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涼くんお誕生日SS

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takanashi

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お涼さん誕生日ss

~深山の自室~

双海「あれ? 玲、何してるの?」

深山の部屋を訪れた双海が深山に尋ねる。
深山は何かを縫っている。

深山「ああ、環。今ね、ぬいぐるみを作ってるの」
双海「ぬいぐるみ?」
深山「そう、ぬいぐるみ」
双海「何で?」
深山「えっとね、もうじき涼君の誕生日じゃない?」
双海「え、そうなの?」
深山「うん、28日が誕生日なんだって」
双海「そうなんだ……。じゃあ、そのぬいぐるみは……」
深山「うん、誕生日プレゼント」
双海「そっか……。私も何か用意しないとねー……」
深山「そうだねー……。誕生日会の用意もしないとねー」
双海「……よし、皆に知らせて、盛大にやろうか!誕生日会」
深山「うん、いい案だと思うよ?」
双海「よし、そうとなったら行動開始!」

そう言って、双海は部屋を出ようとして、

双海「玲は間に合いそうなの?そのぬいぐるみ?」
深山「何とか間に合わせるよ」
双海「わかった。それじゃーね」
深山「またね」

双海は深山の部屋を出て、国の主な人物に声を掛け始めた。
ただし、霧原涼には知られないように。

双海「問題は、当日。どうやって涼君に準備を悟られないようにするかね……」

と、考えて、

双海「そういえば、適任(便利屋)がいた!」

双海はある人物の部屋へ向かう。

~常世の部屋~

常世「さてと、そろそろ決めないとなー……」

常世は部屋で考え事をしていた。
考え事の内容は、

常世「霧原君の誕生日プレゼント、何がいいかなー……」

と、プレゼントの事を考えていた。
そこへ、
コンコン、と扉を叩かれる。

常世「どうぞ?」
キキョウ「入るねー」
常世「キキョウさ……キキョウか、どうした?」
キキョウ「うーん、特に用は無いんだけど……」
常世「用は無いって……まあ、いいけど……」
キキョウ「知行は何してたの?」
常世「ん?ちょっと考え事」
キキョウ「考え事?」
常世「そう、霧原君がもうじき誕生日なんだよ」
キキョウ「まあ、そうなの? という事は、プレゼントを考えてたのね」
常世「その通り。それで、何にしようかなー、と」
キキョウ「うーん……そういう時は、外に出て考えた方がいい考えが浮かぶと
     思うよ?」
常世「……そうだな……。気分転換も含めて、一度外に行くか!」
キキョウ「それじゃ、用意してくるわね」
常世「……用意……?」
キキョウ「あら、一緒に行かないの?」
常世「……まあ、いっか……」
キキョウ「それじゃ、後でね」
常世「わかった」

と、キキョウが部屋を出て行く。
それと入れ替わりに扉が叩かれる。

常世「今度は誰だ?
   開いてますよ」
双海「こんにちは」
常世「こんにちは。どうしたんですか?双海さん」
双海「えーと、今時間いいかな?」
常世「はい、いいですよ」
双海「相談があるんだけど……」
常世「相談、ですか?」
双海「そう、もうじき涼君の誕生日らしいんだよ」
常世「そうですね、28日でしたね」
双海「知ってたの?」
常世「ええ、まあ」
双海「それじゃ、話しが早いね。
   相談っていうのは、誕生日当日ね、涼君をびっくりさせるために……」
常世「……霧原君を引き付けておいてほしい、と……?」
双海「まさしくその通り。話しが早くて助かるね!」
常世「……まあ、慣れましたから……」
双海「慣れた?」
常世「気にしないで下さい。それで、どのくらい引き付けておけばいいんですか?」
双海「そうだねー……。9時くらいから12時くらいまでかな」
常世「3時間ですか……わかりました。やりましょう」
双海「ありがとう、さすが常世君だね」
常世「褒めても何も出ませんよ?」
双海「ちぇ……」
常世「ちぇって、何か期待してたんですか?」
双海「ううん、言ってみただけ」
常世「……そうですか……」
双海「それじゃ、当日お願いね」
常世「はい、わかりました」
双海「それじゃーねー」

