スロープセクション等のアップダウンで姿勢を制御するためのパーツ。
スロープ自体は昔から存在していたものの、当時に比べて速度が飛躍的に向上した近年では、そのままの速度では大きく飛び跳ね、また姿勢を崩しやすくもなった。
ARMAFM-Aに標準でスキッドパーツが付いたことからもわかるように、いわゆる立体レースと呼ばれるスロープを用いたコースが公式非公式問わず主流となり、必要性が格段に増した。


素材


スポンジ

適度な減速、強く姿勢制御を行うのによく使われる素材。現在大半のユーザーがお世話になっている。
主にブレーキスポンジセットで入手する。他にも同様の物がMSシャーシ マルチブレーキセット、ARシャーシブレーキセットなどに付属する。

・ホワイト(レッド)
高速マシンにおけるブレーキの主流。減速効果が強く、テープの食いつきも良い。1、2、3ミリ厚がセット販売されている。それまでブレーキスポンジは両面テープが別で、専用の両面テープは剥がれやすい上に厚みがありすぎて使いにくいと不評だったが、使いやすくなったブレーキスポンジとして瞬く間に主流となった。
派生として、
も販売されている等の優遇を受けている。

2023年1月分からホワイトにカラー変更された。性能は変化なし。

・ブルー
昔で言うターミナルスポンジ(下記参照)と同質のスポンジを単品販売、かつホワイトと同様3種の厚みの物がセットされ、それぞれにテープが貼られている使いやすさからこちらもよく使われる。「マイルド」とされる通り、ブレーキとしての効きは弱めで、コースやセッティングに応じてホワイトと使い分ける。ブレーキスポンジセット(無印)に付属するグリーンも同様の素材だが、テープがあるこちらの方が遥かに便利なため、ブルーの発売後はグリーンの使用率はさらに減った。

・グリーン
上記ブルーと同じ素材だが、3ミリ厚しかなくテープも貼られていないため使いづらい。今わざわざこちらを選ぶ理由はほぼ無い。

・ブラック
ホワイトとブルーの中間程度の効力を持つバランスタイプ。効力の調整のために使われるが、2ミリ厚しか無いためホワイトやブルー程は使われていない。

・グレー
ホワイトとほぼ同様の効きだが、劣化が早い、個体差が激しい、2ミリ厚しか無いなど、今ではホワイトに優先して使う理由はグリーン同様ほぼ無い。


その他スポンジ

基本的に上記ブレーキスポンジで事足りるが、どうしても自分のマシンに合うものが無い時に選択肢として考えられる。

・レストンスポンジタイヤ
少々強度が低いものの、ホワイトやグレーよりも更に強い効きを期待できる。タイヤにしか存在しないので、厚みを調整してタイヤを切って自分でテープを用意して貼る必要がある。

・ノーマルスポンジタイヤ
ブルー、グリーンよりも効きが弱めなため、効きをよりマイルドにしたい時に選択肢に入りうる。ただし現在入手する機会は殆ど無いため、使われる事はまずない。骨董品レベルになった物をわざわざ切って使うくらいなら、上記のブレーキスポンジを使った方が全てにおいて楽。

・ターミナルスポンジ
ゴールドターミナル各種(MS以前の物)に、今で言うブレーキスポンジセットのグリーンと同等の物が昔は付属していた。当時の物を保管していた人は流用していることも多いが、新たに始める人は視野に入れる必要はない。

・ボールベアリングスポンジ
丸穴ボールベアリングは緑色、六角穴ボールベアリングは青色のスポンジに入れて販売されている。
今で言うブレーキスポンジセットのグリーンとブルーと同等の物なので使えなくはない。
ボールベアリングを購入した際のものを保管していた人にとっては活用方法が見つかった・・・と思うかもしれないが小さい上に穴が空いていて使いにくいことこの上ない。あえてこれをブレーキに流用する必要はない。


硬質プラスチック

ブレーキというよりスキッド。地面に軽く擦らせて姿勢制御だけを行う際に使われる。アンダースタビヘッドセット、ボールスタビキャップ、フロントアンダーガードなどで入手する。
スポンジでは効きが強すぎる、または芝セクションがあってフロントの引っかかりが気になる場合に出番がある。

・フロントアンダーガード
フロントスキッドとして最もお手軽なパーツ。アップダウンの姿勢制御の他、フェンスにローラーが引っかかるのを防ぐ効果もある。
ビス穴の周りは座繰りされていて、ビス頭が飛び出さないようになっている。高さは各シャーシの地上高やタイヤのサイズに合わせ、2種類から選べ、ビス穴が多いため、大半のシャーシの様々なセッティングに対応。
ノーマルはシルバーで、限定でレッド、ブルー、ブラック、パープル等があるが、ノーマルがポリプロピレン、低摩擦と書いてある限定品はPOM素材が使われていて、当然性能も異なるので注意。

