芥辺境藩国@wiki

スーパー逢真大戦ss・2

最終更新:

takanashi

- view
メンバー限定 登録/ログイン
~逢真の部屋~

逢真「常世、大丈夫かなー。
   まあ……、キキョウさんなら無茶な事は言わないか」

ぴんぽんぱんぽーん。
時既に遅し。既に言われ始めてます。
ぴんぽんぱんぽーん。

逢真「ん? 変な音が聞こえたような?」
逢真「……気のせいか。
さて、あいつのおかげで息抜き出来たし、
   仕事片付けるかー」

仕事に取り掛かろうとした、その時、
コンコン。
ドアをノックする音が聞こえる。

逢真「……今日は訪問者が多いな……。
   開いてるぞ」
サヨコ「……お邪魔します」
逢真「サヨコ? どうした、何か用か?」
サヨコ「よ、用が無ければ来ないわよ!」
サヨコ(……本当は来たいけど)
逢真「まあ、そうだろうな。
   どうした?」
サヨコ「あ……、あの、ね……。」

サヨコはモジモジしながら、歯切れが悪い返事をする。
いつもは言いたい事ははっきり言う、サヨコが、だ。
だから、逢真は不思議に思い、

逢真「……サヨコ、具合が悪いのか?」
サヨコ「え!? な、なんで?」
逢真「いや、いつもと様子が違うから、だな」
サヨコ(……どうして、こういう細かいところは気付くのに
    色恋方面になると、鈍くなるのよ、逢真は!!)
サヨコ(ああ、でもそれを嬉しいと思ってる自分がいる……)

サヨコの中で気持ちがぐらぐら揺れている。
しかし、今回はあまり長くは続かなかった。

サヨコ(ダメよ、今日こそはこ、こ、告白するんだから!)

その思いで嬉しいと思ってる自分を抑える。
そして、

サヨコ「お、逢真! 今日の夜って空いてる!?
    空いてるわよね!? そうよね!!
    だから、い、一緒に花火を見に行ってもいいわよ!」
サヨコ(何で、こんな言い方しか出来ないの? 私って……)

内心、自己嫌悪に陥るサヨコ。
が、逢真は気にした様子も無く、

逢真「何だ、見に行きたいのか? 花火。
   ちょっと待て……。今ある仕事が終わるのが……4時頃か。
   他にもあるが、これは後でもいいし。
   いいぞ? 見に行くか」
サヨコ「え……、ほ、本当!?」
逢真「ああ。 花火がどんなのか気になってたしな」
サヨコ「じゃ、じゃあ、5時にここに来るから!
    い、一緒に行こ!」
逢真「ん? 場所がわからないのか?」
サヨコ「そ、そうなの! だから、一緒に行くわよ!」
逢真「わかった」
サヨコ「それじゃ、約束したからね! 忘れないでよ!」
逢真「大丈夫だって」
サヨコ「じゃあ、後でね!」

サヨコは走って、ドアに向かう。
そして、勢い良く開け、勢い良く閉める。

逢真「おーーい、扉は壊すなよー」

逢真の声が聞こえた気がするが、今のサヨコはそれどころではなかった。

サヨコ(良かった。 断られなくて良かった!)

しかし、同時に、

サヨコ(でも、いつもどおりの格好でいいのかしら?)

と、疑問が過(よ)ぎる。

サヨコ(そうだ、姉さんに聞いてみよう)

サヨコはキキョウを探し始める。
まだ約束の時間までは余裕があるが、少しでもいつもと違う事を見せるためには、
1分、1秒が惜しい。

と、廊下を走っていた時、
窓の外にキキョウが見えた。

サヨコ「姉さん!!」
キキョウ「え? サヨコ?」

返事も聞かず、サヨコは窓から外に降りる。
ちなみに二階だが、この程度の高さは無いも同じだ。
しゅた!と綺麗に着地する。

キキョウ「サヨコ! 二階から降りるなんて……」
サヨコ「お説教は後で聞くから! お願いがあるの!!」
キキョウ「……どうしたの?」
サヨコ「その……、花火を見に行く時の服ってどういうのがいいの?」
キキョウ「……服を気にするという事は……」

