いつも同じ電車、同じ車両に乗る少年は何処か中性的で幼い少女のような面影を残している。
満員電車という他人の肌が触れ合う、窮屈で居心地が悪いこの空間。
誰もが眉を歪め、怪訝な面持ちで電車から降りて行くのに、
彼だけは嫌な顔一つせず、人形のように美しい表情でただ窓の外を眺めている。
彼だけが、まるで別世界にいる住人のように酷く澄んでいた。

自分より幾つか年下の、しかも少年をこんな風に見てしまうのは何処かおかしいのだろうか?
頭のネジが一本足りてないような、思考が歪んでいるような気がする。
別に俺は同性愛者という訳では無いし、女に興味が無いという訳では無い。

それに今まで、女に困る事は余りなかった。
女から声を掛けられたり、コンパではそこそこモテてる方だと思う。

連日の残業で疲れているからだろうか。
毎朝、彼を目に焼き付けておく事で「今日も一日頑張れる」そう自分に言い聞かせている。
まるでくだらないマジナイみたいだ。



終電を乗り終え、自宅に付く頃にはもうヘトヘトだ。
5階にある部屋までの長い階段をのぼると、
空き部屋だった隣の玄関前のダンボール箱に目が行った。
誰か新居者でも入ったろだろうか。
俺が鍵を開けると、その音に気付いたのか隣人が玄関を開ける。

その姿に俺は心臓が止まる程驚いた。
そこにいたのは、毎朝見るあの少年だったから。

「こんばんは、隣に越して来た黒崎です。
隣なんで色々お世話になると思いますが、宜しくお願いします」

控え目に挨拶をする少年は、いつもと同じで人形のように無表情であった。
陶器のような白肌と、大きな瞳、伏目がちの所為で睫が酷く長く見える。
漆黒に輝く髪はその白肌を強調させており、余りの美しさに俺は生唾をごくりと飲み込んだ。

「あ、あぁ…こんばんは。夏目です。こちらこそ宜しく」

少しも笑わない少年は軽く会釈をし、部屋の中に消えて行った。
俺は未だ身震いしてるかのように、身体全身がぞくぞくした。
あの少年がまさか隣に越して来るなんて何かの夢だろうか。信じられない。

同時に自分の思考が狂っていた事にも気付かされたのだ、
どうやら俺は中世的な少年に興奮してしまう変態野郎だったらしい。

風呂から上がり、ビールを飲みながら簡単な夕食を取る。
いつも見ている番組にこんなにも集中出来ないのは初めてだった。
気になって仕方が無い、隣の部屋が。

「どうしました?」

気付くと俺はインターホンを押していた。
風呂上りなのか、石鹸の香りが鼻を掠める。
いつ見ても全身黒服の彼は寝巻きも黒らしい。

「あ…いや。何か困る事無いかなって。
つーか無いよな?はは…ごめんね、こんな夜中に」

俺は何をしてるのだろうか。
少し首を傾げると、少年は無表情のまま、「お酒でも飲みます?」と訪ねて来た。
予想もしなかった返答に俺は驚いたが、内心嬉しさの余り飛び跳ねそうだった。
尻尾を振る犬のように、招かれた部屋に足を踏み入れた。


今日越してきたばかりなのに、荷物は少なく殺風景な部屋である。
リビングの中央に置かれた小さめの机の前に腰を降ろすと、
少年はグラスに氷が入ったコップとカクテルを持って来た。

「つーか…黒崎君?君…未成年だよね?」
「凌でいいよ、えっと……夏目さん名前は?」
「え…明宏だけど…」
「そう、じゃあ明宏でいい?未成年に見える?これでも21だよ」

何故か急に親しげに話し出す彼だが、22歳という年齢に驚いた。
俺と5歳しか変わらない。てっきり16、7歳だと思ってたから。

「15歳までイギリスに住んでたんだ、父がイギリス人でね」

ハーフなのか。
だからそんなに美しいのか、そしてタメ口も…妙に納得した。
細い手首は真っ白で、重そうに持ち上げられるカクテルビン。
どうぞ、と出されたカクテルは思った以上に濃かった。

