプラリテイナーだったりする(950で確認)ので要注意です。
また(保存液として使っている場合)、何よりレース会場に持っていけません。
これらの溶液は結構な臭いがあり…って言うか臭いです。
もしレース会場でそんなものを開けようものなら周りに迷惑がかかるのは必須。
特に会場が屋内の場合は最悪です(WTCでラッカーシンナーを保存液として使っている人がいましたが、かなり臭かった)。
慣れてる人なら良いですが、石油の臭いがまったくだめと言う人もいますし、最近では親子連れで小さなお子さん方もたくさん見受けられるようになったので、もし持って行ったとしても開けてはいけません。開けたければ外にいって開けましょう。
洗浄に使うライターオイルを保存に使っている人もいますが、こいつも長期的に見るとプラスチックに影響があるようなので、やめておいた方がいいでしょう。やっぱり臭いしね。