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ゲドー戦記02

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takanashi

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ゲドー戦記02

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もしも全てがウソで、ただの辻褄合わせで
すぐに弾けてしまう幻でも、ああ、君の手のひらがまだ暖かい
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藩国民は「地味に!」瀧川を歓迎した
歓迎ツアーと称してツチノコ狩りにやってきたのである
瀧川は今「瀧川様大歓迎」と書いてある旗と一緒にキャラバンよろしくゾロゾロと光の谷を藩国民と歩いている

(なんなんだこのゲーム?)

このゲーム、面白くはあるのだが意味が分からなかった
ゲーム開始と同時に歓迎されて、特にこれといったイベントもなくツチノコ狩りに突入である

「メカが出るって聞いたんだけどなあ」
「あの、瀧川先輩!ははは始めましてっス。自分の名前は小鳥遊っす。よ、よろしくお願いします」
「おぁ?よろしくな」
「よろしくっス」

小鳥遊が目をグルグルさせながら差し出された手を握り、ぶんぶんと振る
周りではみんなが笑ってその様子を見ている
このゲームの面白さはここだった。キャラクターの一人一人が、まるで生きているかのような反応を返してくるのだ

「お前面白いやつな」
「恐縮っす」
「いや、ほめてるわけじゃねえけどさ」

皆がけらけらと笑う
その笑顔は、いつかどこかで出合った誰かの笑顔に似ている気がした
瀧川は藩国民一人一人のその笑顔を懐かしみ、一緒に笑った

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同日 夜

日の出を見るらしく、8時頃にはみんなテントに入り就寝の準備をする
瀧川は寝付く事もできないため、その辺をうろつく事にした

がけを登りきり、ガケから立ちションをする
細かい事を気にしてはいけない。これは男のロマンと言うやつだ

絶景をバックに用を足し終え一息つくと、誰かがすすり泣く声が聞こえた。見やればそこに少女がいる
アンジュだか言う名前の少女だった気がする
昼間に見たような気がしたが、それっきりだった

「よう、どうした?」
「なんでもない」
ぐしぐしと涙をぬぐう
「となりいいか?」
「・・・」

黙ったままだが、それを了承と取る
座るが何も言わない

「タキガワ」

アンジュが突然口を開く。しかし、口をパクパクさせるだけで結局何も言えず黙る

「・・・なんでもない」
「ゆっくりで良いからさ。喋ってみろよ。そういうの慣れてるからさ」

小さい声でもいいぜ。と瀧川は笑った
アンジュはコクリと頷く。そして、慎重に言葉を選んでいく

「タキガワは強いのか?」
「うん……まだまだだよ」

「怖い夢を見たんだ」
「どんな?」

「全部…消えていくんだ」
アンジュは顔を伏せる
「全部…消えていくんだ。私の大事にしてるものが全部。そういう夢を見るんだ」
きゅう。と自分の体を抱く
「そういう夢を。何度も見るんだ。いつも、眠るとその夢を見て、目が覚めたと思うとそれも夢なんだ。だから、怖いんだ」
声が途切れ途切れになっていく
「これも、今ここでこうしてる事も。夢なんじゃないかって思うんだ。消えちゃうんじゃないかって・・・」
声を押し殺して泣き出す

瀧川は混乱している。それはこの表情があまりにもリアルで、この言葉があまりにもリアルで、心を乱されるからだ
瀧川はゴーグルに手を当てて顔をうつむかせる

「…わりぃ、舐めてたわ」

そう呟き息を吐く。ゲームだからと思って舐めていた
これも何かのイベントの一つだろうと、軽い気持ちで声をかけたのだが

(そうだよ、女の子が泣いてんだ!)

