芥辺境藩国@wiki

スーパー逢真大戦ss

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takanashi

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七夕ss改め、スーパー逢真大戦ss(命名 ワカさん)

7月7日、七夕。
ここ、芥辺境藩国であるイベントが起きようとしていた。

ゲドー「……ハナビ……ですか」
荒川「そう。花火」
ゲドー「それをどうするんですか?」
荒川「夜の……そうだな、7時ぐらいになったら、近くのオアシスから打ち上げるんだ」
ゲドー「打ち上げるって……空に、ですか?」
荒川「もちろん。聞いた話しじゃ綺麗らしいぞ?」
ゲドー「そうなんですか……(アンジュを誘って見に行こうかな?)」
荒川「私はここに残るから、楽しんできてくれ。皆で」
ゲドー「藩王は見に行かないんですか?」
荒川「いや、ここからでも多分見れるからね。ここから見るよ」
ゲドー「そうですか……。ではお言葉に甘えて」
荒川「ああ、ゲドー。花火って綺麗らしいけど、危ないものでもあるみたい
   だから、皆には少し離れて見るように言っといてくれるか?」
ゲドー「わかりました。どれぐらい離れればいいんですか?」
荒川「そうだね、100㍍ぐらい離れてれば大丈夫じゃないかな」
ゲドー「そうですか、わかりました。それでは国内に通達してきます」

そう言って、ゲドーが政務室から退室する。

荒川「さてと、今のうちに準備、準備♪」

と荒川は自室に戻り、何故かクローゼットを探り始める。

荒川「どの服がいいかなー。あまり王様らしい服は好まれないと思うしなー」

実は、芥辺境藩国に城島月子がくる事になりそうだと、もっぱらの噂だ。
そして、藩王・荒川真介は大の月子ファンで、密かにバナナ園まで造ったらしい。

荒川「楽しみだなー♪ 早く来ないかなー♪
   ああ、月子さん! あなたはまるで、月の女神。いや、
   月の女神でさえあなたに頭を下げ嫉妬するでしょう!
   その美しさ! その慈悲深さに!!」

荒川、のりのりである。



そして、ゲドーが花火大会の告知をすると、サヨコが行動を始めた。

サヨコ(今日、今日を逃したら逢真との関係は進まない!
    絶対に逢真と花火を見て、こ、こ……
    恋人になってみせる!)

気合を入れて、逢真を探し始めるサヨコ。
そして、

アンジュ「逢真さんは、来るのかなー?
     ……誘ってみよう、そうしよう!」

アンジュもまた行動を開始していた。

サヨコがお城の中を走る寸前の速度で歩いていると、
前から優雅な足取りで歩いてくる人がいる。
……キキョウだ。

キキョウ「あら? サヨコ?」
サヨコ「あ、姉さん」
キキョウ「どうしたの? そんなに急いで?」
サヨコ「な、何でもないわよ、気にしないで」

サヨコはキキョウから視線を外す。
サヨコの態度を見てキキョウは少し考え、

キキョウ「……なるほど」

と、くすくす笑い始める。

サヨコ「な、何で笑ってるのよ?」
キキョウ「いえ、何でもないわよ?」
サヨコ「い、言いたいことがあれば言えばいいじゃない」
キキョウ「……言ってもいいの?」
サヨコ「……ごめんなさい、言わないで。お願いだから」
キキョウ「サヨコ、頑張りなさい。きっと想いは通じるから」
サヨコ「な、な、何を!?」

心を透かされたみたいで、サヨコは慌てる。

キキョウ「逢真さんを花火に誘うんでしょ?
     今日は七夕だし、きっと通じるわよ」

事実、透かされているが。

キキョウはサヨコの想いを知っている。
だから、不器用な妹の恋を応援している。
サヨコもキキョウが応援してくれているのを知っている。
だからこそ、サヨコは逢真の鈍感ぶりに呆れても頑張れる……のかもしれない。

サヨコ「そ、それじゃ急ぐから。またね」
キキョウ「ええ、またね」

サヨコはまた走る寸前の速度で城の中を歩き始める。
そして、

キキョウ「……とは、言ってもちょっと心配ねー……。
     そうだ♪」

と、キキョウはちょうど近くを通りかかった兵を呼び止め、

キキョウ「ごめんなさい、常世 知行を呼んできていただけないかしら?」
一般兵「は!」

~逢真の自室~

逢真「……はーーー……」

逢真は机に突っ伏していた。

常世「おーい、生きてるかー?」
逢真「何とかなー……」

ちょっとした用事で逢真の自室に来た常世が声を掛けた。

常世「とりあえず、これでも飲んで元気出せ」
逢真「おーー、サンキュー」

常世が持ってきてくれた水を飲んで、少しは回復する。

逢真「はー。生き返ったー」
常世「いや、そんなオーバーな(汗」
逢真「オーバーなんかじゃないけどな」
常世「しっかり寝てるのか?」
逢真「いや、寝ても疲れが取れなくて……」
常世「年か?」
逢真「お前の方が年上だろ」
常世「……そうだな」

常世の言葉で少し疲れが取れる気がした、逢真だった。

逢真「それで? 用事ってなんだ?」
常世「……ああ、忘れてた」
逢真「おいおい」
常世「まあ、そんな大した用事じゃないしな、ある意味」
逢真「ある意味?」
常世「ああ、花火大会の事で少しな」
逢真「そういえば、そんなイベントがあったような……。
   何だ、ついに好きな女性でも出来たか?」
常世「って、何を言い出す、いきなり」
逢真「いや、今日七夕だし、花火大会というイベントあるし、
   告白するにはもってこいの状況だろ?」
常世「……まあ、考えてみればそうかもしれないが……。
   どっちかって言うと、お前の方が心配だぞ?俺は」
逢真「……何で?」
常世「何で?って、お前……」
常世(やっぱり、気付いてない。こいつ全く気付いてない!
   サヨコを筆頭にして、何でこいつがいいんだ?
   ……まあ、いい奴だけど)

