「……ふん、なんだい、これは?」

 少年が着るような半ズボンとシャツに身を包んだ、だが胸の膨らみによって
それとわかる少女は、笑みを浮かべながら言った。

「何って……小説、だけど」

 言葉を浴びせられた男は、身を縮めながら応えた。
 今日もまた、その腕は後ろ手に縛られ、自由を与えられていなかった。

「欲望が丸出しだね」
「げふっ」
「やりたい盛りのガキじゃあるまいし……そんなに溜まってるのかい?」
「……そりゃ、あれから一度も抜いてもらってないし」

 手が自由だったら、男は頭をかいていただろう。
 苦笑しながらの呟きに、少女は目を細めた。

「ひたすらフェラチオしてもらいたいと思いながら、これを書いたんだ?」
「……そ、そうだけど」
「お陰でフェラ描写ばかりになっちゃったんだね?」
「そ、そうだよ」
「前出した精液がそのままかぴかぴになって、凄い匂いがしてるアソコをそのままで?」
「………………」

 男は俯いた。
 今、この瞬間にも、彼の股間からは据えた、生臭い匂いが立ち昇っている。
 その匂いは、決して心地よいものではなかった。むしろ、嫌悪感を覚えていた――男の方は。




90 :唐突に続き フェラ イマラチオ? 言葉責め? :2007/06/28(木) 20:40:29 ID:eOK3g/3V
「……凄い匂いだよね」

 少女は、棒立ちになっている男に歩み寄る。視線を、下履きを突き上げる男の股間に固定したまま。

「して欲しいなら、お願いして欲しいんだけど」
「えっ、けど……ご褒美って……」
「僕は、別にしたいわけじゃないしね。このまま、またもう一度君を放っておいても構わない」

 そう言いながら、少女の視線は男の股間から……その中心にそそり立つ逸物から、離れない。
 だが、男の方に、それに気付く余裕は、無い。

「……します」
「ん? 聞こえないよ」
「……お願いします……舐めて、下さい」
「何を?」
「ペニス、を……俺の、ペニスと……ペニスに、こびりついた、いやなにおいのする……せいえき、を……」
「……ふふ……そんなに舐めてほしいんだ?」
「お願いしますっ! ご褒美をっ、ご褒美をくださいっ! 舐めてください! 俺のペニスと精液を!」
「そこまで言うなら舐めてあげるよ……思う存分に、ね」

 少女は、男を立たせたまま、その股間に手を伸ばした。
 ファスナーが下ろされ、白っぽい塊がこびりついた剛直が露になる。

「……まず最初は、どうするんだったっけ?」
「え?」
「小説では」

 普段の不敵な――世の中の全てを手中に収めているとでも言わんが如き笑みとは違う、まるで
幼子が悪戯をする時のような少しばかり歪んだ笑みを浮かべながら、少女は男のモノを見つめる。
 見つめるだけで、それ以上は何もしない。
 男の答えを、待っている。

「……取り出したものを、手で、弄びます……」
「ふぅん。じゃ、その通りにやってみようか……君の理想通りに、ね」
「理想通り、って……あっ」

 男が声を漏らす。
 少女の柔らかい手が、男のモノを包んだのだ。

「くっ……あぁ……」

「『わあ、凄い! お兄ちゃんの、ビクビクしてるっ!』」
「っあ!?」

 いつもの少年のような口調とは違う、歳相応――よりは少し下か――の少女の口調。
 男のモノはその声に反応したか、さらに震え、大きくなる。

「……こんな感じだったかな、台詞は?」

 少女の手が、男の竿の部分をゆっくりと動く。
 上に、下にと移動する度、男のモノは震え、腹に届かんばかりにそりあがり、先端からは早くも先走りが滲む。

「『何か出て来たよぉ……? これ何、お兄ちゃん?』」
「や……やめ……あっ」
「『……とろっとしてて、変な匂いする……けど……」
「っ……ぁく……」
「『………………ねぇ』」
「あ……?」

 少女の手の動きが止まる。

「『これ……ペロペロしても、いい?』」

 男の下げた視線が、少女の上目遣いの視線と交わる。
 上気した頬。潤んだ瞳。口唇から漏れる吐息。そして、無垢な、笑顔。
 想像の中にあった、書きながら思い浮かべた、そのもの。

「……うん……いいよ」
「ふふっ……その前に……」

 だが、それが見えたのは一瞬だけだった。

「えっ?」
「まずは、こっちのこびりついたのから、掃除してあげよう。約束だしね……ん」
「あ、え……あっ」

 幻想という名の仮面を脱いだ少女が、男の下腹部に顔を埋め、舌を伸ばす。

「……凄ひ、にほいらね……んむ……ん……」
「ん……っ……」
「変な……味……」

 下腹部から順に、少女は丹念に舌を這わせていく。
 下腹部から、太ももから、白っぽいものが消え去り、代わりに唾液の痕が光を放つ。

「……っ……くぅ……ぁ……」

 下半身にあった気持ち悪さが少女の舌によって拭われる度、頂点には達しない、
だが確実にそこに自らを近づけていく快感が、男の背筋を走る。

「はぁ……んちゅ……」
「あっ……!」

 陰嚢が舌の上でころがされて男が背筋を仰け反らせ――〝掃除″は終わった。

 
「……凄い匂いに味……なんだかクラクラする……」

 少女の頬は朱に染まり、目はどこか惚けたようにボーっとしている。
 だが、決定的なものではない、だが確かな快感を蓄積させられた男には、やはり、それに気付く余裕は無かった。
 
