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宰相府コンペ応募:無人機の開発

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宰相府コンペティション応募作品 無人艦 Show-The- 『ショウ・ジ・』



L:無人機の開発 = {
 t:名称 = 無人機の開発(イベント)
 t:要点 = {無人機とは、作戦入力に沿って無慈悲に戦闘を行う恐るべき戦争機械のことである。
無人機を大量生産し、投入したことによって宰相府は恐怖によって人々を支配すると言われた。}
 t:周辺環境 = 戦場

「名前からして薄っぺらいんですが、いいんですかね、これ」
     ――とある審査員の、語呂を気にしたつぶやき。


リモートガンシップ「ショウ・ジ・」は宰相府のコンペティションに寄せられた機体の一つである。
宇宙に対応し、低コストで量産性に優れ、そしてTLO―未だ人の身に余るテクノロジーの使用を禁止するという条件を第一にして設計されている。
……が、考えた人間はかなり大まじめだったにも関わらず、その形状からあまり真面目には取り扱われなかった哀れな機体でもある。


機体概要

ショウ・ジ・の外見的特徴を一言で言い表す言葉に、「八等分にしたホットケーキ」というものがある。
平べったい形に、扇形の形状。中心角はおよそ45°を示している。

円弧の部分には等間隔に小型エンジンを搭載。半径部分の両側にもやはり等間隔に小型エンジンが設置されている。
それ以外にメインとなるようなエンジンはなく、それどころか姿勢制御用のバーニアすらない。
基本的に加速・減速・方向転換と姿勢制御は全てこれらの小型エンジンの連携によってもたらされるのである。
即ち加速については円周部分のエンジンを稼働させ、減速は半径部分のエンジンで逆噴射を行う。
方向転換については、例えば機体右方向に移動する場合は円周左部分と半径左側部分のエンジンを噴射して向きを変える。
機体上下方向への転換についてはそれぞれのエンジンの噴射口を可動させることにより実現している。

これらの小型エンジンについては、越前藩国がミラーコートへの技術供与で経験を得た燃料噴射制御システムが導入されている。
ミラーコートへの開発協力の中で得た教訓等を反映しつつ、操艦という面で効率的な燃料の使用を目指しているのだ。


攻撃兵器については先端部分に高出力レーザーを搭載しているものの、コスト削減のためこれ以外に特殊な兵装は搭載されていない。
ただしそのために、成層圏から地上を爆撃するほどの威力こそ持たないものの、宇宙船の強靱な装甲を破壊する程度の威力は確保されている。


形の由来

ショウ・ジ・がこのような形状になった理由はいくつかある。

まず一つ目が、完全に宇宙のみで運用するために機体の形状に物理的な制約をほぼ受けなかったということがある。
それはすなわち用途に応じて自由に形状を設計できる事を意味し、物理的制約を離れ、用途に応じて効率化させた機体設計を可能としている。

二つ目は、搭乗者の不在である。
無人機ということでコクピットスペースを気にする必要は皆無に等しく、人に配慮した設計を行う必要がない。
従って、慣性によって「中の人」が死なないように考慮する必要が無く、有人であればまず不可能とも思える無茶苦茶な機動管制さえも実現できるのだ。
低コストかつ高戦力を目指すためにも、無人化によって得られるメリットは徹底的に活かそうとされている。

三つ目が製作コストの削減だ。
扇状という形から、外装に使用される金属はほぼ「板」である。人型であればこうは行かない。
このため金属加工のコストを圧縮し、少しでも安く仕上げようというという涙ぐましい努力が垣間見える。



無人化という『暴力』

形の由来でも軽く触れられた通り、ショウ・ジ・は無人化によって発生するメリットを出来るだけ生かし、その分「安く」仕上げようという思想で開発されている。
それは例えば慣性で人が被るダメージが(そもそも中に人が居ないために)無いのを良い事に、出力の調整が難しい大型エンジンではなく複数の小型エンジンを搭載、無謀とも言えるデタラメな動きを可能とする複雑な燃料噴射制御を採用して敏捷性と燃料の経済的な使用を目指したこと。

コクピットが存在しないがためにわずかなメンテナンススペースを除いた全てを機体自身のために費やし、人体に有害な放射線等への対策も視野に入れず、ただ心臓であり頭脳である電子機器を護るための防御を施すということ。

これらの設計はある意味で『人の事を考えない暴力』であり、ショウ・ジ・の開発者と、そして採用を決めるであろう宰相府は「敵のみならず味方である搭乗者のことさえも全く思慮に入れていない」と恐れられるのも、仕方ない事かも知れない。