双海は部屋を出て行く。
そして、またしても入れ替わりで扉が叩かれる。

常世「はい、どうぞ?」
キキョウ「……」
常世「キキョウ? どうした?」

キキョウは黙ったまま部屋へ入ってくる。
その顔は、怒ってる様にも見えた、が常世は気付かなかった。

キキョウ「知行、双海さんと何を話してたの?」
常世「ああ、双海さんと会ったのか。
   いや、ちょっとした事を頼まれただけだよ」
キキョウ「頼まれごと?」
常世「そう、頼まれごと」
キキョウ「どんな事?」
常世「いや、言えないよ。これは」
キキョウ「何でよ?」
常世「機密事項にあたるから」
キキョウ「機密事項!?」
常世「ばれたら全て終わりだからね」
キキョウ(そんな大事な事を頼まれたの、知行が……)
常世「っと、それじゃ行くか」
キキョウ「え、何処に?」
常世「あのな、キキョウが言ったんだろ? 外に行くって」
キキョウ「……ああ、そうだったね」
常世「行くのか?行かないのか?」
キキョウ「行くわよ、もちろん!」

と、部屋を出て外に向かう。
が、キキョウは先ほどの常世の言葉で頭が一杯だった。

キキョウ(これは、後をつけて確かめるしかなさそうね……)

常世に聞いても答えないと思ったキキョウはそう考えついた。

キキョウ(一体、何を頼まれたというの?)

そして、数日が過ぎて、霧原涼の誕生日当日。
常世は行動を開始した。
キキョウは常世の後をつけていた。
常世は霧原の部屋を訪れて、扉を叩く。

常世「霧原君、よろしいですか?」
霧原「はい、どうぞー」
常世「失礼します」

常世は霧原の部屋へと入る。

霧原「どうしたんですか?常世さん」
常世「おはようございます、霧原君。
   今日は何か用事はありますか?」
霧原「用ですか?特にないですけど……」
常世「それでは、少し出かけませんか?」
霧原「常世さんとですか?」
常世「そう、私と、です」
霧原「いいんですけど……」
常世「けど?」
霧原「常世さんは、何かお仕事とかいいんですか?」
常世「大丈夫ですよ。今の所は」
霧原「それじゃ、行きます」
常世「それでは、行きましょう。何処か行きたい場所はありますか?」
霧原「街に行きたいです、僕」
常世「では、街に行きましょう」
霧原「はい!」

二人は、街に向かって歩き出す。
常世の後をつけていたキキョウは、

キキョウ「霧原君と何処に行くつもりかしら?」

と、尾行を続けていた。

~街~

霧原「わあー、街に来たのは久しぶりです!」
常世「そうねんですか?」
霧原「はい、あまり、部屋から出なくて」
常世「私は、結構来ますね。散歩ついでに」
霧原「そうなんですか」
常世「っと、霧原君は朝ごはんを食べましたか?」
霧原「いえ、まだですけど」
常世「では、軽く食べましょう。私が出しますので、
   好きのものを食べてください」
霧原「いえ、悪いですよ!そんな」
常世「気にしないでください。誘ったのはこちらですから」
霧原「でも……」
常世「いいですから、気にしないで」
霧原「……いいんですか?」
常世「はい」
霧原「それでは、ご馳走さまです」
常世「何か食べたいのはありますか?」
霧原「魚が食べたいです!」
常世「魚ですか……。それでは、あそこにしましょう」
霧原「はい!」
常世(それにしても、キキョウは何で俺達の後をつけてるんだ?)

