プラ材に比べると強度が低く、重い場合が多いのでどちらかというとボディの補修やドレスアップ目的の形状変更向け。


●ラッカーパテ
塗料などと同じく、溶剤が揮発することで硬化するパテ。
通称プラパテ。
サーフェイサーの粒子を荒くして溶剤を少なくし、粘り気を強くした感じのもの。
定着力・加工性が良好で硬化剤がいらず、安価なため、1番手軽なパテ。
ラッカーシンナーを加えることで硬さを調節でき(標準状態ではペースト状)、筆で塗ることを目的とした「溶きパテ」にすることも可能。
但しサーフェイサーのようなものと思って使うと痛い目を見るので注意が必要(粒子が粗いので塗膜が厚くなる、エアブラシで塗ろうとすると詰まる)
反面、溶剤が揮発して硬化する特性上、多量に使うとなかなか硬化せず(最悪硬化しない、硬化してもクラックが入る)、ヒケも起こる。
硬化したと思って加工してみたら、ヒケにより後々段差が浮き上がってくることがあるので根気よく、十分な乾燥期間をおく必要がある。
また、硬化・完全乾燥後も溶剤に可溶なため、塗装を落とそうと思ってラッカーシンナーにドボンしたらラッカーパテまで溶けてしまう。
そういう場合はIPA(イソピロプレンアルコール)による塗装落しがお勧め。
プラも痛めないし。
瞬間接着剤を混ぜてやると速く硬化する。ただし、溶剤まで固まるわけではなく、硬化後も揮発し続けるので乾燥期間を置くのは一緒。また、「ス(巣)」も発生しやすい。
あらかたの加工を速く終わらせたい場合向き。
いくつかの模型関連企業から出ているが、タミヤ製のものがお勧め(比較的乾燥が速い)


●ポリエステルパテ
熱硬化樹脂を利用したもので、主剤と硬化剤を混ぜ、化学反応で硬化させるタイプ。
通称ポリパテ。
硬さはラッカーパテと同じくらいで、定着力・加工性も良好。
化学反応で硬化するため、(硬化剤さえしっかり混ざっていれば)いくら盛っても硬化してくれる。
また、熱硬化樹脂の特性上、過熱すると硬化が早まる。
逆に気温が低いとなかなか固まらない。
比較的軟らかい(ラッカーパテと同じくらい)ので細かいところにも届いてくれる。
しかし軟らかい分、溶剤もラッカーパテと同じくらい含まれているため当然ヒケが起こる。
やはり荒削りの後、しばらく乾燥期間を取ってやるのが無難。
また、ペースト状のものをこねて使う分、特に多く盛った場合は内部にスが発生しやすい。
削っていくと表面化するので、現れたらナイフ等で穴を広げて(こうしないとちゃんと埋まらない場合が多い)もう一度ポリパテで埋めるか、プラパテ・瞬着パテ・光硬化パテなどのペースト状パテ(若しくは瞬着)で埋めてやればいい。
盛り付ける部分にあらかじめプラ材や要らないランナーで嵩を増しておけば、パテの節約と同時に軽量化(上記の通りパテは結構重い)とヒケの抑制(使う量が少ない分揮発する溶剤も少ない)が出来る。プラボードを使えばなおのこと軽くなる。
ラッカー溶剤で軟化させることも出来るが、使う溶剤によっては硬化不良を起こすので注意(スチレンモノマーという専用の軟化剤もある)。また溶剤を増やす分、当然ヒケが大きくなるのでその点を考慮する必要がある。
接着には瞬間接着剤を使うが、ポリエステルのためか、接着面を適切に整えないと剥がれやすい。

こちらも各社から発売されていて、ワークアソシエイションのモリモリ・スベスベ・ドロドロや、タミヤ製のものが有名。
模型用のものが手に入らなくても、ホームセンターやカー用品店に行けば自動車修理用のものが手に入る。


●エポキシパテ
ポリエステルパテと同じく熱硬化樹脂を利用したもので、化学反応で硬化する。
通称エポパテ。
上記二種と違い、こちらは粘土状で手でこねて使用する。また、ポリパテと違い主剤と硬化剤がほぼ同量である。
粘土状で扱いが容易、汎用性も高いためかいろいろな種類があり、性能・特性もさまざま。
複数種類のものを混ぜても硬化してくれるため、特性の違うエポパテ同士を混ぜて中間的な性能のものを作ることが出来る。
粘土のような粘りがあり、硬化するまでの間にある程度形状出しをしておくことが出来る(大抵はそういう使い方をされる)
溶剤が殆ど含まれていないため、ヒケがほぼ皆無なのも魅力の一つ。また、スの発生も少ない(但し練り方が悪いと混入することもある)
だが他のパテと比べて定着力が低い場合が多く(特殊なものでは強力なものがある)、細かいところに届きにくい。
ポリパテと同じく、過熱すると硬化が早まり、逆に気温が低いとなかなか固まらない。
ラッカー溶剤で軟化させる事は可能だが、それではこのパテの特性が失われるので、そういう場合は他のパテが使われる(但し接着面だけ定着力増加を狙って溶剤を使うことはある)
専用のケースやフィルム・ビニール袋に包んで保管するが、空気に触れている部分は変質・硬化してしまう。そういうところは不良(変色や硬化・定着不良)の原因になるので、こねる前に切り取ってしまおう。
接着には瞬間接着剤を使う。こちらは割とくっつきやすい。

