ZERO(ゼロ) chassis(シャーシ)


[基本データ]



TYPE-5スーパー1シャーシの前に発売されたシャーシ。
ホライゾンで初採用され、その他アバンテ2001JrやプロトエンペラーZXなどで採用された。
ZEROと言う名前は、『ダッシュ四駆郎』のホライゾンがキット化されるにあたり、DASH軍団の車両の先祖のシャーシということでタイプ系シャーシの先祖→タイプ1より以前→ゼロ→ZEROという説などがあるが詳細は不明。
事実、この後開発されたシャーシはTYPE-5を除きスーパー1やスーパーTZなど、新世代のシャーシに移る事となる。

このシャーシに投入された新技術やパーツは、後々のシャーシに大きく影響を与え、直系のS1以外にもTYPE-5、その流れを汲んだTZ系シャーシや、二次ブーム最終型のVSシャーシ、最新のシャフトドライブシャーシであるARVZにもこのシャーシの影が見て取れる。

いくつかの新機軸が設けられていて、特に駆動伝達部のピンク色ヘリカルクラウンギヤ直径1.4mmのプロペラシャフトはそれまで用いられてきたオレンジ色クラウンギヤや、2mmプロペラシャフトよりも駆動効率が向上。
オレンジ色クラウンギヤ+2mmプロペラシャフトと比べて強度では劣っているものの(コースアウトや下り坂からの着地であっさり破損する)、それを加味してもその速度向上は魅力的で、このシャーシの改良型であるS1以降に開発されたリヤモーターシャーシではX系シャーシを除き、全てこれらの組み合わせが採用されている(Xシャーシもぺラシャの直径は1.4mm)。

また、カウンターギヤマウントとモーターマウントが一体型ユニット構造となった方式もこのシャーシが初である。
この構造はメンテナンスが比較的楽であり、特にモーター交換の際に一々カウンターギヤとカウンターギヤシャフトを外す必要がなかったため、それらを無くす心配も少なかった。
具体的には、TYPE-2式がモーターを外すのにカウンターギヤカバー→カウンターギヤ→モーターと言う手順を踏まなければならないのに対し、ZERO式ならモーターマウントとカウンターギヤマウントが一体化されているので一つの手順でモーターが外せるので、メンテナンス性と言う点では優れた方式であり、以降TZ系シャーシまでこの構造が引き継がれることになる。
しかし、突き詰めていくとこれ以前のTYPE-2型構造の方が精度などの機械的性能面で有利だったためか、XではTYPE-2を元にした改良型構造が、2次ブーム最終型シャーシといえるVSにいたっては完全にTYPE-2方式に戻っている(ただしカウンターギヤシャフトはツバつきのものに変更されている)
また、このシャーシの発展型であるS1のさらに改良型のS2でもTYPE-2構造である(カウンターシャフトやカウンターギヤケースの固定方法などは改良されている)。最新型シャフトドライブシャーシのARも、TYPE-2式の改良型である。
金具(ターミナル)も独自のものが採用されたが、フロント側スイッチ金具の強度が弱く、接触不良が多かったためか、このシャーシの改良型であるS1以降では採用例がなく、S2でもやはり前がB(C)型、後ろがX型ターミナルに変更された。

さらに、本体後方底面部に1点固定リヤローラーステー装着用のマウントがある。
このマウントは、S1やTZ、X系などに受け継がれている。

ちなみに3.5:1の超速ギヤが使えるようになったのもこのシャーシ(と直後に出たTYPE-5)が初めて。*1色々と革新的だったのである。

このシャーシのコンセプトは「軽量・コンパクト」で、そのためかサイドガードはスーパーアスチュートJr.ADVANCEを除きオプションになっている(初期はサイドガードの装着がまったくといっていいほど考慮されてなく、販売されていなかった)
しかし「軽量」の部分を突き詰めすぎたのか、当時も強度不足と指摘された。現在の立体レースシーンでは完全に強度不足である。
そのことが問題になったのか、後々専用のFRP補強パーツ(後述)がでている。