常世は心の中で長い溜め息をつく。

常世「あのな、逢真。さっきお前が言ったように今日は七夕だ」
逢真「そうだな」
常世「それで、これもお前が言ったが、好きな相手に告白するのにちょうどいいイベントもある」
逢真「ふむ」
常世「……それで、お前の周りには……」

順序良く説明しているはずなのに、何故か疲れてきた常世。
コンコン。
常世が核心を話そうとした時に、ドアがノックされる。

逢真「常世、ちょっとまて。
   何だ? 開いてるぞ」
一般兵「失礼します。こちらに常世 知行さんはいらっしゃいますか?」
常世「はい、私ですが?」
一般兵「キキョウ様がお呼びになってますのでキキョウ様の部屋まで
    お願いできますか?」
常世「わかりました。すぐに向かいます」

常世が扉に向かって歩き出す。

逢真「おい、話しはいいのか?」
常世「……また今度、ゆっくり出来るときに話すよ」
逢真「わかった」
常世「それじゃ、またな」
逢真「またな」

常世はキキョウの部屋に向かって歩き出す。

常世(それにしても、キキョウ様、どうしたんだろう?
   何かあったか?)

常世の歩く速度が少し速くなる。

~キキョウの部屋~

常世(着いたけど……、とりあえず、周辺に人の気配はないな。
   だとしたら、用ってなんだろう?)

扉をノックする。

キキョウ「はい、どなた?」

キキョウの声がする。

常世「常世です」
キキョウ「ああ、常世? どうぞ入って」
常世「失礼します」

キキョウの部屋に入る。
と、キキョウは常世の方を向く。

常世「キキョウ様。常世 知行、参りました」

常世は片膝をついて、頭を下げて、言葉が掛かるのを待つ。

キキョウ「…………」

だが何故か、キキョウは黙ってしまう。

常世「……キキョウ様?」

常世は不審に思い、顔を上げる。
と、キキョウは笑っている。がその笑顔は常世に恐怖を与えた。
恐かったが、用件を聞くためにもう一度常世はキキョウに問いかける。

常世「……キキョウ様? いかがなさい……」

常世が言い終わる前に、キキョウが声を上げる。

キキョウ「様付け、禁止ーーーー!!!!」

キーーーーーーーン。
あまりの大きさに、常世は鼓膜が破裂するかと思った。

キキョウ「常世! 前にも言ったけど、もう一回言いますよ!
     『様付け禁止!』
     今度、様付けしたら……、常世? わかってますよね?」
常世「……ここで、『わかりません』と言ったら……?」
キキョウ「あることー、ないことー、お城に噂を流します♪」

キキョウは即答で、とびっきりの笑顔で言う。
その笑顔は他の人が見れば、誰もがつられて微笑み返すような笑顔だった。
しかし、常世はその笑顔が『笑顔』に見えなかった。
何故なら、

常世(……目が、目が笑ってない!? まずい、あれは本気の目だ!
   しかも、反論も許されない! 反論しようとしたら、
   間違いなくあることないこと{比率1:9}で流される!)

常世「……キキョウさん、用事とは……」

ぴく。
キキョウの顔が引きつる様な音が聞こえる。

常世「……キキョウ、用事とは何だ?」
キキョウ「それはですねー♪」

そう言いながら常世は立ち上がる。
常世が言い直すと、キキョウも嬉しそうに話し始める。
やっと、本題が始まる。

キキョウ「今日って、花火大会があるんですよ?」
常世「ああ、さっきゲドーさんが藩国内に通達してたね」
キキョウ「そうそう! それでね、サヨコが逢真さんを
     花火大会に誘うみたいの!」
常世「……そうか、サヨコも遂に決心したか」
キキョウ「そう♪ 
     それで、お願いがあるの」
常世「……まさか、二人を尾行しろと?」
キキョウ「半分当たりで、半分はずれかな?
     二人きりになれるように、障害(邪魔者)を牽制して欲しいの」
キキョウ「一番のライバルは……アンジュちゃんかなー」
キキョウ「アンジュちゃん、嫌いじゃないのよ、どっちかって言うと
     好きなのよ、アンジュちゃん可愛いし。でもこれだけはサヨコに
     負けて欲しくないのよ」
常世「アンジュか……。やりずらいなー」
キキョウ「正確に言えば、お邪魔虫全員なんだけど……ね……」
常世「……それは、無理だぞ。幾らなんでも」
キキョウ「だよねー……。 だけど、こんな事頼めるの、常世しかいないの」
常世「……まあ、出来る事はやるよ」
キキョウ「ありがとう♪ それじゃ、お願いね」
常世「任された」

そう言って常世は部屋を出ようとする。
が、呼び止められる。

キキョウ「……常世」
常世「ん? どうした?」
キキョウ「……何でもない、頑張ってね」
常世「ああ」

常世が部屋を出る。
扉が閉まってからキキョウが独り言をいう。

キキョウ「……私、何で常世を呼び止めたんだろう?」

キキョウも自身の気持ちがわからないようだった。

キキョウ「……まあ、いっか。
     花火大会までまだ時間あるし、お散歩しよ!」

キキョウも部屋を出る。
自身の心の中に生まれた気持ちを誤魔化すように。
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