  • プラスチック用
パテとしては強度が高く、細かい造形に向く。
タミヤ・GSI製では通常版と軽量タイプが出ている。密度の関係か、強度は通常版のほうが高め(但しやはり重い)
セメダイン製のものは柔軟性が高く強度は高い(粘り強い)が、素材感が独特で塩ビやPVCのような質感になり、硬化後の切削や表面処理にコツや慣れが必要なので、癖が強いといえる。
ミリプット製は量と比較して価格が安いのが魅力だが、カリカリとした削り具合で脆いので、セメダイン製のものと混ぜて使うのがお勧め。

  • 木工、木部用
セメダイン製やダイソーで売っている円柱状ものは硬化後、木に近い質感になり、そして何より軽いのが特徴。下手したら通常プラより軽い。
硬化も比較的速い。
物によってはかなり木に近い質感と削り具合を持つ。
反面、目が荒く細かい造形には向かない。
ダイソーで売っている緑色(の主剤と白の硬化剤)のものはタミヤ・GSI製の通常タイプとセメダイン製プラスチック用の中間くらいの特性。

  • 金属・コンクリ用
硬くてかなり重い。
さらに完全硬化後は硬すぎてまともに加工できない。
工具を傷める可能性さえある。
ミニ四駆やプラモには全くと言っていいほど向かないので、バキュームフォーム用の原型や錘など、特殊な用途以外には買わないほうがいい。
購入の際にはしっかり確認しよう。


●瞬間接着パテ
アルテコから出ている瞬間接着パテ SPP-HG。通称瞬着パテ、アルテコ。
瞬間接着剤とパテの特性を併せ持ったような素材(そのためか硬化促進剤が効く)
瞬間接着剤の特性を持っているため定着力が非常に高く、加工性も良好。
しかし粘りが低い(中粘度の瞬着より少し粘りがあるくらい)分流れやすく、スが発生しやすいので厚盛りには向かない。
湿度が高い日はスが発生しやすいが、出来てしまった場合はポリパテと同じ要領でリカバーしてやればいい。
薬液の方が早く無くなる場合が多く、粉が余りがちだが、シアノン(色つき)で代替できる(薬液のみ通販あり)。
薬液の色が気に入らないときもシアノンをどうぞ。シアノンの方が粘り強く仕上がるらしい。
また値段が少々お高い(定価1838円)。
何度かマイナーチェンジが行われている。現在店頭に並んでいるのは3代目。


●光硬化パテ
もともとは自動車修理用に用いられていたもので、模型業界にはタミヤが持ち込んだもの。
その名の通り光(厳密には紫外線らしい)に反応して硬化する。1液性の素材なため、比較的気軽に使える。
但し他のペースト状パテと比べて定着力が劣るため、盛る場所を予め目の粗いヤスリ類などで荒らしておくなど工夫が必要。
光で硬化すると言ってもある程度の光を当てないと硬化しない(普通の部屋の照明程度では近づけないと固まらない)ため、それまでいくらでも形を変えられる。
太陽光での硬化がかなり早く、蛍光灯を至近距離で当てるだけでも数秒~数十秒で硬化する。
また、ブラックライトや紫外線ダイオードの光を当てれば太陽光と同じかそれ以上の速度で固まる。
光が届かないと硬化しないので、あまり厚盛りできない(タミヤでは2mmまで保障している。また、紫外線光を当てれば3mm程度まで硬化したという話もある)
その特性を生かして文字やディティールを対象物表面に貼り付けることが可能(詳しくは「光 パテ 文字」でググってくれ)
こねる必要がなく硬化時間も短いため、スが殆ど発生しないのも魅力の一つ。
硬化した後、表面がべたつく(空気に触れているところが硬化しないらしい)ため、ラッカー溶剤などでふき取る必要がある。
性能の高さと引き換えに少々値が張る(ラッカーパテとほぼ同量で定価1260円)。
ポリパテと同じく、模型用のものが手に入らなくてもホームセンターやカー用品店に行けば自動車修理用のものが手に入る。



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最終更新:2010年06月01日 08:56