「はぁ……はぁ……」
「ふふ……そちらはもっとクラクラしてるのかな? では、お待ちかねの、本番フェラと行こうじゃないか」

 少女はそう言って、再び幻想という名の仮面を被った。

「『……じゃあ、行くよ……お兄ちゃん』」

 男の全身がビクリと震える。

「……う、ん」

 真っ白な頭のまま反射的に男が頷くと、少女は先端へと手を、舌を伸ばした。

「っ……」
「『んっ……ん……ん……ここ、ペロペロすると、気持ちいの? ん、ん……ん』」
「気持ち、いぃ……」
「『ん、ん……じゃあ、もっと気持ちよくして、あげるね……あむ』」
「ああっ!」

 温かく、ぬめりを帯びたものが、男のモノの全てを包むこむ。
 少女が自分のモノを口に含んだのだと男が気付いたのは、一瞬遅れての事だった。

「ん……んぅ……んふぁ……」
「っぁ! い……っ……す、すご……」

 少女は口中のモノに舌を絡ませ、口をすぼませ吸い上げ、喉に届きそうな程奥へと招き入れる。

「あっ……っく……ん……っ!」
「『ひらは……んむぁ……膝がガクガクなってるよ、お兄ちゃん』」
「も、もう……イキ……そぅ……」
「『……私の口で、イキそうなんだ?』」
「うん……イキそう……だから、もっと……もっと、してくれない、か……」
「『うん! もっとしてあげるねっ!』」

 少女は再び男のモノを口に含む。

「いぁ……くぅ……ぅぅ……」
「ん……んぅ……ふぅん……んぁ……」

 口に含んだまま、ゆっくり左右に首を振って頬の柔らかい部分で男の先端を優しく刺激する。
 その最中も、少女の舌は男の竿の部分を、裏の筋を刺激する事をやめない。
 少女の口全体が、男のモノに絡みつくようにそれを刺激していく。

「あ……ああ……も、もう……」
「『らひて、ほにいひゃん……わらひのくひのなは』」

 その時、それまでされるがままだった男が、腰を突き上げた。

「ああああああっ!!」
「んぐっ!?」

 少女の喉奥を男の先端が突き、暗じていた台詞を遮る。
 その刺激が、男を頂点へと導いた。

「イク……イクよっ! くっっっっぁぁああああ!!!」
「……!? …………!!! ………………!?!?!?!?」

 逃がれようとする少女の動きを上回る速度で男の腰が突き出され、喉の一番奥で男の白濁が吐き出される。
 口をふさがれ、咳き込む事も許されず、目を見開きながら、少女はその白濁を飲み干していく。

「出てる……いっぱい、出てる……」
「……っ………………ん…………ぁ……」

 一瞬とも永劫ともつかない時間、男は腰を震わせ、白濁を少女の喉へと注ぎ込み続けた。

「………………あぁ」

 男は、全てを注ぎ込むと、恍惚の表情で、だらりと力を失ったモノを少女の口から抜き取った。

「……んぐはっ! ゲホッ!ゴホッ! ……あ、いきなり、なんて……ゲホッ!」
「ご、ごめん……あんまり、気持ちよかったから……」
「……凄い、いっぱい……はぁ……全部、僕のお腹の中に……入っちゃったじゃないか……はぁ……はぁ……」

 少女の頬の赤さを、男は怒り故にだと解釈し――言い訳をした。

「……あんまり、気持ちよかったから」
「………………」
「……怒ってる?」
「……当然」

 少女の顔に浮かんだ不敵な笑みと、額の青筋に、男は顔を引きつらせる。

「謝る! ごめん! ゆるして!」
「………………」
「すいませんすいませんホントすいませんすいません」

 少女の表情は、変わらない。
 表情はそのままに、呟くように言った。

「………………せっかく、君の理想通りのフェラチオをしてあげようと思ったのにさ」
「すんませんすんませんホントすんませんすんません……って、え……何か言った、今?」
「っ……なんでもないよっ! ………………とにかく!」

 思わず漏らしてしまった不意の一言を誤魔化すように、少女は表情を怒りへと変える。

「もう一回やり直し! 最初からやるよ!」
「……え、もう一回やるの?」
「……嫌なのかい?」
「いや、むしろこちらとしては大歓迎っていうか……」
「それは良かった……『じゃあ、もう一回しよ、お兄ちゃん?』」
「……普段も、たまにそういう口調で喋ってくれない?」
「はっはっは……御免被る」
「そりゃ残ね……あっ」




 数時間後。



「『んぐ、んぐ……お兄ちゃんの白いの、何度飲んでも美味しいねっ!』
 ……これは……苦いの好きだからかな……それとも――」
「はぁ……はぁ……も、もう出ないぞ……って何か言った?」
「別に。じゃ、もう一回勃たせてくれ」
「も、もう無理だって言ってるだろ!」
「ふぅん……じゃあ、こんな事したらどうかな?」
「あっ、そこは……アッー! 指入れないでぇー!」

 結局――男が都合十五回も搾り取られ、涙を流しながらギブアップするまで、少女の口淫は続いた。

 ――――――――完?

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最終更新:2007年10月08日 19:29