「いつもこんな濃いの飲んでるの?」
「気分によってはね、酒が無いと寝れない日もあるんだ」

悲しい程儚げな瞳は少し笑っていた。
何か深い意味があるのだろうか。

煙草に火を付けようとした時、
「ごめん、煙草だけは止めて」と彼の細い指先が俺の手の甲に触れた。
冷えた指先が僅かに震えている。
そういえば、暖房が付いていない事に今更ながら気が付いた。

「少し寒いね」

リモコンに手を伸ばそうとした時、再び凌の手が俺に触れた。
今度は触れるだけでは無く、しっかりと感触が伝わる。
ひんやりした空気は肌の体温を奪っていく。
しかし、先程飲んだ酒の所為で身体の芯は熱いような気がした。

濃い酒が回ったのか、凌の頬は僅かに染まっており、大きな瞳は少し潤んでいた。
このままだと、おかしくなってしまいそうだ。

「ぁ……えっと…ちょっと酔ったかな?
本当は君…あんまり酒強く無いんだろ?無理して飲んでない?」

何とか誤魔化そうと必死に話題を出すが、この空気は変わらない。

「そ、そうだ。テレビでも――」

そう言った瞬間、凌が俺の懐に飛び込んで来た。
やばい、このままだと自制が効かない。
自分の鼓動が煩いくらい鼓膜に響き、下半身が熱くなって行くのが分かる。

「ねぇ…見てたんでしょ?僕の事。知ってたんだよ、ずっと」
「なっ…」

余りに驚いた
そのの言葉に俺は喉が詰まる感覚を覚えるくらいで。
気付いてた――?俺の事――。

「まさか、隣に住むなんて思ってもいなかったけど、奇遇だねぇ」

人形のような表情を崩し、口角を上げ、笑む凌。
初めて見る彼の笑顔は酷く妖艶であり、まるで悪魔のように美しく、そして愛らしい。

見えない糸で引かれているのか、操り人形のように指が勝手に動き、
気付いたら彼の髪を梳いていた。

「ねぇ…寒いよ。温めてくれるよね?」
「……そ、それは――。それに君は男だろ?駄目だろ、そんな事……」

情けない程、今の俺は弱気だろう。
今まで付き合ったどの女よりも、この少年は魅力的に感じる。
美しすぎる顔立ちと、男とは思えない華奢な身体――。
男とは思えない――?まさか――。

自分の懐に俺の手を当てる凌。

何故今まで気付かなかったのだろうか、どうして男と思い込んでいたのだろうか。
身体のラインを隠す真っ黒な服装と、ハーフという中世的な顔立ちに惑わされたのか。
しかし、普通は気付くだろう。誰が見ても彼、いや彼女は――。

「残念…女だよ」

そう言うと凌は俺の唇に噛み付くようなキスをした。
未だ彼女の懐に当てられた俺の手。
感じるのは男には決して無い、柔らかい乳房の感触であった。

「ぁ…んっ…」

凌の声は予想以上に甘く、その鼻に掛かった声が否が応でも興奮を誘う。
俺の唇を自分の唇で挟み、時には歯を立て、乱暴に舌を動かしながら、
それがまるで義務のように、彼女は必死に唇を貪った。

熱い吐息がかかり、行き場を無くした唾液が顎まで伝い、妙に卑猥に見える。
先程まで少年だと信じ込んでいたのが嘘のように、彼女は女の顔をしていた。

「ちょ…駄目だよ…、いくな何でもいきなりこういう事は…」

キョトンとした表情で凌は俺を見つめた。
何を正義ぶっているのだろうか。
普段なら喜んで行為に及んでいるだろう。
やはり、相手が彼…彼女だからなのか。

それに加えて、女だったいうショックと安心が入り混じる。
俺は変態野郎じゃ無かったんだ、という安堵の気持ちと
男じゃなかったという事で、スリルを味わえなかった落胆の気持ち。

それに…思っていたイメージと違った。
その外見からも彼女は純粋だという事が伺える。
しかし、期待を裏切られた。
本来ならここで幻滅する筈なんだろうが、今の俺は違うらしい。
淫乱かも知れない彼女に酷く興奮し、下半身は徐々に熱くなりつつあるだ。
やはり俺は狂っているかも知れない。

