芥辺境藩国@wiki

E90 戦闘SS・3

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takanashi

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作:荒川 真介

どのくらい歩いたのか長時間の探検のためか背中に気持ち悪い汗が流れるなか、敵を発見し瞬く間に射撃態勢に移行する猫歩兵達。
後は指揮官の命令ひとつで攻撃を始めるだろう。
いつもの戦場と違ってここには軍神と呼ばれる指揮官も某偵察の天才もいなかったが、まあその程度を気にする猫もあまりいないかった。
ようは気合いと努力の問題であると1人の隊員は言った。
優秀な指揮官のより凡庸だが全力で勝たせたいと思える指揮官もいると、いまだ戦果をあげていない小鳥遊が英雄小鳥と呼ばれるのと同じ理屈だと彼は思っていた。
ならば気合いさえ足りていて、十分な準備を整えていれば勝てると、なにより万単位で敵を撃破したり、I=Dの砲撃を受け止めるようなアラダを相手にしなくていいのはいいことであると。
他国の報告によればホラー映画のような骸骨の兵隊やミノタウロスが現れたらしく、全体的にI=Dに頼らない戦闘能力の低い芥辺境としては真っ正面からやり合いたくはなかったが、相手が分かっている時点で戦いようはあるというものである。
いつもの地を埋め尽くすくらいの数に比べれば狙う手間はあるがいくつもの夜とともに鍛えられた殺しの技と、何よりも死線を越えた場数が射撃のための最適動作を驚くほどの速さで可能にしていた。
彼らは彼らこそは芥辺境が誇る夜間戦闘から偵察までこなす猫歩兵であり、I=Dのコパイロットが主な仕事と思われがちだが本当に得意なのはI=Dを降りた戦闘である。
普段I=Dに乗っているのは彼らがいなければI=Dが動かないだけであり、それは彼ら猫歩兵の戦闘力の低さのためではない。
指揮官の命令が飛んだ瞬間、猫歩兵達は攻撃を開始した。
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