瀧川は考えた!しかし、知力が低い上に操縦以外はダメダメで女性経験の少ない彼に名案なんて浮かぶわけがなかった!
ふと、萌の姿が頭をよぎる

「!!」

アンジュはびくりと身体を震わせる

「あ、怖かったか?わりぃ。オレ、こういうのあんま経験無いから良くわからなくて」

瀧川は握ろうとした手を離す

「オレ、不安になるといつもこうするんだ。誰かと手をつないで、いろんなこと確かめるんだ」

アンジュに手を差し伸べる
アンジュは困ったようにその手と自分の手とを見比べ
おずおずと手を差し出し、つかむ

少しごつごつしていて、不恰好なその手。見れば傷跡が幾重にも刻まれている。指先から、その傷跡が伝わる

「傷、いっぱいあるな。痛くなかったか?」
「このぐらい何ともねえよ」

おまえ、優しいんだな。と言うとアンジュは照れてうつむいた

瀧川はアンジュの手を包み込むように握りこむ
ゴツゴツでギザギザなその手から、ほんわりとした温もりが伝わる

「どうだ?」

瀧川は不安げに顔を覗きこむ

「怖いか?」
手を握り、その温もりを確かめる
「ううん」

「不安か?」
覗き込む目を見つめ返す
「ううん」

「じゃ、もう大丈夫か?」
「うん」

アンジュはそう言って頷いた

『アンジュはそう言って頷き、瀧川に肩を寄せる』
「……ようへい」

瀧川の肩を誰かがゆする

「今ゲームしてるから、ちょっと待ってくれ」

声の主はホントにちょっと待ってくれた
瀧川の隣にちょこんと座り、ゲームを覗く
目に映ったのは、瀧川と思しきキャラクターが少女と肩を寄せて星空を眺めているシーンだった

「よし、セーブ完了」
「………」

隣を見れば、萌が少し不機嫌そうな顔をしている

「っで、なんだよ?」
「隊長が………呼んでるわ。……それだけ」
「ああ……わかった」

瀧川は自分の手の平を見つめた

「やっぱり、作戦の事か?」

萌は「さあ」と首を傾げる。立ち上がり、その場をあとにする

瀧川はもう一度自分の手を見る
ごつごつしていて、ギザギザで不恰好なその手は
純粋で、何も知らないあの子の手を握っていたのだ

穢れを知らないあの手を思い出す
守るべきあの手を思い出す

そして、血塗られた自分の手を見つめる

人類の敵、幻獣を殺すための訓練が刻まれたその手を
効率的に、幻獣を殺すための手段を知るその手を
より多くの人間を守るために
より多くの、敵を殺すその手を振るった

怯え震える幻獣を殺した
慈悲も認めずすぐ殺した
慣れた動作で殺した
血を流して、殺した
オレが全てを・・・

ぞくりと背が冷たくなる

瀧川は立ち上がり、かけ出した

見慣れた背をすぐに見つける

瀧川は背中から萌を抱きしめた
萌は驚くが、その力の強さにすぐ抵抗を止める

「おれ、絶対に・・・」
多くの友を守るために多くの幻獣を殺すよ
「おれ、絶対に・・・」
多くの戦場で活躍して多くの幻獣を殺すよ
「おれ、おれ・・・」
この戦争を終わらせる。例え自身が血まみれになろうとも

「………」

萌が瀧川の震える手に手を添える

「おれ、絶対に・・・」
お前を守るから
「…お前を…守るから」
消え入るような声でそう言う

「……そう……」
萌は瀧川の手をきゅっと握る
「無茶は……しないで…おねがい…」
同じように消え入るような声で願うように言う

萌は誰かに見られている事に気づいた

「あの…見られてる…離して」
顔を真っ赤にして訴えかけるが瀧川は聞いていない
「……隊長が呼んでるから…早く…」
「ああ」

返事だけで、瀧川は手を離す気が全くない

萌は、これも衛生兵の仕事の内だと割り切って死ぬほど恥ずかしいこの状況を顔を真っ赤にしながら耐えたのであった

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注意)ゲドーが1マイクロも出てこないのは仕様です。バグじゃありません
ウソです。プロット段階では出る予定だったのですが色々あって出れませんでした。
下手しちった!テヘ☆

反省)スポットライトの当て方間違いました。アンジュから瀧川へシフトしすぎた
   長い期間開けるとテンションの食い違いがありました
   テカ、瀧川の詳細しらねえさぁ!
などなど(笑)
誰か真のタイトルを教えてくれ~w

ゲドー戦積
0勝4敗(出れなかったからオレの負けだよ)


話としては下のほうがまとまってるよねぇ~。でもやっちった~。

ぷろっと
アンジュの告白→飛び出す外道→みんな隠れてた→病院箱が飛んでくる→オーマさんとローディミア→第五世界で萌との会話(ゲームやろうぜorラブラブ)
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