「もっと自分を大事にしなきゃ駄目だ…、さあ…」

俺は平素を装い、未だ彼女の懐に置かれていた手を離した。

「何言ってんの?偽善振っちゃって。本当はしたくて堪らない癖に」
「――っ!?」

嘲るように言い捨てると、凌は服の上から俺の股間を撫で回した。
一気に快楽が押し寄せ、硬くなって行くのが分かる。

「ほら、こんなに硬くしちゃってさ。もう我慢出来ないんでしょ?」

妖しく頬笑みながら、彼女は尚も俺の股間を撫で続ける。
先程まで澄んでいた漆黒の瞳は暗く澱んでいるように見えた。
彼女から危険な香りがするのは確かで。
だが、目の前にいる彼女の妖艶な誘惑から逃れる術は無さそうだ。

「どうしたの?黙っちゃって。……そう…、我慢する気なんだね?」

凌の指が俺のベルトへとかかる。
まるで映像がスローモーションで動いているかのようで、
その指の動きから目が離せない。
細い指先はゆっくりとチャックを下げ、大きく勃起したペニスに触れた。

「は…ぁ…」

思わず声が漏れる。
冷えた彼女の指先が更なる快楽を誘うのだ。

「大きいね」

凌はゆっくりと指を動かし、ペニスを刺激した。
既に先端から先走りの汁が溢れている、思った以上に興奮しているようだ。

浮き出た太い血管をなぞり、根本から濡れている先端まで指先でなぞって行った。
その光景は酷くいやらしく、今まで見たAVやましてや今までの情事とは比べ物にならない。
天使のような凌の外見がより一層そう思わせているのか。

先端から溢れ出る液体を指先で拭うと、
赤い舌を覗かせ、俺に見せ付けるかのように妖しく微笑みながら、それを舐め始めた。

もう、限界だ。
このままだと我を失いそうだった。
現に頭の芯がクラクラしている。

「―っ…!」

今まで舐めていた指先を再びペニスにやると、今度は口を使って舐め出した。
柔らかい舌の感触や生暖かい唾液の感触が、酷く敏感になっている事でよく感じられる。
感覚が研ぎ澄まされているのか、舐めるいやらしい水音が鼓膜に響き、
自分の吐息さえも良く聞こえた。

ペニスは益々硬くなり、彼女の小さな口では咥え込めない程の大きさになっている。
それにも拘らず、凌は裏スジを丁寧に舐め上げ、亀頭を咥え、必死に舐め続けていた。

やばい、もう限界だ――。
と思った瞬間、凌は咄嗟に口を離した。

「な…」

俺は呆気に取られ、彼女を見つめた。

「何て顔してるの?もう少しでイキそうだったのにって?
そうだね、もう限界だよね…。血管が脈打ってるよ」

おあずけを食らった犬のようだ。
あと刹那で達する筈のそれは、ドクドクと脈を打ち、餌を待っている。
彼女はわざと止めたのは勿論、俺がその気になるように誘っている。
先程まで偽善ぶっていたが、今はもうそれどころじゃなかった。
自分で処理しても良いだろうが、目の前に美味しそうな餌がある。
それを我慢しろ、というのは余りに残酷すぎる――。

「ふふ…、良くここまで我慢したね」

妖しく微笑むと、凌はゆっくりと服を脱ぎ出した。
露になった肌は驚く程美しく、新雪のように真っ白で、
絹を練ったような木目細やかな肌の上には、控え目の乳房が女を強調していた。

再び、凌は俺の手を導き、懐へとやった。
先程の服の上からよりも、乳房の柔らかい感触がよりリアルに伝わる。

「抱いていいよ…」

僅かに震えた声がした瞬間、俺の理性は刹那で吹っ飛んで行った。
細い手首を掴み、乱暴に凌を組み敷いた。

我慢し続けた俺の理性は、少しも残ってはおらず、余裕は一切無かった。
21歳という彼女の年齢に、そぐわない少女のような幼い身体に俺の性は酷く煽られる。

丸味を帯びた腰は華奢すぎる程で、酷く抱いたら壊れてしまいそうなくらいだ。
彼女の下半身を必死に弄り、衣服を乱暴に剥ぎ取り、
そして下着さえも引き千切るように剥ぎ取った。

露になった凌の身体に吸い込まれるように魅せられて行く。
しかし、うっとり見ている余裕なんか無く、
俺は白く柔らかいその肌にむしゃぶり付くと、幼さ残る乳房を口に含んだ。