キキョウの尾行に気付きながらも常世はそのままにしていた。
そして、二人は近くの食堂へ入る。

キキョウ「むむむ、食堂に入っちゃった。どうしようかなー……。
     よし、入ろう!」

キキョウも食堂に入る。
そして、ついにばれる。

霧原「あれ?今のキキョウさんでは?」
常世「……そうみたいですね」
常世(入り方も何も下手だな、キキョウ)
霧原「キキョウさーーん!」
キキョウ「え、あ、き、霧原君」
霧原「キキョウさんも食事ですか?」
キキョウ「え、ええ。そうですよ」
霧原「では、一緒に食べませんか?」
キキョウ「え、いいんですか?」
霧原「常世さんがよければですが」
常世「いいですよ。一緒に食べましょう」
キキョウ「それじゃ、お邪魔しますね」

そして、三人で食事を取り始める。
その頃、お城では、

双海「よーし、今のうちに準備を済ませるわよ!
   皆、頑張りましょう!」
「「「「おおー!!!!」」」

準備が着々と進められていた。
三人も食事を終えて、街を歩き始めていた。

常世「それでは、何処に行きましょうか?
   何かありますか?」
キキョウ「私は散歩ですし、何処でもいいですよ」
霧原「うーん、僕もこれといって行きたい場所は……」
常世「そうですか……。それじゃ、ウインドウショッピングでもしましょう」
キキョウ「そうですね、それがいいでしょうね」
霧原「わかりました」

三人は歩き始めた。
洋服を見たり、置物を見たりして街を歩き続ける。
そして、時間が12時近くになる。

常世「それでは、そろそろ戻りましょうか?」
キキョウ「そうですね、そろそろ昼食の時間ですし」
霧原「わかりました」

お城に向かって歩き出す。
お城についた霧原を待っていたのは

双海「誕生日、おめでとうーー!!涼君!」
皆「「「おめでとうーー!!!」」」

と、誕生日を祝う祝福の言葉だった。

霧原「え、え?」
常世「誕生日おめでとうございます。霧原君」
キキョウ「おめでとう、霧原君」
霧原「あ、え?」

霧原はまだ、頭がついていってないようだ。

双海「今日は涼君の誕生日だと聞いたんだけど、もしかして違った?」
霧原「いえ、そうですけど……」
双海「良かったよ。これで間違ってたら、シャレにもならないからね」
霧原「でも、何で知ってるんですか? 僕の誕生日」
双海「ふっふっふっふ……国の情報網をあなどっちゃいけないよ、涼君!」
逢真「それより、始めよう。主賓も来た事だしな」
サヨコ「そうね、始めましょう」
小鳥遊「涼君、こっちっす!」
荒川「主賓席はここだよ」
歩露「プレゼントはもちろん、このバイザー……」
ゲドー「って、まだ早いですよ、歩露さん!」

などと霧原を置いて、誕生日会は進行していった。
霧原も徐々になれていき、純粋に楽しんでいた。

深山「涼君、これ誕生日プレゼントだよ」

と、深山が出したのは、

霧原「これって、ヤガミ君ですか!?」
深山「うん。上手く縫えるか心配だったけどね」
霧原「しかも、手作りですか!?」
深山「うん」
霧原「ありがとうございます。一生大事にします!!」
双海(よしよし、喜んでくれてるみたいだね)

二人の会話を聞いて、双海も安心していた。
少し離れた場所では、

キキョウ「まさか、さっきのが機密事項だったなんて……」
常世「いや、機密事項だろ? ばれたら意味無くなるしな」
キキョウ「そうだけど……」
常世「しかし、尾行するならもう少しうまくやれよ?キキョウ」
キキョウ「気付いてたの!?」
常世「当たり前だろ」
キキョウ「元はと言えば、知行が意味深に言うからいけないんじゃない!」
常世「だからって、尾行はやりすぎだぞ」
キキョウ「だって、知行に聞いても教えてもらえないと思ったから、仕方なく……」
常世「……まあ、いいけどな」

と、事情を説明していた。
そして、二人も誕生日会の輪に入っていった。
まだまだ誕生日会は続いていく。
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