サヨコは真っ赤になりながら、頷く。

キキョウ「おめでとう、サヨコ! 良く頑張ったわね!」

キキョウは自分の事のように喜んでいる。

サヨコ「そ、それよりも!服ってどんなのがいいの!?」
キキョウ「そうねー……。
     ……あ、良さそうなのがあった!」
サヨコ「え!? 本当!?」
キキョウ「ええ」
サヨコ「お願い!貸して!」
キキョウ「それが、私のじゃないのよ」
サヨコ「それじゃあ、誰のなの?」
キキョウ「……荒川藩王様」
サヨコ「……それじゃー、無理だよー……」

サヨコの耳と尻尾がへなへなと垂れ下がる。
が、

キキョウ「大丈夫! 借りればいいだけだから!」
サヨコ「そうだけど……」
キキョウ「それじゃあ、行きましょう!」

二人は荒川の部屋へと向かう。

~荒川の自室~

荒川「これもいいなー♪ しかし、こっちもなー」

荒川はまだ服を選んでいた。
コンコン。
ドアがノックされる。

荒川「ん? 誰だろ?
   開いてるよー」
キキョウ「お邪魔します」
サヨコ「し、失礼します」
荒川「おや、珍しいですね。どうしました?」
キキョウ「荒川さんにお願いがありまして」
サヨコ「……」
荒川「お願いですか? 何でしょう?」
キキョウ「はい。この前見せていただいた『ユカタ』
     という服をお借りしたいのです」
荒川「え!? だ、ダメですよ! あの浴衣は月子さんのために……」
キキョウ「そこを何とかお願いします」
荒川「ダメです!」
キキョウ「……そうですか……」

キキョウは後ろを向きながら、

キキョウ「荒川藩王がそんなに心が狭い方だとは思いませんでした……」

と、さめざめ泣く振りをし始めるキキョウ。

荒川「うっ……、しかし、これはダメです!」
キキョウ「そんな心が狭い方だと知ったら国民ががっかりするでしょう……」
荒川「くっ、だが、これは……」
キキョウ「そんな方が治める国に月子さんが来られても
     がっかりするでしょうね……」
荒川「…………。
   わかりました!貸します!貸しますよ!!」
キキョウ「ありがとうございます、荒川さん♪」

月子ファンなのを逆手に取られ、荒川が降参する。

荒川「ですが、何に使うかは教えていただけますか?」
キキョウ「そうですね……、貸していただくのですからそれはもちろん」
サヨコ「え……と……」
キキョウ「サヨコが逢真さんと花火を見に行くので、
     それに見合う服がないかと聞いてきたので……」
サヨコ「ね、姉さん!」
荒川「……なるほど……。それで、浴衣に目をつけたわけですか。
   いや、キキョウさんはお目が高い!
   この服はお祭り用に着る服なんですよ!」

っと、荒川は上機嫌になる。
どうやら、お祭に着ていく服として選んでもらえたのが嬉しいようだ。

荒川「そういう事ならどうぞ。
   2着あるので、両方持っていって、試着してみてください」
キキョウ「ありがとうございます。
     流石は荒川さんですね。
     ここに招かれる月子さんも喜ぶでしょう。
     こんなに心が広い方が治める国に来れるのですから!」
荒川「そうですかー!
   いやー、まいったなー!!
   はっはっは!!」
キキョウ「それでは、お借りします。
     ありがとうございました」
サヨコ「ありがとうございました」

キキョウとサヨコが部屋から出て行く。

荒川「そうか、そうか! 喜ばれるかー!!」

荒川、更にのりのり。
目安箱バナー