S1の原型となった(と言うよりS1はこのシャーシの設計流用)ため基本的には同じ構造、サイズだが、駆動に関しては流石にS1にわずかに劣る。しかし2次ブーム時にある程度改良が加えられたためか、そこそこ優秀らしく使っているユーザーも珍しくない。
フロントバンパーは同時期に出ていたTYPE系シャーシに準じているため、S1以上に貧弱。
左右に伸びる部分に肉抜きガイドの薄い部分があり、特に剛性が低い(ただし、しなるのでS1のように何かの拍子に折れ飛ぶということは少ない)ため、その形状と相まってローラーが上を向きやすい。ここの強化は必須。
そして、バッテリーホルダー側面もサイドガードがないことに加えて肉抜き穴が空いているため、捻じれ剛性が不足する。ここも、補強したほうが良い。
また、コースアウトなどの衝撃でフロントギヤカバーが浮いてターミナルとスイッチが脱落、最悪の場合は破損や紛失することもある(構造がほぼ同じS1にも言えること)。
この場合、シャフトからなるべく離れた位置にピンバイスで穴をあけて貫通させ、長めのネジとナットを使って固定すると良い。ただし締めすぎると歪んで駆動抵抗になるので、ロックナットでほどほどに締めるように。

現在金型番号が9番まで確認されていて、大きく分けて前期型と後期型(というより末期型?)が有る。初期のものには、モーター下部スリット付近にキットごとに車名が刻印されていた(HORIZON、ASTUTE Jr.など)。
2次ブーム中期か後期ごろまで生産されていた前期型(6番もしくは7番まで)は、フロントバンパーのネジ穴がTYPE-3と同様の形で、片方しか貫通しておらず(貫通していない方はネジ穴が浅く、ふさがってる方が半球状になっている)、スラスト角も0か逆にアップスラスト気味。
また、インジェクション整形のゲートがシャーシ裏側中央付近(金型番号の真裏)に設けられている。
2次ブーム後期から末期、そして現在まで生産されている後期型(7番もしくは8番から)はフロントバンパーのネジ穴が両方貫通され(初期のSXシャーシの形状に近い)、さらに僅かながらダウンスラストが設けられている。
バンパー自体も、裏側にパイプ上のリブが設けられ、多少ながら剛性を上げている(本当に微妙だけど)が、その所為で逆に専用のFRPパーツの接着が難しくなってしまっている。
そして、ゲートの位置がシャーシ中央からスパーギヤ後方部に変更され、電池の+-を刻印した凸も、前期型はシャーシ裏から見ると1段下がっていたが、後期型では段差がなくなり面一になっている。

上記の通りサイドガードがないが、GUPで専用のものが出ている(現在は生産停止。スーパーアスチュートJr.ADVANCEには標準装備)
また、接着が必要だがS1やS2のものが使用可能である。
ギヤカバーの規格が同じ(というか殆ど同一のもの)なのでS1用強化バッテリーホルダーも使用可能。
逆に、S2は大幅な改良が加えられたため、バッテリーホルダーとボディキャッチ以外は互換性がない。

シャーシ底の肉抜き面積も大きく(当時のタイプ2,4とほぼ同じ穴の大きさと数なのだが)、上記までの側面の肉抜きやサイドガードレスの構造もあり剛性がかなり低い(ねじれに弱くそこでロスが出る)ことなどから、本気で使用するにはシャーシの根本的な強化(井桁や下記の専用FRPなど)が必要になってくる。

フロントバンパー・シャーシサイドの強度不足に関してはタミヤも対策品として限定GUPながら専用のFRP強化パーツを販売したほど。
これを貼り付けると強度が見違えるようになる。特にポリカABS製のシャーシなら、素材の強度も相まってかなりの効果を発揮する。

簡単に言うと、スーパー系シャーシのプロトタイプ故劣る部分は多く、苦労は絶えない。
ただし、駆動を丁寧に仕上げ、シャーシの剛性を標準レベルまで上げてやるとS1以降のシャーシと同等かそれ以上のスピードで走ってくれるシャーシである。要は愛情。


2008年9月に発売された
  • ダッシュ0号・地平(ホライゾン) スペシャルキット
  • ダッシュ001号・大帝(グレートエンペラー)スペシャルキット
この二つのキットに入っているZEROシャーシは、ポリカーボネイト混合ABS樹脂製。


●カラーバリエーション
  • グレー(ダークグレー)
標準的な色。ギヤカバーもほぼ同色。
実を言うと、ギヤケース・シャーシ本体共に若干ラメが入っていて、マックスブレイカーCX09のガンメタカラーのギヤケースに近い色。

  • ブラック
一部限定車に採用。
ホライゾンスペシャルキット及びグレートエンペラースペシャルキットに採用されているものはシャーシ本体がポリカABS製。
ギヤケースの素材はABS製だが、色がシャーシ本体と同じブラックに変更されている。




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最終更新:2023年08月06日 21:01

*1 ただしギヤケースを専用のモノに交換しなければならず、発売当時のレギュレーションでは未対応、厳密には対応しているとは言えない。本格的に対応したのはSFMやTZから