耳目にして口鼻、心臓にして頭脳

無人艦を無人艦たらしめる部分、即ちレーダー、自動操縦モジュール及び通信管制とそれらのセキュリティは目にして耳、口にして鼻、そして心臓にして頭脳と言えるほどに重要な部分である。
これらは応募者である越前藩国が全面的な支援を行い、開発のバックアップを行った。

まずレーダーについては、藩国全土にセンサーを設置し、しかも防空レーダー施設を保有する同藩国の優れた技術を集結。
機体平面部を中心に光学、赤外線、熱源センサーや電波ソナーといった定番を一通り搭載している。

自動操縦モジュールについても、越前藩国そのものはパイロットを保有しない国ではあるが、近頃フェアリー着装システムに組み込まれてしまった事で知られる『要塞操縦用プログラム』(かつてパーフェクトワールドにおいて摂政である黒埼が開発した)をベースに、小型艦向けに改修・デバッグと最適化を施したプログラムを開発している。
これにより敵性存在等の攻撃対象を示す「ブラックリスト」や友軍等の非攻撃対象を示す「ホワイトリスト」の入力、ショウ・ジ・自身の敵性識別プロセスによるそれらのリストの自動更新により、人の手の介在しない中での戦闘行為を可能なものとしている。

そしてこの「操縦・攻撃システムのプログラム化」は、シミュレーションを容易にするという副産物をもたらした。

シミュレーターを用いた戦闘訓練において、人が操縦する限りは何処までも『仮想』の壁が立ちはだかった。
しかし、現実の認識を全てレーダー等の観測機器に頼り、0と1で世界を知覚するプログラムにとってはシミュレーターによって与えられる情報により「現実」を正しく認識できるため、操縦戦闘のシミュレートを行う上での壁を薄くしたのである。
また、これは同時にショウ・ジ・運用時に立ち会うことが予想されるオペレーターの訓練についても、自動操縦モジュール自身からよりリアルなデータを送り返すことで、練度の浮揚に寄与したのである。


ショウ・ジ・の運用においてほぼ唯一人の手の介在する通信管制については戦闘時に短時間で入力する必要を鑑み、コマンド及び事前定義スクリプトによって定型的かつ弾力的なオペレーションを実行できるように設計されている。
また、複雑なコマンドの組み合わせによって操縦が出来ると行っても、それを人が使うとなった時に複雑すぎて分からない、となっては元の木阿弥である。
対話型メニュー方式のユーザインタフェースを採用することで直感的な操作を可能とし、かつ「その作業を行うために実行されるコマンドやその組み合わせ」を表示させる機能を与える事で、事前にスクリプトを定義する技術者の支援を行うことも可能としている。


セキュリティ対策については、今や越前藩国のお家芸である。
電子妖精そのものは搭載されていないものの、今までに越前藩国が行ってきた情報戦行為を元に分析を行い、攻撃者が良く用いるであろう手法について、暗号化による通信の保護や独自プロトコルの開発による情報保全を行っている。


そして忘れてならないのが、これらの機能を保障する物理的なハードウェアの保護である。
電磁場によるソフトキルや被弾の衝撃による破損、発熱による故障については、越前藩国がサイボーグ用義体開発の中で培ってきた技術が活かされている。


その名の由来

帝國の命名ルールである紙の名であれば「障子」と記するのが正しいことは想像に難くない。

が、一方でショウ・ジ・という機体は「ジ」の後の黒点まで含めるのが正式名称である。
それは英名表記である「Show-The-」からも読み取ることができるが、ここで一つ疑問が湧く。
「The」は通常、「ザ」と発音をする。
例外として「後ろに母音が続く」時に「ジ」と読むことは英語を習った事のある方であればご存知であろう。

つまり、ショウ・ジ・とは、母音で始まる何かの単語を後につなげたものが本来の名前であることが予想される。
しかしながら、開発コードから今日に至るまで、Theの後に続くことばが綴られた事は無い。

これをもってして「単に思わせぶりなようにしているだけだ」とすることは簡単である。
しかし、「障子」という紙の中では特に薄く脆いものを選び、そしてそれに「Show The(見よ/見せよ)」を重ねている以上、帝國的な気質を考えると、語呂合わせ以上の何かしらの意図が合ったとしても不思議ではない。



果たして、我々は何を見、そして見せるべきなのか。
破滅か、それとも勝利か。
それを定めるのもまた、我々なのかも知れない。

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