アンダースタビ、ボールスタビキャップ
バンパー下にビスを伸ばしてそこに装着する。素材の関係でアンダースタビはよく削れる、ビス穴が割れやすい。そういう意味ではボールスタビキャップの方がお手軽と言える。
効き具合はアンダースタビ黄>アンダースタビ青>ポールスタビ≧ギヤスタビ


その他硬質プラスチック

通常のGUPでは存在しないバリエーション。各種プラスチックパーツが加工出来ればそれだけ色々なスキッドパーツを作成できる。

・ギヤスタビ
ギヤを加工して自作されたオリジナルのスタビ。アンダースタビやボールスタビキャップでは対応しきれない厚みや大きさが必要な時に使われる事がある。当然自作しないと入手出来ない。

ゴム系

今となってはわざわざ使う理由も無くなってきたが、どうしても更に強くブレーキを効かせたい場合に使われる。減速させやすい上に耐久性も高いが、ゴムなので重い。ブレーキという低い位置に装着する都合で重心調整には便利かもしれない。

・ノーマルゴムタイヤ
入手がしやすい普通のタイヤを切ってFRPプレート等に貼り付ける。ゴムブレーキとしては主流と言える。
両面テープが剥がれやすい場合、瞬間接着剤を塗って乾燥させればプライマーとして機能し、両面テープで十分に固定できる。

・ソフトタイヤ
ソフトタイプのタイヤを切って装着する最強の効力を持つブレーキ。
両面テープが殆ど効かないので、瞬間接着剤用のプライマーを塗布した後に瞬間接着剤を塗り乾燥させて、両面テープで貼る。穴を開けてビスで固定する方法もある。

・ブレーキゴム
リヤーブレーキ・ローラー、リヤースライドダンパー、ゴムブレーキセット等で入手する。
筒状のパーツを下に向けて装着する。効きの違う2種のゴムがあり、硬めの消しゴムのようなピンク(強)、砂消しゴムのようなグレー(弱)がある。


その他


・マルチテープ
紙製のテープであり、名の通りマルチな対応が出来る。
スポンジを完全に覆って効き具合を調整する、剥がれ防止に先端だけ覆う等、色々な使い方が考えられる。

・FRP
FRPやカーボンプレートは、普通はその下にスポンジやゴムを貼るための基盤として使われるが、スキッドパーツのバリエーションとしてプレートだけを使う場合もある。
その場合は「面取り加工をする」「マルチテープを貼る」「座繰り加工をして皿ビスを使う」等でコースを傷つけないようにする必要がある。

・スキッドシール
滑りやすいPET製の透明シールで、フェンス乗り上げ防止用ステーやブレーキステーの表面に貼ることで、ブレーキスポンジとは逆に速度を抑えないで姿勢制御が出来る。
着地にストレートが長く続くような高速コースでノーブレーキセッティングにする場合に使える。

ブレーキパーツ

  • リヤーブレーキ・ローラー
ステーのマウント部の先にブレーキを取り付ける筒があり、ノック式消しゴムのようなブレーキパッド(?)を詰めることでブレーキを付けられます。
昔からあるパーツの割には強度もそこそこ。
ブレーキパッドが2種類ついてきて、効きが選べます。
パッドの設置面積が小さいので、他のゴムブレーキよりも効きは弱め。

  • リヤースライドダンパー・ブレーキセット
通称スラダンブレーキ。
前述したブレーキローラーに、さらにスライドダンパーを一体化したものです。
アルミパーツを使用しているため従来のスライドダンパーより滑りが良く、さらに一体型であるため、強度も高くなっています。
2010年代の環境では、かつて夢扱いされていたスライドダンパーの効能が見直されているため、リヤステー別付けの旧いシャーシを使うなら選択肢に十分入ります。
アルミプレート類も参照のこと。
本体部分は多少重いものの非常に高い強度(ねじ一本止めリヤステーの中ではおそらく最強)を誇ります。
また、アルミプレートも材質が変更されているようで、従来のものよりも強度が高くなっています。
ただし、ブレーキ自体の性能は上記のものと変わりません(付属パッドはピンク色のハードのみ)。

  • アンダースタビヘッドセット
言ってみればショートスタビローラーの先っちょとそれのネジ穴を短くしたものです。
下記のボールスタビキャップよりやや抵抗強め。
その分消耗が早く割れやすいので注意しましょう。
余談ですが、様々なサイズのネジが付いてきます。

