「■第三話「はっきりと……」」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

■第三話「はっきりと……」」(2012/07/22 (日) 02:23:05) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

■第三話「はっきりと……」 「ねぇ知ってる? この霧生ヶ谷市、怨霊がいるらしいよ」 「え?」  亜紗香がぴくりと、まるで猫が耳をそばだてる様に反応してしまった。 「怨霊」。それは大輔を黒猫へと変身させ、生きながらえさせた。怨霊なら怨霊で、その名の通り悪い事をしでかしそうなものだ。それなのに、怨霊は大輔を蘇らせた。それは一体、何の為であるのか、未だ見当もつかない。 「亜紗香、なんか知ってるの?」 「え、いや。なんにも知らないよ。ってか怨霊ってほんとにいるの?」  高校での昼休み中。天気が良いからと言って、亜紗香は友達数人で屋上へ来ていた。食べ終わったらバレーボールをやろう、などと古い事を考えながら。しかし、亜紗香にははっきりさせたい事があった。怨霊は何を考えているのか……。 「いるらしいよ~。ただ、あんまり良いことはしないみたいね。誰かを呪うとか、誰かを人間以外の生き物に変身させるとか……」  そんな説明を聞きながら、亜紗香は自分の頭の整理をするべく務めた。  ――えっと、怨霊は良い奴じゃなくて……呪ったり、変身させたり……  しかし亜紗香の脳内では全く答えが出ない。 「ちょっと、大丈夫? 亜紗香?」  心配そうに友達が皆こちらを向いている。 「ごめん。ちょっと考え事。気にしないで」  亜紗香の言った言葉に、「そう……」と言いながら、友達は皆亜紗香のことを心配していた。  なにかいつもと様子が違う。それだけは皆わかっている。きっと悩みがあるのだろう。しかしそれを口にするのは至極難しいのかもしれない。友達は誰も悩みの種を聞かずにいてくれていた。  しかし、亜紗香はそれにすら気付いていなかった。  そして、亜紗香ははっと気付いた。  ――……大輔を猫にしてどうするの?  重症で、しかも絶対に死んでしまう事が解っていた大輔を、何故、怨霊は猫に変身できるようにし、助けたのか。  ――……猫?  そこではっとした。やっと亜紗香は気付いたのだ。そう。キーワードは「猫」だ。 「ごめん!」  いきなり弁当箱を片付け始めた亜紗香に、皆びっくりしている。 「どしたの?」 「急用思い出した! 早退する!」 「はぁ!?」 「じゃ!」  そう言うと、亜紗香は猛ダッシュで屋上から降りる階段を下っていった。「午後の授業どうすんの~?」という友達の言葉も、聞こえてはいなかった。  ――そうだ。「猫」だ! 「大輔!」  バーンと亜紗香の家のドアが開いたと思うと、亜紗香は必死に靴を脱いだ。キッチンやリビングを見るが、家族の姿は見えない。確か今日も、母はパート。父は残業で遅くなる。だから家のどこでも大輔とは会話できるのだ。 「大輔!」  探しても、いない。恐らく亜紗香の部屋だろう。亜紗香は必死に階段を上っていった。 「大輔っ!」 「うぉ!? なんだ?」  思ったとおり、大輔は亜紗香のベッドの上で丸まって寝ていた。いくらベッドの上に来るなと言っても聞かない大輔なのだった。当然、それを怒られると思っていたのだが……。 「解ったのよ! 怨霊が何故大輔を助けたのか!」 「何だって!?」 To be continue? [[<<第二話へ>http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/pages/1078.html]]  [[<<第四話へ>http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/pages/1082.html]] [[感想BBSへ>http://bbs15.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=kansou&mode=view&no=178]]
■第三話「はっきりと……」 「ねぇ知ってる? この霧生ヶ谷市、怨霊がいるらしいよ」 「え?」  亜紗香がぴくりと、まるで猫が耳をそばだてる様に反応してしまった。 「怨霊」。それは大輔を黒猫へと変身させ、生きながらえさせた。怨霊なら怨霊で、その名の通り悪い事をしでかしそうなものだ。それなのに、怨霊は大輔を蘇らせた。それは一体、何の為であるのか、未だ見当もつかない。 「亜紗香、なんか知ってるの?」 「え、いや。なんにも知らないよ。ってか怨霊ってほんとにいるの?」  高校での昼休み中。天気が良いからと言って、亜紗香は友達数人で屋上へ来ていた。食べ終わったらバレーボールをやろう、などと古い事を考えながら。しかし、亜紗香にははっきりさせたい事があった。怨霊は何を考えているのか……。 「いるらしいよ~。ただ、あんまり良いことはしないみたいね。誰かを呪うとか、誰かを人間以外の生き物に変身させるとか……」  そんな説明を聞きながら、亜紗香は自分の頭の整理をするべく務めた。  ――えっと、怨霊は良い奴じゃなくて……呪ったり、変身させたり……  しかし亜紗香の脳内では全く答えが出ない。 「ちょっと、大丈夫? 亜紗香?」  心配そうに友達が皆こちらを向いている。 「ごめん。ちょっと考え事。気にしないで」  亜紗香の言った言葉に、「そう……」と言いながら、友達は皆亜紗香のことを心配していた。  なにかいつもと様子が違う。それだけは皆わかっている。きっと悩みがあるのだろう。しかしそれを口にするのは至極難しいのかもしれない。友達は誰も悩みの種を聞かずにいてくれていた。  しかし、亜紗香はそれにすら気付いていなかった。  そして、亜紗香ははっと気付いた。  ――……大輔を猫にしてどうするの?  重症で、しかも絶対に死んでしまう事が解っていた大輔を、何故、怨霊は猫に変身できるようにし、助けたのか。  ――……猫?  そこではっとした。やっと亜紗香は気付いたのだ。そう。キーワードは「猫」だ。 「ごめん!」  いきなり弁当箱を片付け始めた亜紗香に、皆びっくりしている。 「どしたの?」 「急用思い出した! 早退する!」 「はぁ!?」 「じゃ!」  そう言うと、亜紗香は猛ダッシュで屋上から降りる階段を下っていった。「午後の授業どうすんの~?」という友達の言葉も、聞こえてはいなかった。  ――そうだ。「猫」だ! 「大輔!」  バーンと亜紗香の家のドアが開いたと思うと、亜紗香は必死に靴を脱いだ。キッチンやリビングを見るが、家族の姿は見えない。確か今日も、母はパート。父は残業で遅くなる。だから家のどこでも大輔とは会話できるのだ。 「大輔!」  探しても、いない。恐らく亜紗香の部屋だろう。亜紗香は必死に階段を上っていった。 「大輔っ!」 「うぉ!? なんだ?」  思ったとおり、大輔は亜紗香のベッドの上で丸まって寝ていた。いくらベッドの上に来るなと言っても聞かない大輔なのだった。当然、それを怒られると思っていたのだが……。 「解ったのよ! 怨霊が何故大輔を助けたのか!」 「何だって!?」 To be continue? [[<<第二話へ>http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/pages/1078.html]]  [[第四話へ>>>http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/pages/1082.html]] [[感想BBSへ>http://bbs15.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=kansou&mode=view&no=178]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー