芥辺境藩国@wiki

逢真さんの女装についてSS(マテ

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takanashi

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タイトルの通りです、逢真さんごめんなさい(汗
しかし書き出したら止まらなかったので一応啓示しておきます。
もちろん気に入らなかった即刻消去してもらって大丈夫です。

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「藩国は今日も平和」逢真の場合

シュミレーター「聖辺境芥学園」下駄箱。

ドサッ

「・・・・・またか」
長身に聡明な顔立ち、わが国において藩王の右腕を務める那限逢真。
その端正な外見から藩国にも学園にもファンが多い。
そして今日も彼の下駄箱からは冗談のように手紙が溢れているのだった。
「送ってくれるのは嬉しいんだが、せめて分割してくれればなぁ・・」
手紙のいくつかに香水が染み込ませてあったのか甘い匂いが立ち込める。
そして逢真は昼休みを手紙の返事を書く時間に当てる事を決めその場を立ち去った。

その同時刻。

ドサッ

「・・・・・・・・・・・・!!」
逢真が大量のラブレターとにらみ合いをしている下駄箱の反対側。
藩国員のサヨコがその現場を目撃していた。
彼女は逢真の相棒である、そして密かに彼に対して淡い思いを秘め続けてた。
(な・・・何よアレ?しかもアイツあんなにデレデレして・・・・)
どう見ても今の逢真は苦笑いしているように見えるが、彼女の目には異なるようにみえるらしい。
やがて逢真はラブレターを鞄に詰めるとその場を立ち去った。
辺りにはただ甘い匂いと嫉妬100%のサヨコが残った。


芥辺境藩国シュミレータールーム

先ほどのショックから立ち上がったサヨコが部屋の端末の前に座っている。
その背中には何か近寄り難いオーラが漂っており作業スタッフも泣く泣く作業を中断させた。
(アイツ最近浮かれすぎなのよ・・・少し痛い目見た方が・・・・)
端末の中では次々とある生徒のデータが組みかえられている。
もちろんセキュリティは掛かっているのだが彼女には関係無いらしい、恐るべき恋する乙女。
「ふふふ・・・・書き換え完了、たまには女心も学びなさい逢真」
そう言うとサヨコは軽い足取りで部屋を後にした。


少し後シュミレータールーム

仕事を終え再び学校生活を行う逢真、ここは彼にとって重要な息抜きの場所でもある。
早速シュミレートを開始、ダイブを行う・・・・そして絶叫。
「どうかしましたか摂政様!?」
「い・・・いやなんでもない、持ち場に戻ってくれ・・・」
珍しく冷や汗を流してあわてる逢真、何かの間違えだろうと再びダイブ。


「聖辺境芥学園」登下校路

再びシュミレートへダイブ、そして怖る怖る鏡を覗き込んでみる。
そこに写るは学園の制服を見事に着こなし完璧にセットされた長い純白の髪をなびかせる絶世の美女。
        • しか写らない、つまりこれはどういう事か。
(お・・・女になっているとでも言うのか!?)
精確には女性の格好をしているだけで性別は男だ、しかしどちらでも危機には変わりない。
こんな格好を見られたら学園はおろか下手したら藩国での地位すら危うい。
そして彼は運が悪かった、前方よりクラスメート接近。
(もうダメだ・・・・・)
が・・・逢真の予想に反してクラスメートは逢真をちらりと見るとそのまますれ違った。
「なぁ、あんな娘うちの学校いたっけ?」
「わからん、転校生やないか?」
「でも・・・・可愛かったなぁ・・」
聞こえてくる会話、どうやら彼(or彼女)が逢真である事に気づいていないらしい。
首をかしげる逢真、しかし悩んでいても仕方がないとコソコソ教室へ向かった。

何故か何も起こる事無く教室前へ到着、さらに疑問に思う逢真。
しかしこの先からはそうも行かないだろう、意を決して扉に手をかける。
ガラッ
「お・・おはようございます」
恐らく今後一切聞く事のできない裏声で逢真は教室で挨拶をした。
流れる沈黙、このまま扉を閉めて帰ろうかと考え始めたその時。
「おはよ~」
「おはよう」
「おはようございます」
「おはようさん」
なんとクラスの皆がごく普通の挨拶を返してきた。

その風景を見て一番驚いたのはサヨコだ。
(な・・・なんで?どうして?逢真が女装してるのよ!?なんで皆驚かないの!?)
もちろん今回の一連の騒動は彼女による物だ。
逢真に女装をさせ学校や藩国での評判を下げライバルを引き離そうとする計画であった。
だが彼女の計画にはいくつかの誤算が生じた。
まず一つは逢真の女装が完璧すぎた点。
元々端正な顔立ちではあったのだが一番の問題はサヨコのプログラム設定にある。
恋する相手ゆえできるだけ醜くならないように・・・とかやっていたらいつの間にか普通の美人となっていた。
もう一つの誤算はクラスメートの性格を読みきれなかった点。
そう彼らは良くあれ悪くあれ細かいことを気にしない性格だった。
何人かは疑問に思ったが「きっと新しい転校生だよ」という噂のため大事にはいたらなかったのだ。
(でもきっとしばらく時間がたてばボロが出るはず・・・きっとそうよ)
やがて一時間目を告げる鐘が鳴る、逢真の長い長い戦いが始まるのだった。

数時間後

「今日の授業は終了しました、皆さん車に注意して下校しましょう」
(なんでよ!?)(なぜだ!?)
授業終了、なんとホームルームから帰りの会まで一切何も起こらなかった。
少し疑問を抱いたがホッと胸をなでおろす逢真、早々に教室を後にする。
あわててその後をサヨコが追っていった。



再び「聖辺境芥学園」下駄箱。

ドサッ

「・・・・・・・また?」
逢真の下駄箱から多量の手紙、しかしいつもの手紙とは様子が違う。
手紙のデザインもシンプルな物が多く字もやや荒い、試しに一つ開いてみる。
『今朝貴方をみて僕はまるで胸を矢で打たれたような衝撃を受けました、本来なら貴方に直接話したかったのですが僕にはその勇気がありません、なので手紙でこの思いを伝えます、まるで貴方を見ていると(以下省略』
あわてて宛名を確認、そこには男子生徒の名前が書かれている。
何故下駄箱がばれているかは分からないがある意味サヨコの計画は成功したと言っていいだろう。
どの手紙を見ても女装版逢真の美しさを述べた手紙ばかりだ、女神だの天使だのの言葉がひたすら並べられている。
「そんなに綺麗に見えるんだろうか今の格好・・・」
考えてみれば朝鏡で少し確認しただけで詳しく自分の姿を見ていない。
改めて鏡を眺める、背は高くしかし顔立ちは非常に上品で輝く髪がより美しさを引き立てる。
少し考えた後鏡の前でターン、にっこり笑顔を浮かべてみせる。
「なぁ・・・何やってんだ逢真?」
凍りつく逢真、ゆっくりと後ろを振り向くとそこには藩国に逗留中の瀧川がいた。
「か・・・勘違いするなよ、これは・・・そう一種の事故なんだ!!」
「まぁ似合ってるけどさ、そういう趣味はもうちょっと隠してやったほうがいいんじゃないか?」
厳しい言い訳をする逢真、一方瀧川は一言残すとそのまま歩いていってしまった。
取り残された逢真、あまりのショックにただ呆然と立ち尽くしている。
「あの・・・・逢真?」
「え・・ああ、サヨコか」
あまりにかわいそうに思ったサヨコが逢真に語りかけた。
そして申し訳なさそうに下を向いたあとに口を開いた。
「・・・ごめんなさい、それ私がやったの」
「それって、この服か?・・・・どうしてそんな事したんだ?」
「だって逢真沢山手紙貰うし・・ぜ・・全然私見てくれないし・・・それにこの間だって・・」
半分なきながら事情を説明するサヨコ、あわてて説明するため内容がサッパリつかめない。
しかし逢真は話を聞くとそのまま笑ってサヨコの頭を撫でた。
「そっか、じゃあ俺が悪かった手紙もあんまり貰わないしサヨコの事ももっと見る、それでいいか?」
サヨコが「本当?」と聞き返すと逢真はまたサヨコの頭を撫でてやった。
安心したのか泣き出すサヨコ、しかしその顔には笑顔が戻っている。
やがて二人は手をつなぐとそのまま校門を後にしていった。

教訓 好きな人は大切にしよう
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