  • ボールスタビキャップ
スタビライザーポールの先っちょ。
カラーバリエーションが非常に多いです。

  • MSシャーシ マルチブレーキセット
その名の通りMSシャーシ用に発売されました。
黒・灰の2種類の粘着テープ付きスポンジが付属し、ネジの取り付け位置や、さらにブレーキパッドステーの数を調節できるので、効きを何段階か選べます。
ステーは材質の関係や、パッド部分にドライブシャフトを通す事から強度が高くなっています。
ネジ穴の幅が2点止めリヤステーと一緒なので、X系シャーシAR等にも流用可能。
また、ターミナル保護スポンジやプレートブレーキセットの付属スポンジではなく、レストンスポンジタイヤを切って加工したものを用いることもあり、上記のスポンジよりグリップ力が強いため、高いブレーキ効果が得られます。
ただし、(レストンに限らず)少々強度が低く、コースなどによってはすぐにボロボロになる場合があります。
というと聞こえは良いが、使用できるシャーシが限られることもあり使用率は低い。
むしろシャフトにローラーをつけてスキッドローラーに使われることが多い。

  • ゴムブレーキセット
MSシャーシT-01、T-04やX用FRPリヤーローラーステーなどに装着して使うパーツです。
具体的にどういうものかというと、リヤーブレーキ・ローラーやリヤースライドダンパー・ブレーキのブレーキ装着部分だけをネジ止め式にしたような一品。
アルミカラーの付け外しにより、大径・小径両方に対応。

  • ブレーキスポンジセット
MSシャーシ マルチブレーキセットのモノと同じ黒・灰スポンジ、ターミナルスポンジと同素材の緑スポンジが付属。
限定版ではターミナルスポンジが青でした。

  • ARシャーシブレーキセット
ARシャーシ専用のブレーキセットです*1
5mm幅にカットされた黒、灰色スポンジが付属し、スポンジをセットする部分に貼り付けて使用します。
MSシャーシ マルチブレーキなどよりも姿勢制御を考慮した形状になっていて、ARシャーシに付属するスキッドバーの発展型パーツです。
大径、小径で高さが合わせられるほか位置を前後に二段階調節ができるようになっています。
またスポンジを取り外して前後の向きを逆にすることで、減速させず姿勢制御の機能のみを活かすことも可能。
スポンジが痛まないよう工夫された形状にはなっていますが、やはり走りこむと消耗はするので定期的にスポンジの交換が必要なのはMSシャーシマルチブレーキセットと同じ。
バーの部分は厚さが薄いのでフロントアンダーガードのような取り付け方もでき、フロントブレーキとしての使用もできます。
ただ、材質や形状の関係で連結パーツのバー側付け根の強度の弱さが指摘されていて、すぐ壊れるという話も報告されています。

  • FRPリヤブレーキステーセット
ブレーキスポンジを貼る面積が大きく、ローラーと干渉しにくい新形状のFRP製ブレーキステーで、マスダンパーなどのパーツが取り付けられる穴も多く開いているのも特徴。リアステーが1点留めのシャーシを除き全てのシャーシに使える汎用性の高さが売り。


ブレーキセッティング

フロントブレーキ、リアブレーキ、応用として腹ブレーキが存在する。ブレーキは低く、かつタイヤの設置点から離すほど接地時間が長く、その効果を発揮する。装着する際は最低地上高(タイヤ以外の部分が路面から1ミリ)に注意。
また2コ以上取り付けた場合には左右の高さの違いにも注意。スロープ等で思わぬ挙動を起こし、横転したりコースアウトする恐れもあるので、左右には同じパーツを使うのが無難。

各部位の説明

・フロント
最もお手軽なのはフロントアンダーガード。これ一つである程度の速度、セクションなら攻略は可能。フロントアンダーガード&ARシャーシブレーキセットという組み合わせはスターターパックでも採用された基本セッティング。特にバンクとスロープが併設されたコースでは、バンクでは効かずスロープだけで効くように綿密に調整することが重要である。
難しめのコースや高速なモーターを使ったマシンであれば、バンパー下にFRPを装着してスポンジを貼り付ける方法も有効。FRPリヤブレーキステーセットを使えば簡単に基盤を用意できる。「リヤ」とあるが、フロントにも使いやすい。
ただし、ジャンプで前傾姿勢になるマシンは前転など思わぬ事故の危険が大きいため調整が必要。
最近ではあまり使われないが、軽く仕上げたいならスタビキャップ等も使える。
どんなブレーキセッティングにするにしろ、フェンスに引っかけて乗り上げないように注意が必要。

・センター
腹ブレーキと呼ばれる方法。シャーシの腹(シャーシ裏側中央部)にゴムやスポンジを貼り付けたもの。コースの凸状となっている箇所でしか効かないため理想的なブレーキと考えられたが、実際には殆ど接触しない。腹ブレーキは最低地上高に注意(特に小径マシン)。