「ぁ…あぁ…」

鼻から抜けるような甘い声がした。
それは俺が想像していた彼女の声とは全く別のもので、
そのギャップが堪らなく興奮を促す。
先程まで弄ばれていた股間は破裂しそうな程、硬くなりそそり立っていた。

乳房を舐め、その頂きにある幼い乳首を刺激すると見る間に硬くなり、
それと同時に彼女の息も上がる。
冷えいた肌もいつしか熱を帯び始めていた。

長く伸びる白い脚を強引に開いた。
既に濡れ、やらしく光る彼女の秘部はやはり少女のように幼く見える。
しかし、鼻を突く香りは女独特のものであり、酷く淫猥に俺を誘っているように見えた。

指を伸ばし、クリトリスを刺激すると、凌は猫のような声で鳴いた。
そのまま、滴る液を指に絡ませ、膣へ指を入れ、乱暴に掻き混ぜる。

生娘で無い事は確かだろう。
この天使のような少女は、性を一切匂わせない純潔な感じがした。
それは女だと気付く前からだ。
しかし現実は、何人の男に抱かれて来たか分からない、恐らく性にだらしが無い少女。
そのギャップに俺は落胆や軽蔑などでは無く、確実に興奮し、悦びさえも覚えていた。

初めて感じる感情のような気がする。
それは恋とはまた別の物だろう。
今までこんな感情を女に抱いたことは無かったのだから。

「はぁっ…ん…そうだよ、もっとだよ、もっと…乱暴にして…優しくなんかしないで…」

俺の首筋に手を伸ばし、首から鎖骨へ爪を立てる凌。
何処か怯えているような彼女の顔が印象的で、
俺は言われるがままに乱暴に、十分に潤ったであろう彼女の膣にペニスを宛がい、一気に挿入した。
まるで自分がレイプでもしているのでは無いか、そんな錯覚さえする程、
俺は乱暴に彼女を抱いた。

「あぁっ…ん…ああっ…はぁ…もっと…っ…」

幼い膣が自分のペニスを咥え込む様に、酷く興奮を覚え、俺は構わず最奥まで突き上げる。
狭い彼女の膣内は熱く、激しく腰を打ち付ける度に
肉壁が擦れ、痺れるような快感が突き抜けた。

「はぁ…あ…凌…」

身体が蕩けてしまいそうな程熱く、彼女の湿った肌に舌を這わせた。
グチョグョと粘膜の擦れる音が妙にやらしく、その音が徐々に大きくなって行く。
貪るような口付けをを何度も交わし、彼女の唾液の味さえも味わった。

限界が近い。
彼女の膣内が激しく収縮し、ペニスが刺激され血液が滾る。

「いいよ…出してっ…中に…ぁああっ――」

俺は何度か腰を痙攣させ、これまでに無い快感を彼女の中に吐き出した。
奥まで腰を打ち付け、最後の一滴さえも絞り出すように吐き出した。

ゆっくりとペニスを引き抜くと、白濁液が糸を引きどろっと垂れ出る。
その光景が余りにエロティックで俺は罪悪感どころか、優越感に浸っていた。
何度も彼女を抱けそうな気がして、
現に今吐き出したばかりなのに、下半身は再び熱くなって行く。

呼吸を整えている凌の乳房に触れ、膣に触れようとした時

「帰って」

と冷めた声がした。
誘って来たのは彼女からで、拒否される事など一切頭に無かった俺は呆気に取られた。

「…誘って来たのは君の方だ」

構わず俺は、硬くなったペニスを彼女の膣に宛がった。

「や…やだっ…嫌……いやぁ!」

凌は必死に脚をばた付かせ、身体全身で俺を拒んだのだ。
先程とはまるで人が違ったように、彼女は必死にもがき、叫んだ。
目の前にいるのはあの妖艶な悪魔のような少女では無く、普通の可憐な少女であった。
全く、訳が分からない。

その後、俺は一応謝り、部屋を後にした。
少し精神を病んでいるのだろうか。
もう関わらない方が自分の為だろう、やはり彼女は危険な香りがする。

だが、目を閉じれば先程の光景が鮮やかに浮かび、あの言い様も無い興奮が蘇る。
暫らくは他の女じゃ満足出来なさそうだ。

#未完

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最終更新:2007年10月07日 23:48