・リア
強めに効かせる事が多い箇所。ARシャーシブレーキセットやFRPリヤブレーキステーセットを使えば手軽にブレーキ基盤が作れる。なのでそこにスポンジを貼り付けるのが基本となる。
場合によってはフロントにブレーキスポンジを使用し、リア側をプレートだけで済ます方法も使われる。

セッティング実践

冒頭にもある通り、ブレーキは姿勢制御の為に装着される。
立体攻略の要であり、ジャンプの姿勢が悪いと、いくらタイヤやウェイト、サスペンション改造などで跳ねを抑止しても、転倒したりコーナーで姿勢を崩してコースアウトすることは十分にある。
フロントアンダーガード&ARシャーシブレーキセットといった基本形こそ存在するが、
それだけでは済まないような厳しいセクション、高速化したマシン等に対してはもっと別のブレーキセッティングを施す必要がある。

マシンの特徴、つまり使用シャーシやローラーセッティング等で重心や飛び方の癖等がそれぞれ違ってくるので、
悪い癖を修正して綺麗にジャンプさせることになる。

ジャンプ時にフロントが上がる、いわゆる「バンザイ」状態になる場合

基本形とは逆に、フロントのブレーキを強めてリアのブレーキをあえて弱める方法が効果的。
加えてリア側のブレーキステーをレギュレーションの限界まで伸ばす、フロントのブレーキが早く、長くスロープに当たるようにフロントのブレーキステーを前方に伸ばす等も視野に入れていい。
調整が極端になって前のめりになりすぎないように注意。特に着地時に芝セクションがある場合、そのまま前転してしまってリタイアする。

ジャンプ時にフロントが下がる、「前のめり」な状態になる場合

基本形にならって、フロントを軽く擦らせリアを強く効かせるセッティングにすると改善しやすい。
度が過ぎて上記の「バンザイ」状態にならないように、程よい効き具合を模索していく。

ノーブレーキ

速度の水準が低いチューンモーター縛りのルールだったり、タイムをより縮めたい高速サーキットだったり、
または複雑なセクションを一気に飛び越えてしてしまいたい場合には、ブレーキの摩擦を与えないノーブレーキセッティングが有効な場合もある。
立体レースで言われるノーブレーキとは摩擦を与えないというだけの話であり、ブレーキステー自体全く使わないということではない。
スロープセクションその他ジャンプがある以上姿勢制御は必須であり、ブレーキステーの高さもスポンジやゴムを使わない前提で調整する必要がある。

バンクスルー

ブレーキを装着する際、スロープにだけ当たってバンクには当たらない位置調整をする事。
スロープよりバンクの方が坂が緩やかなのでこういったセッティングが可能になる。
基本的にバンクでブレーキを効かせるメリットは無く、タイムが悪くなるだけなので、バンクのあるコースではこのバンクスルーを確実に行う必要がある。
最低地上高のルールは1ミリ以上となってはいるが、そんなに限界まで下げていても確実にバンクに引っかかり、良好なタイムは望めない。
AR、MA、FM-A等に付属するスキッドパーツもこのバンクスルーを実践出来ている理想的な高さであり、見事な設計である事がよくわかる。
実物のバンクセクションで確認するのが一番確実だが、一部ショップや通販、オークション等で入手出来る「バンクチェッカー」を使用するとバンクスルーの確認がいつでも出来るようになる。


ブレーキパーツも、使う内に摩耗、劣化したり、最悪剥がれたりするため、定期的にチェックして交換する必要がある。コース設置店によっては落し物の大半が剥がれたブレーキということもある。特にコース上に落ちたブレーキはコースアウトの原因となるため他の人にも迷惑がかかってしまう。
また、マスダンパーやサスペンション改造など、着地時の衝撃を吸収する改造と併用すれば、更にアップダウンでの安定性は向上する。


  • 情報古すぎたから大幅修正 -- 名無しさん (2017-10-14 02:57:48)
  • 素材とセッティングの欄は暫定完成。パーツの欄はどう作るか考え中。 -- 名無しさん (2017-10-14 03:54:51)
  • 質問所の回答などをもとにセッティングの項目の強化をしてみました。必要に応じて追記等おねがいします。 -- 名無しさん (2020-06-22 03:39:53)
  • いくらか更新+これからに備えてレッド→ホワイトに変更(抜けはあるかもしれないから気づいたら変更しとく -- 名無しさん (2023-02-26 18:06:54)
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最終更新:2023年02月26日 18:06

*1 当然ながら工夫次第で他のシャーシにも流用可